花姫様と最強の冷徹騎士様

ちゅるちゅるめん

ミルェーツという男(脚本)

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〇ファンタジーの教室
  剣術大会数日後
ヴィッツ先生「皆さん、明日からは夏季長期休暇に入ります。貴族としての自覚を持って、各々自主学習や活動会に取り組んでください」
ヴィッツ先生「では、さようなら。9月にまた会いましょう!」
シャイローゼ「ねぇ、アルは休みの期間中に何か予定はある?」
アレグラット「活動会の合宿以外は特にありまさん」
シャイローゼ「じゃあ一緒に胡桃のところのお祭りに行かない?こっちとはかなり雰囲気が違って、面白いみたいよ」
アレグラット「祭り・・・」
アレグラット(そういえば、祭りなんて1回しか行ったこと無かったな)
アレグラット(というか、シャイローゼ様を御付き無しにしておくのも不安だしな・・・)
アレグラット「わかりました、その日は予定を空けておきます」
シャイローゼ「ありがとう! お祭りは3週間後にあって、その日に胡桃の家の馬車が迎えに来てくれるらしいの」
シャイローゼ「だからお兄様たちにも話しておきましょう!」
アレグラット「ですね。では、シャイローゼ様は先に帰って、その事をお伝えください」
シャイローゼ「あ、そっか。アルは今日活動会があるのよね」
シャイローゼ「帰りはどうする?」
アレグラット「ワープで帰りますので、お気になさらず」
シャイローゼ「わかったわ。じゃあ頑張ってね!」
アレグラット(・・・さて、じゃあ話を聞きに行こうか)

〇鏡のある廊下
アレグラット「・・・それで、ミルェーツは何者なんですか?」
リヴェス「・・・」
アレグラット「僕は、約束通りに勝ったはずです。教えてくださるのではないんですか?」
リヴェス「・・・君はさ、なんでそんなに奴を追っているのかな?」
アレグラット「理由を話したら教えてくれますか?」
リヴェス「内容次第、かな」
アレグラット「──僕がシャイローゼ様御付きの騎士だということは、知ってますよね?」
リヴェス「うん、校内でも有名な話だからね」
アレグラット「僕がシャイローゼ様御付きの騎士になってから数ヵ月後、シャイローゼ様は何者かによって誘拐されました」
リヴェス「・・・」
アレグラット「その時僕が犯人を捕まえてシャイローゼ様を連れ戻したときに、その犯人が教えてくれたんですよ」
アレグラット「ミルェーツという若い男がそいつらに命令を出したと」
アレグラット「・・・ですが、シャイローゼ様を拐う前に、僕たちと同い年くらいの幼い貴族が近くで見ていたらしい」
アレグラット「そして後に調べたのですが、シャイローゼ様が拐われた後にも他の女貴族が拐われて、ほとんどが後日に家の前で寝ていたらしいです」
アレグラット「なので僕はこう考えました」
アレグラット「ミルェーツに指示をしたのはその幼い貴族だと。そしてその貴族はなんらかの理由で同年代の特定の女の貴族を狙っている」
アレグラット「もうその事件は無くなりましたが、シャイローゼ様に何か危害が加わらないとは限らない。だから僕はその2人を追っています」
リヴェス「・・・なるほどね」
リヴェス「これなら話してもいいかな」
リヴェス「まず1つ、その考察は当たっているよ」
アレグラット「!!」
リヴェス「2つ、ミルェーツ自体は物凄く剣が冴えていて、恐らくだが魔剣を持っている。だがミルェーツの飼い主自体はそうでもない」
リヴェス「ミルェーツには、この国の誰でも叶わないと思う。・・・君でも、ね」
アレグラット「・・・」
リヴェス「・・・僕の知っていることは、これぐらいかな」
アレグラット「何故そこまで詳しいんですか?」
リヴェス「・・・」
リヴェス「婚約者が殺されたんだ」
アレグラット「・・・え?」

