第10話『やりたいこと』(脚本)
〇電器街
星川アサヒ「色々と買い物したし どこかで休憩でもするか」
星川夜「そうね、陽奈ちゃんも疲れちゃったよね」
月「う、うん」
ルティエル「コンカフェ興味ありませんか?」
月「わっ」
ルティエル「ごめんなさい 驚かせちゃった?」
星川夜「気にしないでください 人見知りなんで」
月「可愛い」
星川夜「お店に案内していただけませんか?」
星川夜「この子、メイドさんのこと 気になってるみたいなんで」
ルティエル「はい」
〇カウンター席
ルティエル「こんなに可愛いお嬢様初めて」
月「・・・・・・」
星川夜「陽奈ちゃん、褒められて良かったわね」
月「わ、わたし、お姉さんみたいに」
月「可愛いメイドさんになりたい」
ルティエル「本当? 嬉しい!」
ルティエル「高校生になったら うちでお給仕出来るから その時に来てね」
ルティエル「一緒にお給仕しましょう」
月「はーい」
星川夜「良かったね、陽奈ちゃん」
〇豪華なリビングダイニング
月「ママ! またあのメイドさんに会いに行こう!」
星川夜「最近そればかりね」
星川夜「最近ちょっと忙しいから、落ち着いたらね」
月「うん!」
星川夜(本当に楽しかったのね)
〇雑居ビルの一室
月「お店ない」
星川夜「閉店しちゃったみたいね」
月「お姉さんに会えない」
星川夜「ごめんね ママがちゃんと調べればよかったね」
月「でも、メイドさんになれば また会えるかも」
〇電器街
月「どこ探してもお姉さんいないな」
月「もうお店で働ける年齢になったのにな」
えるる「コンカフェ興味ありませんか?」
月「ありがとうございます」
月「また今度行きますね」
えるる「いつでもお待ちしてます」
月「ふれてんかぁ」
〇教室
「陽奈」
「ねえ、陽奈」
田村「陽奈、大丈夫?」
月「あ、ごめん」
月「ちょっとぼーっとしてた」
田村「珍しいね」
月「小さいときのこと思い出してた」
田村「そうなんだ」
田村「それより、進路希望出した?」
月「うん、とりあえず大学進学かな」
月「だから、文系コース選ぶよ」
月「でも早いなぁ もう進路考えないといけないのか」
田村「そうだね」
田村「でも、将来やりたいこととか 特に決まってないんだよね」
田村「陽奈は?」
月「私もかな」
田村「だよねー」
月「・・・・・・」
月「やりたいことか」
月「・・・・・・あの人みたいに」
田村「あの人?」
〇メイド喫茶
あみーな「へえ、進路希望か」
あみーな「私は最初普通に働いてたけど メイドさんに憧れてここで働き始めたの」
あみーな「ふれてんで働けて良かったと思ってるよ」
月「そうだったんですね」
月「私はメイドさんに憧れてなりました」
あみーな「そっか」
あみーな(前に月ちゃんのママが言ってた人か)
あみーな「月ちゃんが面接に来た日のこと 今でも覚えてるよ」
月「えっ!?」
〇メイド喫茶
月「凄い緊張する」
あみーな「こんにちは」
月「こんにちは!」
月「本日、面接の予約をさせていただいた 星川陽奈です」
あみーな(笑顔が素敵な子だな)
あみーな(面接しなくても合格だよ)
あみーな「じゃあ、こっちに来て」
月「はい!」
〇メイド喫茶
月「すみません、面接の時緊張しすぎて ほとんど何話したか覚えてません」
あみーな「気にしないの」
月「私、ふれてんでお給仕できて 本当に良かったです」
あみーな「ありがとう」
月「・・・・・・」
〇女性の部屋
月「・・・・・・」
月「私って何がしたいんだろ」
月「・・・・・・」
〇教室
月「・・・・・・」
田村「ねえ、陽奈」
月「ん?」
