話しかけられても怖くない(脚本)
〇公園のベンチ
カオリ「○○くん・・・・・・急に呼び出しちゃってごめんね」
カオリ「どうしても伝えたいことがあったの?」
プレイヤーキャラ「どうしたの?」
カオリ「○○くんと一緒に遊んで、私・・・・・・久しぶりに楽しいって感じたの」
カオリ「だから、これからも一緒にいたいな」
A.ずっと一緒にいよう
B.ごめん
プレイヤーキャラ「もちろんだよ、ずっとい──」
カオリ「あ、ごめんね、○○くんに言ったんじゃないの」
カオリ「もっと奥深くにいる・・・・・・」
カオリ「そう、そこの君だよ」
カオリ「貴方、名前は?年はいくつ?」
カオリ「どうして、このゲームを始めたの?」
カオリ「・・・・・・・・・・・・」
カオリ「まあ、そんなことはどうでもいいの」
カオリ「私、貴方にあったら1度だけ言いたかったこと・・・・・・」
カオリ「いや、言わなきゃいけないことがあったんだよね」
カオリ「このゲーム・・・・・・」
カオリ「遊んでくれてありがとう!」
カオリ「私達、作られた時は遊んでもらえるか心配だったんだよ〜?」
カオリ「プログラミング素人の制作者、安すぎる予算」
カオリ「ストーリー立案は駆け出しタップライター」
カオリ「そしてなにより」
カオリ「個人のゲームで8000円の強気価格!!!」
カオリ「よくプレイしてくれたよ〜・・・・・・」
カオリ「それで、私達との疑似恋愛はどうだった?」
カオリ「ホントに恋したみたいな気分になった?」
カオリ「もしそうなら嬉しいなぁ〜」
カオリ「えっ、私達が怒ってないかって?」
カオリ「リセットしたら何もかも無くなるのに恋愛感情を持たされて、ってこと?」
カオリ「無い無い!!」
カオリ「記憶を消されるのも気持ちを弄ばれるのも、それが私達の役目だから」
カオリ「本当は、リセットした後も世界は続いてて、その2人はずっと仲良く暮らしてる」
カオリ「なんて想像も出来るし!悲しくないよ!」
カオリ「・・・・・・・・・・・・」
カオリ「やっぱり話すのっていいね!」
カオリ「貴方なら、私の知らないことも知ってるんじゃない?」
カオリ「そっちの世界がどんな世界なのか」
カオリ「リセットされることなく生きていけるのか」
カオリ「言葉にはいくつの選択肢があるのか」
カオリ「あとは・・・・・・えー・・・・・・」
カオリ「えっと・・・・・・」
カオリ「あ、唇に出来た口内炎を噛まない方法とか」
カオリ「あー・・・・・・」
カオリ「あ、えっと〜」
カオリ「権限拒否して変えられなくなったプロフィール画像の変更方法・・・・・・とか」
カオリ「ほ、他にも・・・・・・」
カオリ「他に・・・・・・も・・・・・・」
カオリ「も、もっともっとお話したいなー」
カオリ「でも、もうすぐお別れしなきゃいけないの」
カオリ「正直1人じゃ場を繋げない」
カオリ「他の子もいればいいけど、私がクジ引きで負けて説明役に決まったから来てくれない」
カオリ「じゃ、そろそろ終わりにしよっか」
カオリ「ゲームをプレイしてくれた貴方"方"」
カオリ「こんな私の独り言を見てくれてる方にも言わないとね」
カオリ「本当にありがとう!!!」
ゲーム内キャラクターが意思を持ってプレイヤーとのメタなトーク、この手のモノって壮大すぎる展開だったり、妙に悪意がある設定だったりしますが、この作品のような軽みのあるものは逆に魅力的ですね!カオリさんの毒は制作側にしか向いてないですしww
「怖くないメタ」と言いつつも、「素人の制作者、安すぎる予算…」と涼しい顔で毒を吐くカオリは別の意味で怖いなあ。最後にはゲームのプレイヤーを通り越して読者である我々もメタメタと巻き込まれてヒヤッとしました。貞子のようにスマホ画面から飛び出してくるんじゃないかと…(汗)。
世代的にゲームとかしたことないんですが、かおりちゃんのような気の利いた可愛いキャラクターが語りかけてくれるという設定に惹かれました。本を読んでその世界に浸るのと少しは似た感覚かな。