声優 イン ポッシブル〜アラサー女が演技未経験で声優を目指したら〜

星名 泉花

voice【5】ローズマリーは誰のもの? 地平線のその先が見えない(脚本)

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〇女性の部屋
石動 凛子(性格による話し方の違い。 感情の起伏)
石動 凛子(セリフの緩急。 感情が切り替わる)
石動 凛子「役に寄り添うってなに?」
石動 凛子(ローズマリー、あなたが理解出来ない。 あなたのことを考えて考えて考えて・・・)
  作ってるなんて言われるのは
  私がまだローズマリーをわかっていないから?
  私は誰の言葉を話してるの?
石動 凛子「・・・練習、しなきゃ」

〇SNSの画面
  はじめまして。
  サーシャさんの演技を聞いて
  すごく素敵だなと思いました!!
  SNSも拝見して、取り組みの姿勢に共感しました。
  私も声優を目指していて、
  仲間みんなでアニメ映画を作ろうと話してます。
  よかったら一度お会いしませんか?
  サーシャさんのお話を聞いてみたいです。

〇女性の部屋
石動 凛子「ランキング1位になってから こういうメッセージ増えたな」
石動 凛子(あなたの志や目標を知りたい。 業界の当たり前を変えたい)
石動 凛子「あやしいってわかってる。 だからこそ、スキをついてくるんだろうな」
石動 凛子(この年齢で思うのは変かもしれないけど)
  キラキラした夢はだんだん泥を被る。
  夢が食われていく感覚。
  私の夢が、目標が──

〇黒背景
  がんばらないと。
  早く、最短で、私は”私になりたい”から。

〇仮想空間
まもりん☆両声類「サーシャさん! 今日もお会い出来て嬉しいですっ!」
サーシャ(石動 凛子)「まもりんさん・・・」
まもりん☆両声類「まもりんで大丈夫でっす!」
サーシャ(石動 凛子)「・・・ランキング2位おめでとう」
まもりん☆両声類「ありがとうございます! 声活って楽しいですね!」
サーシャ(石動 凛子)「色んな原稿が読めて、声にのせると楽しいよね!」
まもりん☆両声類「楽しいです! 少年キャラの原稿は特にいいですね!」
サーシャ(石動 凛子)「少年キャラ?」
まもりん☆両声類「両声類ですから」
まもりん☆両声類「両声類ってだけで興味持ってもらえますしね!」
サーシャ(石動 凛子)(たしかにアニメに出てきそうな声)
サーシャ(石動 凛子)「素敵な声だね。 私にはない幅のある声だよ」
まもりん☆両声類「やっぱサーシャさんには憧れますよ!」
まもりん☆両声類「そんな芯のある声、なかなかいないですから! よく通る声・・・といえばいいんですかね!?」
サーシャ(石動 凛子)「・・・ありがとう」
サーシャ(石動 凛子)「アナ!!」
アナスタシア「・・・応援は、ちゃんとしてるから」
サーシャ(石動 凛子)「アナ・・・」
まもりん☆両声類「仲良しなんですか?」
サーシャ(石動 凛子)「・・・うん。 私は、アナが大好きだよ」

〇説明会場(モニター無し)
小鳥遊 真緒「まだ作ってるなぁ。 声は作ったらダメだよ」
石動 凛子「はい・・・」
石動 凛子(そんなつもりないのに。 だってローズマリーの恋に浮かれた気持ちになってるから)
石動 凛子(私はただ・・・胸をキュッとして、 熱い喉を感じている)
石動 凛子(ブラック様を思うと焦がれて胸が焼けそう)
石動 凛子(好きで好きで、抱きしめたくなる)
石動 凛子(あの頃、私も感じたことのある気持ち)
石動 凛子(遠い昔の・・・私が持っていたもの・・・)
廻 心春「ブラック様っ!!」
石動 凛子(そんな気持ち、昔すぎるよ・・・)

〇オフィスビル前の道
七海 さくら「ごめんなぁ、待たせて。 今、レッスン終わってん」
???「大丈夫だよー。 練習頑張っててすごいよ!」
七海 さくら「えへへ、もっと勉強せんといけんなぁ」
???「じゃあ行こっかー」
石動 凛子(友達がいるっていいな。 この年齢になると、声優目指してますなんて周りに言えないもの)

