エピソード6(脚本)
〇住宅街
ギャルが映子を抱きかかえ、一生懸命に走る。
その後を小沼と小塚が追いかける。
小塚卓也「どうして!」
小塚卓也「どうして逃げるんだ!?」
ギャル「ごめんだし!」
映子を抱きかかえたギャルは
目の前に停めてあるドアの開いた車に勢いよく飛び込む。
プライドが運転席から出てきて、
銃を構え、
警察手帳を出す。
プライド「おとなしくしろ!」
小沼と小塚が立ち止まる。
小塚が車の中のギャルを見据える。
小塚卓也「何で!?」
小塚卓也「どういうことなんだ!?」
ギャル「ごめんだし!」
ギャル「私、警察なんだし!」
小塚卓也「そんな・・・・・・」
小塚卓也「夕日に誓ったあの約束は・・・・・・」
ギャル「あれ、なしだし!」
プライド「どういう引っ掛け方したんだよ」
ギャルがペロッと舌を出す。
小塚が膝から崩れ落ちる。
小沼が茫然と立っている。
〇ストーカーの部屋
桃子がPC画面を凝視している。
PC画面に小沼と小塚が手錠をかけられ、
車の中に入れられる映像が映し出されている。
ボス「小沼君」
ボス「このままだと本山組とか関係なしに」
ボス「単独で幼女を誘拐したことになっちゃうかな」
桜井桃子「何で、全部わかってるのに・・・・・・」
〇部屋の前
ボスがドアの方を見ている。
ボス「警察は安全な証拠じゃない限り使えないんだよ」
ボス「だから」
ボス「出ておいで」
〇ストーカーの部屋
桃子が机を勢いよく叩く。
桜井桃子「私だって出ていきたいよ!」
桜井桃子「でも、できない」
桜井桃子「聞こえてくるんだ」
〇部屋の前
里香が涙を流し、顔を覆う。
ボス「何が聞こえてくるの?」
桃子「私のこと」
桃子「祐一と付き合ったからって」
桃子の叫び声が響く。
里香がシクシクと泣き、膝から崩れる。
ボス「そんなこと言う人はいないよ」
桃子「いるんだよ!」
ボス「小沼君はもうサッカーを辞めてる」
ボス「プロを嘱望されてる小沼君を狙う子はもういない」
ボス「だから」
ボス「こっちにおいで」
〇ストーカーの部屋
桃子が立ち上がり、ドアの方へ向かう。
女子高生A「何であんな奴が小沼君と!」
女子高生B「とりま一発ヤラせたらしいよ」
女子高生C「それを理由に脅してるみたいよ」
ボス「知ってると思うけど」
桃子がハッと顔を上げる。
ボス「桃子ちゃんが引きこもってから」
ボス「小沼君は寄ってくる女の子と次々に関係をもった」
桃子がドアの方に向かい、歩き出す。
女子高生A「小沼君、この前の試合でゴールを外したらしいよ」
女子高生B「さげまんじゃん、アイツ」
女子高生C「ってか毎日押し倒してるらしいよ」
女子高生A「うわ、ビッチじゃん」
女子高生B「その調子で他の男とも?」
女子たちの笑い声が桃子の頭の中で響き渡る。
桃子が膝から崩れ落ちる。
ボス「関係を持った女の子の一人が子供を妊娠」
ボス「小沼君はその子を避けるようになった」
桃子が立ち上がり、ドアの方へ歩き出す。
女子高生たちの笑い声が桃子の頭の中で響き渡る。
桃子が一歩一歩懸命に進む。
ボス「その女の子が学校に告発」
ボス「小沼君はサッカー部を退部になった」
桃子がドアノブに手をかける。
桃子がウっとなり、口をおさえる。
〇部屋の前
ボス「もう、色々と変わっちゃってるんだ」
ボス「少なくとも桃子ちゃんを気にしてる人なんてもういないんだよ」
ボス「だから」
ボス「出ておいで」
桃子がドアから出てくる。
桃子が嘔吐し、激しくせき込む。
ボスは桃子に優しく微笑み、
ボス「初めまして」
桜井桃子「眩しい」
ボス「大丈夫」
ボス「すぐに慣れるよ」
桜井里香「桃子ーーー!!!」
里香が膝から崩れ落ちる。