エピソード52(脚本)
〇奇妙な屋台
ヨージ「店主〜」
ミライ「これ!見てください〜」
ヨージ「鳥さん!なんだけどぅ〜」
店主「あらどうしたの〜」
ミライ「そこの道路で倒れてたの」
ヨージ「巣から落ちたのかな・・・」
店主「あらそうなの。 タオルで包んだのは、よかったわね」
ミライ「素手で触っちゃいけないって 看板に書いてあったから」
店主「見せていただいても いいかしら?」
青い鳥「・・・」
店主「・・・」
店主「特に怪我をしているようには 見えないわね」
店主「巣立ちの雛では、ないみたいね。 雛なら親鳥がいる場合があるから、 手を触れずに遠くから 様子を見るのが、いいのよ〜」
ミライ「できれば、飼いたいんだけど・・・」
店主「それは自然の鳥さんだから 飼うことはできないのよ」
店主「それにおおよその鳥さんの食べ物は 生きた虫だったりするわ」
店主「自然の鳥さんが自分でエサを取れるようにならないと、生きていけないの」
店主「特に怪我もしてないようだし 落ち着いたら、 元の場所に近い安全な場所に 離してあげたら良いんじゃないかしら」
ミライ「うん、鳥さんのためなら 仕方ないね」
店主「これをお持ちなさいな」
店主「これは・・・巣箱?」
店主「ええ。自然の鳥を飼うことは できないけど、 自分で巣を作れない鳥さんのために繁殖用に設置するのはアリなのよ」
店主「この公園のオーナーさんの理解もあって、 傷病舎や、冬の間だけ使用できる 管理されたバードフィーダーも 設置されてるわ」
店主「その辺りに設置したらいいんじゃないかしら」
ミライ「そっか、そうするよ」
青い鳥「・・・」
〇大樹の下
ミライ「この辺ならいいかな?」
ヨージ「元気になるといいけど」
青い鳥「・・・」
ヨージ「巣箱も設置しよう!」
ミライ「うん!」
〇大樹の下
ヨージ「できた?」
ミライ「うん!」
青い鳥「・・・」
青い鳥「ピィ!」
ミライ「えっ」
ワササササー
「ピィ!」
「たくさん仲間を連れてきたー!」
青い鳥「ピィ」
ミライ「ん?なに?」
ヨージ「なんかくわえてるよ」
ヨージ「タオル?」
青い鳥「ピィ」
ミライ「僕が包んでたのと違うタオル 持ってきたのかな」
ヨージ「くれるの?」
青い鳥「ピィー」
ヨージ「あ、ありがとう・・・」
青い鳥「ピィー」
バサバサバサー
ミライ「行っちゃった・・・」
ヨージ「元気になったのかな? よかったね」
ミライ「・・・うん」
ヨージ「遊びに行こう!」
ミライ「うん!」
〇広い公園
ミライ「キャハハハー」
ヨージ「キャハハハー」
ヨージ「あれ?」
ミライ「どうしたの?」
ヨージ「首にまいてるタオルから 話し声がする・・・」
ミライ「あぁ、さっきのもらったタオル?」
「あの川に置かれてる光る石を
誰も気づかないなんてなぁ」
ヨージ「川に光る石がある、とか言ってる」
ミライ「行ってみよう!」
青い鳥「ピィ」
〇川沿いの原っぱ
ミライ「川に来てみたけど・・・」
そこから右に5歩、
左に3歩のところにある石が
光る石だよ・・・
ヨージ「そこから右に5歩、 左に3歩のところにある石が 光る石だよ・・・ って言ってる」
ミライ「右に5歩・・・」
ヨージ「左に3歩・・・」
ミライ「あった!」
ヨージ「んー重い」
ミライ「手伝うよ」
「よいしょ よいしょ」
青い鳥「ピィ」
〇奇妙な屋台
ミライ「店主〜」
ヨージ「店主〜 これ見て〜」
店主「あら、今度はなぁに?」
ミライ「石を拾ってきた!」
店主「どれどれ?」
どーん
店主「あら随分、大きいの持ってきたのねぇ〜」
ミライ「運ぶの大変だった!」
店主「ちょうど鑑定士のカツヒロさんが いらしてるから 見てもらうと良いわ!」
カツヒロ「こんにちは! どれどれ・・・」
カツヒロ「それは! マッチョの涙の原石ですね! 随分と大きいのを見つけられましたね!」
カツヒロ「これは、高額になりそうですね」
カツヒロ「良ければウチで買い取らせていただきたいのですが・・・ 親御さんに連絡してよいですか?」
