第2話『荒野を進む旅人』(脚本)
〇ヨーロッパの街並み
死者が初めて確認されたのは
サービス開始から2週間のことだった
サービス開始前から
アレイオワが大きく売りにしていたのは
『自身が設定したAIとの共同生活』
プレイヤー自身がAIに
好きな見た目、プロフィールを設定すると
その通りに動いてくれるものだった
無論、それは
実在の人物もしくは実在した人物の作成まで波及した
ある者は事故で亡くなった父親を
ある者は病死した娘を
AIとして蘇らせた
しかし、あくまでAIである
見た目、性格はそっくりに出来ても
ハリボテのような外面だけだとされた
それでも、人々は死者との
甘い時間に没頭するようになる
しかし、あるプレイヤーから
作成した記憶がない死亡した兄と
アレイオワ内で再会したという報告がされた
当初は誰かによって
すでに作成されたのではないかと
疑いの目も持った
しかし、本人にしか知り得ない情報を
持ち合わせていたというのだ
その後、アレイオワ内で
同じような事例が
いくつも報告されるようになる
そして作成したAIが本人としか
思えないような言動を行い始めたという
報告も上がるようになる
そして、いつしかアレイオワは
死者と再会できる仮想世界と称され
多くの者を虜にし、再会の旅へといざなった
元々のメタバースとしての完成度もあり
プレイヤー人口を爆発させる
〇荒野
相馬貴宗「なるほどな」
相馬貴宗「まったく気持ち悪いもん作りやがったな」
相馬貴宗「死人は墓の下 仏はあの世でいいんだ」
相馬一貴「これまで確認された死者は」
相馬一貴「2親等以内の身内 もしくは友人、恋人ぐらいらしいよ」
相馬貴宗「あまり過去の人間には遡れないのか」
相馬一貴「仮説で言われているのは 近しい人間ほどお互いの想いが 強くなるから現れやすいんじゃないかって」
相馬貴宗「でも、お前の両親もルル奈の両親は 現れないんだな」
相馬一貴「そうなんだよね」
相馬一貴「何でだろ」
相馬一貴「向こうでも何かあるの?」
相馬貴宗「俺みたいに何百年も前に死んだ人間は その分この世から遠い場所にいる」
相馬貴宗「周りには年代の近いやつしかいないな」
相馬一貴「つまり、最近死んでいたら まだ現世に近いところにいるってことか」
相馬貴宗「そうなるな」
相馬一貴「分かった」
相馬貴宗「ん?」
相馬一貴「昔の幽霊が出ないってそういうことか!」
相馬一貴「縄文時代の幽霊って聞いたことないもん」
相馬貴宗「確かにそうだな」
相馬貴宗「俺も見たことないな」
相馬一貴「ということは どうしてご先祖様はここに来れたの?」
相馬貴宗「俺は呼ばれたからな」
相馬一貴「誰に?」
相馬貴宗「お前と母親の遙だ」
相馬一貴「母さんに!?」
相馬貴宗「10年前、消えゆく命の中で 誰かにそう願った」
相馬貴宗「そして、昨日再び その願いが届いた」
相馬貴宗「お前の声と一緒にな」
相馬一貴「そんな簡単に来れるもんなの?」
相馬貴宗「よく分からねえが 気付いたらあんなところにいた」
相馬一貴「すげえ!」
相馬貴宗「それにお前、毎月墓参りに来てるだろ?」
相馬貴宗「その分、お前と俺を繋ぐ絆が強かったから 来やすかったんだろう」
相馬貴宗「だから、これも何かの縁だ お前について行く」
相馬一貴「本当に助かるよ」
相馬一貴「ちなみに冥界ってどんなところなの?」
相馬貴宗「元の世界と大して変わらねえけど まあ見たことねえ人種は多いな」
相馬貴宗「その点は、まるで異世界だな」
相馬一貴「へえ、興味深い」
相馬貴宗「ただやっぱ冥界だ」
相馬貴宗「例え似ていたとしても 生者が来ていい場所じゃねえ」
相馬貴宗「生きたまま三途の川を 越えるのと一緒だからな」
相馬貴宗「死んだ人間の中には羨ましくて 生者を目の敵にしてる連中もいる」
相馬一貴「そうなんだ、気をつけないと」
相馬貴宗「そのときは守ってやる」
相馬一貴「頼りにしてる! これで冥界に行っても怖くないね」
相馬貴宗「一貴、そういえば由美に ちゃんと言わなくていいのか?」
相馬貴宗「しばらく、この世界に留まるんだろ?」
相馬一貴「確かに、しっかり伝えておかないと」
〇病室
相馬一貴「そういうわけだから しばらくアレイオワに没頭するよ」
相馬由美「話は半信半疑だけど 実際にルルちゃんの姿を見たら 信じるしかないわね」
