Case8 最強の一般人、夢の世界を救う(脚本)
〇幻想空間
Case8 最強の一般人、夢の世界を救う
地味田地味子(じみた じみこ)「・・・ん?」
地味田地味子(じみた じみこ)「ここはどこっすか」
地味田地味子(じみた じみこ)「確か・・・ベッドで寝ていたはずっすけど・・・」
こんばんは、地味田地味子さん
地味田地味子(じみた じみこ)「・・・誰?」
私はこの世界の支配者、ドリー女王です
あなたの脳内に、直接話しかけています
地味田地味子(じみた じみこ)「なるほど」
地味田地味子(じみた じみこ)「それで、何の用すか」
地味田地味子(じみた じみこ)「明日もバイトがあるんすけど」
心配には及びません
現実世界のあなたは眠っていますので
地味田地味子(じみた じみこ)「なるほど。目が醒めたら、元に戻るって訳ですね」
そういう事です
ですが・・・あなたには、やらなければならない事があります
地味田地味子(じみた じみこ)「なんすか?」
夢の世界を救っていただきたいのです
地味田地味子(じみた じみこ)「詳しくお願いします」
この世界はドリームランドと呼ばれる国と、アンドリームランドと呼ばれる国に分かれています
地味田地味子(じみた じみこ)「ほう」
ドリームランドは、夢みたいな国ですが、アンドリームランドはその逆です
『夢の国』と『悪夢の国』と言った方が分かりやすいかもしれないですね
地味田地味子(じみた じみこ)「なるほど」
今までは、お互いあまり干渉せずに過ごしてきたのですが・・・
アンドリームランド、悪夢の国が急に私達の国を襲撃してきたのです
地味田地味子(じみた じみこ)「どうして?」
原因は分かりません。ですが・・・
このままアンドリームランドが勝てば、あなた方の夢は一生悪夢になってしまうのです!
地味田地味子(じみた じみこ)「あ、夢って、あなた達が作っているんすね」
そうなんです! 凄いですよね?
地味田地味子(じみた じみこ)「私は夢を見ないので、よく分かりません」
そ、そうですか・・・
地味田地味子(じみた じみこ)「でも、困ってる人をほっとけないので、協力します」
おぉ! ありがとうございます!
では、早速ドリームランドに来ていただきましょう!
それっ!
〇遊園地の広場
地味田地味子(じみた じみこ)「おっ、景色変わった」
ようこそ! ドリームランドへ!
地味田地味子(じみた じみこ)「まるで遊園地ですね」
夢の世界ですから、王国もアミューズメントみたいになっているんです
地味田地味子(じみた じみこ)「へぇ」
では、私の城に案内しましょう
メリーゴーランドが見えますか?
地味田地味子(じみた じみこ)「・・・ありますね」
そこを目指して進んでください
地味田地味子(じみた じみこ)「了解っす」
〇メリーゴーランド
地味田地味子(じみた じみこ)「着きました」
では、その近くに風船はないですか?
地味田地味子(じみた じみこ)「風船?」
地味田地味子(じみた じみこ)「風船・・・」
地味田地味子(じみた じみこ)「あ、あった」
それを食べてください
地味田地味子(じみた じみこ)「うっす」
・・・抵抗ないんですか?
