第3誓 手伝わなきゃ!(脚本)
〇西洋の市場
ルイーナ「ゼ、ゼノ様!?」
ゼノンアビス「やぁ!! 今日も頑張っているな!!」
ラスキア「はい!! ヘリアンテス、どうぞ・・・!!」
ラスキア「ちなみに・・・お代はいりません」
ルイーナ「そ、そうですね! ゼノ様からは、前払いしていただいているので・・・」
ゼノンアビス「・・・そんなつもりはなかったんだが・・・」
ゼノンアビス「・・・ルイーナ・・・ もしかして・・・オレ・・・ お兄さんに嫌われてる?」
ルイーナ「・・・い、いえ・・・ そんな事は・・・」
ラスキア「お買い上げありがとうございました〜!! 太陽のご加護を!! (さっさと帰りやがれ!! ルイーナに近付くんじゃねーよ)」
ルイーナ「あ、えっと・・・」
ルイーナ(・・・な、何かが見えたような・・・?)
ゼノンアビス「ヘリアンテスもそうだが・・・ 今日は、ルイーナに用があって来たんだ」
ルイーナ「ん? 何でしょう?」
ゼノンアビス「ライオールの東西の市場の お野菜袋詰めコンテストで優秀な成績を残した”ルイーナ嬢”とはキミの事だろうか?」
「!?」
ラスキア「・・・そうだったとして・・・ ルイーナに何の用でしょうか!?」
ゼノンアビス「ライオール城への招待の手紙は届いたかな?」
ルイーナ「えっ!? は、はい!! 届きましたけど・・・?」
ゼノンアビス「届いたのなら良かった! あの手紙、招待の日付がなかっただろう?」
ルイーナ「えっ!? どうしてそれを・・・!?」
ゼノンアビス「あの手紙を書いたのは、オレだからさ!」
ルイーナ「へっ!? ゼノ様が!?」
ゼノンアビス「ああ! 野菜コンテストを提案、開催したのも・・・ 実は・・・オレなんだ!!」
〇暖炉のある小屋
ゼノンアビス「・・・場所を移してもらって悪いな」
ルイーナ「いえ!」
ラスキア「・・・で? 野菜コンテストの主催者様が ルイーナに何の用でしょうか?」
ゼノンアビス「今度の日の曜日は空いているだろうか? その日にライオール城へ招待したいのだが・・・」
ルイーナ「はい! 大丈夫です! お伺いさせて頂きます!」
ゼノンアビス「良かった♪ ・・・では、昼の12時にライオール城で 待っている!」
ゼノンアビス「ああ、そうだ・・・ その時、キミにあげた宝石も持って来て欲しい」
ルイーナ「宝石ですね! わかりました!」
ゼノンアビス「あの宝石は、ライオールの刻印が施されているんだ 城の中に入る時、門番に見せるといい 通行手形代わりになる」
ルイーナ「はい! 大切に持って行きます!」
ゼノンアビス「・・・それと・・・」
ゼノンアビス「ルイーナの兄君にもご同行願いたい」
ルイーナ「えっ!?ラスキアも!?」
ゼノンアビス「ああ 詳細は、またライオール城で伝えるが・・・」
ゼノンアビス「キミ1人だと・・・また迷子になるかもしれないからな? 兄君が一緒であれば、大丈夫だろう?」
ラスキア「・・・言われなくても・・・ ついて行きます」
ゼノンアビス「・・・では! 二人共!! 当日を楽しみに待っている!! 太陽のご加護を!!」
「太陽のご加護を!」
〇巨大な城門
ルイーナ「すみませーん! ルイーナと申します! 12時に王城にお招きしていただいた者です!」
ライオール城門番「はいよー!」
ルイーナ「あ、あのコレ・・・ 通行手形の宝石です・・・」
ライオール城門番「ハァ〜!! こりゃ、本物のライオールの刻印! ゼノ様から聞いてますぜ!」
ライオール城門番「お通り下さい! ゼノ様の部屋までご案内しますぜ!」
ルイーナ「あ、ありがとうございます!!」
〇貴族の応接間
ライオール城門番「ゼノンアビス様!! ルイーナ嬢とラスキア殿をお連れしました!!」
ゼノンアビス「ああ、ありがとう! ご苦労だった!」
ゼノンアビス「ルイーナ!兄君も! ようこそ! ライオール城へ!!」
ルイーナ「し、失礼します・・・!!」
ゼノンアビス「まぁ、そう堅苦しくならないでほしい・・・ ゆっくり寛ぎながら話そう!」
ルイーナ(・・・ゼノ様・・・それは無理よ・・・ 庶民の私には・・・ 王城は・・・緊張する・・・!!)
