〇洞窟の深部
　　林檎たちは、桜の姿を探して細い通路を進んだ。
　　開けた場所に出ると、渦巻く闇の中に倒れた桜の姿があった。
朝陽林檎「桜ちゃん！」
苗場桜「うぅぅぅぅぅ・・・」

〇黒
苗場桜「一人ぽっちは・・・嫌・・・」
　　「ならば、俺たちと結婚しろ」
　　「一緒に暮らせ・・・
　　　俺たちと・・・」

〇魔物の巣窟
　　魔霊たちが一斉に桜の元に迫る。
苗場桜「ぁぁぁぁ～！」
　　「嫌なら心を壊して死ね！」
苗場桜「きゃぁぁぁぁ～！」

〇洞窟の深部
苗場桜「結婚なんかしない。後で苦しむだけ」
苗場桜「恋なんか病気と同じ。 熱くなればなるほど重病になるんだから」
苗場桜「人を好きになる。嫌いになる くだらない！」
朝陽林檎「桜ちゃん！」
苗場桜「離れろ！」
朝陽林檎「桜ちゃん、わかって・・・」
苗場桜「うるさい！ あんたは恋の悩みでも楽しんでれば。どうせ後で泣くんだから！」
朝陽林檎「桜ちゃんは自分が傷つくことを知ってる。それでも、わざと悪態をついるんだよね」
苗場桜「違う、引っ込んでろ！ 余計な口出しするな!!」
朝陽林檎「気を確かに持って！」
苗場桜「! ・・・」
苗場桜「な、なんであんたなんかに？」
　　叩かれた頬に手を触れる桜を、林檎は強く抱きしめた。
朝陽林檎「私、悪態をつく子、生意気ぶる子って・・・好きだよ」
雪代椿「わたくしも」
武笠蘭「その通りだ」
苗場桜「ぅぅぅぅぅ・・・」
朝陽林檎「桜ちゃん、あなたは孤独なんかじゃない。みんなから愛されてるよ」
　　林檎のペンダントのダイヤから聖なる光が溢れる。
　　その光に共鳴して桜の胸元のサファイアが輝きに満ち溢れた。
苗場桜「!!」
苗場桜「みんな・・・」
苗場桜「そんなにきつく絡みつかないで！ 苦しいでしょ」

〇暗い洞窟
武笠蘭「出口はどこ？」
雪代椿「入口があったのです。 必ず出口はあるはずですわ」
苗場桜「でも、このままじゃ・・・」
朝陽林檎「そうだ、ウエディング天使になって・・・出口を探してみない？」
苗場桜「うん！ やってみよう」
朝陽林檎「マニフェステイション・オブ・ラブリィ・エンジェル・アップル」
苗場桜「マニフェスティション・オブ・フェイスフル・エンジェル・チェリー！」
雪代椿「マニフェステイション・オブ・ブレイブ・エンジェル・カミーリア！」
武笠蘭「マニフェステイション・オブ・エモーション・エンジェル・オーキッド！」
　　変身したアップルたちは、出口を求めて周囲を探索する。
　　すると遠く前方に、かすかに輝く二つの光があった。
チェリー「あっちかも！」
カミーリア「出口に違いないですわ！」
　　二つの光に向かって走る愛天使たち。
　　その光は──魔霊、魔ダークの眼だった。
「ああっ！」
魔ダーク「闇の穴で心が壊れなかったか。 誉めてやろう」
魔ダーク「だが、これまでだ。 心ではなく命が壊れてしまえ！」
「わっ！」
　　妖気をかわした四人は、互いに顔を見合わせて頷き合う。

〇水玉2
アップル「お色直し！」
「ア・ブライズ・チェンジ・オブ・コスチューム」

〇暗い洞窟
魔ダーク「フッ、この魔ダークと戦うつもりか。 面白い。俺に勝てるのか」
アップル「幻を見せ、人の心を壊すあなたの力は認めましょう」
カミーリア「でも、わたくしたち──」
オーキッド「もう幻覚には騙されない」
チェリー「勝負するなら──」
アップル「愛天使４人が受けて立ちます」
魔ダーク「黙れ！ 命が壊れろ!!」
　　魔ダークが妖気を噴出すると、煙に紛れて奇怪な魔物たちが出現した。
　　魔物たちは愛天使めがけて一斉に襲い掛かる。
チェリー「私は一人ぽっちじゃない！ フラワー・ブリザード！」
魔ダーク「生意気な。食らえ！」
　　再び妖気を噴射すると、今度は獰猛な狼の魔霊が浮き上がる。
オーキッド「獣め！ 私が女で悪いか？ ゴンドラ・シューター！」
魔ダーク「クッ、だったらこれでどうだ！」
　　妖気に紛れて出現した鬼が、カミーリアに襲い掛かる。