3 クッキーと置き手紙(脚本)
〇マンションの共用廊下
残業が続き、ここ数日帰宅するのが遅くなっていた。
宮田「はぁ・・・疲れた・・・」
夜遅く帰るため、必然的に隣に住む女子高生みやびとも顔を合わせることが少なくなっていた。
宮田(いやそもそも、隣に住んでいるからと言って何かが起こるはずもない。女子高生だぞ? 可愛いJK)
宮田(そんなおいしい話が転がってるなんて、フィクションの中だけだ)
宮田「ん・・・?」
どうせ請求書とかデリバリーのチラシとかしか入っていないポストを開けると、なんだかやけに存在感のある小袋と手紙が入っていた
シンプルな封筒にはうさぎのシールで封がしてあり、切手も宛先もない。
宮田(僕に来た手紙? 心当たりはない・・・とは言い切れない。 こんなことをするのは・・・)
宮田「みやび・・・?」
〇明るいリビング
部屋に入って封を開けると、白くてそっけない便箋に、えらい達筆な文字が書いてある。
宮田「え、行書とか誰? みやびじゃないのか」
小川みやび「調理実習でクッキー作ったけど、余ったから食べさせてあげる」
宮田(みやびだった・・・ 字が上手くて意外すぎる)
小川みやび「わざわざ作ったわけじゃないけど、ありがたく食べなさいよね。 みやび」
宮田「素直じゃないな。 ありがとまじで・・・」
そのクッキーは、めちゃくちゃうまかった。
彼氏になるやつが羨ましい。
──彼氏、か。
クッキーと置き手紙 end