第1話 世界覇者の名をかけて強制的に選抜戦に参加するはめになった!(脚本)
〇古民家の居間
困っている女「うーん・・・」
困っている女「説明書・・・」
困っている女「”通信先・魔術師セージに繋げ”」
困っている女「わっ!光った!」
こちら魔術師セージ。何かありましたか
困っている女「なんと!本当に繋がった!」
困っている女「よくわからないから手短かに言うよ」
困っている女「この間送ってもらった魔法石があるだろう?」
はい。それがどうかしましたか?
困っている女「こんなに良いもの送ってもらっても困るんだよっ!!」
困っている女「こっちは最初に言ってた金額の10マジカルしか出せないんだ」
いいもの?どうでも”いいもの”ってことですか?いらなくなっちゃったんですか?
困っている女「からかってるのかい!?」
困っている女「高品質なものを送りつけて、使った頃合いを見て料金を請求する気だろう!?」
困っている女「あたしゃ騙されないからね!」
高”陰湿”?・・・ううっ・・・ずびっ・・・酷いよぉ〜
困っている女「はぁ?あんた泣いてんのかい?」
いくら僕が陰気だからって魔法石には関係ないですしぃ・・・ずびびっ
ちゃんとした品物送ってますよぉ・・・ぐすすすん!
困っている女「はぁ?あんた大丈夫かい?」
あぁ・・・心配で千回は確認したんだけど──
僕が何かしでかしちゃったのかなぁ?・・・ずびびばぶっ!
困っている女(どんな泣き方してんだい?)
とりあえず、お詫びの品送るんで、許してくださひぃ・・・
困っている女「は?ちょっと!?」
”魔術・魔法石転送” ”通信玉回収”
困っている女「は・・・はぁ?」
困っている女「こりゃ、一生分・・・いや、百生分暮らせる魔法石だよ・・・」
困っている女「一体、どうしろってんだい・・・」
〇朝日
〇雲の上
〇飛空戦艦
セージ「ううっ・・・ひどいよぉ・・・」
セージ「僕の魔法石が高”陰湿”だなんてっ・・・ずびっ・・・」
ブルー「ゼーーハーーゼーーハ──」
ブルー「セージ様セージ様!」
セージ「あぁ、ブルー」
セージ「今日も来たのか」
ブルー「今日こそ手紙を受け取ってくだサイ!」
ブルー「今日で連続100日目ェ・・・」
ブルー「この高さまで飛んでくるの本当に大変なんでスヨ!」
セージ「あぁ・・・すまない」
セージ「この手紙・・・爺様からだろ?」
セージ「きっと僕にとって──」
セージ「ろくなこと書いてないってことだけは分かるんだよ」
ブルー「何言ってるんですカ!」
ブルー「セージ様のお爺様は世界最強の魔術師であるスカイナイト様ですヨ!」
ブルー「きっとありがたいお言葉が書いてあるに違いありまセン!」
セージ「ありがたい言葉ってなんだよ・・・」
セージ「せっかく爺様の元で働くのがキツすぎて──」
セージ「自作の飛行船で一人悠々自適に魔術師の仕事してるっていうのに・・・」
ブルー「とにかク!読んでもらえるだけでいいのデ!」
ブルー「ボク過労で死んじゃいますヨ〜」
セージ(爺様のことだ。何か仕掛けがあるに違いないが・・・)
ブルー「セージ様ァー」
セージ「・・・・・・」
セージ「わかった」
セージ(手紙で送れる魔術くらいなら、僕の魔術で無効化できるはずだ)
セージ「読むだけなら」
魔術・強制召喚・極
セージ「なっ!・・・極みの魔術を手紙で!?」
セージ「くっ!魔術・無効」
セージ「か・・・」
〇城の客室
スカイナイト「・・・」
スカイナイト「・・・ふぅー」
スカイナイト「セージのやつ散々手こずらせやがって・・・」
スカイナイト「・・・そろそろ会えるか」
ブルー「す・・・スカイナイト様!」
ブルー「これは一体・・・」