〇駅の出入口
近藤 悠太「おー、待たせたな」
???「・・・別に」
近藤 悠太「じゃあ撮影に行きますかー」
石動 凛子「あ・・・」
近藤 悠太「石動さんだ! お疲れ様です!!」
石動 凛子「お疲れ様です。 友達?」
近藤 悠太「前話した映画制作の仲間ッス」
石動 凛子「こんにちは! 近藤くんと同じ養成所に通ってる者です!」
???「・・・どうも」
近藤 悠太「コイツ、照れ屋で無口なんです。 気にしないでください」
石動 凛子「脚本担当なら、きっと内側は言葉に満ちてるよ」
石動 凛子「頑張ってね! 素敵な映画が完成するよう応援してるから!」
???「・・・あの人」
近藤 悠太「どうかした?」
???「いや、なんでもない。 ・・・凛とした、いい声だなって思っただけ」
近藤 悠太「そっかそっか」
???「・・・早く行くぞ」

〇女性の部屋
石動 凛子「恋、かぁ」
石動 凛子(婚活にいそしんだ時期もあるけど、 トキメキなんてなかったな)
石動 凛子「むしろ疲れてた。 ぶりっ子キャラで・・・」
石動 凛子「練習。練習だ、練習!!」
「あえいうえおあお! かけきく・・・」

〇仮想空間
サーシャ(石動 凛子)(ランキング、落ちてる)
サーシャ(石動 凛子)(たしかに、最近はあまり数読めてなかったかも)
サーシャ(石動 凛子)「今日は多めに読もうかな」
サーシャ(石動 凛子)「あ・・・」
サーシャ(石動 凛子)(燃える。 これは女の・・・)
サーシャ(石動 凛子)「私は燃えています。 あの日から私の心はずっと燃えているのです」
サーシャ(石動 凛子)「触れるな。お前がその手で私に触れるなど、許してたまるか」
サーシャ(石動 凛子)(・・・キツイな)
サーシャ(石動 凛子)「胸が痛い。 憎い。だけど・・・」
サーシャ(石動 凛子)「・・・次、読まなきゃ」
サーシャ(石動 凛子)「みーんなー! 大好きだよー!!」
サーシャ(石動 凛子)「君と虹の橋を見れたこと。 笑ってあたしの手を引き、走ったね」
サーシャ(石動 凛子)「君の隣にいるだけで あたしの世界はカラフルに染め上がる」
サーシャ(石動 凛子)「・・・たくさん読んだなぁ。 こんなに読んだの、久しぶりかもしれない」
サーシャ(石動 凛子)「今、何時なんだろ・・・」
サーシャ(石動 凛子)「どうしよう、まだローズマリーのセリフ練習やってないのに!」

〇幻想2
ローズマリー「あなたとなら地平線のその先までも輝く日々を送れるでしょう」

〇説明会場(モニター無し)
石動 凛子「あなたとなら地平線のその先までも輝く日々を送れるでしょう」
九条 大志「ア"ァ"ァ"ア"ア"ア"ア"ッ──!!!!」
小鳥遊 真緒「通しでやってみたけど、 ローズマリーは15歳じゃなかったねー」
小鳥遊 真緒「ローズマリーは生粋のお嬢様で、 周りから大切に育てられた女の子」
小鳥遊 真緒「そのローズマリーがはじめて恋をし、 周りの反対に耳も傾けずブラックと愛し合う」
小鳥遊 真緒「その盲目な愛と、初々しさ。 身勝手さと気品」
小鳥遊 真緒「石動さんのローズマリーは若く見せた冷静な大人って感じなんだよ」
石動 凛子「・・・声、作ってましたか?」
小鳥遊 真緒「そうだね、作ってた。 新しい原稿ではもう少しやりやすいと思うから」
小鳥遊 真緒「で、九条さんからは全然悲しみと怒りか感じられなかった」
九条 大志「は、はい」
小鳥遊 真緒「九条さんは優しいからなぁ。 ブラックみたいなドロドロさがないね」
小鳥遊 真緒「でも滑舌は前より良くなった。 その調子で練習続けてね」
「ありがとうございました!」
石動 凛子(結局、ローズマリーにはなれなかった)

〇黒背景

次のエピソード:voice【6】惑わすエチュード♬.*゚荒夢ジェットコースター

コメント

  • うっ…刺さりますね🥲
    大人の女性なら誰もが一度は経験したことのあるようなことがたくさん綴られ、心がギュッとなります。星名さんより年上の読者が多いっていうのも納得です。

    小顔のイケメンの動向が気になりますね😀
    チャンス到来だといいな…!

  • アラサー凛子ちゃんの葛藤が切ないですね……😢
    思わず感情移入しちゃいます。
    ホント声優のお仕事って難しそう💦
    でも私にはまったく未知の世界なので、内情が知れて面白いです✨✨
    次話、めっちゃ楽しみだーー😍

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