シブヤヒカリがご案内します!

松田エルナ

シブヤヒカリがご案内します!(脚本)

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〇渋谷駅前
結花(ゆいか)「ここが渋谷・・・」

〇渋谷ヒカリエ
結花(ゆいか)「なんやあのビル! ロボットみたい!」

〇渋谷駅前
結花(ゆいか)「でっかいカンバン! 映画のポスターかいな?」
  渋谷探偵物語〜消えたハチ公〜
結花(ゆいか)「ええ男・・・」
結花(ゆいか)「って、いかんいかん! ウチには圭一という心に決めた男が・・・」

〇渋谷の雑踏
結花(ゆいか)「これが有名なスクランブル交差点! 東京モン歩くの速っ!」
結花(ゆいか)「あのボケた圭一が上京して1年 こんな所でやっていけるんか・・・」
結花(ゆいか)「!! ぼーっとしてたら交差点のど真ん中やん!」
結花(ゆいか)「ぶつかる!!」
結花(ゆいか)「あれ?」
結花(ゆいか)「さすが東京モン! ぶつからんで器用に避けよった!」
結花(ゆいか)「・・・って、ここどこや?」
???「・・・」

〇渋谷のスクランブル交差点
圭一(けいいち)「あの方向オンチ、いったいなにしとんや? ちゃんと時間と場所連絡したのに・・・」
圭一(けいいち)「電話、電話っと ・・・あ、ケータイ忘れた!」

〇高架下
結花(ゆいか)「完全に迷子や・・・ 道聞いてみようかな?」
結花(ゆいか)「すみませ・・・」
結花(ゆいか)「あの・・・」
結花(ゆいか)「なんや無視かいな! 東京モンはホンマ冷たいんやな!」
???「道にお困りっすか?」
結花(ゆいか)「え?」
結花(ゆいか)「そう、迷子!」
シブヤ ヒカリ「もう安心っす! 渋谷の街ならこのシブヤヒカリがご案内します!」
結花(ゆいか)「渋谷のシブヤさん? 何者なん?」
シブヤ ヒカリ「まあ、「とっても」道に迷ってる人専門の道案内っす」
シブヤ ヒカリ「ところで目的地は?」
結花(ゆいか)「えっと、待ち合わせで・・・」
結花(ゆいか)「あれ?・・・どこだっけ?」
シブヤ ヒカリ「あらら・・・ 渋谷にはいくつか待ち合わせスポットがあるっす」
シブヤ ヒカリ「どれかにお相手がいると思うっす!」
結花(ゆいか)「それ・・・案内してもらってええ?」
シブヤ ヒカリ「もちろん! シブヤヒカリにお任せください!」

〇田舎駅のホーム
圭一(けいいち)「結花、俺はな、東京で絶対ビッグになるで!」
結花(ゆいか)「・・・ウチがいないと朝も起きれんくせに」
圭一(けいいち)「ギクッ!」
結花(ゆいか)「しゃあない、ウチも卒業したら東京行く!」
結花(ゆいか)「圭一の夢、となりで見させてや!」
圭一(けいいち)「え!?」
結花(ゆいか)「って、女子の方からこんなこと言わすな!」
圭一(けいいち)「いてっ! お前が勝手に言ったんやろ!」
圭一(けいいち)「でも・・・ありがとう」

〇田舎の線路
圭一(けいいち)「東京で待っとるで!」

〇センター街
シブヤ ヒカリ「それで今日上京してきたと! お似合いのお二人っすね!」
結花(ゆいか)「へへ・・・」
結花(ゆいか)「てか、ごめんねシブヤさん 何か所も・・・」
結花(ゆいか)「圭一、怒って帰っちゃったかな?」
シブヤ ヒカリ「大丈夫っす! 圭一くんはきっと待ってくれてるっす!」
結花(ゆいか)「シブヤさん・・・」
シブヤ ヒカリ(有名な所はこれくらいっすけど ・・・もしかして?)

〇渋谷のスクランブル交差点
圭一(けいいち)「結花・・・さすがに遅すぎや どっかで迷って泣いてんちゃうか、あのアホ・・・」
圭一(けいいち)「なんか・・・あったんかな?」
???「圭一!!」
圭一(けいいち)「!!」

