Ep.7 / THE ELUSIVE NIGHT WATCH #7(脚本)
〇ハイテクな学校
〇おしゃれな教室
久常紫雲「いやぁ。清々しい朝だなぁ。 むふふ!?」
御子柴歩「あれ。今日は起きてら」
辻崎美結「何か、いいことあった?」
久常紫雲「ん~~? 色々~~? 当ててみて」
御子柴歩「面倒くさいこと言い出したぞ。こいつ」
辻崎美結「今日はお弁当、忘れずもってきた?」
久常紫雲「ん~~? 忘れた~~」
辻崎美結「こらっ!」
御子柴歩「じゃあ、ナイトウォッチを見れた? 昨日も、繁華街の方で出たって」
久常紫雲「もっといいこと~~」
御子柴歩「じゃあ・・・ ヴィランハンター関連?」
久常紫雲「ヴィラハンは垢BANされた~~」
歩と美結が顔を見合わせる。
辻崎美結「垢BANされて、おかしくなった?」
御子柴歩「かも。でも、これで夜中に町をウロつかなくなったなら、俺は大歓迎」
辻崎美結「で、しゅーちゃん。結局なんなの?」
久常紫雲「うふふ~~。秘密ぅ~~。えへへ」
「・・・・・・?」
〇おしゃれな教室
先生「ではホームルームの前に。 皆さんに、転校生を紹介します」
先生の隣に智是の姿が浮かび上がる。
少し透けていて、向こう側の黒板が見える。
根須戸智是「根須戸智是です。 見ての通りのAR入学です」
根須戸智是「リアルでは、親の都合で海外を転々」
根須戸智是「今はニュージーランドからログインしています」
根須戸智是「よろしくお願いします」
そう言うと、ちーちゃんは僕らを見てウィンクをした。
〇おしゃれな教室
「・・・・・・」
口をあんぐりとあけて僕を見てくる歩と美結に僕は渾身のドヤ顔をかえした。
久常紫雲(どやっ)
〇ハイテクな学校
根須戸智是「ん~~~~っ。 さすがに、ちょっと疲れたぁ」
根須戸智是「質問攻めすごすぎ」
辻崎美結「AR入学って、制度としてはあるけど珍しいしね」
辻崎美結「あと、ちーちゃんが美少女」
久常紫雲「うんうん」
御子柴歩「しかしまさか、ちーちゃんが、あの大手商社の重役のお嬢さんだったなんて」
辻崎美結「世界中、旅してまわる生活だってね! そこだけ聞くと、憧れちゃう」
根須戸智是「うん・・・まぁ、ね。 でもパパに付き合わされるほうは大変」
根須戸智是「で、ついにキレてAR入学」
辻崎美結「・・・・・・」
辻崎美結「ふふ。悩みは人それぞれ。 でも、すごい人と友達だったんだね」
辻崎美結「私たちって」
久常紫雲「そうだろ! 凄いだろ!」
根須戸智是「なんでしゅーちゃんが威張るの?」
御子柴歩「彼女自慢でしょ」
辻崎美結「なるほど。自慢の彼女だ?」
久常紫雲「いやぁでも、正式にはまだ・・・」
根須戸智是「なに、嫌なの?」
久常紫雲「め、めっそうもない!」
御子柴歩「・・・はいはい。ごちそーさま」
根須戸智是「ふふ。でも、再会できてよかった」
御子柴歩「そうだね。偶然、同じ学校とか」
根須戸智是「あ。それは学校の非公開名簿を手に入れたの」
根須戸智是「で、同じクラスになるようにって」
御子柴歩「・・・聞かなかったことにするね?」
根須戸智是「歩くん、やっさしー」
ふいに、ちーちゃんの笑顔が曇った。
根須戸智是「でも再会で・・・心配だったのは。 忘れられちゃってたら、どうしようって」
根須戸智是「みんなと一緒だったの、すごい短い間で──」
久常紫雲「忘れるわけないじゃん!」
根須戸智是「しゅーちゃん・・・」
久常紫雲「僕は、信じてたからね。 すぐまた、一緒に遊べるって、あの約束」
〇街中の公園
根須戸智是「すぐまた、一緒に遊べるから」
久常紫雲「お、う、うん。じゃあ約束ね」
根須戸智是「うん。約束」
あのとき、僕らは指切りをした。
〇ハイテクな学校
気づけば、僕らはあの時と同じように、小指を絡ませていた。
でも、立体映像のちーちゃんの小指は、僕の小指をすり抜ける。
根須戸智是「これ、やっぱり切ないね」
久常紫雲「いつか、会いに行くよ。約束する」
根須戸智是「・・・うん」
様子を見ていた歩と美結が顔を見合わせて、微苦笑を浮かべた。
辻崎美結「じゃあ、さっそく遊びに行こう!」
御子柴歩「この街も変わったんだ。案内するよ」
ちーちゃんが先頭に立って歩きだす。
・・・夕暮れの中の、その後ろ姿を目にした瞬間、どくんと心臓が脈打った。
そして頭が灼けるような感覚と、刺すような頭痛が激しさを増す。
〇ハイテクな学校
久常紫雲「また昨日の!・・・なんだ、これ」
〇荒れた公園
根須戸智是「あの公園と、同じとは思えないなぁ」
久常紫雲「この街、かなり物騒になったし」
根須戸智是「警察が、民営化されたんだっけ?」
久常紫雲「うん。ゼニスに。実質私物化されたって」
久常紫雲「思えば、僕らが生まれた頃に日本支社を構えてから、好き勝手やってるよね」
根須戸智是「ゼニス・・・」
ほんの一瞬、ちーちゃんが真剣な表情を浮かべた。
根須戸智是「しゅーちゃん、詳しいね」
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