〇山中の川
  その子、ラルカっていうんだ。彼女のいた地方では、太陽を象徴する言葉だよ。
「ラルカは凄くお転婆だったんだけど、その分凄く明るくて、優しい子だったんだ」
「親の決めた婚約だったけど、そんなの気にしないくらいに仲良くなって、時々町に変装して2人で遊びに行ってた」
「・・・その日もいつものように変装して街に出掛けたよ」
「でもその日はなんだかとても、2人とも眠くなっていたんだ」
「だからすぐに僕の家の屋敷まで帰ることにしたんだ」
「でも眠気が強すぎて、道中の野原で寝てしまった」
「そして僕が起きたとき、ラルカは居なかったんだ」
「僕は家の者に伝えて、全員でラルカを探した」
「そして僕と召し使いで川を見に行ったんだ」
「・・・ラルカは、麻袋の中に縛られて入れられていた」
「でも、すでにラルカは息を引き取っていたんだ」
「ラルカは全身血まみれで、首を締められた跡もあった」
「恐らく抵抗したところを刺され、首を絞められ窒息死したんだろう」

〇鏡のある廊下
リヴェス「だから僕は、彼女の仇討ちのために奴を調べることにした」
リヴェス「そしてある夜、まだ拐われたことの無い貴族の娘がいる屋敷の近くで待っていた」
リヴェス「数日後にまんまとその子は拐われたよ」
リヴェス「僕は、引き留めずに追いかけた。奴の情報が少しでも欲しかったからね」
リヴェス「そしてそのときに豪華な格好をした貴族と、剣を持つ騎士が廃墟でその女の子を見ているのを発見した」
リヴェス「そのときに貴族の彼は「この子は違う。」と一言呟いていた」
リヴェス「そのときに隣のミルェーツは彼の魔剣の能力で、貴族の娘に記憶消去を使っていた」
リヴェス「・・・まるで自身の飼い主の目的のためにもらったかのような能力だよね」
アレグラット「それで、ミルェーツの剣の腕が冴えている、という理由は?」
リヴェス「あぁ、それなんだけどね。実は僕、魔獣使役が使えるんだ」
アレグラット「魔獣使役ですか・・・?!」
アレグラット(そんな希少な魔法をその年で使えたなら、王宮騎士の隊長になれるレベルだ。・・・この人は凄いな)
リヴェス「だから様子見で12体程のハイ・ダークウルフと2匹のイレクト・ベアにそいつらを襲わせた」
リヴェス「だけど、瞬殺だったよ」
リヴェス「気配消しの魔法と斬激体制Ⅲを魔獣にかけたはずなのに、とたんに一振剣を振って魔獣を倒したんだ」
リヴェス「・・・速すぎてほとんど見えなかったけどね、」
リヴェス「さすがの僕も逃げたよ。そこで死ぬわけにはいかなかったし」
リヴェス「僕の話は終わり。これ以上は本当に何も知らないよ」
アレグラット「・・・」
リヴェス「ごめん、突然重い話をしすぎたよね」
アレグラット「あなたは、ミルェーツ達に会って、どうしたいんですか?」
リヴェス「分かりきったことを聞かないでくれよ。 ・・・ただちょっと、奴らの身体を切り裂きたいだけさ」
リヴェス「最低でも、腕の1本は置いていってほしい」
アレグラット「・・・奴らと戦うときは、教えてくださいね?僕も参戦させていただきます」
リヴェス「こちらこそだよ」
アレグラット「あぁあと、王宮の騎士団に入りたかったらいつでも言ってください。騎士団の隊長にでも推薦することは出来ますし」
リヴェス「アハハッ、ありがとう。興味が出たらね。 でもそれって、シャイローゼ様の安全を守るためでしょ?」
アレグラット「・・・否定はしません」
リヴェス「ふふっ、・・・アレグラットってさ、シャイローゼ様のこと好きなんでしょ?」
アレグラット「・・・え?」
リヴェス「いや、あんまりにも分かりやすすぎてつい」
リヴェス「だってさ、生活の中心がシャイローゼ様って感じだし」
アレグラット「・・・御付きの騎士として、当然のことです」
リヴェス「いやいや、他国の御付きの騎士は、もうちょい自分の事考えてるよ?」
アレグラット「・・・あまりからかわないでくださいよ」
リヴェス「ふふっ・・・。でも、気を付けてね」
リヴェス「その気持ちが本人に知られたとき、君の思いが強くなりすぎたとき、それは君の刃が、心が鈍くなるときだから」
リヴェス「・・・もうちょっと、息抜きしなよ」
リヴェス「じゃあ、また明日」
アレグラット「・・・そんなヘマはしませんよ」
アレグラット(本人には知られないように努力している。・・・それに、”これ”が叶うことはないと知っている)
アレグラット(だからとっくの昔にこの気持ちに気づかないフリをして、誰にもばれないようにしていた。・・・だけど)
アレグラット(歯止めが効かなくなってきた。・・・用心しないとな)

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