相馬由美「分かったわ、ルルちゃんの面倒は 私に任せていいわよ」
相馬一貴「ありがとう、姉さん!」
相馬由美「ただし!」
相馬由美「危ないと思ったら、戻ってくること」
相馬由美「あと休憩はちゃんと取る!」
相馬一貴「分かってるよ」
相馬由美「カズくんのいいところは そういう素直なところよ」
相馬由美「頑張ってきな」
相馬一貴「ありがとう」
相馬一貴「またね」
相馬由美「うん」
相馬由美「ごめんね、カズくん」
相馬由美「あなたにもそのうち 兄さんたちに会わせてあげるからね」
相馬由美「それにしても、ご先祖様って どういうこと?」
〇病院の廊下
相馬一貴「よし、急ぐか」
菅原杏子「こんにちは」
相馬一貴「こんにちは」
相馬一貴「ん?あの人、どっかで見たような」
相馬一貴「テレビだっけ、ネットだっけ」
〇病室
相馬由美「久しぶりね、社長」
菅原杏子「お久しぶりです」
菅原杏子「それから社長はやめてください」
菅原杏子「由美さんには10年前から 大変お世話になってるんですよ」
菅原杏子「その上、会社設立の際に 多大な融資までしてもらって 頭が上がりません」
相馬由美「あれは、あの子たちのためよ」
相馬由美「その話は置いときましょう」
相馬由美「本当に大丈夫なのかしら?」
相馬由美「ルルちゃんは ちゃんと元通りになるの?」
相馬由美「話聞いたら 結構手荒な手段使ったらしいけど」
菅原杏子「それつきましては、うちの者が 無礼をしたみたいで大変失礼致しました」
菅原杏子「冥界にいざなうのは 少々危険ですので」
相馬由美「甥っ子は死を感じたって言ってたわ」
菅原杏子「もしかして、さっき廊下ですれ違ったのは」
相馬由美「多分、甥っ子ね」
菅原杏子「大きくなりましたね」
相馬由美「それでどうなの?」
相馬由美「私にとって姉さんから預かった 大切な姪っ子なの」
菅原杏子「きっとアレイオワの世界で ご両親に会えると思いますよ」
相馬由美「そう」
菅原杏子「そのあとは、ちゃんと”意識”を 取り戻すはずです」
相馬由美「最後に質問」
相馬由美「このアレイオワは 本当にあなたの思惑通りになってるの?」
相馬由美「コントロールできない方向に 行ってるように見えるんだけど」
菅原杏子「ええ、もちろん」
菅原杏子「問題ありません」
〇岩山
相馬一貴「この先に冥界があるのか」
相馬一貴「ずっと歩き続けているけど 同じ光景が広がってる」
相馬貴宗「そうだな」
相馬貴宗「そう簡単には辿り着けんさ」
相馬一貴「ご先祖さまの力で一飛び出来ないの?」
相馬貴宗「残念ながらそれは出来んな」
相馬貴宗「俺も自力で戻るしかできない」
相馬貴宗「奴がどうやってルルごと 消えたのかは分からん」
相馬貴宗「だが、そこに何か手掛かりがあるはずだ」
相馬一貴「絶対探し出そう」
相馬貴宗「ああ」
相馬貴宗(遙たちを救えなかった分 絶対にお前たちを守ってやる)
〇おしゃれなリビングダイニング
一貴「じーーー」
ルル奈「じーーー」
相馬貴宗「お前ら、まさか俺が見えてるのか?」
一貴「うん」
ルル奈「見えてるよ」
相馬貴宗「盆だから試しに帰ってきたらこれか」
ルル奈「遊んで!」
相馬貴宗「怖くないのか?」
一貴「何で? ご先祖様でしょ?」
相馬貴宗「そうか」
相馬貴宗「肝が座ってるな」
相馬貴宗「遊んでやろう」
相馬貴宗(どうせ、子供の記憶は曖昧だ いずれ忘れるだろう)
相馬貴宗(遙と貴行の時も遊んでやったな)
“アレイオワ” が作られた経緯については窺い知ることができましたが、まだまだ謎な部分が大きく興味をそそられっぱなしです✨ と同時に、気になるシーンやエピソードが適宜投入され続けて、気になることだらけです😊 お話のスケールの大きさに圧倒されます🥰
あ!気になるところで…!😳
それより、予選通過おめでとうございます!
ギリギリ間に合ってよかったですよね✨
3話は、ギリギリにならない程度に頑張ってください😊
続きが気になります♪
ほんと間に合ってよかったですよー!!!!!!✨☺️
アレイオワ予選突破おめでとうございます✨😆
これからまたどうなっていくのか気になりますね✨早くルルとのやり取りも見たいですが、意識を取り戻すまでは色々な困難があるんですかね・・・
また続きを楽しみにしてます✨☺️