迷走楠高校

嬌乃湾子

楠高校を守る者達!(下)(脚本)

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〇大きな木のある校舎
戸田司「皆揃ったか」
戸田司「本日、あいを交えて皆を集めたのは他でもない」
戸田司「高科録久」
高科朗久「‥‥はい」
戸田司「‥‥これより」
戸田司「皆で彼の今後の身の振り方についてを語ろうと思う!」
高科朗久「‥‥そうかそうか、よく解ったぞ」
高科朗久「‥‥戸田 司君」
高科朗久「俺の方こそ、この際だから言わせて貰う」
高科朗久「お前の方こそ」
高科朗久「俺に文句があるならはっきりと言えー!」
戸田司「ならば」
戸田司「言わせて貰うぞ」
戸田司「この学校に現れる妖は、度々我々が守ってきた」
戸田司「それが突如」
戸田司「袈裟姿の変な奴が身を乗り出すように校内を走り回り」
戸田司「俺たちがしてきた事を上書きするかの如く」
戸田司「全てを持って行った」
戸田司「それをああ、そうなんだ。スゲーと」
戸田司「言えるものなのか!?」
喜佐夫「要するに、司はこの状況に不服なんだ」
戸田司「ああ」
喜佐夫「そんな気にしなくても良いんじゃないの?」
戸田司「じゃあ兄貴は」
戸田司「何の不満も無くこの現状を割り切れるというのか?」
喜佐夫「別に」
喜佐夫「問題無いよ。仲間が増えて心強いし」
高科朗久「そうだそうだ!」
高科朗久「そんな不当なハラスメントに俺は屈しない!」
高科朗久「君たちが俺より長くやっていようが、負けないからな!」
戸田司「ほうほう」
戸田司「じゃあ聞くが」
戸田司「お前は俺たちに‥‥色んな意味で勝てる気でいるのか?」
戸田司「‥‥これでも」
高科朗久「ううっ、イケメン風情が」
戸田司「ほれほれ、んん?どうなんだ?答えろ!」
高科朗久「‥‥くそうっ」
高科朗久「顔でマウント取ろうなどと姑息な手を」
仮名相「‥‥あ、あの」
仮名相「でもね、私」
仮名相「この前の事だけどね」
仮名相「袈裟を着て運動場を走るろく君を見ていた時は」
仮名相「‥‥思わず‥‥‥‥」
仮名相「キュンキュンしちゃった~~♥️」
戸田司「そんな‥‥信じらんない」
高科朗久「そんな衝撃受けなくてもいいだろうが」
水上飼「皆んな」
水上飼「そろそろいいか」
水上飼「これからは俺の話をする」
水上飼「これは皆に言わなければならない事であるが」
水上飼「俺とろくは、ここに居る前からの繋がりがあったのだ」
「‥‥え?どういう意味だ?」
高科朗久「そうそう、それを思い出して俺もこうなったんだけど」
戸田司「‥‥それは何時の事を思い出したのだ?」
高科朗久「‥‥え~と、前世かな」
戸田司「そんな爺さんから過去の話など記憶なんて無いだろ !」
高科朗久「まあそこは夢・ファンタジーって事で多目に見てくれ」
水上飼「そう」
水上飼「あの学校に現れる妖もそこからの由縁なのである」
水上飼「それを、今から話そう」

