〇学校の廊下
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（──太陽先生、どこにいるのかしら？）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（こんな時に限って見つからないなんて・・・早く話したい・・・！）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（デスドラ（デスティニードライブ）のアニメ化について！）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（私もデスドラが好きだって言ったら、太陽先生、喜んでくれるかな・・・!?）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「あ、太陽先生──」
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「──日曜だからな。遅れるなよ」
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「分かってる、分かってる。太陽ちゃんは心配性だねー」
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「いくら私でも、デートに遅れたりしないって」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（デート？　太陽先生と、真昼さんが？）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（──いやいやいや、勘違いよね？　きっとそうよ。だって真昼さんだもの）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（それに太陽先生は赤鹿川カガワちゃんのファンだもの。ありえない！）

〇教室
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「──ねえ、真昼さん」
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「どうしたの、吹雪ちゃん？　顔が怖いよ？」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「さっきの話、本当なの？」
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「さっきの・・・太陽ちゃんのデートのこと？」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「それ、それよ！　真昼さんが行くわけないわよね？」
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「行くけど？」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「な、ななななんで!?」
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「なんでって、太陽ちゃんに頼まれたから」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（先生からのお誘い!?）
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「もう何度も行ってるし、正直めんどくさいけどね」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（飽きるほど行ってる!?）
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「まあ、美味しい物も食べれるしいいかなーって」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（怪しい関係!?）
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「──そうだ、吹雪ちゃんも来たらいいよ！」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「いや、それはダメでしょ！」
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「えー・・・大丈夫だよ。太陽ちゃんは驚くかもしれないけどさ」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「デートよ!?」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「他の女を連れて来るなんて、驚くどころじゃないわよ！」
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「太陽ちゃんだってやってるし、気にしないって」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「太陽先生もやってるの!?」
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「だからほら、一緒に行こうよー」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「と、とにかくダメ！　先生に悪いし・・・」
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「ちぇー・・・」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（でも・・・気になる・・・）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「──その、どう待ち合わせしてるかだけ教えてくれる？」

〇渋谷のスクランブル交差点
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（結局、気になって来ちゃった・・・）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（二人はどこかしら？　見つからないようにしなきゃ・・・！）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（──あ、太陽先生！）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（普段の教師らしいフォーマルな格好も良いけど、ラフな服装もワイルドで素敵・・・）
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「お待たせ―！」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（おっと、真昼さんも来たみたいね──）
九冬 吹雪(キュウトウ フブキ)（ジャージ!?　ラフにも限度があるでしょ!?）
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「悪いな、そんな恰好で来てもらって」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（太陽先生の指定だった！　どういう好みなの!?）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（真昼さんもいいの？　あなた女子高生よ？　デートにジャージを指定されるなんて・・・）
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「まー・・・太陽ちゃんの気持ちは分らんでもないし、別にいいよ！」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（理解があり過ぎよ！　べた惚れじゃない!?）
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「じゃあ、いつも通り頼むぞ」
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「おっけー！」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（あら、なんで真昼さんにスマホを・・・？）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「──あ、二人を追いかけなきゃ！」

〇公園通り
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（えっと・・・）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（これ、デートなのよね？）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（なんで離れて歩いてるのかしら・・・？）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（もしかして、太陽先生ってものすごい亭主関白なの？）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（俺の３歩後ろを歩け！　──みたいな？）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（いや、それでも離れすぎでしょ）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（知らないおじさんの方が近いじゃない）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（もはやおじさんとのデートになってるわ）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（さすがに真昼さんも怒ってるんじゃ・・・）

〇公園通り

〇公園通り
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「──よしっ！」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（よし！　・・・じゃないでしょ!?）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（なんでデート相手とおじさんのツーショットに喜んでるの!?）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（どんな情緒なの？　業が深すぎるでしょ!?）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（気づいて、太陽先生！）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（これ以上、真昼さんの業を深くしないで──）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（おじさんが増えてる！　最悪の絵面だわ！）

〇公園通り
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「──よしっ！」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（よくないわよ！　むしろ悪化してるの！）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（──あれ？　太陽先生はどこかしら？）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（見失っちゃった・・・いったいどこに・・・）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（──もしかして、あれなの？）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（噓でしょ・・・おじさんに挟まれたから？）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（そんなオセロみたいなルールある？）

〇テラス席
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「──真昼、こっちだ！」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（あ、お店に入っただけ・・・当たり前よね・・・）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（二人で食事かしら？　真昼さんに妬いちゃうかも・・・）
店員「こちら特製ハンバーガーセット、２名様分です」
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「お、美味そうだな！」

〇テラス席
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「──よしっ！」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（だから、よくないのよ!?　一緒に食べればいいじゃない！）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（これも亭主関白の一環なのかしら？）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（さすがに真昼さんがかわいそうだし・・・）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「──太陽先生！」
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「き、九冬？　奇遇だな、こんな所で・・・」
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「あー！　吹雪ちゃんだ！」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「真昼さん！　・・・大丈夫？　あとで頭の病院に行きましょうね」
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「出会い頭に心配されるほど変かなぁ？」
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「まあ、変だろ」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「先生もですよ！」
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「お、俺も？　真昼と同列なのか!?」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「あんな亭主関白は行き過ぎです！　そのせいで真昼さんがおかしくなって──」
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「こいつが変なのはもとから・・・」
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「いや待て、亭主関白？」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「亭主関白どころかデートDVです！　真昼さんのこと、なんだと思ってるんですか!?」
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「親戚の子供で生徒だよ！」
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「なんか誤解してないか・・・？」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「誤解もなにも、先生と真昼さんのデートがおかしいから・・・」
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「真昼と？」
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「太陽ちゃんと？」
「うえぇ・・・」
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「なんてこと言うんだ!?　そのセリフはもはや暴力だぞ！」
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「私でも越えない一線だよ、それは！」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「でも、真昼さんがデートって・・・」
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「私はカメラ係だよ？」
常夏 真昼（トコナツ マヒル）「──ほら、これ！」

〇テラス席

〇テラス席
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「赤鹿川カガワちゃん・・・？」
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「AR撮影アプリ"カガワと一緒"だ」
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「ちょくちょくデートに行くんだが、撮影役を真昼に頼んでるんだよ」
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「カガワちゃん用に頼んだ食事とか、報酬代わりに食べてもらってるんだ」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「そ、そうだったんですか・・・」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「──あの、ごめんなさい！　デートの邪魔しちゃって」
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「まあ、気にするな。誤解されるような部分もあるし・・・」
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「カガワちゃんとのデートも充分撮れたしな。ちょっと返してくれるか？」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「あ、どうぞ！」
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「どれどれ──」

〇公園通り

〇テラス席
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「──最悪な絵面じゃねえか！」
常夏 太陽（トコナツ タイヨウ）「真昼──いねえ!?　どこいった!?」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）「・・・結局、私の勘違いだったのね」
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（でも、撮影役かぁ・・・一緒にご飯食べたりはできるのよね・・・）
九冬 吹雪（キュウトウ フブキ）（──次があったら、立候補しちゃおうかな？）