地味田地味子(じみた じみこ)「私、昔、頭がザリガニで身体がナメクジの怪物を非常食としてたんで」
・・・なんか、ごめんなさい
地味田地味子(じみた じみこ)「全然気にしてないすよ」
地味田地味子(じみた じみこ)「じゃあ、いただきます」
地味田地味子(じみた じみこ)「・・・イチゴの味がしますね」
〇謁見の間
地味田地味子(じみた じみこ)「・・・あれ?」
???「よくぞ、参られました。勇者よ」
地味田地味子(じみた じみこ)「お?」
ドリームランド国・ドリー女王「はじめまし・・・いや、脳内に話しかけていたから、初対面じゃないですね」
ドリームランド国・ドリー女王「私がドリー女王です。どうぞお見知りおきを!」
地味田地味子(じみた じみこ)「地味田地味子です。よろしくっす」
ドリームランド国・ドリー女王「うんうん、思った通りの人で良かったです!」
ドリームランド国・ドリー女王「すぐにアンドリームランドに行かせたい所ですが、せっかくの夢の国なので」
ドリームランド国・ドリー女王「とびっきりのご馳走をもてなしましょう!」
地味田地味子(じみた じみこ)「あざまるっす」
ドリームランド国・ドリー女王「ではでは・・・それ!」
ドリームランド国・ドリー女王「さぁ、どうぞ! ご堪能ください!」
地味田地味子(じみた じみこ)「これは・・・」
ドリームランド国・ドリー女王「チケットをコンソメで浸したものです!」
地味田地味子(じみた じみこ)「へぇ・・・いただきます」
地味田地味子(じみた じみこ)「・・・意外といける」
ドリームランド国・ドリー女王「そうでしょ! 転売されていない純粋に使い捨てられたチケットを」
ドリームランド国・ドリー女王「シェフが丹精込めて作ったコンソメスープに、少しの間に浸した料理ですから!」
地味田地味子(じみた じみこ)「これだけっすか?」
ドリームランド国・ドリー女王「まだまだございます!」
ドリームランド国・ドリー女王「サイコロのサイコロステーキに」
ドリームランド国・ドリー女王「パソコンのムニエル」
ドリームランド国・ドリー女王「指輪の砂糖漬けもあります!」
地味田地味子(じみた じみこ)「これは美味しそうっすね」
地味田地味子(じみた じみこ)「戦車のカルパッチョとか無いんすか?」
ドリームランド国・ドリー女王「ありますよ!」
ドリームランド国・ドリー女王「戦車・・・ではありませんが、武装車のカルパッチョが出来上がりました!」
地味田地味子(じみた じみこ)「美味しそうっすね」
地味田地味子(じみた じみこ)「いただきます」
地味田地味子(じみた じみこ)「・・・うん、火器の部分はコッテリですが、それをうまいこと玉ねぎが補ってくれていますね」
ドリームランド国・ドリー女王「本当ですか?! 嬉しいです!」
ドリームランド国・ドリー女王「・・・あの、夢の世界だと分かっているとは思うんですけど」
ドリームランド国・ドリー女王「もう少しツッコまないのですか?」
地味田地味子(じみた じみこ)「いや、私がいる世界の方が夢の世界です」
地味田地味子(じみた じみこ)「悪夢の割合が多いですけど」
ドリームランド国・ドリー女王「そ、そうなんですね・・・」
地味田地味子(じみた じみこ)「ところで、アンドリームランドはどこにあるんすか?」
ドリームランド国・ドリー女王「あぁ、それだったら・・・」
ドリームランド国・ドリー女王「あそこの扉を開けたら、アンドリームランドです」
地味田地味子(じみた じみこ)「意外と近くなんすね・・・」
地味田地味子(じみた じみこ)「あ、指輪の砂糖漬け、意外と美味しい」
ドリームランド国・ドリー女王「まぁ、夢も悪夢も同じ場所で見ますから」
地味田地味子(じみた じみこ)「それもそうっすね」
地味田地味子(じみた じみこ)「全部食べたら行きます」
ドリームランド国・ドリー女王「本当ですか! ありがとうございます!」
ドリームランド国・ドリー女王(本当にツッコまないな・・・この人)
〇謁見の間
地味田地味子(じみた じみこ)「よし、行くっす」
ドリームランド国・ドリー女王「き、気をつけてください!」
