救命王子

山本律磨

屑(脚本)

救命王子

山本律磨

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〇海辺
晴香「おっ!」
晴香「~♪」
砂原「おうおう。ゴミ拾いとは感心なこって」
晴香「見かけによらないでしょ」
砂原「自分で言うなよ」
砂原「王子しらねーか?アンタ、ストーカーだろ」
晴香「ファン!」
晴香「崖の方に行ったよ。なんか知り合いっぽい人と一緒に」
砂原「・・・崖」
砂原「やな感じだな」
晴香「縁起でもないこと言わないで。岩波海斗はライフをセーブする人なんだから」
砂原「はいはい」

〇断崖絶壁
直哉「ここだったら王子様の仮面も被らずに済むだろ」
海斗「・・・」
直哉「空に近い場所が好きになったんだ」
直哉「あの雲の上に聖美がいるから」
直哉「お前が沈めた聖美は・・・」
海斗「・・・」
直哉「もっとも、あの時お前が人を呼んでれば」
直哉「ちゃんとした救命士を呼んでいれば今でも聖美はここにいたんだろうけど」
直哉「何が救命王子だ。笑わせんなよ」
直哉「お前は何も変わってない」
直哉「目立ちたがりで自己中で」
直哉「そんなヤツために聖美は」
海斗「俺は・・・」
直哉「俺『が』だろ!間違えんな!」

〇海

〇海水浴場
海斗「どけ!どけよオラ!」
直哉「海斗!危険だ!下がれって!」
直哉「すぐに救助が来る!」
海斗「どけ!直哉!」
直哉「・・・」

〇海水浴場
海斗「聖美は俺が助けて来たんだ・・・」
海斗「ガキの頃から・・・お前と出会う、ずっと前から」
海斗「この俺が!」
直哉「海斗・・・」

〇海
  俺が・・・俺が・・・俺が・・・
  俺が・・・俺が・・・俺が・・・

〇断崖絶壁
海斗「・・・」
直哉「聖美はもう間に合わなかった・・・だから救助隊は最優先でお前を助けた」
直哉「そう伝えて犯罪者にしないようにしてくれたんだっけな。誰も彼も・・・」
直哉「でも本当のことは自分自身が一番よく分かってるはずじゃないか?」
直哉「なあ、そうだろ?」
直哉「人殺し」
海斗「・・・」
直哉「俺が。俺なら。俺だけが」
直哉「そんなゴミみたいなプライドが聖美を殺したんだ!」
直哉「お前が、聖美と一緒に溺れなけりゃ・・・聖美ひとりだったら助かってたんだ!」
海斗「・・・」
直哉「・・・なんだそのツラ」
直哉「ああそうだよ」
直哉「俺も同罪だ」
直哉「お前と同じ、クズだ」

〇海水浴場
  『お前を止められなかった』
  『遠くで震えて見てるだけだった』
  『下らないヒーローゴッコをただ見ているだけの脇役だった』
  『勇気があれば・・・』
  『主役になる勇気があれば・・・』

〇断崖絶壁
直哉「俺達二人が聖美を殺したんだ」
直哉「どうやったら償えるんだろうな?」
海斗「・・・」
直哉「まあ、お前はいいか」
直哉「恋人は助けられなかったけどその後何人も助けましたよ、ってか?」
直哉「今や海のヒーローですってか。恋人も草葉の陰で応援してくれてますってか?」
直哉「気持ちいいだろ。ああ?悲劇の過去を持つヒーローさんよ」
直哉「チョー気持ちいい!って言えよ~」
直哉「ひゃはははは!ひゃはははははは!」
直哉「笑えよ・・・」
直哉「爽やかに笑えよ!救命王子!」
海斗「・・・」
  続く

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