アオハルポップ〜君に出逢って知った歌〜

黒蜜きなこ

読切(脚本)

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黒蜜きなこ

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〇駅前広場

〇駅の出入口
広崎叶人「粉雪・・・。珍しい都会でも降るもんなんだな。いつも憂鬱な帰り道もなんだかちょっと新鮮」

〇広い改札
藍葉 夏菜「あーっ!乗り遅れるー!!!」
広崎叶人「あっ!ちょっと! はい。腕時計落ちましたよ」

〇広い改札
藍葉 夏菜「もう!乗り遅れちゃったじゃない!!!」
広崎叶人「これ受け取ってください。あなたのでしょう?よかったんですか?大切な腕時計落としちゃっても」

〇広い改札
藍葉 夏菜「どうもありがとっ!!!」
広崎叶人「可愛くないの・・・笑えば可愛いのに」
藍葉 夏菜「ふんっ!!!さよなら」

〇駅のホーム
広崎叶人「あっ・・・。さっきの」
藍葉 夏菜「うわーん。ここほんとに渋谷?あと15分も電車待たないといけないなんて」
広崎叶人「待つ時間俺も苦手だからその気持ちはわかるよ」
藍葉 夏菜「私は待つ時間は平気なの。音楽を聴いてればいいんだもの。塾があって、乗り遅れたせいで遅れることになりそうなのよ」
広崎叶人「そっか。とりあえず塾に連絡したら?雪で電車の遅延も出てくるかもしれないし。雪降ってること言ったら多めにみてもらえるかも」
藍葉 夏菜「あなたに言われなくても連絡します。 あのMKTスクールさんですか。電車に乗り遅れてしまって、すみませんが遅れそうです」
藍葉 夏菜「えっ。雪。雪ですか。粉雪がちらほら。はい。ありがとうございます。では失礼します」
広崎叶人「怒られるどころか心配されたんじゃない?雪が降ってラッキーなこともあるもんだな」
藍葉 夏菜「怒られるのが嫌だったんじゃない。遅刻することが嫌なのよ。社会人になったら通用しないんだから」
広崎叶人「誠実なんだな君」

〇駅のホーム
広崎叶人「わっ。俺の電車も15分待ちだ。どこまで乗るの?」
藍葉 夏菜「え!うそ!私は次の原宿まで」
広崎叶人「奇遇。俺も原宿で降りるんだ。よかったら、電車来るまで話に付き合ってくれない?俺待ち時間が苦手でさ」
藍葉 夏菜「いいけど。初対面の人に話そうと言われても何を話していいのか、困っちゃう。その制服私立高校?」
広崎叶人「ああ、私立夢咲高校。君は?」
藍葉 夏菜「都立高校。藍葉夏菜。夏に菜の花の菜と書いてかな」
広崎叶人「俺は広崎叶人。叶う人って書いてかなと。音楽聴くって言ってたけど何聴くの?俺そういうのうとくて」
藍葉 夏菜「えー!音楽聴かないの?勿体ない。いい曲いっぱいあるのに。たとえば、白銀のシーズンの、アオハルポップなんて最高だよ」
広崎叶人「白銀のシーズン???名前だけ聴いたことはあるけどどんなグループ?」
藍葉 夏菜「男子アイドルグループ。みんなビジュアルがカッコよくて可愛いくて男子でも惚れちゃうと思うよ」
広崎叶人「あ、もうすぐで電車くる」

〇駅のホーム
藍葉 夏菜「ねぇ聴いてみる?白銀のシーズン。おすすめの動画あるんだ!」
広崎叶人「もう電車きちゃうよ?」
藍葉 夏菜「あいみみして聴いてみる?」
広崎叶人(ドキッ!えっ!あいみみ!俺たち付き合ってないぞ)
藍葉 夏菜「あったあった。この動画。はい。イヤフォンどうぞ」
広崎叶人「えっ。。。藍葉さんワイヤレスイヤフォンじゃなくて有線なの?ほんとにあいみみになるじゃん」

〇駅のホーム
藍葉 夏菜「乗るよ!電車。イヤフォンさして」
  言われるがままに、電車に乗り込んだ。
  これじゃあまるで本物のカップルみたいじゃないか。藍葉さんは、画面に夢中だ。
  白銀のシーズンの、アオハルポップの動画が流れる。
  ♪君と君とのファーストコンタクト
  キュンとなって 胸が締め付けられた
  ねぇこのこと君は気づいてる、ねぇ気づいてる?
  
  曲が大サビに差し掛かった時車内アナウンスで「次は原宿。」と案内があった。
  もう少し話してみたかったなあ。
  電車が止まり、ドアが開いた。まだアオハルポップは、流れていた。
藍葉 夏菜「はい。ここまで。イヤフォン返して。私塾があるから」

〇外国の駅のホーム
広崎叶人「あのっ!また会えない?俺いつもこっち方面の16時半の電車なんだ。前から、二両目によく乗るんだけど」
藍葉 夏菜「私はいつも16時15分の電車なの!広崎くんが一本早めの電車に乗るなら2両目にいるかもね。私」
藍葉 夏菜「次会うことがあったらアオハルポップの感想聴くから、全部聴いといてね!じゃあ」
  そう言って。俺からイヤフォンを、回収すると、彼女は、足早に去っていった。

〇駅の出入口
  あれから一週間が経った。あの日以来、帰り道は、アオハルポップを聴くようになった。苦痛だった帰り道が、少し楽しくなった。
  そして今日は、16時15分の電車に乗れそうだ。彼女には逢えるだろうか?

〇電車の中
広崎叶人(あっ!藍葉さんだ!)
広崎叶人「藍葉さん!俺のこと覚えてる?アオハルポップの!」
藍葉 夏菜「広崎くん!アオハルポップのせつはどうも。 フルで聴いてくれた?」
広崎叶人「聴いたよ!白崎くんの、ソロパートかっこいいなぁと思ったよ。椿の季節も、いい曲だよな」
藍葉 夏菜「メンバー調べてくれたの?嬉しい。椿の季節もいい曲よねー!」
広崎叶人「藍葉さん、水曜日は、俺この時間に乗れそうなんだまたこの電車に乗ってもいいかな?」
藍葉 夏菜「どの電車に乗るかは広崎くんの自由でしょ」
広崎叶人「ありがと!やった!嬉しいー!」
藍葉 夏菜「あ、でも電車の中なんだから、静かにしてよね。今日もね、おすすめの曲あるんだー。白銀のシーズンの・・・。はい、あいみみ」
広崎叶人(うっ。話せないじゃん)

コメント

  • 二人がそれぞれの電車に乗る時間が違っていた。しかし、何かの偶然が二人を結びつけるのはキュンときます。時間は時として時々ドキドキさせるね。

  • アオハルでつい見てるこちらが
    ちょっとソワソワしてしまいますね😊笑
    思春期ならではのやりとりがとても微笑ましいです😌

  • あいみみ…今まで生きてきてそんな言葉があるんだなって知りました笑
    高校生の頃とかよくやってましたが!
    なんか、とっても懐かしくキュンとしました!

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