エピソード50(脚本)
〇奇妙な屋台
店主「サテ、そろそろ 閉店かしらねぇ~」
店主「アラ?」
謎マッチョさん「店主、少し悩みを聞いてもらえませんか?」
店主「アラどしたの〜?マッチョさん なにか、お困りかしら?」
謎マッチョさん「最近、よく眠れないんです。 眠れても眠りが浅いのか」
謎マッチョさん「すぐ起きてしまったり 変な夢をよく見たりして 疲れが取れないんです」
店主「アラそうなの〜?大変ねぇ 原因はわかるのかしら?」
謎マッチョさん「良くわからないんですよね。 朝が早いので困っているんですよ」
謎マッチョさん「あんまり薬に頼りたくなくて」
店主「そう、とりあえず、 眠れそうなお茶でも出しておくわ」
店主「どうぞ」
謎マッチョさん「ありがとうございます」
〇奇妙な屋台
チュンチュン
店主「おはようございます!」
謎占い師さん「おはようございます」
店主「なにか不機嫌そうね。 どうしたの?」
謎占い師さん「ゴハンを食べると すぐ寝てしまうんですよね。 子どもみたいでしょ?」
謎占い師さん「先程も乗り過ごすところでした・・・」
謎占い師さん「もう2023年も生きてるというのに。 年だからですかね・・・」
店主「ウフフフ 歳のせいにしちゃダメよ〜 まだまだ若いんだから〜」
謎占い師さん「そりゃ店主と比べちゃいけませんよ・・・」
謎マッチョさん「おはようございます!」
店主「マッチョさん! どう?眠れた?」
謎マッチョさん「寝つきは いつもより良かったのですが やっぱり起きてしまいました」
店主「そうなの~ 大変ね~」
店主「そうだ! 二人とも交換してみたら良いのよ!」
「交換?」
店主「そう! 全然眠れない人と、すぐ寝ちゃう人! 交換!」
店主「それ〜」
キラリラリーン!
「え?」
「ええー!!! ワタシたち入れ替わってる~!」
店主「ウフフフ お試し!時間が来たらもとに戻るわ〜」
謎占い師さん「この入れ替わった姿で、 しばらく過ごすということですか?」
店主「そうよ!ウフフ! どっちも、きちんと眠れるようになったら もとに戻るから〜」
(どうしよう・・・)
〇公園のベンチ
謎占い師さん「店主のイタズラには 困ってしまいますね・・・」
謎マッチョさん「店主に相談しようと思うのが いけなかったんでしょうね・・・」
謎占い師さん「ところで、 入れ替わってしまいましたが、」
謎占い師さん「本日の予定はどうなっていますか?」
謎マッチョさん「今日は、占いの予約が1件だけ 入ってまして。 沢山ある日も、あるのですが 運良く今日は、それだけですね」
謎マッチョさん「こちらに答える内容をまとめておきました。 これを読んでいただければ いいと思います」
謎占い師さん「なるほど」
謎占い師さん「ワタシは学校は夏休みで 授業はないのですが、 マッチョ部のコーチ予定がありまして」
謎占い師さん「今は特に教えることもなく 監視員として居れば 本日は、なんとかなると思いますが・・・」
謎マッチョさん「わかりました。 これからのことは、きょう終えてから また相談しましょう。」
謎マッチョさん「お互いがんばりましょうね・・・」
謎占い師さん「ええ。」
「はぁ・・・」
〇体育館の中
峰山先生「はい!バンプアップ! バンプアップ!」
松山先生「はい!そこの!いい筋肉! 筋肉の集団面接かい!」
謎マッチョさん「・・・」
松山先生「マッチョさん!どうしたんですか? 今日は、静か目ですよね?」
峰山先生「マッチョさんはいつも静かですよ! ね!マッチョさん!」
謎マッチョさん「は、はい」
松山先生「調子悪いんですかねぇ」
峰山先生「あら!それは気づきませんでしたわ! もし調子悪いのでしたら 休んでいただいても、いいのですよ!」
謎マッチョさん「・・・ではお言葉に甘えて、少し休ませていただきます」
カッカッカッ
松山先生「いったい どうしたんでしょうね」
峰山先生「心配だわ・・・」
〇渡り廊下
ガラッ
謎マッチョさん「ふう、マッチョだらけで クラクラしましたよ・・・ どんなマッチョ展示会ですか」
北条さん「あれ!マッチョさん! こんにちは! どしたの?」
謎マッチョさん「あっ!君は!」
北条さん「元吹奏楽部の北条です!」
北条さん「マッチョさん!私のこと、 覚えてくれてたの〜? ウレシイです!」
謎マッチョさん「ハハ、まあね」
謎マッチョさん(占い師スタイルのときに 追い回されてるからな)