田村「どうしちゃったの?」
月「なんでもない」
田村「・・・・・・」
〇メイド喫茶
月「ありがとうございました」
月「またのご帰宅お待ちしてます」
モンスター石井「またね」
あみーな「月ちゃん」
あみーな「どうしたの? 調子悪いの?」
月「あ、いえ、すみません」
あみーな「調子悪いなら早退していいよ」
月「何でもないです」
あみーな「あの月ちゃんが珍しい」
田村「こんにちは」
あみーな「おかえりなさいませ お嬢様」
あみーな「あ、月ちゃんのお友達のタムーちゃん」
月「あ、田村ちゃん」
月「おかえりなさいませ」
田村「久しぶりに来ちゃった」
あみーな「ゆっくりしていってくださいね」
月「どうしちゃったの? 急に」
月「いつもだったら連絡くれるのに」
田村「陽奈の様子がおかしいから来ちゃった」
月「ごめんね そんなに変だった?」
田村「うん いつもの陽奈らしくないなって」
月「そんなつもりなかったんだけどな」
月「ごめんね 心配かけて」
田村「気にしないで」
あみーな「月ちゃん」
月「はい」
あみーな「タムーちゃんとお話中、悪いけど」
あみーな「タケゾーさん来たから、付いてもらえる?」
田村「気にせず行ってきて」
月「はい」
月「田村ちゃんまたね」
田村「やっぱ、変」
あみーな「タムーちゃんもそう思う?」
田村「はい」
田村「今日はそれで相談に来たんです」
あみーな「うん 私も聞きたい」
〇メイド喫茶
月「お先に失礼します」
あみーな「気を付けて帰ってね」
月「はーい」
あみーな「・・・・・・」
〇メイド喫茶
あみーな「小さい時のことを思い出してた?」
田村「はい」
田村「それで、『あの人みたいに』って 小さく呟いてたんです」
あみーな「あの人か」
田村「それって多分陽奈が 憧れてた人のことだと思うんです」
あみーな「私もそう思う」
〇メイド喫茶
あみーな「・・・・・・」
あみーな「あのー、オーナー お願いがあるんですが」
〇教室
数日後
田村「陽奈、一緒に帰ろうよ」
田村「今日はお給仕ないんだよね?」
月「うん」
〇大きな木のある校舎
田村「ねえ、どこかに寄り道して帰らない?」
月「いいよ」
〇学校脇の道
月「どこに行くの?」
田村「それは着いてからのお楽しみ」
月「ねえ、田村ちゃん」
田村「ん? 何?」
月「私ね、ふれてん辞めようと思う」
田村「なんで?」
月「ある人に憧れて コンカフェでお給仕始めたけど 小さい時のことを思い出す度に」
月「何で、始めたんだろうって考えちゃうの」
月「あの人と一緒にお給仕したいって」
月「あの人がいないんじゃ意味ないって」
田村「そっか 陽奈が決めたなら私は止めないよ」
田村「ただお給仕してるときの陽奈は 凄く楽しそうだったし輝いてた」
田村「お給仕のお話ししてくれる時も 本当に嬉しそうだった」
田村「私も聞いてて、それが凄い伝わってきたよ」
田村「私は向いてると思うけどな」
月「そうかな」
〇駅のホーム
月「どこに行くの?」
田村「さあ、どこでしょう」
〇電器街
月「ここって」
田村「陽奈の大好きな場所があるところだよ」
〇メイド喫茶
田村「今日は私の奢りだから」
月「えっ? えっ?」
あみーな「おかえりなさいませ お嬢様」
月「あ、はい」
月「そういえば、お嬢様として来たの初めてかも」
あみーな「では、こちらのお席へどうぞ」
月「チャージでオレンジジュースお願いします」
田村「同じで」
あみーな「はーい」
月「あ、あのちょうど良かった」
月「店長、お話があります」
あみーな「ん? 何かな?」
月(言わないと)
月(言うんだ!)
