第1話『処女を守る旅人』(脚本)
〇車内
相馬遙「誰か、あの子達を守って」
相馬遙「・・・」
〇ファンタジー世界
この世界は狂っている
生者と死者が邂逅し
簡単には見分けはつかない
〇美しい草原
過去の人のために会うために
今を生きる人は旅に出る
それは希望かそれとも絶望か
誰にも分からない
〇美しい草原
c級モンスター「グオオオ」
相馬一貴「ルルの処女は俺が守る!」
吉良ルル奈「戦闘中に何言い出してんだ!」
相馬一貴「戦闘で負けた女の子は 酷いことされるだろ?」
吉良ルル奈「されるか!」
吉良ルル奈「アレイオワは 12歳以上対象だ!」
相馬一貴「とにかく倒す!」
c級モンスター「グゴゴゴ」
吉良ルル奈「剣士なのに 何で殴ってるの?」
相馬一貴「武器忘れた」
吉良ルル奈「商売道具だろ」
吉良ルル奈「ていうか、過保護すぎ! 私だって戦えるよ!」
相馬一貴「俺はルルを守るって決めたんだ」
相馬一貴「それがゲームだってな」
吉良ルル奈「まったく」
吉良ルル奈「年上のくせに ちょっと子供っぽいんだよな」
相馬一貴「今日は落ちるか」
吉良ルル奈「うん 宿屋行こう」
〇ヨーロッパの街並み
〇ヨーロッパの街並み
吉良ルル奈「今の人たちは生者かな」
相馬一貴「俺らには見分けつかないからな」
吉良ルル奈「死者に会える世界になるなんて 思わなかったよ」
相馬一貴「そうだな」
吉良ルル奈「パパとママに会えるかな」
相馬一貴「会えるさ」
〇ホテルのエントランス
相馬一貴「お先!」
吉良ルル奈「うん」
kazuがログアウトしました
吉良ルル奈「じゃあ私も」
レターが届きました
吉良ルル奈「誰からだろ?」
〇おしゃれなリビングダイニング
吉良ルル奈「今日も楽しかった」
相馬一貴「ああ」
相馬一貴「でも、父さんと母さん なかなか見つからないな」
吉良ルル奈「そうだね」
吉良ルル奈「・・・」
相馬一貴「考え事か?」
吉良ルル奈「な、何でもない!」
吉良ルル奈「すぐにご飯にするね」
相馬一貴「何だったんだ?」
相馬由美「おはよう」
相馬一貴「姉さん、もう夜だって!」
相馬由美「本当だ、朝の7時かと思ってたわ」
相馬一貴「投資家は大変だね」
相馬由美「夜にチャートが動くから 目が離せないの」
相馬由美「またアレイオワ?」
相馬一貴「うん 今日もダメだった」
相馬由美「それは残念だね」
相馬由美「でも若いうちはたくさん遊べ!」
相馬由美「人生の半分以上は 働かないといけないんだ」
相馬一貴「嫌なこと考えさせないでよ」
相馬一貴「アレイオワ勧めてくれたの姉さんだろ?」
相馬由美「そうだったわね」
相馬由美「でも、アレイオワで獲得した アイテムをリアルで売る手段悪くないわ」
相馬由美「下手に働くより稼げるからね」
相馬一貴「サービス開始から持ってるアイテムが 高騰して助かってるよ」
相馬由美「あの件で人気が爆発したからね」
相馬一貴「姉さんもやる?」
相馬由美「誘っといてあれだけどやめとくわ」
相馬由美「チャートを見つめてる方が 性に合ってる」
相馬一貴「そっか」
相馬由美「誘ってくれてありがとう!」
「2人ともご飯だよ!」
相馬一貴「おう!」
相馬由美「・・・」
〇家の廊下
相馬由美「もう12時なのに、ルル奈ちゃん まだ起きてるわね」
〇おしゃれなリビングダイニング