北条さん「そう、きょうは占い師さん 一緒では、ないの?」
謎マッチョさん「そ、そうだな。 占い師の仕事があるみたいだよ」
北条さん「そうなんだ、つまんないの・・・」
北条さん「最近は忙しくて お店にも寄れなくて。 淋しいし会えたら良かったのにって 思って」
謎マッチョさん「なんで、占い師さんを 追いかけ回すんだい?」
北条さん「やーね!人聞きの悪い。 占い師さんのこと、 好きだからアタックしてるの!」
北条さん「めっちゃ好みなの!顔が! 一目惚れなの!」
謎マッチョさん「そうなんですか。 でも困ってるみたいですよ。 歳も離れすぎてるとか」
北条さん「歳とか、かんけーない! 一緒にいて楽しいかどうかだもんね!」
謎マッチョさん「そんなもんですかね」
北条さん「そうだよ〜いまを楽しまなきゃ! 損だよ!」
謎マッチョさん(ワタシは長く生き過ぎたからかな。 辛いことも悲しいことも知っているし)
謎マッチョさん(涙を流したり 思い切り笑うというのも 忘れてしまった気がする)
謎マッチョさん(そんなワタシでも いまを楽しむことが できるのだろうか)
謎マッチョさん「いまを楽しむ、か。新鮮だな。 どう楽しめば良いんだい?」
北条さん「お!?マッチョさん気になる? じゃあ、暇ならこれから一緒に行こう〜!」
謎マッチョさん「どこへ?」
北条さん「えへへ〜」
〇占いの館
謎占い師さん「どうぞ。 お入りください」
謎占い師さん(タダのマッチョなワタシが 占い師なんて上手くできるだろうか)
コンコン
「失礼します。」
松永先生「こんにちは。 お願いします」
謎占い師さん(松永先生!!!)
謎占い師さん(イカン! ここは冷静に対処せねば!)
謎占い師さん(スーハー 深呼吸で落ち着いて・・・)
謎占い師さん(この紙に書かれてる通りに 話せばいいんだな。 よし!)
謎占い師さん「占って差し上げましょう・・・ アナタのお話を聞かせてください」
松永先生「えーと、松永ゆかり(まつながゆかり)。音楽教師をしています」
・・・
謎占い師さん(ヤバい直視ヤバい)
謎占い師さん「えー、では お悩みの内容を今一度 教えていただけますでしょうか。、」
松永先生「恋愛相談・・・というのでしょうか。 ワタシそういうのに疎くて・・・」
謎占い師さん(恋愛・・・松永先生の好きな人! 気になる!)
松永先生「私の家族は両親とも音楽家で厳しくて、 幼少時の頃からずっと 音楽に囲まれて生きてきました。」
松永先生「教職も取りましたが、学校や親御さん達からの期待もあり、 コンクールで賞を取ること、 考えるのは、そればかりでした」
松永先生「恋愛なんて、したことも考えたことも、なかった。そういうのには縁がないとも 思っていました。」
謎占い師さん「なるほど、ご両親が厳しかったのですか」
松永先生「ええ、そうですね。 きちんとできなければ叱咤され、ご飯も出されない、そのくらい厳しかったです」
松永先生「でも両親に感謝はしています。 一時期恨んだこともありましたが、それもワタシのワガママでしたから」
謎占い師さん「そうですか、ご苦労なさっているのですね」
松永先生「そんなこともないんですよ。 お仕事も音楽も大好きですし、 コンクールで結果も出せていますから」
松永先生「いまは両親とも関係は良好で充実はしています。 ただ、両親は高齢ですしワタシひとり。 これからを考えると不安で・・・」
松永先生「ワタシだけ、そんな結婚とか 考えて良いんだろうかなんて 思ったりして・・・」
謎占い師さん「お優しいのですね」
松永先生「でも最近はあるキッカケで 気になる人ができたのです。 これからどうしたら良いか、悩んでいます」
謎占い師さん「それで、お相手の方はどんな方、 なのでしょう?」
謎占い師さん(そんなストイックで真面目な先生を虜にした人の話は、聞いてみたい・・・)
松永先生「少し寡黙だけど、たくまして、強くて、優しくて。素敵な人なんです」
謎占い師さん「うらやましい」
松永先生「えっ」
謎占い師さん「いや、なんでもないです。 この水晶玉に手をかざしてください」
松永先生「こう?」
松永先生「なんか変な感じ・・・」
謎マッチョさん「ん?」
松永先生「キャッ!マッチョさん!」
謎占い師さん「えっ!?」
松永先生「い、いえ・・・ なんでもありません」
松永先生(どうしたのワタシ!? マッチョさんのこと想い過ぎてるのかしら?)
謎占い師さん(一瞬、元にもどった!?)