ミライ「僕・・・、 父も母も遠い国で働いてて、 この街に住む親戚の家にいるんです」
ヨージ「じゃあ僕のお父に言うよ! 今、呼んでくるよ! お父ならなんとかしてくれるから 君は心配しないで!」
ミライ「ヨージ・・・ありがとう」
ヨージ「ちょっとまってて!」
〇奇妙な屋台
小一時間後・・・
ヨージ「おとう、連れてきた〜」
ヨージの父「おおきに〜 うちの子が世話になってます〜」
ヨージ「おとうは商店街でスーパーやってんの。 元八百屋〜」
店主「こんにちは〜」
カツヒロ「こんにちは、今日はこちらの石を 買い取りたいと思いまして。 こちらの金額でいかがでしょう?」
ヨージの父「どひゃーエライこっちゃあ! 宝くじかいな!」
ヨージ「どしたのおとう」
ヨージの父「うちスーパーやなくて デパートになるわ」
ヨージ「良かったやん」
カツヒロ「そちらは磨くともっと価値が出るものなんですよ。 ワタクシにお任せください!」
ヨージの父「それ、その子と二人で見つけたんやってな。 折半してその子にもわけなアカンで。 独り占めはろくなことにならん」
ヨージの父「ソレデも、うちはデパートや! でかしたで!ぼうず!」
ヨージ「わーい!」
〇奇妙な屋台
ミライ「いいなぁ ヨージは頼れるお父さんが そばにいて」
ミライ「叔父さんは優しいけど、 あんまりそういう風には 言えないな」
ヨージ「じゃあ、ミライくんも僕に頼ればいいよ。 友達じゃん!」
ミライ「ともだち・・・」
ヨージ「そうだよ!」
ジーン
ミライ「ありがとう!」
ミライ(ヨージは、宝石より価値のある宝物、 ともだちだよ!)
〇奇妙な屋台
ヨージ「でも不思議だなぁ なんでタオルが喋ったんだろう」
ミライ「ねぇ」
青い鳥「ピィ」
ヨージ「あっ さっきの青い鳥!」
ヨージ「もしかして、喋ったのキミ?」
今頃わかったのか。
このマヌケめ!
ヨージ「わっ喋った! しかも口が悪い・・・」
そりゃ1万年も生きてたら
口も悪ぅなるわ
ヨージ「へっ!?一万年!?」
ヨージの父「お前はさっきから何をひとりで ブツブツ喋ってんねん ワシは店に帰るで〜」
ヨージ「ありがとうお父〜 暗くなる前には帰るで〜」
ミライ「喋ったのって、あの鳥のことだよね?」
ヨージ「さすがミライくん。 ミライくんにも聞こえるの?」
ミライ「いや、 そのタオルを身に着けてる人しか 話は聞こえないみたいだね」
ヨージ「そうだね〜 なんか昔話みたいだよね〜」
ヨージ「じゃあ首のタオルを、二人で 肩にかかるようにこうやって、 かけたら・・・」
青い鳥「それはそうと、おまえら コッチに来いよ」
「しゃべったー!」
バサー
ヨージ「行ってみよう!」
ミライ「うん!」
〇大樹の下
ヨージ「ハァハァ」
ミライ「たしか、こっちの方だと 思ったんだけどな・・・」
ヨージ「見失ったね」
不思議な子「こんにちは、なにかを探しているの?」
ミライ「こんにちは。 青い鳥なんだけど、見ました?」
不思議な子「青い鳥?ええ、知ってるわ。 巣があるところもね」
不思議な子「でも、教えてほしかったら、 私と遊んでくれる?」
ミライ「キミと遊ぶの? 何をして?」
不思議な子「かくれんぼ!」
ミライ「かくれんぼ?」
不思議な子「この公園の中なら どこでもいいわ。 アナタが鬼ね!」
ミライ「わかった」
ヨージ「よーし! 隠れてくる〜!」
ミライ「いーち、にー、さーん、・・・」
〇大樹の下
ミライ「もーいーかい」
・・・
ミライ「探しにいこう」
〇公園のベンチ
ヤマト「なんとかして、 眠り姫を目覚めさせる方法を マッチョ達から入手しないと・・・」
フミト「とことんマッチョ苦手なんだな お前は」
ヤマト「だってさ、パワーで 俺たちの国を乗っ取ったのは アイツラだぜ!」
ミライ「スミマセン、」
ヤマト「なんだ?」
ミライ「あの〜この辺で メガネの女の子か 黄色いシャツの男の子を 見ませんでしたか?」
フミト「見ないなぁ、力になれなくてゴメンネ」
ミライ「ありがとうございます」
