エピソード12 暴れ太郎が暴いたろう(脚本)
〇河川敷
常世 零「下着泥棒?」
ボランティア団員「そうなんですよぉ。友達が被害にあったらしくて・・・」
常世 零「それは不安ですね」
ボランティア団員「いえ、私のことはいいんですけどその友達が不憫で」
常世 零「警察とかには?」
ボランティア団員「一応、相談したみたいなんですけど」
ボランティア団員「あまり取り合ってはくれなかったらしいんですよね」
ボランティア団員「あ、でも常世さんに捕まえてほしいとか、そういうわけじゃないんですけど」
ボランティア団員「どんな人かもわかりませんし、危険かもですし」
常世 零「わかっています。手は出さないつもりですが」
常世 零「・・・・・・」
ボランティア団員「どうしました?」
常世 零「いや、こういう時、来栖ならいつも首を突っ込んでくるんですが・・・」
ボランティア団員「ああ」
来栖 誠司「・・・・・・」
ボランティア団員「今日はなんだか、大人しいですね」
ボランティア団員「何かあったんでしょうか?」
常世 零「さぁ?」
常世 零「まぁ、静かなのでいいんですが」
ボランティア団員「とかなんとか言って、本当は気になるんですよね?」
常世 零「いや、そんなことは特には・・・」
〇マンション前の大通り
とはいったものの、気にならないといったら嘘になる。
来栖のことではない。下着泥棒のことだ。
正直、彼女の手前ああいったが、さほど危険はないんじゃないかと思っている自分もいた。
当然だ。所詮、下着泥棒。
そんなことするような奴など、たとえどんな奴でも相手にできないわけがない。
常世 零「・・・・・・」
常世 零「少し、様子を見るだけだ」
そう自らに言い訳して、踵を返した。
〇ゆるやかな坂道
常世 零(確か、この辺りだって・・・)
常世 零「・・・・・・」
常世 零(茂みの中になんかいる・・・)
常世 零「何、してるんだ?」
戦林 隼田「いや、俺は別に怪しいもんじゃなくて・・・」
戦林 隼田「って、お前か」
戦林 隼田「こんなところで何してるんだよ」
常世 零「それはこっちのセリフだ」
戦林 隼田「はっ!」
戦林 隼田「まさか、おめぇ・・・」
常世 零「そのまさかではない」
戦林 隼田「事情を知ってるのか?」
常世 零「ああ、そういうお前こそどうして?」
戦林 隼田「商店街のおばちゃんから聞いたんだ」
常世 零「お、おばちゃん・・・」
戦林 隼田「ああ。何でも、他の店のおばちゃんから聞いて、そのおばちゃんは客のおばちゃんから聞いたらしい」
常世 零「登場人物、今のところおばちゃんだけなんだが」
戦林 隼田「そのおばちゃんも別のおばちゃんから聞いたらしい」
常世 零「話の出どころはどこなんだよ」
戦林 隼田「知るかよ」
常世 零「・・・まぁ、いいか」
常世 零「それで、お前もその犯人を待ち伏せてるってことか」
戦林 隼田「そういうお前もなのか?」
常世 零「いや、俺はちょっと様子を見に来ただけだ」
戦林 隼田「なら、ここは俺に任せて帰るんだな」
常世 零「ああ、そうす──」
常世 零(いや、ちょっと待てよ)
常世 零(こいつに任せておいたら、また暴力沙汰になるんじゃないか?)
戦林 隼田「早く来ねぇかなぁ、犯人の奴」
常世 零(というか、絶対なるな)
常世 零「はぁ・・・」
戦林 隼田「おい、なんで隣にくる」
常世 零「気が変わった。俺も参加する」
戦林 隼田「はぁ? 捕まえるのは俺だからな?」
常世 零「いや、俺が先だ」
戦林 隼田「なっ!」
戦林 隼田「てめぇ!」
常世 零「悪いことはしてないぞ」
戦林 隼田「ぐぬぬ・・・」
数時間後・・・
常世 零(こいつ・・・)
常世 零(ん?)
常世 零(怪しいな・・・)
戦林 隼田「現れやがったな・・・」
常世 零「起きていたのか」
戦林 隼田「今起きた。それよか、あいつ」
常世 零「ああ。でもまだそうと決まったわけじゃあ・・・」
常世 零「あっ・・・」
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