松永先生「相手がワタシをどう思っているのか それを知りたいんです」
謎占い師さん「コホン。えーと 占いの結果をお伝えしましょう・・・」
謎占い師さん「えー・・・」
謎占い師さん「!」
松永先生「どうか、なさいました?」
謎占い師さん「えー、いえ」
謎占い師さん「そういえば、その好きになったキッカケってなんですか?」
松永先生「えー、アクシデントなんですけど、 キスしてしまって・・・ ワタシ初めてだったんです」
謎占い師さん(それって!もしかして あの運動会の時のアクシデント!)
謎占い師さん(私も悩まされていた、あの事件。 はずみで唇が重なり合って・・・)
松永先生「この歳で、なんて 言わないでクダサイよ! 本当に知らないんです、ワタシ!」
松永先生「そうしたら意識し始めて その方を目で追ううちに 素敵な人だなと段々好きになり」
松永先生「もう眠れなくなるくらい・・・」
彼女はポロポロと泣き始めた。
松永先生「うぅ・・・」
謎占い師さん「うぅ・・・ そ、そんなに」
謎占い師さん「占いの結果をお伝えします!」
謎占い師さん「彼が物事がうまくいかず 凹んでいたりする時に 挫けそうな時に」
謎占い師さん「アナタの頑張る姿や、 笑顔を見ることで彼も元気が出て、 パワーがもらえるのだそうです!」
謎占い師さん「そして、アナタの笑顔を見るために もっと頑張ることでしょう!」
謎占い師さん「彼はあなたのことを・・・ あ・・・あい・・・」
謎マッチョさん「愛しています!」
松永先生「ええぇ!?」
謎占い師さん「はっ!」
謎占い師さん(しまった!占い師さんの姿で 言っちゃった!?)
謎占い師さん「ということだそうです・・・」
松永先生「・・・」
ポロポロポロポロ
松永先生「ありがとうございます・・・」
松永先生「お代はこちらにおいておきますね・・・」
カッカッカッカッカッ
謎占い師さん「・・・」
〇奇妙な屋台
北条さん「エッヘッヘ〜」
店主「あら楽しそうじゃない! どうしたの?」
謎占い師さん「・・・」
北条さん「最初ね!学校で出会ったマッチョさんと 一緒に遊んでたんだけどさ〜」
北条さん「カラオケの途中でいなくなったから 探してたら、 代わりに占い師さん見つけたの!」
北条さん「だから連れてきちゃった!」
店主「あらそう〜楽しかった?」
謎占い師さん「まぁ、それなりに・・・」
謎占い師さん「店主のせいですよ! 途中で元に戻ったんですから! 焦りましたよ!」
店主「でもすぐ眠らなくて済んだのでしょ?」
謎占い師さん「まぁ、確かに・・・ ずっと昼間に起きてて良く遊んだので、 夜は眠れそうですね」
店主「アラ満更でもないじゃない! 良かったわね〜」
店主「また時々でも遊んであげて頂戴な!」
北条さん「ラジャー! じゃおやすみなさい〜」
〇公園のベンチ
謎マッチョさん「あぁワタシはなんてことを・・・」
謎マッチョさん「こうして横になっていても 彼女の顔が目に浮かぶ・・・」
松永先生「マッチョさん!」
謎マッチョさん「わっ」
松永先生「どうしたの? こんなベンチで横になってで。 調子が悪いのかしら?」
謎マッチョさん「え、ええまぁ。 毎日、眠れなくて・・・」
松永先生「まぁ、最近は毎日、暑いですからね。」
松永先生「じゃあ、こうしたら眠れるかしら?」
謎マッチョさん「えっ先生! 膝枕!?」
松永先生「そうよ。 ワタシがいますから 安心して眠って」
謎マッチョさん「よ、余計に眠れなそうな・・・」
謎マッチョさん「お言葉に甘えて・・・」
謎マッチョさん「・・・」
〇奇妙な屋台
店主「まだまだ眠れない夜は続きそうよね〜 サテ店じまい」
〇奇妙な屋台
おやすみなさい・・・
定番の「ワタシたち入れ替わってる~!」をこの御二方ですると強烈ですねww
それぞれが、自身に対する恋心を別の姿で聞くという展開にドキドキしっ放しでした!
ボディビルダーの掛け声の定番「そこまで絞るには眠れない夜もあっただろう」が、まさか恋の病で眠れない夜だったのかな?!筋肉は裏切らないけど女心はどうなるか分かりませんよね〜。マッチョさんにはどうか幸せになってほしい。
姿を入れ替えることで実現すること、マッチョさんも占い師さんもそれを有効に利用されて何か一歩前に進まれたようでよかった!です。相変わらず、粋な店主のいたずらに脱帽!