読み切り(脚本)
〇大きな木のある校舎
私立聖倫高等学校
四月
〇学校の廊下
はぁ、はぁ
〇学校の廊下
2年1組
かさね「うわっ!!」
かさね「凄いなー みんな新入生かな?」
教室の前は女生徒の群れ。
初々しさ溢れる少女達は頬を染め
視線は一人の男に注がれている。
かさね「いた!」
〇教室
かさね「永松柚希(ながまつゆずき)」
かさね「本当にいたんだー♥」
永松の友人「しかしスゲーな モテモテじゃん」
永松くん「ああ、ついに 俺の時代が来たのだ!」
永松の友人「──っで、 誰と交際するか 決めたのか?」
永松くん「そうだな・・・」
廊下に視線を向ける。
〇学校の廊下
「キャッ、キャッ♪」
糸子「何だこれは・・・」
糸子「想像以上だな・・・」
糸子「・・・・・・」
〇広い廊下
漫画研究部
かさね(ここだ!)
〇学校の部室
「失礼しま〜す」
「カラカラ・・・」
静かに扉を開ける。
糸子「まさか、永松目当てに大挙して入学してくるとは思わなかった」
あゆみ「まずいんじゃない?」
糸子「大丈夫だ!」
糸子「あいつアホだから モテ期が来たとしか 思ってない」
糸子「んっ?」
糸子「あんた誰?」
かさね「ヤダー 忘れたんですか? 即売会で会ったじゃないですか!」
「えっ!?」
ゴソゴソと制服の中から一冊の本を出す。
表紙には永松の顔が描かれている。
糸子「うっ!」
糸子「あたしらの本だ!」
糸子「まさか、あんたも 永松目当てに?」
かさね「はいっ!」
糸子とあゆみが目を合わせる。
かさね「これも見てください!」
差し出されたノートには永松の漫画が描かれていた。
糸子「もしかして 二次創作・・・?」
かさね「好き過ぎて作っちゃいましたー♪」
かさね「でも、どうしても 本家の様なリアリティ溢れる 先輩が描けないんです」
糸子「そりゃ、あたしらは 実物見て描いたからね」
かさね「そうなんです!」
かさね「だから私も先輩と同じ高校に 進学すれば良いと思ったんです」
かさね「部に入れば 一次創作のお手伝いも 出来ますからね♪」
糸子「・・・・・・」
糸子「・・・悪いんだけど 続編はないんだ」
かさね「ど、どうしてですか!?」
糸子「それは・・・」
ガラッ!!
永松くん「はぁはぁ・・・」
永松くん「まいったよ 女子に付きまとわれて 落ち着けやしない」
永松くん「んっ?」
かさね「・・・・・・」
かさね「・・・先輩」
永松に近づく。
糸子「!!」
かさね「サインお願いします!!」
バッ!!
すばやく本を奪う。
かさね「ちょっと先輩 何するんですか!!」
糸子「いや、これはな・・・」
永松くん「君はさっきの・・・」
〇説明会場
視聴覚室
永松くん「そうかそうか 俺に憧れて この学校に?」
かさね「はい! ずっと先輩の事ばかり考えてました」
永松くん「そうか、 ずっと俺の事を・・・」
永松くん「んっ?」
永松くん「以前何処かで会ったっけ?」
糸子「会ったのは初めてだな」
永松くん「糸子、お前 何でここにいる?」
糸子「お前みたいな変態と ふたりきりなんて 危険だからな」
永松くん「変な事言うな! 俺は常に真面目だ」
かさねに手を伸ばし
肩を抱き、引き寄せる。
永松くん「うへへ・・・」
永松くん「うん、決めた」
永松くん「君と付き合うよ」
かさね「ヤダー先輩 浮気はいけませんよ」
永松くん「はっ?」
かさね「先輩には既に 素敵なパートナーが いるじゃないですか」
永松くん「俺は生まれてから ずっとフリーだが・・・」
かさね「おかしいな」
かさね「この本には ラブラブな恋人が・・・」
バッ!!
