エピソード2(脚本)
〇ストーカーの部屋
桃子がPC画面を見ながら震えている。
PC画面には小沼が小塚や組員たちに蹴られている様子が映し出されている。
桜井桃子「い、行かなくちゃ」
桃子は椅子から立ち上がりドアに向かう。
桃子がドアノブに手をかける。
桜井桃子「ウッ」
桃子がしゃがみ込み口元を抑える。
胃液を飲み込む音が鳴る。
桃子が仰向けに倒れる。
〇警察署の入口
〇警察署の廊下
〇雑誌編集部
ギャルがスマホをいじる。
中二は漫画を読んでいる。
プライドは部屋の隅でのけ反りながら椅子に座っている。
ボスが膨れたお腹をさすりながらイヤホンマイクで会話をしている。
ボス「じゃあ、幼女誘拐は確定なんですね」
ギャルと中二、プライドがボスを見る。
〇公園のベンチ
クールがベンチに座り、電話をしている。
両脇にはたくさんの食材が入った買い物袋が置かれている。
クール「ええ」
クール「手塚の奥様がわざわざ写真を見せてくれたわ」
クール「後で送るわね」
ボス「お願いします」
クール「じゃあ、私はこの件から降りるけど・・・・・・」
ボス「お子さん、受験ですよね?」
ボス「頑張ってくださいね」
クール「そっちは身重なんだから無理するんじゃないよ」
クール「私も準備はしておくから」
ボス「助かります」
クール「お互いクールに頑張りましょう」
クールは通話を切り、買い物袋を持って立ち上がる。
クールが颯爽と歩いていく。
〇雑誌編集部
ボスがイヤホンマイクを外す。
プライドとギャル、中二がボスを見る。
ギャル「クール、元気にしてたし?」
ボス「うん、相変わらずって感じだったよ」
プライド「幼女誘拐は確定みたいだな」
ボス「ええ、証拠の写真もあるみたいです」
ギャル「彼氏に何かしてもらうし?」
ギャルがスマホをかざす。
ボス「彼氏?」
ギャル「え、演技だし!」
ギャル「そもそも組員と仲良くなれって言ったのボスだし!」
ボス「まあ、そうだね」
プライド「何だって本山組が幼女を?」
ボス「理由はシンプルだと思いますよ」
中二「どちらにしろ始まるのですね」
中二「終焉の宴を阻止する戦いが」
ボス「うん、そんな感じでいいと思う」
ボスがPCの前に移動する。
ギャル「無理するなし!」
ギャル「私がやるし!」
ボス「もう、病人じゃないんだから・・・・・・」
中二「か弱き稚児には重労働かもしれぬゆえ・・・・・・」
ボスがため息をつく。
〇ストーカーの部屋
桃子が息を荒げながらキーボードを一心不乱に叩く。
桃子が息を吐き、水を飲む。
桜井桃子「後はタイミングを待つだけ」
桃子がPC画面を凝視する。
〇一軒家
〇明るいリビング
クールが買い物袋を床に置き、ソファに寝そべる。
クール「さて、写真を送信っと」
クールがスマホで写真を送信する。
〇ストーカーの部屋
桃子がPC画面を凝視している。
画面の一部が点滅する。
桜井桃子「来た!」
桃子はキーボードを一心不乱に叩く。
〇雑誌編集部
ギャルと中二がPC画面を凝視している。
ボスとプライドはソファに座っている。
プライド「お前を心配しての行為だからな」
ボス「わかってます」
ボス「ホント、いい子たち」
ギャル「凄いし!」
ギャル「いっぱい来てるし!」
中二「何たる所業の数々」
中二「裁きを下さねば!」
ボス「いっぱい?」
ボスがゆっくり立ち上がりPCの方へ向かう。
ボス「ちょっと見せてね」
ボスがPC画面をのぞき込む。
動画や音声ファイルが数十件送られてきている。
ボスがファイルの1つをクリックする。
小沼が小塚や組員たちにボコボコにされている動画が映し出される。
ボス「へえ」
プライド「奥さんを寝取った男をリンチか」
中二「他のファイルもリンチ関連のもの」
プライド「しょっ引くには十分だが、うちらの案件じゃねえぞ」
ギャル「クールが間違えたし!?」
ボス「ううん、どこかにリンチじゃないのがあるはず」
ボスが部屋を出ていこうとする。
プライド「どこに行くんだ?」
ボス「ネット対策班のところへ」
プライド「やっぱりこれはハッキングされて送られてきたものか」
プライド「だが対策班ならとっくに動いているんじゃないか?」
ボス「まあ、念のため?」
ボスが出ていこうとする。
プライド「待て」
プライド「俺が行こう」
ボス「大丈夫ですよ、お使いくらい」
プライド「俺もな、妊婦に仕事させてじっとしているなんてプライドが許さないんだよ」
プライドがボスの肩をポンと叩き颯爽と去る。
ギャル「プライド、かっこいいし」
ボス「そうだね」