ラスキア「・・・じゃあ、遠慮なく・・・」
ラスキア「・・・どうして俺達を王城へ?」
ラスキア「・・・見たところ・・・ 俺達の他にも先客が来てたような匂いがするんだが?」
ルイーナ「えっ!?」
ゼノンアビス「兄君は、めざといな!!」
ゼノンアビス「実は・・・二人に協力してもらいたい事があるんだ」
ルイーナ「協力?」
ゼノンアビス「もうすぐ大祭『ソルヴィータ』があるだろ?」
ルイーナ(大祭『ソルヴィータ』・・・)
〇ファンタジー世界
その昔・・・
『太陽の王子』と『太陽の涙』と呼ばれる妃が暮らしていた・・・
そんなある日・・・
村人「妃様!! 今宵は、豊穣の宴!! 珍しい果実を手に入れたので、是非とも 妃様に献上させてください!!」
太陽の涙「まぁ!!ありがとう!!」
妃が果実を口にすると・・・
妃は深い眠りに落ちてしまった・・・
太陽の王子「妃を救う為には・・・ どうすれば良いか・・・?」
目覚めない妃を救う術を見つける為、王子はとある賢者の元を訪ねる。
太陽の王子「妃を救う為にはどうすれば良いか?」
賢者「遺跡『ヴァニタス』にある 生命の泉・・・『ソルヴィータ』の水を 飲ませれば・・・ 呪いから解放されるだろう・・・」
太陽の王子は、『ソルヴィータ』を求め
遺跡『ヴァニタス』を目指す
そこで待っていたのは・・・
泉の守護獣『ルスキニア』だった!
太陽の王子は、ルスキニアとの闘いの末・・・
『ソルヴィータ』を手に入れた
太陽の王子は、妃の元へ帰り・・・
『ソルヴィータ』と共に口付けると・・・
妃は、涙を流しながら目覚めたと言う・・・
〇貴族の応接間
ルイーナ(庶民の間では・・・ お祭りの夜に、『ソルヴィータ』を 『愛しの太陽の涙の君』に捧げると・・・)
ルイーナ(恋人と永遠に結ばれるって言われてるのよね・・・)
ゼノンアビス「大祭『ソルヴィータ』は・・・」
ゼノンアビス「遺跡ヴァニタスに赴き・・・ 生命の泉でソルヴィータを汲んで 皆に振る舞う」
ゼノンアビス「そして・・・ 守護獣ルスキニアの石像にその年取れた作物を捧げ・・・」
ゼノンアビス「ヘリアンテスの花占でこれから先の吉凶を占う祭りだ!」
ラスキア「その祭りと・・・俺達に何の関係が・・・?」
ゼノンアビス「実は・・・今年のソルヴィータの人員が不足していてな?」
ゼノンアビス「人員が不足しているからと言って・・・ ソルヴィータに変な輩は起用したくない・・・」
ゼノンアビス「オレはオレの目で見て耳で確かめた人財と一緒にソルヴィータを成功させたい・・・」
ゼノンアビス「そう思い・・・ 野菜コンテストをはじめ・・・様々なコンテストを催して人を見てきた・・・」
ゼノンアビス「そして・・・キミ達にも手伝って欲しいと思い・・・ 声をかけたんだ」
ラスキア「手伝う・・・と言っても・・・ その役どころは?」
ルイーナ(あんまり・・・目立っちゃ・・・ 父さんにまた怒られるかもしれないし・・・)
ルイーナ「簡単なお手伝い程度だったら・・・」
ゼノンアビス「大丈夫! 簡単だ!!」
ゼノンアビス「ルスキニアの石像に男女で、作物を捧げる役が居なくてな・・・」
ゼノンアビス「二人には、是非その役を務めてもらいたい!!」
ラスキア「・・・その役どころは・・・熟年の老夫婦が務めてきたと思いますが・・・?」
ゼノンアビス「・・・先日・・・その老夫婦は・・・ 亡くなったのだ・・・」
「・・・」
ゼノンアビス「それもあるが・・・オレは・・・先日の野菜コンテストで・・・ ルイーナの的確な袋詰め技術に 野菜への敬意を感じた!!」
ラスキア「いや、あれはただ単に袋詰めしただけだと思いますけど・・・?」
ゼノンアビス「そ、そうだとしても・・・日々の花売りにも・・・ 一生懸命ひたむきに働いているだろう?」
ルイーナ「そ、そんなっ!」
ゼノンアビス「石像の前に作物を置くだけの役だ・・・!! やってはくれないだろうか!?」
ソルヴィータのお祭りとそれにまつわる言い伝え、とてもロマンチックですね!しっかりとした世界観に今話もズンズン惹き込まれてしまいました。
ラスキアとゼノのバチバチ、こういうのとても好きなので(笑)今後の展開も楽しみです!(最新話に追いつけずゆっくり読みですみません…)
ラスキアさんの、ゼノ様に対する態度やら心の声が…🤣
場面ごとに、その場の温度や息遣いなどが伝わってくるような作品展開で、詩歌とくに音楽が似合いそうな物語だなーと感じ入っています😊
初回の野菜詰め大会がこんなところにつながってくるなんて😂
ラスキア、一応偉い人の前なんだからその顔どうにかしなさいよとじわじわ笑いが込み上げてきました笑 人によっては不敬罪になりそうな態度だよラスキアくん😂😂そんなところも微笑ましいですが笑
簡単な役割とは言っても祭りの規模的にかなり注目されそうですが、目立たないという家訓は守れるのかどうか…
次はどんな一悶着があるのか楽しみです😊