〇古いアパートの一室
市ヶ谷真帆夏「・・・・・・・・・・・・」
市ヶ谷真帆夏「はぁ・・・・・・」
リラエラ「どうしたんです？最近は学校も休んているようですし」
市ヶ谷真帆夏「うるさい、毒が効いたんだよ」
リラエラ「そうですか、お大事に」
市ヶ谷真帆夏「何が『お大事に』だ」
市ヶ谷真帆夏「アンタが私を巻き込んだ癖に」
リラエラ「その言い方は心外ですね、ワタシは貴女の願いを叶えたはずですが」
市ヶ谷真帆夏「うるさい」
市ヶ谷真帆夏「・・・・・・ねぇ、アンタの目的って何？」
リラエラ「ワタシ達の目的は魔獣を全て駆除することですよ」
市ヶ谷真帆夏「達・・・・・・他にも仲間がいるんだ」
リラエラ「ええ、昔は魔法少女として戦った者も多いんですよ」
市ヶ谷真帆夏「へー、じゃあ今も戦えばいいのに」
リラエラ「この次元を助ける意味はありませんからねぇ」
リラエラ「それに、働き方改革があったもので、ワタシの次元の住人は魔法少女になっちゃいけないんですよ」
市ヶ谷真帆夏「なにそれ」
リラエラ「ワタシの次元の住人は、危険性故に魔法少女になってはいけない」
リラエラ「だからこうして、地球人に頼んでいるんです」
市ヶ谷真帆夏「自分達の身だけは守って、私達はどうなってもいいとか・・・・・・」
市ヶ谷真帆夏「最低」
リラエラ「確かに酷いですねぇ」
リラエラ「でも、ワタシ達のおかげで貴女は"特別"になれた」
市ヶ谷真帆夏「なれてないじゃん!!!!!」
市ヶ谷真帆夏「なれてない・・・・・・アイツのせいで・・・・・・」
市ヶ谷真帆夏「私また・・・・・・出来損ないになっちゃった・・・・・・」
リラエラ「では、また"特別"に戻せば良いのでは？」
市ヶ谷真帆夏「なにそれ・・・・・・意味わかんない」
リラエラ「魔法少女は魔法少女を攻撃してはいけない」
リラエラ「でも、変身して無ければ魔法少女ではないのでは？」
市ヶ谷真帆夏「っ・・・・・・!!」
市ヶ谷真帆夏「そ、それって・・・・・・」
リラエラ「あとは貴女のお考え次第ですよ」
市ヶ谷真帆夏「わ、私に・・・・・・」
市ヶ谷真帆夏「御園さんを・・・・・・殺せってこと・・・・・・？」
市ヶ谷真帆夏「そんなの・・・・・・ダメだよ・・・・・・」
市ヶ谷真帆夏「ダメ・・・・・・だよね？」
市ヶ谷真帆夏（やれば"特別"に戻れる・・・・・・でも・・・・・・）
市ヶ谷真帆夏「あ、あれ・・・・・・私、どうしちゃったの？」
市ヶ谷真帆夏「魔法少女になるまで、"特別"なんて、なってみたいってだけだったのに・・・・・・」
市ヶ谷真帆夏「ううっ・・・・・・」
市ヶ谷真帆夏「変な・・・・・・気分・・・・・・」
市ヶ谷真帆夏「た・・・・・・耐えられない・・・・・・！」

〇中庭
御園智花「・・・・・・真帆夏さん、来ないな」
御園智花「・・・・・・魔獣を倒した時、『楽しい』って感じた・・・・・・」
御園智花「自分が正義になって、強い力を振るう快感・・・・・・」
御園智花「それが・・・・・・脳を支配して・・・・・・」
市ヶ谷真帆夏「あっ、お、遅くなっちゃった」
御園智花「あ、真帆夏ちゃん！なに───」
御園智花「がはっ・・・・・・!!!」
御園智花「痛い・・・・・・な、なにこれ・・・・・・」
御園智花「あぁぁぁっっっ!!!」
御園智花「う・・・・・・ぁ・・・・・・」
　　智花が取り出したマジカルステッキを
　　真帆夏は蹴飛ばした。
市ヶ谷真帆夏「変身なんてさせないよ」
御園智花「う・・・・・・な・・・・・・ん・・・・・・」
市ヶ谷真帆夏「ごめんね・・・・・・本当はこんなこと、したくなかった」
市ヶ谷真帆夏「でも、御園さんが悪いんだから、私のせいじゃない」
市ヶ谷真帆夏「私のせいじゃない、大丈夫・・・・・・」
市ヶ谷真帆夏「・・・・・・そうだ、魔法少女の力で証拠隠滅しないと」

〇中庭
リラエラ「・・・・・・そうなりましたか」
リラエラ「・・・・・・これがどう転ぶでしょうかね」
市ヶ谷真帆夏「うっ・・・・・・ううっ・・・・・・」
市ヶ谷真帆夏「見てたの・・・・・・？」
リラエラ「ええ」
市ヶ谷真帆夏「ま、魔法少女になったから・・・・・・」
市ヶ谷真帆夏「魔法少女になったから・・・・・・こんなことになっちゃった・・・・・・!!!」
市ヶ谷真帆夏「も・・・・・・もういや・・・・・・」
市ヶ谷真帆夏「もう嫌もう嫌もう嫌!!!!!」
市ヶ谷真帆夏「私・・・・・・魔法少女やめる・・・・・・」
リラエラ「それは無理ですよ、契約で決まっているので」
市ヶ谷真帆夏「ううっ・・・・・・」
市ヶ谷真帆夏「ああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・!!!」

〇国際会議場
　　１ヶ月前。
　　地球とは別の次元の会議室にて。
リラエラの仲間「それで、この次元のエネルギーを正規軍が狙っていると？」
リラエラ「はい。調査報告によると、正規軍はかの次元に住む知的生命体を魔獣へと変え、エネルギーを回収しているようです」
リラエラの仲間「そのエネルギーとは、どんな？」
リラエラ「電気と呼ばれるエネルギーです」
リラエラ「非常に応用性に優れ、かの次元の各地で利用されています」
リラエラ「正規軍は電気エネルギーを用いた設備の一部を破壊し、魔獣に吸収させ転送しているようです」
リラエラの仲間「なるほど・・・・・・これ以上正規軍の好きにはさせたら、ワタシ達は追い込まれるな」