スカイナイト「セージのことだからなぁ・・・」
スカイナイト「手紙読んだってぜってぇ逃げ回るから──」
スカイナイト「強制召喚してやったんだよぉ」
ブルー「そ、そんなこと手紙でできたんですカ・・・」
ブルー「あ・・・あれ?もしかしてボク・・・」
ブルー「スカイナイト様にワープさせてもらえれば、楽にセージ様のところ行けたのでハ・・・」
スカイナイト「毎日苦労して通ったからこそ、今日手紙読ませることが出来たんだぁ」
スカイナイト「ありがとうなぁ」
ブルー「はぁ・・・なるほド・・・」
スカイナイト「んなことより、早く元の姿に戻りなぁー」
ブルー「あっ!はい・・・」
ブルー「セージ様・・・床は痛いノデ・・・」
ブルー「ベッドに寝かせますネ」
スカイナイト「別に床に寝かせときゃーいいだろ」
ブルー「ふふっ・・・素直じゃないですネ」
スカイナイト「ああん?」
ブルー「いつもはこの時間、ベッドのないお部屋にいますよネ?」
スカイナイト「・・・・・・チッ」
ブルー「・・・ボクは他のお仕事に戻りますヨ」
スカイナイト「あぁ、ご苦労様」
ブルー「・・・セージ様のことあんまりいじめちゃダメですヨ」
スカイナイト「わぁーってるよ」
ブルー「はい。それでは失礼しまス」
スカイナイト「・・・」
スカイナイト「にしてもよく寝てるな・・・」
スカイナイト「ったくセージは俺に似て極めすぎるからなぁ」
スカイナイト「テメェの知らねー間に──」
スカイナイト「とんでもないやつに選ばれてんぞぉ?」
〇古い洋館
〇古い洋館
「ぜっっっっっっっっっったい」
「嫌だぁぁぁぁあああー!!!!!!」
〇城の会議室
セージ「なっっっんで!!僕なんかがっ・・・」
セージ「世界覇者の候補者にエントリーされてるんだよぉー!!!!」
セージ「絶対向いてないから!!」
セージ「それだけは自信持って言えるから!!」
セージ「ずびびばぶー!!」
ライラ「あらあら!」
ライラ「久しぶりに会えたと思ったら、こんな子供みたいに泣いちゃってー」
ライラ「私の息子ちゃんはまだまだお子様なのねぇー」
ディル「ライラ・・・」
ディル「まぁ・・・セージの性格を考えたら、こうなるのも当然だろう・・・」
ライラ「世界覇者の候補者に選ばれるなんて──」
ライラ「とっても光栄なことなのよー?」
ライラ「合理的かつ法的に世界征服できちゃうのよー」
セージ「世界征服なんてしたくないっ!!」
セージ「僕はただ・・・」
セージ「飛行船で一人で自由に仕事ができれば満足なんだ・・・」
ディル「セージ・・・」
ディル「どうしても嫌なら、断れば良いんじゃないのか?」
「それは無理だなぁ」
スカイナイト「俺からの手紙を散々無視した報いだなぁ?」
スカイナイト「断ることが出来る期限をとうに超えてんだぁ」
スカイナイト「もし選抜に参加しなかったら・・・」
スカイナイト「牢獄行きだなぁ」
スカイナイト(まぁ、要項には参加した後は、離脱自由と書いてあったがな)
セージ「絶望だぁ・・・・・・」
「まぁまぁ・・・お兄様?」
エキナセア「まだ選ばれると決まってないですわよね?」
エキナセア「選抜なわけですから、候補者がいらっしゃるんでしょう?」
セージ「えっ・・・あっそうだね・・・」
エキナセア「手を抜けば良いんじゃなくて?」
エキナセア「選ばれないように、力をセーブして選抜に挑めばよろしいと思いますの」
セージ「そ・・・そうか!」
セージ「そうだよね!!」
セージ「力を思いきり抜けば良いんだ!!」
セージ「エキナセア!ありがとう!」
エキナセア「べっ・・・べつに・・・」
エキナセア「お兄様が世界覇者に選ばれたら──」