〇渋谷のスクランブル交差点
シブヤ ヒカリ「結花ちゃん・・・ここだと思います」
結花(ゆいか)「ここって・・・またさっきのハチ公の?」
シブヤ ヒカリ「実はもう1か所、有名な待ち合わせスポットがあるっす」
シブヤ ヒカリ「いや、「あった」っす」
結花(ゆいか)「え・・・いまはないってこと?」
シブヤ ヒカリ「そうっす。 ハチ公前のもうひとつのシンボルだった緑色の電車・・・」
シブヤ ヒカリ「2020年に撤去された「青ガエル」っす」
結花(ゆいか)「!! そう、圭一が言ってたのはそれや!」
結花(ゆいか)「・・・? ちょっと待って! 2020・・・年に撤去?」
  だって今は2012年じゃ・・・
シブヤ ヒカリ「結花ちゃん、落ち着いて聞いてほしいっす」
シブヤ ヒカリ「結花ちゃんと圭一くんが待ち合わせしてたのは「今日じゃない」」
シブヤ ヒカリ「まだ青ガエルがここにあった10年前」
結花(ゆいか)「どういう・・・こと?」
シブヤ ヒカリ「結花ちゃんは10年前、 圭一くんと待ち合わせていたこの場所に来れなかった」
結花(ゆいか)「えと・・・なにそれ」
???「圭一!!」
結花(ゆいか)「・・・圭一!?」
沙耶(さや)「ごめんね、お待たせ圭一」
圭一(けいいち)「いや、俺も今来たとこだよ 沙耶さん」
  まさか・・・圭一なんか?
沙耶(さや)「でも、何で今日はここで待ち合わせなの?」
圭一(けいいち)「うん・・・今日は結花の命日だろ? 青ガエルがあったここで待ち合わせてた」
沙耶(さや)「そっか・・・もう10年か」

〇渋谷のスクランブル交差点
  あの日──
???「圭一!!」
圭一(けいいち)「さ、沙耶さん!? どうして?」
沙耶(さや)「あんた稽古場にケータイ忘れたでしょ!? 何度も電話来るから代わりに出たの!!」
沙耶(さや)「そしたら!!」
沙耶(さや)「あんたが待ってる結花ちゃんが事故に・・・」
圭一(けいいち)「・・・え?」

〇渋谷のスクランブル交差点
圭一(けいいち)「沙耶さん・・・ あの時は本当にありがとう」
圭一(けいいち)「結花が死んで・・・俺は本当にダメになってた」
圭一(けいいち)「稽古にも出ずに、ただ閉じこもって腐ってた」
圭一(けいいち)「沙耶さんが懲りずに面倒みてくれて・・・ 引っぱたいて叱ってくれたおかげで目が覚めた」

〇田舎駅のホーム
  結花、俺はな、東京で絶対ビッグになるで!

〇渋谷のスクランブル交差点
圭一(けいいち)「「あんたは一番のファンの結花ちゃんに嘘つくの?」って」
圭一(けいいち)「おかげで死に物狂いで頑張れたから、結花との約束を果たせた」
圭一(けいいち)「ほら・・・」

〇渋谷駅前
  渋谷探偵物語〜消えたハチ公〜
  主演: 東堂圭一

〇渋谷のスクランブル交差点
圭一(けいいち)「それでやっと10年振りにここに来れた 何だか結花も来てるような気がするんだ」
沙耶(さや)「圭一・・・」
圭一(けいいち)「ご、ごめん! ご両親と会う前だってのに・・・」
沙耶(さや)「ううん・・・ ね、明日は結花ちゃんのお墓参り行こう?」
圭一(けいいち)「うん、ちゃんと結婚の報告しないとな」
沙耶(さや)「よし! じゃあ行こ! 遅刻しちゃうよ!」
圭一(けいいち)「うん・・・」
結花(ゆいか)「ま、待って! 圭一、行かない・・・で」
シブヤ ヒカリ「・・・」
結花(ゆいか)「そっか、私もう・・・」
結花(ゆいか)「圭一は自分の夢を叶えて、あの人と一緒に自分の人生を生きてる」
結花(ゆいか)「・・・あ〜、安心した!!」
結花(ゆいか)「あの圭一と一緒になってくれる人がウチ以外にもおるんやね!」
結花(ゆいか)「ウチと違って優しそうな人やったしひと安心や!」
結花(ゆいか)「それなら、ウチはもうおらんくなっても大丈夫やね」
シブヤ ヒカリ「結花ちゃん・・・」
結花(ゆいか)「シブヤさん、ありがとう」
結花(ゆいか)「「とっても」道に迷ってる人の道案内・・・か」

〇渋谷駅前
  渋谷には多くの魂が集まるといいます
  みんなが誰かを待つ渋谷だから──
  最期に誰かに逢いたくて来るんじゃないかと思うっす
  ほら、今日もまたひとり・・・
シブヤ ヒカリ「道にお困りっすか?」
シブヤ ヒカリ「渋谷の街ならシブヤヒカリがご案内します!」

コメント

  • どんでん返しに驚きました!

  • ほのぼのしたお話かなぁと読み進めて、思いがけない展開に切なくなりました😢
    でももう道に迷うことなく前に進めるんですね!良かったです。
    圭一くん、どうかお幸せに✨

  • 時間軸を跨いで書きながらも内容がスッと伝わるように書かれていて情報の出し方と構成の仕方がとても勉強になりました。
    哀しくも心温まるお話しでした👍

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