第3話 ボクらはみんな友だちなのだ【後編】(脚本)
〇霧の立ち込める森
ミライ「こっちなのだ」
ミライ「ついてくるのだ」
ソウタ「わかった」
ミライ「?」
ソウタ「あれ? ここってさっきと同じ場所じゃあ・・・」
ミライ「こっちなのだ」
ソウタ「おい」
ミライ「あれ?」
ミライ「おかしいのだ」
ソウタ「お前、本当にカッちゃんのいる場所がわかるのか?」
ミライ「も、もちろん、わかるのだ」
ソウタ「じゃあ、何で迷ってんだよ」
ミライ「迷ってなんていないのだ・・・」
ソウタ「お前、場所は覚えていても、そこへの行き方はわからないんじゃないのか?」
ミライ「そ、そんなことはないのだ」
ソウタ「もういい。これからは俺が先導する」
ソウタ「カッちゃんに出会った場所のことを教えてくれ」
ミライ「わかったのだ」
ミライ「確か池みたいのがあったのだ。あとはそこには・・・」
ソウタ「わかった、行こう」
ミライ「ソウタ、待つのだ」
〇睡蓮の花園
ミライ「!!」
ミライ「ここなのだ!」
ミライ「ソウタ、どうしてわかったのだ?」
ソウタ「お前の話を聞いてたら、ここじゃないかって思ったんだ」
ミライ「すごいのだ」
ミライ「でも、ボクはお前じゃなくてミライなのだ」
ソウタ「あ? そんなことどうでも・・・」
ミライ「どうでもよくないのだ」
ソウタ「わかったよ」
ソウタ「で、ミ、ミライ」
ミライ「何なのだ」
ソウタ「カッちゃんは?」
ミライ「いないのだ」
ソウタ「は?」
ソウタ「本当にここなのか?」
ミライ「間違いないのだ」
ミライ「カッちゃん、どこにいるのだ!」
ソウタ「カッちゃん! 俺だ、ソウタだ。出てきてくれ!」
ソウタ「ここにはいないみたいだな」
ミライ「調べてみるのだ」
ミライ「!!」
ミライ「見えたのだ!」
ミライ「ソウタからカッちゃんにつながる線が見えたのだ」
ソウタ「どこにいるんだ?」
ミライ「ピエールがいないと、正確な場所はわからないのだ・・・」
ソウタ「は?」
ミライ「でも、この近くにはいるはずなのだ」
ミライ「どうしようなのだ」
ソウタ「とにかく、カッちゃんのいそうなところを探すぞ」
ミライ「わかったのだ」
〇ボロボロの吊り橋
ソウタ「この先に行ってみよう」
ミライ「・・・」
ミライ「ここを渡るのか?」
ソウタ「恐いのか?」
ソウタ「恐いならここで待ってろ。俺が1人で行ってくる」
ミライ「ソウタ!」
ミライ「恐くなんてないのだ」
ミライ「ないのだ・・・」
ミライ「行くのだ」
〇山中の滝
ソウタ「ここにもいない」
ソウタ「カッちゃん、どこにいるんだ?」
ソウタ「あきらめないぞ。絶対に見つけるんだ!」
ミライ「ソウタ、この川を渡るのか?」
ソウタ「そうだ」
ミライ「無茶はよくないのだ」
ソウタ「カッちゃんに会うんだ」
ソウタ「絶対に見つけるんだ」
ミライ「ソウタ!」
ソウタ「うわー!」
ミライ「ソウタ!」
ミライ「ソウタが流されてしまったのだ!」
ミライ「まずいのだ」
ミライ「・・・」
ミライ「助けに行くのだ!」
ミライ(・・・)
ミライ(ボクは泳げないのだ・・・)
〇水中
ミライ(ソウタ・・・)
ミライ(今助けるのだ)
ソウタ(ミライ!)
ソウタ(今助けるから待ってろ)
ミライ(助けるのだ・・・)
ソウタ(助けなくちゃ・・・)
「・・・」
・・・・・・
河童「あの2人は!」
〇村に続くトンネル
ピエール「ここにもいませんね」
ユウキ「やはり2人でカッちゃんのところに・・・」
ピエール「どうしましょう?」
ユウキ「2人も心配だけど・・・」
ユウキ「まずは村長のところに行って、河童狩りをなんとかやめさせよう」
ユウキ「ピエール、頼んだぞ」
ピエール「は?」
ユウキ「行こう」
ピエール「あの・・・頼むってどういうことでしょう」
〇村の広場
村長「これから河童狩りに行くぞ!」
「おー!」
ユウキ「待ってください!」
村長「ん? 何じゃ、お主らは?」
ユウキ「僕たちは、少し前からこの村にきている旅芸人の一団です」
村長「旅芸人?」
ユウキ「はい」
ピエール(ユウキ様、これは何ですか?)