ヤマト「子どもねぇ・・・」
ヤマト「あっ俺いいこと考えた〜!」
フミト「また良からぬことを 考えたな・・・」
ヤマト「召喚〜」
ど牛頭「おっす!」
ヤマト「これで夏休みに遊んでいる 子どもをさらってこい!」
ど牛頭「なんで?」
ヤマト「宿題もしないワルイコは 捕まえて、オレが本当の悪者に してしまうからだ!」
ど牛頭「ワルイコ捕まえる〜」
フミト「アレで大丈夫か?」
〇密林の中
ヨージ「ここにこっそり隠れてたら 見つからないだろう〜」
ヨージ「どーせしばらく来ないから お菓子食べちゃおう〜 お腹へった〜」
ガサガサ
ど牛頭「おっす」
ヨージ「ひえっ」
ど牛頭「オマエ、うまそうなもの食ってるな。 ワルイコか?」
ヨージ「こ、これあげるから許して・・・」
ど牛頭「ムシャムシャムシャ」
ヨージ「あっ袋ごと・・・」
ゴクン
ど牛頭「あー美味かった。 いきなり呼び出されて 迷子になってしまってな」
ど牛頭「本当は国に帰りたいんだが・・・」
ヨージ「マッチョ国のひと?なら僕は 帰り道わかるよ・・・」
ど牛頭「本当か!?ありがてえ!」
ど牛頭「帰る前に ひとつだけなら、願い事を聞いてやろう。どうだ?」
ヨージ「えーと・・・」
ど牛頭「早くしろ。 あと5秒な、 5.4.3.2・・・」
ヨージ「ミライくんに寂しい思いを、させないで!」
ど牛頭「ミライくん?」
ヨージ「ぼくのともだち・・・」
ど牛頭「おまえ、本当にそれで良いのか? 一生ごはんに困らない とかでなくて良いのか?」
ヨージ「うん・・・ ご飯は、お母やお父が食べさせてくれるし、 僕は特に欲しいものはないから・・・」
ヨージ「それより悲しい思いをするともだちが 減る方がいいから!」
ど牛頭「オマエは優しいなぁ。 よし!叶えてやろう! !」
ど牛頭「これで、オマエに関わるやつは ちょっとシアワセになるように してやったぞ」
ど牛頭「ちょっとなのは なんでも叶ってしまうと ヒトは努力をしなくなってしまうからだ」
ど牛頭「オレハ ヒトには自立心を持って立って 生きてほしいからな!」
ど牛頭「さらば!」
ヨージ「バイバーイ」
ミライ「あっ!みつけた〜」
ヨージ「ええ〜なんで!」
〇公園のベンチ
ミライ「あの女の子、どこにいったんだろうね・・・」
ヨージ「もう夕方になっちゃったし」
ヨージ「この暑さだったし 涼しい所にいると思うんだけど なぁ・・・」
ミライ「そうだね、倒れてたら心配だね」
ヤマト「あっ」
ヨージ「なあに?」
ヤマト「いやなんでもない・・・」
ヤマト「失敗か・・・」
フミト「アハハハ」
〇大樹の下
ヨージ「でも僕は もう帰らなきゃ・・・」
ミライ「いいよ、僕ひとりで探してみる。 叔父さんの帰りも遅いし」
ヨージ「ゴメンネ。 帰りに気をつけてね。 また明日ね」
ミライ「うん!また明日〜!」
ミライ「大丈夫だよ、ヨージ。ありがとう。 ひとりは慣れっこだから」
ミライ「・・・」
不思議な子「まだ見つからないの? ワタシの勝ちね」
女の子は木の陰から
ヒョイと現れた。
ミライ「全然わからなかったよ。 君はかくれんぼの天才だね」
不思議な子「ここに隠れていたらからね」
不思議な子「じゃあ、また遊んでね。 バーイ」
ミライ「え?」
バサバサッ
ミライ「・・・」
〇奇妙な屋台
ミライ「店主〜」
店主「あら、どうしたの?」
ミライ「なんか、ココに叔父さんが迎えに来るっていうから 待たせてもらって良い?」
店主「いいわよ〜どうぞ」
店主「きょうは楽しかったかしら?」
店主「宿題もちゃんとしないとね」
ミライ「うん!」
青い鳥によるちょっと不思議なお話と、少年たちの優しさに溢れた友情が相まって、本当に心に染み入ります!とっても幸せな読後感です!
「ちょっとしあわせ」みんな優しくて、すっごい癒されました〜ぼくも子供の頃木に鳥の巣を、木の枝に掛けてたことあります〜鳥はきませんでしたけど。ヨージくんのお父さんも優しかった〜ありがとうございます〜とっても面白いすてきなお話ありがとうございました〜ほっこりです〜