〇城
  それは、この世には残されていない城の事である

〇屋敷の一室
「若」
「六歳めに御座りまする」
「六歳か」
楠 介斗「入れ」
六歳「お呼びで御座りますか」
楠 介斗「うむ。少し話し相手が欲しくての」
楠 介斗「城の周りはどうなのだ」
六歳「抜かりは御座りませぬ‥‥若は」
六歳「今日も書物を書いて御座いますか」
楠 介斗「ああ、そうだ」
六歳「ははぁ、ひょっとして」
六歳「その書物とは」
六歳「異国に来た武将がひょんな事から最強になり」
六歳「無双しながら数多のおなごと恋仲になるというお話を書いておいでですかな?」
楠 介斗「いや違う」
楠 介斗「余はこの国の内情を記しているのだ」
楠 介斗「余は体も弱い故、兄上のように戦にも出られず」
楠 介斗「追手から逃れる為にこの城の離れで身を潜めて生きておる」
楠 介斗「お前には今、戦では無く余を守る為この城に居て貰っておるが」
楠 介斗「ただ死ぬのを待つのみの余が」
楠 介斗「戦場を駆け回る兄上やそちを見ていると」
楠 介斗「余もそのように生きてみたかったと思うのだ」
六歳「若、お言葉ですが」
六歳「わしはそんな若を守りとうて、ここに居るので御座りますよ」
六歳「それに」
六歳「わしは最近、長き戦で多くの仲間を失ってからは」
六歳「段段と死ぬ事が怖くなってきておるのです」
楠 介斗「はははは」
楠 介斗「まさか、六歳は強いから敗けはしないだろう」
六歳「そんな事は有りませぬ。囲碁ならばわしは勝てぬでしょうから」
六歳「そんな戦なら、誰も血を流し死ぬ事は無く」
六歳「頭を巡らせて勝とうと思いまする」
六歳「わしは機会があれば、そんな戦をしてみとうと思うのです」
楠 介斗「‥‥‥‥」
楠 介斗「ならば」
楠 介斗「余がもし、この戦で生き残る事が出来るのなら」
楠 介斗「そのような世の中にしてやりたいのう」
六歳「ははは」
六歳「それは楽しみにですぞ」
六歳「この六歳、これからも命を掛けて若をお守り致しまする」

〇アマゾン川のほとり
六歳「はあ、はあ」
六歳「奴等は妖となって城を攻めてきておるぞ」
六歳「味方を失った今、城をお守りする事はもはや不可能だ」
六歳「‥‥もはやこれまでか」
六歳「若‥‥お許し下され」
六歳「‥‥‥‥ん?」

〇アマゾン川のほとり
六歳「‥‥‥あれは」
六歳「蜉蝣ではないか」
六歳「蜉蝣は成虫になる期間が短いというが‥‥」
六歳「よし」
六歳「決めたぞ」
六歳「若の命を救う為、わしも奴等に取り憑かれ」
六歳「妖となりて最後の力を振り絞ろう」
六歳「‥‥‥これは」
六歳「先に逝った者達を弔う物だが、今はその為に使わせてくれ」
六歳「いざ、参る」

〇風流な庭園
楠 介斗「‥‥うっうっうっ」
楠 介斗「六歳!」
楠 介斗「どうして余では無く、お前が先に死ぬんだ」
楠 介斗「こんなものだけを残して‥‥」
家来「若、ここももう危のうございます」
家来「もう行きますぞ」
楠 介斗「あっ、」
楠 介斗「あれが‥‥妖!」
家来「ひぃい助けて~!」
楠 介斗「!?」
楠 介斗「妖がいなくなった」
家来「これはどういう事でしょう?」
楠 介斗「ひょっとして‥‥これは六歳の力がやったのでは?」
家来「城の中にまでこんなにも妖が」
家来「若!早くお逃げ下され」
楠 介斗「‥‥‥‥」
楠 介斗「やつらを野放しにする訳にはいかぬ」
楠 介斗「さっきの‥‥六歳の力を」
楠 介斗「‥‥余は今」
楠 介斗「妖をこの書物に封じた」
楠 介斗「‥‥六歳」
楠 介斗「お前の形見と共に封じたこの書物」
楠 介斗「もしまた妖の封印か解かれ」
楠 介斗「争いが起こるぬかもしれない」
楠 介斗「‥‥その時は」
楠 介斗「そちの望む戦が出来るようにしてやろう」
  その後彼は身を潜めて生き延び
  代々隠し届けてられた書物はこうして世にひっそりと残された

〇大きな木のある校舎
水上飼「あの時の前世の記憶など他愛も無い事だが」
水上飼「その記憶によりろくはその力得られ」
水上飼「俺達はこうしているのである」
戸田司「‥‥解った」
戸田司「これからはお前を理解する」
高科朗久「‥‥おい、まさか泣いているのか?」
戸田司「お前のふざけたキャラのせいで不意討ちを喰らってしまったのだ」
喜佐夫「司が一番彼を否定していたのに」
喜佐夫「案外可愛いところあるんだな」
戸田司「うるさい」
水上飼「という訳で」
水上飼「これからは俺たちでこの学校を守るぞ」
高科朗久「ああ」

〇ゆるやかな坂道
喜佐夫「あ、おはようろく君」
高科朗久「‥‥‥‥おはよう」
戸田司「どうしたんだ?浮かない顔をして」
高科朗久「‥‥あの、大変言いにくい事なんだけど」
高科朗久「‥‥実は」
高科朗久「大事な迷走の数珠を無くしてしまった~!」
「えぇ~~~~~!!」
  続く!?

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