ユウキ(とにかく僕に合わせてくれ)
ピエール(はあ・・・)
村長「して、旅芸人が何の用じゃ?」
村長「我々はこれから河童狩りに行くので忙しいのじゃ」
ユウキ「実はその河童について、話があります」
村長「何? 何の話じゃ?」
ユウキ「実は河童は・・・僕たちが変装したものなんです」
村長「何じゃと!」
ピエール「は?」
村長「どういうことじゃ?」
ユウキ(ピエール、河童に変装してくれ)
ピエール(は? そんなことできません。無理です)
ユウキ(お前、いろんな衣装を持ってるって言ってただろう)
ピエール(それはそうですが・・・)
ユウキ(頼む!)
ピエール(わかりました。やってみます)
ユウキ「村長さん、このピエールが今から変装します」
村長「ほう・・・」
ピエール「では、ピエール二十面相と呼ばれた私の華麗な変身をお見せいたしましょう」
ピエール「どうですか?」
村長「おお!」
ユウキ(ピエール、いいぞ)
ピエール「次は・・・」
ピエール「どうです?」
村長「なんと!」
村長「・・・」
村長「しかし、これは河童ではないな」
ユウキ「それは・・・」
ユウキ(ピエール、河童の衣装はないのか?)
ピエール(ありません)
ユウキ「おかしいな」
ユウキ「ええと、河童の衣装はどこかに置き忘れたのかな」
村長「・・・」
〇アマゾン川のほとり
ソウタ「うーん・・・」
ソウタ「!」
ソウタ「ここは・・・」
ソウタ「ミライ、起きろ」
ミライ「・・・ここはどこなのだ?」
ソウタ「確か川に流されて・・・」
ミライ「そのままここに流されてきたのか?」
ソウタ「いや、2人とも溺れていたはずだ」
ソウタ「あのままで助かるはずはない」
ソウタ「きっと誰かが助けてくれたんだ」
ミライ「誰がなのだ?」
ソウタ「ん?」
ソウタ「これは!」
ミライ「どうしたのだ?」
ソウタ「ここに何かのうろこが落ちている」
ミライ「うろこ?」
ソウタ「これは河童のものだ!」
ミライ「河童!?」
ソウタ「カッちゃんだ!」
ソウタ「カッちゃんがおれ達を助けてくれたんだ!」
〇村の広場
ピエール「・・・」
ユウキ「ええと、河童の衣装は・・・」
村長「もうよい」
村長「予定通りこれから河童狩りを始める!」
ユウキ「そんな・・・」
ソウタ「村長さん!」
ミライ! ソウタくん!
村長「ソウタ!」
村長「お前、どこにおったんじゃ」
ソウタ「川の近くでこの子と遊んでた」
村長「みんな心配したんだぞ」
ソウタ「ごめんなさい」
ミライ「ごめんなさいなのだ」
村長「お前が河童に連れ去られたかと思って・・・」
ソウタ「村長さん。俺、河童を見たよ」
村長「何!」
ミライ(ソウタ、まさかカッちゃんのことを・・・)
ソウタ「そのピエロが河童の衣装を着ているのを見たよ」
村長「何だと!」
村長「ソウタ、間違いないのか?」
ソウタ「うん、はっきりと見た」
村長「しかし、河童の衣装は・・・」
ピエール「じ、実はさっき川で洗濯していたときに、川に流されてしまったんです」
ピエール「これが本当の「河童の川流れ」なんて。ハハハ・・・」
村長「・・・間違いないようだの」
村長「河童はこの旅芸人の一団の仕業じゃ」
村長「河童狩りは中止だ!」
ユウキ「ソウタくん、ありがとう」
ユウキ「それにしても、よくとっさにあんな嘘がつけたね」
ソウタ「実は、少し前に帰ってきて、こっそり話を聞いていたんだよ」
ソウタ「それでとっさに思いついたんだ」
ソウタ「これで河童狩りは中止になったし、カッちゃんは安全だ」
ユウキ「カッちゃんには会えたのかい?」
ソウタ「いや・・・」
ミライ「てもカッちゃんは、ボクたちのことを助けてくれたのだ」
ユウキ「・・・そんなことがあったんだ」
ソウタ「カッちゃん・・・」
ミライ「ソウタ!」
〇テントの中
「・・・・・・」
ユウキ「ん? 何の音だ?」
〇村の広場
ユウキ「確かこの辺から・・・」
ユウキ「カッちゃん!」
河童「・・・」
ユウキ「カッちゃん、ミライとソウタくんを助けてくれてありがとう」
河童「ああ」