ドリームランド国・ドリー女王「アンドリームランドでは、私の声は届きません」
ドリームランド国・ドリー女王「もし何かあった場合は、これを・・・」
ドリームランド国・ドリー女王「これを地面に掘れば、すぐにドリームランドに繋がりますから」
地味田地味子(じみた じみこ)「了解しました」
地味田地味子(じみた じみこ)「では、行ってきます」
ガチャリ
ドリームランド国・ドリー女王「・・・無事に帰ってきてください」
〇遊園地の広場
地味田地味子(じみた じみこ)「・・・お?」
地味田地味子(じみた じみこ)「ここがアンドリームランドすっか」
地味田地味子(じみた じみこ)「なんか・・・閉園後の遊園地みたいっすね」
???「ほほう、嬉しい事を言ってくれるね・・・ハーウァ!!」
地味田地味子(じみた じみこ)「・・・ん?」
アンドリームランドの帝王・バフア「コンバンハ〜ウァ!」
地味田地味子(じみた じみこ)「おはようございます」
アンドリームランドの帝王・バフア「僕はアンドリームランドの帝王、バフアだハーウァ!」
地味田地味子(じみた じみこ)「『ハーウァ』が口癖なんすか?」
アンドリームランドの帝王・バフア「そうだハーウァ!」
地味田地味子(じみた じみこ)「そうっすか」
アンドリームランドの帝王・バフア「それで、なんで、君が、こんな所に、いるのかハーウァ?」
地味田地味子(じみた じみこ)「実は・・・かくかくしかじか」
アンドリームランドの帝王・バフア「なるほど、なるほど・・・」
アンドリームランドの帝王・バフア「まぁ、女王の言っている事は間違っていないハーウァ!」
地味田地味子(じみた じみこ)「なんで、ドリームランドを襲撃してるんすか?」
アンドリームランドの帝王・バフア「楽しいからに決まっているじゃないかハーウァ!」
地味田地味子(じみた じみこ)「楽しい?」
アンドリームランドの帝王・バフア「そうだよ! そうだよ!」
アンドリームランドの帝王・バフア「ドリームランドの連中や現実世界の人間達に悪夢を届けるのが、たまらなく楽しいんだハーウァ!」
地味田地味子(じみた じみこ)「なるほど。さすが『悪夢の国』っすね」
アンドリームランドの帝王・バフア「ところで、君は最近見た悪夢はなんだハーウァ?」
地味田地味子(じみた じみこ)「いや、私、夢を見ないので」
アンドリームランドの帝王・バフア「あ、そうなんだハーウァ・・・」
地味田地味子(じみた じみこ)「・・・すみません」
アンドリームランドの帝王・バフア「いや、別にいいんだハーウァ」
アンドリームランドの帝王・バフア「じゃあ、せっかくの機会だし、悪夢でも見ていかないかハーウァ?」
地味田地味子(じみた じみこ)「嫌っす」
アンドリームランドの帝王・バフア「まぁ、そう言わずに・・・」
アンドリームランドの帝王・バフア「取り込まれちゃえよ」
地味田地味子(じみた じみこ)「!!」
ナイトメア「う・・・あ・・・」
アンドリームランドの帝王・バフア「さぁっ! ナイトメアくん、この子に悪夢を見させ──」
地味田地味子(じみた じみこ)「塊神斬滅《かいしんざんめつ》」
ナイトメア「ぐ・・・あ・・・」
アンドリームランドの帝王・バフア「・・・」
地味田地味子(じみた じみこ)「・・・どうしたんすか?」
アンドリームランドの帝王・バフア「いや、あの、その・・・」
アンドリームランドの帝王・バフア(くそっ! 何なんだ、あの技は・・・)
アンドリームランドの帝王・バフア(このままだと消される。早いとこ、ドリームランドに・・・)
アンドリームランドの帝王・バフア(・・・ん? あれは・・・)
アンドリームランドの帝王・バフア「ねぇ、その背中に背負ってあるやつって・・・」
地味田地味子(じみた じみこ)「あぁ、これっすか?」
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お経(?)で霊も倒せるし、主戦場ではない夢の中でも強くて見事でした☺️
……風船食べてる地味子さんを想像するとだいぶ可愛くてホッコリしました(末期)。
そう、女子同士でキャッキャ知ってる中のあの無表情地味子さん……なシチュエーションも良かったですねぇ✨