相馬一貴「やけに眠そうだな」
吉良ルル奈「はっ!」
吉良ルル奈「なかなか寝付けなくてね」
相馬一貴「徹夜麻雀も程々にしとけよ」
吉良ルル奈「してねえよ!」
吉良ルル奈「🎵」
相馬一貴「機嫌良さそうだな 何かあった?」
吉良ルル奈「後で教えてあげる! 一貴もきっと喜ぶよ」
相馬一貴「おう!」
吉良ルル奈「そっちは2限から?」
相馬一貴「ああ」
吉良ルル奈「大学生羨ましい!」
相馬一貴「ルルも来年は大学生だろ?」
吉良ルル奈「早くなりたい」
相馬一貴「絶対女子大だからな」
吉良ルル奈「はいはい」
吉良ルル奈「でも一貴と同じ大学に入るつもり」
相馬一貴「そのときは、俺がルルの処女を守る!」
吉良ルル奈「毎回大声でキモいわ!」
吉良ルル奈「外でそれ絶対言わないで!」
吉良ルル奈「一貴じゃなくて私が終わる」
相馬一貴「変な男に何かされないか心配なんだ」
相馬一貴「ほら、ルル可愛いだろ?」
吉良ルル奈「褒められてるんだけど 素直に喜べない」
吉良ルル奈「うち女子校だから大丈夫!」
相馬一貴「ならいい」
吉良ルル奈「ねえ」
吉良ルル奈「も、もし、私が彼氏を連れてきたら」
吉良ルル奈「どうする?」
相馬一貴「普通に殺すけど?」
吉良ルル奈「・・・」
相馬一貴「冗談だって! ルルに相応しいか審査はする」
吉良ルル奈「一貴が言うと冗談に聞こえない」
相馬一貴「そういえば 今日墓参り行くけど 一緒に行く?」
吉良ルル奈「行く」
相馬一貴「いつもの場所で待ち合わせな」
吉良ルル奈「了解」
相馬一貴「ごちそうさま」
吉良ルル奈「まったく」
吉良ルル奈「いつになったら 私の気持ちに気づいてくれるの?」
吉良ルル奈「・・・」
吉良ルル奈「一貴は私のことを恨んでるかな」
〇駅前広場
年寄り「荷物持ってくれて ありがとね」
相馬一貴「気にしないでよ」
相馬一貴「ついでだからさ」
年寄り「そうかい」
年寄り「じゃあね」
吉良ルル奈「お待たせ」
吉良ルル奈「今のおばあちゃんは?」
相馬一貴「重たそうに荷物持ってたから 運ぶの手伝った」
吉良ルル奈「偉い!」
相馬一貴「じゃあ行くか」
〇墓石
吉良ルル奈「毎月来てるよね」
相馬一貴「そうしないと皆んな寂しいだろ?」
吉良ルル奈「そうだね」
相馬一貴「事故から10年か」
相馬一貴「あのときルルを守るって 母さんと約束したんだ」
吉良ルル奈「うん」
吉良ルル奈「もしも、お父さんとお母さんに 会えたらどうする?」
相馬一貴「死ぬ瞬間、何考えてた?って」
吉良ルル奈「それ聞くってサイコパス過ぎん?」
相馬一貴「ルルは?」
吉良ルル奈「その時にならないと分からない」
相馬一貴「そっか!」
相馬一貴「家に帰って飯にするか」
吉良ルル奈「うん!」
吉良ルル奈「ご飯の後はアレイオワね!」
相馬一貴「了解」
〇美しい草原
相馬一貴「今日も頑張るぞ」
吉良ルル奈「ねえ、一貴」
相馬一貴「ん?」
吉良ルル奈「会って欲しい人がいるの」
相馬一貴「友達か?」
吉良ルル奈「私のパパとママに会った人」
相馬一貴「マジで!?」
相馬一貴「それが朝言ってた話か」
吉良ルル奈「うん!」
吉良ルル奈「その人と待ち合わせしてるから 行こう?」
相馬一貴「ああ」
〇荒地
相馬一貴「ここ未開拓エリアじゃん」
相馬一貴「初めて来た」
吉良ルル奈「そろそろ待ち合わせの時間」
???「どうも」