あみーな「ごめんね 飲み物持ってくるから 少し待っててね」
月「はい」
月「・・・・・・」
田村「言おうとしたの?」
月「うん」
月「でも、迷っちゃった」
田村「そんな急ぐなって」
「ドリンクお待たせしました」
月「はい ありがと・・・・・・」
ルティエル「どうぞ」
月「・・・・・・」
〇カウンター席
ルティエル「こんなに可愛いお嬢様初めて」
月「・・・・・・」
星川夜「陽奈ちゃん、褒められて良かったわね」
月「わ、わたし、お姉さんみたいに」
月「可愛いメイドさんになりたい」
ルティエル「本当? 嬉しい!」
〇メイド喫茶
月「も、もしかしてお姉さんですか?」
月「メルティーエンジェルの」
ルティエル「覚えていてくれたの?」
月「もちろんです」
月「お姉さん、たくさん探したんですよ」
ルティエル「ごめんね あの後すぐに閉店しちゃって」
ルティエル「私もコンカフェから距離を置いてたの」
月「そうだったんですか?」
月「でも、どうして?」
ルティエル「この前、お給仕してた時のオーナーから 急に連絡きて店長にあって欲しいって 言われたの」
〇メイド喫茶
あみーな「オーナーお願いします」
あみーな「探してほしい人がいるんです」
〇テーブル席
あみーな「突然お呼びしてすみません」
↑
※ルティエルさん
ルティエル「いえ」
あみーな「メルティーエンジェルで働いて いらっしゃったんですよね?」
ルティエル「はい 4年ぐらい前になりますけどね」
↑
※ルティエルさん
あみーな「この子、覚えてますか?」
ルティエル「この子は!? もしかして!?」
〇女の子の一人部屋
田村「えっ!? 見つかったんですか?」
田村「分かりました 陽奈を誘って行きますね」
〇メイド喫茶
月「田村ちゃん、店長ありがとう」
田村「私は何もしてないよ」
田村「店長さんにお礼は言ってね 色々とやってくれたんだからね」
あみーな「私もオーナーに電話しただけだし 月ちゃんの異変に気付いた 友達想いのタムーちゃんに感謝してね」
月「2人ともありがとうございます」
田村「そんなことよりも」
あみーな「ふたりでお喋りしてね」
田村「ほらほら」
田村(陽奈、報われて良かったね)
ルティエル「あのお嬢様が、こんなに大きくなって」
ルティエル「ちゃんと約束守ってくれたのに 私は守れなくてごめんなさい」
月「いいんです」
月「また会えたんですから」
ルティエル「それでは、お嬢様 本日はたくさん楽しみましょう」
月「はい!」
〇メイド喫茶
月「ハハハ」
月「そっか」
月「そうなんだ」
月「こんなに楽しかったんですね」
月「私、危うく辞めちゃうところでした」
ルティエル「でも、考え変わったんだよね?」
月「はい!」
月「私がお姉さんに笑顔にしてもらったように」
月「私も多くの人を笑顔にできるような コンカフェのキャストになりたいです」
田村「やりたいことが決まったみたいだね」
月「うん! まずは100人!」
月「私を推してくれる人を作りたい!」
ルティエル「きっと陽奈ちゃんなら出来るよ」
ルティエル「後ね」
ルティエル「陽奈ちゃんに言いたいことあるの」
月「何ですか?」
ルティエル「またコンカフェで働いてみようかな」
ルティエル「今日、久しぶりにお給仕してみて 楽しかったこと思い出しちゃった」
月「本当ですか?」
月「どこで働くんですか!?」
田村「陽奈、落ち着きな」
月「ごめん」
ルティエル「まずは、ふれてんの面接受けないと」
月「わあぁ」
あみーな「はい! 採用!」
あみーな「即戦力かつ衰えないお給仕力」
あみーな「他のお店に引き抜かれたら困る!」
ルティエル「良かった」
月「やったああ」
月「これから一緒に働けますね」
ルティエル「そうだね!」
〇電器街
田村「楽しかったね」
月「うん」
月「お給仕してもらえるって あんなに楽しかったんだね」
田村「そうだよ」
月「私、また頑張る気になったよ」
月「ありがとうね 田村ちゃん」
田村「どういたしまして」
〇メイド喫茶
月「ついに夢が叶った!」
ルティエル「感無量ってこういうことを言うんだね」
ルティエル「本業があるから多くは出れないけど 戻って来れて嬉しい」
月「私も嬉しいです!」
ルティエル「あ、ご主人様がご帰宅されたみたい」
月「わくわく」
推し斬りタケゾー「こんにちは!」
月「おかえりなさいませ タケゾーさん」
ルティエル「おかえりなさいま、、、」
ルティエル「あ、タケゾーさん!?」
推し斬りタケゾー「えっ? ルティエルさん?」
月「あれ? お知り合いなんですか?」
ルティエル「うん」
推し斬りタケゾー「自分がコンカフェに通い始めて 最初に出来た推しだった人」
ルティエル「うん」
月「・・・・・・んーー?」
ルティエル「そのあとすぐに閉店しちゃったんだよね」
月「あらぁぁ??」
あみーな(原因はあんただったんかい)
〇メイド喫茶
次回予告
過去を振り返り
探し続けていた人と再会を果たせた月
ついに夢を叶えることができた
そんな彼女に最後の試練が立ちはだかる
次回最終話
『生誕祭!』
この徹頭徹尾心を打つ回が……💕 特に田村ちゃんは反則的にステキすぎます🥰
あみーな店長とルティエルさんの会話シーン、何というか別業種をイメージしそうなビジュアルの強さでしたねー😂 お二人のビジュアルでは、ガールズバーやキャバk……ええと、 ま、女性って化粧やらナニやらで化けますからネェ(震え声)
さんざん心揺さぶってからのタケゾーさんオチって…🤣