河童「俺は今からここから遠く離れた山奥に行く」
ユウキ「えっ!?」
河童「だから、もうソウタやお前らに会うことはない」
河童「ソウタにもそう伝えてくれ」
ユウキ「ソウタくんに直接言わなくていいのかい?」
河童「ああ。あいつの悲しむ顔を見たくない」
河童「ソウタにはお前から言っておいてくれ」
河童「それじゃ頼んだぜ」
ソウタ「カッちゃん!」
河童「ソウタ・・・」
ソウタ「カッちゃん、さっきは助けてくれてありがとう」
河童「・・・」
ソウタ「カッちゃん、遠くへ行っちゃうんだね」
河童「ああ」
ソウタ「さみしいよ、せっかく友だちになれたのに」
河童「すまない」
ソウタ「もう会えないの?」
河童「ああ」
ソウタ「いや・・・そんなことはない!」
河童「何?」
ソウタ「俺たち、友だちだもん」
ソウタ「絶対にまた会える」
河童「ソウタ・・・」
ソウタ「俺、大きくなったら、カッちゃんに会いに行くよ」
ソウタ「いいだろ、カッちゃん」
河童「・・・」
河童「ああ」
ソウタ「カッちゃん、元気でね」
河童「ソウタもな」
ソウタ「さよならは言わないよ」
ソウタ「またね、カッちゃん」
河童「またな、ソウタ」
〇村の広場
河童「そろそろ行くか」
ミライ「カッちゃん!」
ミライ「助けてくれてありがとうなのだ」
河童「まったく・・・お前もソウタも無茶しやがるから」
ミライ「えへへ、なのだ」
河童「そういえば、少し前に、お前に似た人に会ったな」
ユウキ「えっ!」
ミライ「?」
河童「その人は森の中で迷っていてな」
河童「俺が道案内をしてやった」
河童「その人は大人だったが、雰囲気がどことなくお前に似ている」
ユウキ「まさか、その人はミライの・・・」
河童「そういえば、そのときにお礼といってこれをもらった」
河童「「幻想の世界でそれを使うと真実の世界が現れる」とか訳のわからないことを言っていた」
河童「何のことかわからんが、俺には必要ないものだ」
河童「お前にやるよ」
ミライ「ありがとうなのだ!」
河童「それじゃあな」
ミライ「カッちゃん、元気でなのだ」
河童「お前らもな」
ミライ「きれいなのだ」
ミライ「!!」
ミライ「母上の香りがするのだ!」
ユウキ「何だって!?」
ミライ「!!」
ユウキ「どうした?」
ミライ「見えるのだ」
ミライ「母上につながる線が見えるようになったのだ!」
ユウキ「何だって!?」
ミライ「ピエール!」
ピエール「はい」
ミライ「!!」
ピエール「場所がわかりました!」
ミライ「これで母上のところに行けるのだ!」
〇村に続くトンネル
ミライ「ソウタ。泳げないのに川に飛び込んだり、無茶はしちゃダメなのだ」
ソウタ「うるさい! お前に言われたくない」
ソウタ「・・・」
ソウタ「もう行くのか?」
ユウキ「うん。行き先もわかったし」
ソウタ「そうか」
ミライ「ソウタ、さびしいのか?」
ソウタ「バ、バカなこと言うな!」
ソウタ「全然さびしくなんてねーよ!」
ユウキ「ソウタくんも元気で」
ソウタ「ああ」
ミライ「じゃあ、行くのだ」
ソウタ「ミライ!」
ミライ「?」
ソウタ「お前も無茶すんじゃねーぞ」
ソウタ「・・・でも、無茶してでもお母さんに会うんだぞ!」
ミライ「わかったのだ」
ミライ「ソウタ、またいつか会うのだ」
ソウタ「ああ」
ソウタ「またな」
なんか前回から霧が出てるから迷うフラグか?と思ったら本当に迷ってた😅ぬ、抜けてるところも可愛いですよね、ミライちゃん。
そしてピエールとユウキのコンビ、頼りになるし安心できる。安心といえば川で溺れた時の河童ですよね、鬼に金棒くらいの力強さがあります😆😆😆
カッちゃんもソウタも絆を大事に強く生きてくでしょうね。そしていつの日か再開を😭😭😭😭
心温まるストーリーでした😆😆😆😆
平和に終わってよかったです〜!
ソウタの照れ顔、使っていただけて嬉しいです!
(((o(*゚▽゚*)o)))
ほんわかとあったかくて良いですね。
トトロのようでもあり…そういった和む感じの柔らかいドラマも書いてみたい!
と思いました😀