吉良ルル奈「こんにちは」
相馬一貴「こんにちは」
吉良ルル奈「連絡くれた人ですね?」
???「はい」
吉良ルル奈「本当に私の両親と会ったんですか?」
???「はい、吉良夫妻が 娘に会いたいと言っていたので 連絡しました」
吉良ルル奈「ありがとうございます!」
???「いえ」
吉良ルル奈「1人で来るように言われたけど いとこ連れてきちゃいました」
???「構いません」
???「始末しますから」
吉良ルル奈「えっ?」
相馬一貴「何か変だ!」
相馬一貴「くっ!」
相馬一貴「一撃で致命傷!?」
吉良ルル奈「何するんですか!」
???「邪魔者には消えてもらう」
吉良ルル奈「邪魔者ってどういう意味!?」
吉良ルル奈「一貴、回復してあげるから!」
???「そうさせん」
「体が動かない」
吉良ルル奈「こんな魔法見たことない」
相馬一貴「ルル!ログアウトだ!」
〇可愛い部屋
吉良ルル奈「うそ」
吉良ルル奈「何で体動かないの?」
〇荒地
吉良ルル奈「どうしてもリアルの体が動かない」
相馬一貴「俺もだ」
相馬一貴「現実まで影響するなんて 一体何が起きてるんだ」
???「ルル奈には 一緒に来てもらう」
吉良ルル奈「えっ?」
吉良ルル奈「・・・」
相馬一貴「ルル?どうした?」
吉良ルル奈「・・・」
相馬一貴「まさかルルの意識を 乗っ取ったのか!?」
相馬一貴「そんなこと出来るわけない!」
???「教える義理はない」
???「これで目的は達成した」
???「ルル奈を連れて戻る」
吉良ルル奈「・・・」
相馬一貴「させるか!」
???「今のお前に何が出来る」
相馬一貴「なめんな!」
???「こいつ動けるのか!?」
相馬一貴「母さんと約束した!」
相馬一貴「ルルの処女は俺が守る!」
???「拘束状態なのに なぜ動ける!?」
相馬一貴「ルルのためなら こんな拘束が何だ!」
???「精神力だけで 立ち上がったのか!」
???「生者のくせに!」
相馬一貴「くらえ!」
???「攻撃は大した事ないな」
???「跪け」
相馬一貴「くそ、強い」
???「こいつは危険だ」
???「始末しとく」
???「普通に死んでおけば リスタートだけで済んだのにな」
???「止めだ」
相馬一貴「ルル」
誰か、あの子達を守って
???「なんだ!?」
相馬貴宗「狂った世界で 子孫に助太刀することになるとはな」
相馬一貴「誰?」
相馬貴宗「相馬貴宗」
相馬貴宗「一貴、お前の先祖だ」
???「先祖だと!?」
???「そんなデータないぞ!」
相馬貴宗「んなもん知るか」
相馬貴宗「とりあえず、こいつを倒せばいいんだな」
相馬貴宗「無駄だ」
???「拘束を簡単に切断した!?」
???「お前、冥界の人間か!」
相馬貴宗「そうだ」
???「まあいい」
???「目的は達成した」
???「もう用はない」
相馬一貴「ルル!今助けるぞ!」
相馬貴宗「この禍々しい空気は何だ」
相馬貴宗「近づくな!危険だ!」
相馬一貴「ルルーー!」
相馬貴宗「消えただと?」
相馬一貴「ルルはどこだ!?」
相馬貴宗「一貴、現実のルル奈の元へ急げ」
〇家の廊下
相馬一貴「ルル!」
「・・・」
相馬一貴「入るぞ!」
〇可愛い部屋
吉良ルル奈「・・・」
相馬一貴「おい!ルル!起きろ!」
相馬一貴「嘘だろ?」
相馬由美「何事!?」
〇病院の廊下
