読切(脚本)
〇渋谷駅前
ここは東京
日本中でもっとも人が過密するこの地は、あらゆる人が集まる
人種のるつぼといっても過言ではない
そしてこの渋谷スクランブル交差点は、
1回の信号で3000人。
1日で概算すれば50万人もの人が渡る。
こんなに人がいるならば、
運命の人とすれ違う確率だって
段違いのはずなのだ・・・!
七夢「うわーん! またハンカチを拾ってもらえなかったよぉ! 本当にここで運命の相手に出会えるのぉ?」
天使のユア「そ、そのはずなのだわ! だって天界の運命手帳では」
天使のユア「今日スクランブル交差点でハンカチを拾った相手が七夢(ななむ)ちゃんの運命の相手だって書いているのだもの!」
彼女はひょんなことから私の傍についた天使のユアちゃん
私を運命の相手と出会えるように
サポートしてくれる可愛い女の子だ
でもちょっとサポートが大雑把で少し困っちゃう
ハンカチを拾った相手が運命だっていうけど
もう今日1日で何回ハンカチを落としては自分で拾いにいったことか・・・
七夢「モチベあがんない! ユアちゃんなんか盛り上がること言って!」
天使のユア「え、ええ!? えーと、えーっと、あ、イ、イケメンらしいのだわ!」
七夢「ふんふん どんな?」
天使のユア「あの、高身長で目がキリっとしててクールな感じなのだわ!」
七夢「性格は?」
天使のユア「性格は何事にも冷静で合理的・・・ 人をばっさり切り捨てることもあるみたい まるで氷みたいなのだわ」
天使のユア「ああでも、過去にトラウマがあってそれが原因で人に冷たいみたいだわ」
七夢「なるほどぉ それを七夢が優しく抱きしめて彼の氷を溶かしてあげるって感じなのね いいじゃんいいじゃん やってやろーじゃん」
私のモチベは再度上がった。
イケメンは大好きだ
七夢(『あの・・・ハンカチ落としましたよ?』 『あっすみません私ったら!』 なーんて!)
それから1日中
何度もスクランブル交差点で
ハンカチを落としては自分で拾った
〇渋谷駅前
そして黄昏時、ついにその時が来た
男「おぬし、手拭を落としたぞ」
七夢(高身長でキリッとしたクールなイケメン!)
七夢「貴方が私の運命の相手なのね!」
私は桜花を纏ったステッキで魔法を唱えた!
七夢「先手必勝!私の夢に抱かれて溺れなさい! 夢夜の桜吹雪(ドリームナイトブロッサム)!」
けれど氷の壁が突如現れ、防がれる
男「お主、なにやつ・・・!」
天使のユア「すごい反応速度なのだわ! 七夢ちゃん気を付けて!」
七夢「わかってるわよぉ! けど、運命の相手(ディスティニー・プライド)を全員倒さないと、 私の夢は叶えられないんでしょ!」
七夢「だったら無理にでも、勝つ!」
男「そんなことはさせぬ! 儂が優勝するのじゃ! そして、元の時代に帰らねば・・・!」
吸血鬼「おやおや 楽しそうなことをしておりますね この夜の魔物の吸血鬼も混ぜていただけませんか?」
突如 蝙蝠の群れと共にもう一人現れる
戦いは三つ巴の様相になった
七夢「はあああ!」
男「うおおお!」
吸血鬼「ハーーッ!」
〇渋谷のスクランブル交差点
ここは東京
強烈な運命力(うんめいぢから)によって
あらゆる人が集まるこの地は
魔法少女も時間旅行者も吸血鬼もいる人種のるつぼだ。
この前は異世界から来た魔王にも会ったし、休暇中のイエスとブッダにも会った
そして色々な人が集まると言うことは、
思想の違いから戦いが起きやすいということでもある
そして渋谷スクランブル交差点はその強烈なアクセスの良さと知名度から
しばしばデスゲームや抗争の舞台にされがちだ
巻き込まれる一般人はたまったものじゃない
けれど世界で一番ドラマチックなことが起きている街でもあるのだ
楽しい街、渋谷。
ここに来れば、貴方も運命の相手に出会えるかもしれない
運命の相手って、そういうことだったんですね!とても斬新でおもしろかったです。渋谷は本当にいろんな人がいるんだなあと感心しました。
序盤の乙女な女の子のお話とは打って変わり、
最後は展開が読めず「こうきたかー!」となりました😂笑
表紙がとても可愛いです😊✨
ハンカチを拾ってくれた運命の相手、どこかで聞いたことがあるような、ないようなフレーズですが、新鮮味を帯びた感じがしてとてもよかったと思います。