本を取り上げる。
永松くん「んっ?」
永松くん「何か・・・俺の顔が 描かれていたみたいだが」
かさね「ちょっと先輩 返してくださいよ」
糸子「こういった本は 一人の時に見るもんだ」
かさね「じゃあ、いいですよ」
かさね「もう一冊ありますから」
糸子「ちょっ・・・」
本を広げ、永松も一緒にのぞき込む。
そこには・・・
永松と友人が
あられもない姿で
卑猥な行為をしていた。
永松くん「あ・・・」
糸子「ヤバッ!!」
〇空
「なんじゃこりゃー!!」
〇大きな木のある校舎
かさね「永松先輩 女の子が好きだったんですか!?」
かさね「じゃあここに 描かれている事は──」
永松くん「お前まだこんな くだらないもん 描いてたのか!!」
糸子「こういった物は ファンタジーとして 楽しむものだからな」
かさね「だって事実を元に構成したって 書いてあるじゃないですか!!」
糸子「事実は事実だよ」
糸子「相手は男装した女の子だけど・・・」
かさね「女の子!?」
かさね「なんですか、それは!?」
かさね「そんなのただの エロ漫画じゃないですか!!」
かさね「私は永松先輩に会うために──」
かさね「渋る親を説得して わざわざ授業料の高い この学校に来たんですよ」
かさね「とんだ裏切り行為です!!」
糸子「そんな事言われても・・・」
かさね「永松先輩も永松先輩です!」
かさね「何なんですか 女の子が好きなんて・・・」
かさね「見損ないましたよ!!」
永松くん「ちょっと待て 俺は被害者だぞ」
永松くん「何で俺が責められなきゃならんのだ」
かさね「なに言ってんですか!」
かさね「一番傷ついたのは私ですよ」
かさね「私が一番の被害者じゃないですか!!」
永松くん「うっ・・・」
勢いに押されて何も言えなくなる。
糸子「ショックを受けるのは分かるよ」
糸子「あたしらだって 漫画みたいな 理想化された永松だったら どんなに良かったか・・・」
糸子「でも、どう足掻いても 永松は女の子が好きなんだ」
かさね「・・・・・・」
糸子「そういう訳だからさ」
糸子「まぁ、永松も 残念だったな」
糸子「念願の彼女も暫くお預けだね」
かさね「なに言ってるんです 付き合いますよ!」
「えっ!!」
〇大きな木のある校舎
そして・・・
〇美術室
かさね「もう少しお尻を 突き出してください」
永松くん「おう!」
永松をモデルにデッサン中。
教室の端で二人を見ている。
あゆみ「あれっ?」
あゆみ「永松と・・・ どういう事?」
〇大きな木のある校舎
糸子「本当に付き合うのか?」
かさね「今年は永松先輩目当てに 大量に入学してるんですよ」
かさね「その中には 私みたいに腐女子として 先輩に憧れている人 ばかりとは限りません」
かさね「フリーのままでは 危険じゃないですか!」
糸子「・・・・・・」
かさね「見ててくださいよ」
かさね「私が側にいて──」
かさね「先輩を絶対に 男の子好きにして 見せますからね」
〇美術室
糸子「──だってさ」
あゆみ「なにそれ 彼女じゃないじゃん」
あゆみ「それで良いの?」
糸子「良いんじゃないの」
糸子「本人たちが幸せならね」
かさね「先輩 動かないで下さい♪」
永松くん「おう!」
お・し・ま・い
この主人公、根性があって好きです!笑
ようは永松先輩で同人誌を作っていたと。
モデルにしたのが内緒だと、ちょっとやばい気がしますが結果オーライですよね!笑
永松先輩が男の子を好きになる日が来るのか楽しみです!
先輩なんだかとても、幸せそうで可愛かったです。
2人ともものすごく変態で、その変態具合が相性ぴったりなんですね。面白かったです。
(笑)面白いストーリーですね。女の子が天真爛漫すぎて、可愛いです。好きが勝ってのまさかの行動、今後の展開が気になります。