相馬一貴「ルル奈は大丈夫なんですか!?」
医師「意識不明ですが 命に別状はありません」
相馬由美「危険なんでしょうか?」
医師「原因不明のため 容態が急変する可能性はあります」
相馬一貴「そんな、、」
〇病室
相馬一貴「ルルごめん」
相馬一貴「あれだけ守るって約束したのに」
相馬由美「仕方ないわ」
相馬由美「ゲームで こんな事態になるなんて 誰も想像つかない」
相馬由美「カズくんの話聞いたけど 今でも信じられないわ」
相馬一貴「ごめん、姉さん ここ頼んでいいかな?」
相馬由美「ん?」
相馬一貴「用事思い出した」
相馬一貴「あとルルの着替えとか取ってくる」
相馬由美「了解、お願いね」
〇荒地
相馬一貴「さっきは助けてくれて、ありがとう」
相馬貴宗「ルル奈を助けてやれなくて、すまん」
相馬一貴「ご先祖様は悪くない」
相馬貴宗「そうか」
相馬一貴「でも助けに来たのが ご先祖様なんて実感ないな」
相馬一貴「本当はじっくり話したいけど それどころじゃない」
相馬貴宗「ああ」
相馬一貴「何も出来なかった」
相馬貴宗「自分を責めるな」
相馬貴宗「敵に立ち向かう姿立派だった」
相馬一貴「ご先祖様なら ルルが今どういう状況なのか分かる?」
相馬貴宗「おそらくルル奈は 魂と肉体を強制的に 分離させられたのだろう」
相馬一貴「だから意識不明か」
相馬一貴「どうしてルルがそんな目に」
相馬貴宗「見当もつかん」
相馬一貴「俺はどうすればいいんだ」
相馬一貴「守るはずのルルがいない」
相馬貴宗「何を言っている」
相馬貴宗「ルル奈の処女を守るんだろ?」
相馬貴宗「違うのか?」
相馬一貴「・・・」
相馬一貴「その通りだ!」
相馬一貴「ルルの処女は俺が守る!」
相馬一貴「それだけだ!」
相馬一貴「必ず見つけ出す」
相馬一貴「でも、何か当てがあるの?」
相馬貴宗「おそらく冥界が関係している」
相馬一貴「冥界?」
相馬貴宗「ああ」
相馬貴宗「奴の使っていた術は冥界のものだ」
相馬一貴「だから、ご先祖様は対応できたのか」
相馬貴宗「そうだ 俺は死者だからな」
相馬貴宗「この世界は狂い 冥界と繋がってしまった」
相馬一貴「冥界に行けば分かる」
相馬貴宗「そうだ」
相馬貴宗「ただし、冥界は危険だ」
相馬貴宗「ルル奈のように 魂が異常をきたすか 最悪死ぬかもしれん」
相馬一貴「ルルの為なら この命がどうなったって構わない」
相馬貴宗「そうか、何も言うまい」
相馬一貴「ご先祖様これからよろしく頼みます」
相馬貴宗「ああ」
〇病室
相馬由美「ごめんね、ルルちゃん」
相馬由美「望み通り」
相馬由美「パパとママに会えたかな?」
生者と死者…現実と仮想ゲーム空間…
決して交わることのない両者が交わり連続性を持つことで生まれるこのストーリー、設定でもう高揚感を思えます✨
大小さまざまな謎や疑問、そして“アレイオワ”とは…その真相を知りたくて次回以降へ誘われてしまいます😊 重厚な世界設定と軽妙な展開がタマリマセンね👍
ゲームの世界に生者も死者も混ざっているという設定が、面白かったです😊
ルル奈ちゃんを無事に救いだすことはできるのか、続きが気になります!
設定に惹かれました!
死者と生者がゲーム世界で繋がることができるなんて!
最後のお姉さんの言葉も、とても気になりますね
(((o(*゚▽゚*)o)))