エピソード6(脚本)
〇警察署の廊下
山林殺害事件から、3ヶ月が過ぎた。
捜査は行き詰まりを見せ、寺島も長谷川も
諦めの表情を見せる。
寺島「ハセさん、犯人はすでに どっかに逃亡したんじゃないでしょうか?」
長谷川「逃亡だと?何故、そう思う?」
寺島「だって、財布が盗まれてたんですよね?」
寺島「犯人は所持金で、逃亡を図ったのでは・・・」
長谷川「・・・どうだろうなぁ」
寺島「司法解剖からは、また小さなトゲが 発見されたみたいですし」
寺島「この事件は、不可解な謎が多すぎます」
長谷川「確かに。 こんな不可解な殺人事件は初めてだな」
寺島「そういやハセさん、体の具合はどうですか?」
寺島「あれから病院には行ったんですか?」
長谷川「あぁ、先日行ったよ。 かみさんが、行けってうるさいからな」
寺島「それで、結果の方は?」
長谷川「・・・」
寺島「どうなんですか?ハセさん」
長谷川「結果待ちだ」
寺島「そうですか。分かったら、 俺にすぐ知らせて下さい」
長谷川「分かった」
寺島「必ずですよ?」
寺島「じゃあ俺、殺害現場と聞き込み行って来ます」
〇森の中
寺島は久しぶりに殺害現場を訪れる。
以前
手向けた花は、すっかり様変わりしていた。
寺島「枯れてて当たり前か」
新しい花を手向け、手を合わせる。
すると、
山林ボランティア「こんにちは。刑事さん久しぶりですね」
山林ボランティアの人が現れた。
寺島「こんにちは。お久しぶりです」
山林ボランティア「花を手向けに来られたんですか?」
寺島「はい。長いこと来れてなかったので、 捜査の途中に寄ったんです」
山林ボランティア「そうでしたか。捜査はどうなってますか?」
寺島「お恥ずかしい話しですが、犯人逮捕には以前 難航を極めています」
山林ボランティア「何も分かってないんですか?」
寺島「分かってないと言ったらウソになりますが、」
寺島「被害者の体内から 小さなトゲの様なものが発見されました」
山林ボランティア「小さなトゲですか?」
寺島「はい。なので トゲが付いた植物を探していたんですが、 中々見付からなくて・・・」
山林ボランティア「もしよかったら、 そのトゲ見せて頂けませんか?」
寺島「えっ、トゲをですか?」
山林ボランティア「はい。もしかしたら 何のトゲか分かるかもしれません」
寺島「ホントですか?」
山林ボランティア「長年、この山林の世話をしてますからね」
山林ボランティア「私も刑事さんのお役に立てるのなら、是非 協力させて下さい」
寺島「有難うございます。現物はないので、 画像でも大丈夫でしょうか?」
山林ボランティア「構いませんよ」
寺島「連絡先を教えますので、 そちらに画像を送ってもらっていいですか?」
山林ボランティア「分かりました。後程、お送りします」
二人はお互いの連絡先を交換し、
現場を後にした。
〇パチンコ店
寺島は手始めに、
パチンコ屋を当たることにした。
寺島「すみません。県警の者ですが、 この写真の男性ご存知ありませんか?」
「いや、ちょっと分からないですね」
寺島「そうですか。ありがとうございました」
〇渋谷駅前
寺島は捜査の範囲を広げ、
あちこちで聞き込みを始めた。
寺島「すみません。県警の者ですが、この写真の 男性を見掛けたことはありませんか?」
「いえ、知らないです」
寺島「そうですか。ありがとうございました」
捜査範囲を広げても、有力な情報は
得られなかった。
寺島「通行人は諦めて、店の方を当たってみるか」
寺島は、
若者が行きそうな店に捜査を変更した。
〇ファストフード店
寺島「すみません。県警の者ですが、この写真の 男性ご存知ありませんか?」
アルバイター「いや、ちょっと知らないです」
寺島「そうですか。 とりあえず、コーヒーお願いします」
アルバイター「かしこまりました。少々お待ち下さい」
寺島「はぁ、ここもダメか。 これじゃ、今日も残業コースだな」
アルバイター「お待たせしました。コーヒーでございます」
寺島「ありがとうございます」
コーヒーを一口飲み、溜め息をついた。
その時
長谷川から着信が鳴った。
寺島「寺島です。ハセさん、どうしました?」
「寺島、お前今どこだ?」
寺島「別の場所で捜査してて、ファミレスで 今ちょっと休んでます」
「そうか。実はだな、」
「渋谷の交差点付近の防カメに、 倉田らしき人物が写ってたとの情報が入った」
寺島「ほっ、ほんとですか?」
「あぁ、だからお前にもそれを見てもらいたい」
「至急、戻ってこれるか?」
寺島「分かりました。急いで戻ります」
寺島はファミレスを飛び出し、
急いで署に戻った。
花さんに近づくべく奮闘するも、いまだ決定的な手掛かりを得られない様子の警察側。物語内に緊張感が少しずつ増してきていますね。
いよいよ、刑事と花の接近まで後少しですか?楽しみです。