エキナセア「寂しいとかそんなわけじゃないですわよ?」
セージ「そもそも僕なんかが選ばれたこと自体が、何かの手違いかもしれない!!」
セージ「はぁー」
セージ「安心したら、少しだけ余裕が出てきたなぁ・・・」
セージ「ちなみに爺様!選抜はいつから?」
スカイナイト「明日からだ」
セージ「・・・・・・いっ」
〇古い洋館
「嫌だぁー!!!!!!!!!!」
「まぁ、セージ、この選抜者の要項はしっかり事細かく読んでおけよぉ?」
「ずびびばぶっ!」
「お兄様って見た目カッコいいのに──」
「相変わらず泣き方が変ですわ」
〇空
〇空
〇海
〇島
セージ「この島で世界覇者の選抜をするのか・・・」
セージ「嫌だ行きたくない・・・」
セージ「人と会うの怖すぎ・・・」
セージ「極力関わり合わずに去りたい」
セージ「要項によると、参加した上での離脱なら牢獄行きもないみたいだし──」
セージ「即座に離脱するぞ・・・」
〇黒
〇闘技場
ロサ・バンクシア「これで全員かなぁ?」
ロサ・バンクシア「ね。ネグラちゃん」
ロサ・ネグラ「あぁん?」
ロサ・ネグラ「俺様をちゃん呼びすんじゃねぇぇ!」
ロサ・バンクシア「良いじゃないか!昔のよしみでしょう?」
ロサ・バンクシア「それにちゃん付け可愛いじゃないか」
ロサ・ネグラ「なんだと!?」
ルビー「んー・・・」
ルビー「まさか世界覇者の候補者に──」
ルビー「神と魔王がいるなんて予想外でしたわ」
ルビー「ねぇ?エメラルドさん」
エメラルド「そうですわねー・・・」
エメラルド「これじゃ私たちの計画が、上手くいかなくなる可能性もありますわねー」
「大丈夫だろう」
アメジスト「上手くいかなければA案を取りやめて──」
アメジスト「B案に切り替えれば良いだけのことだ」
(私 僕 オレ の)
(お嬢様 お姉様 お姫様は)
オニキス「美しい」
シルバー「可愛い」
ペリドット「からかいがいがあるなぁー」
セージ「・・・・・・」
セージ(即離脱する即離脱する即離脱する即離脱する)
セージ(誰に言えば良いんだよぉぉー!!)
セージ「ぐすっ・・・」
アリア「・・・」
アリア(えっ?えっ?泣いてる人いる!!)
アリア(大丈夫かなぁ?)
セージ(このまま離脱出来なかったらどうしよう?)
セージ「ぐすっ・・・ずび・・・」
アリア「あ・・・あの・・・だいじょ──」
「君は相変わらずだなぁ」
ユーカリ「君は魔術師のセージだよな?」
セージ「そうだけど・・・」
ユーカリ「昔、会ったことあるんだが覚えているか?」
セージ「ごめん・・・全然覚えてない・・・」
ユーカリ「・・・まぁ君はそういう奴だよな」
ユーカリ「私の名はユーカリという」
ユーカリ「今度こそ覚えてくれ」
セージ「わかった・・・よろしくユーカリ」
アリア「・・・・・・」
アリア(えっ?えっ?なんかもう既にグループできてる?)
アリア「1人は寂しいなぁ・・・」
アリア(まぁ私の目的はアレなんだし、それが達成できればいいか・・・)
セージ「なんだ?・・・爆発音?」
「よぉー」
「世界覇者の原石どもぉー」
モーニング「待たせたようじゃなぁ?」
世界覇者感がまったくない(笑)セージくんが、戦いを通してどう成長していくのか楽しみな展開ですね😆
なんやかんやで世界覇者に…!?
「TapNovelでここまでガッツリ、ファンタジー世界やるれるのか!」と驚きっぱなし…。
長仕込み&癖のありそうキャラの顔見せもあったりと、『THE・長編の第一話!』て感じました。
ネガティブな主人公が、どうやって本寿司に関わっていくのか。楽しみにしております!
セージ君の泣き方の癖が凄いw
彼の未来は如何に。これからも楽しみにしてます。