エピソード3(脚本)
〇警察署の入口
〇警察署の廊下
〇研究施設のオフィス
刑事たちがちらちらとプライドと根本の方を見る。
プライドが根本の足にしがみついている。
プライド「お願いします」
プライド「あなたしかいないんです!」
プライド「サイバー対策のスペシャリストにして」
プライド「新進気鋭のプログラマーであるあなたしか!」
根本丈瑠「だから!」
根本丈瑠「上司の許可を取らないと!」
プライドが根本の靴を舐め始める。
根本丈瑠「な、何?」
根本丈瑠「何!?」
根本は自身の足をプライドからどかそうとする。
プライドは根本の足を力いっぱいに掴む。
プライド「私にはこれくらいしかできることはありません!」
プライド「どうかお願いします!」
根本丈瑠「わかった!」
根本丈瑠「わかりましたから!」
〇ストーカーの部屋
桃子が一心不乱にキーボードをたたく。
PC画面には鍵穴の写真。
桜井桃子「祐一、絶対に助ける」
〇雑誌編集部
プライドがソファに座っている。
PCを操作する根本の靴がピカピカに光っている。
ボスとギャル、中二が根本の操作するPC画面を覗く。
画面には本山組事務所内のライブ映像が映し出されている。
ギャル「あ、彼氏だし!」
中二「と、いうことは敵組織のスマホをハックしていると?」
根本丈瑠「まあ、フェイク動画の可能性も・・・・・・」
ボス「これがフェイク動画だとして得をするのは誰なんでしょう?」
根本丈瑠「そ、それは・・・・・・」
ボス「ごめんなさい」
ボス「こっちで考えることでしたね」
ボス「それよりもどこから来たか特定できそうですか?」
根本丈瑠「明日までには」
ギャル「え~、もっと早くできないし?」
プライド「フン!」
プライド「ネット対策班のエースと言われる割には大したことないな!」
根本丈瑠「え~」
ボス「お願いしてもいいですか?」
根本丈瑠「ええ。ではこのファイル・・・・・・」
ボス「クラウドで共有しましょうか」
根本丈瑠「助かります」
根本はキーボードを素早く叩く。
根本丈瑠「では、失礼します」
ボス「さてと、明日までゆっくり・・・・・・」
ギャル「あ、また何か送ってきたし!」
ボス「本山組事務所のマスターキーのモデリングデータ?」
プライド「3Dプリンターでコピーするか」
ギャル「借りてくるし!!」
プライド「しかし何者だ、こいつ」
中二「もしや囚われの身の幼子!?」
ボス「それはないかな」
ボス「スマホ取り上げられてるだろうし」
プライド「また来たぞ」
プライド「これは、チャット画面?」
中二「これは、本山組が次の幼子をとらえるための策略!」
ボス「凄い泣いてる、この子」
プライド「は?」
ボス「よっこいしょっと」
ボスが椅子に座り、マウスを動かす。
中二「何を?」
ボス「ちょっと調べもの」
ボスが小沼の顔をズームアップする。
〇一戸建て
〇ストーカーの部屋
桃子が一心不乱にキーボードを叩く。
画面には本山組組員のスマホから映っていると思われる映像。
桜井桃子「私ができることは」
桜井桃子「可能な限りの証拠を警察に送ること」
PC画面に黒いウィンドウが表示される。
桜井桃子「チッ、面倒だな」
桃子がキーボードを叩いていく。
〇研究施設のオフィス
根本が一人、キーボードを叩く。
根本丈瑠「何なんだよ、このコードは!?」
根本が頭を搔きむしる。
〇屋敷の門
〇畳敷きの大広間
裸で縛られた小沼が寝転がっている。
小沼はシクシクと泣いている。
扉がゆっくりと開かれる。
小沼がビクッとなる。
ネグリジェ姿の修子が入ってくる。
本山修子「ゴメンね、驚かせちゃった?」
小沼祐一「い、いえ」
修子はクスクスと笑い、小沼の隣に寝そべる。
本山修子「ゴメンね、怖かったでしょう」
修子は小沼の胸に手を這わせる。
小沼祐一「な、何を」
本山修子「あの人、本当は怒っていないのよ」
本山修子「ただ、組員の前では体裁があるから」
小沼祐一「え? どういうことですか?」
本山修子「どうでもいいじゃない」
小沼祐一「いや、全然よくない・・・・・・」
修子が小沼の耳に息を吹きかける。
小沼祐一「ハフッ!」
本山修子「今は全てを忘れて楽しみましょう」
修子は小沼の体をゆっくり撫でていく。
小沼祐一「い、いや! 旦那さんと言おうか組長さ・・・・・・」
修子が小沼の耳に息を吹きかける。
小沼祐一「ハフーン!」
部屋の隅の監視カメラが赤く光る。
〇明るいベランダ
本山が葉巻を吸う。
小沼と修子の声が微かに聞こえてくる。
本山は煙を勢いよく吐き出す。