オズワルドの裁定

シュウ

第3話 ウィルフレッドの審判【前編】(脚本)

オズワルドの裁定

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〇海辺
祖母「華清(かせい)」
祖母「貴方は若い頃のあの人そっくり」
祖母「だからこそ不安になります」
祖母「決して私たちの後を追ってはなりません」
  あの人は──それを望みません

〇近未来の開発室
霧生華清(きりゅうかせい)「依頼人とは──祖父のことですか?」
キース・フォスター「爺さんは軍の奴らに始末されたんだろう?」
霧生華清(きりゅうかせい)「自分がこの手で埋葬しました」
キース・フォスター「幽霊からの依頼は受け付けてないんだがね」
キース・フォスター「それとも時を超えてきた、と?」
霧生華清(きりゅうかせい)「それは・・・」
キース・フォスター「おとぎ話は嫌いだよ」
霧生華清(きりゅうかせい)「ですがキースさんは自分とよく似た人物 から指輪を──」
霧生華清(きりゅうかせい)「・・・祖父の遺品を託されました」
キース・フォスター「押しつけられただけだよ」
霧生華清(きりゅうかせい)「では、指輪を自分にください」
霧生華清(きりゅうかせい)「祖父の遺志は自分が継ぎます」
【ケイラ】「繰リ返シマス」
【ケイラ】「全機能ヲ 停止シマシタ」
霧生華清(きりゅうかせい)「リフトが──!」
キース・フォスター「こんな棺桶御免だよ」

〇歯車

〇坑道

〇ピラミッド
霧生華清(きりゅうかせい)「塔が沈んでゆく・・・!」
キース・フォスター「離れるぞ!」

〇空

〇砂漠の滑走路
キース・フォスター「故人なんて他人だよ」
キース・フォスター「仮に依頼人があんたの爺さんだとして」
キース・フォスター「何故あんたが遺志を継ぐ?」
霧生華清(きりゅうかせい)「自分は祖父と同じ時を過ごしてきました」
霧生華清(きりゅうかせい)「ですから」
霧生華清(きりゅうかせい)「祖父が見つめてきた過去を知りたいんです」
キース・フォスター「何を背負っていたとしても?」
霧生華清(きりゅうかせい)「全て継ぎます」
霧生華清(きりゅうかせい)「そのためにやって来たんです」
キース・フォスター「空虚な意地だな」
キース・フォスター「あんたが何処にもいない」
霧生華清(きりゅうかせい)「為すべきことの先に自分はいます」
キース・フォスター「こいつは渡せないな」
霧生華清(きりゅうかせい)「どうしてですか!?」
キース・フォスター「俺にも意地があるんだよ」
キース・フォスター「一度受けた依頼だ」
キース・フォスター「最後まで成し遂げる」
霧生華清(きりゅうかせい)「ですが、もし依頼人が祖父なら──!」
キース・フォスター「依頼を果たせば向こうから姿を現す」
キース・フォスター「訊きたいことがあるなら直接訊けばいい」
キース・フォスター「だろう?」
霧生華清(きりゅうかせい)「・・・はい」
ロブ・テイラー「兄貴!」
ロブ・テイラー「今夜は祝い酒ですね!」
キース・フォスター「とっておきを頼むよ」
ロブ・テイラー「喜んで!」
ロブ・テイラー「坊主もイケるだろ?」
霧生華清(きりゅうかせい)「はい!」
霧生華清(きりゅうかせい)「ありがとうございます!」
霧生華清(きりゅうかせい)(どうして自分ではなくキースさんに)
霧生華清(きりゅうかせい)(お祖父さん)

〇空

〇荒野
  パラディス島
  サバンナ地帯
ロブ・テイラー「どっひゃー!」
ロブ・テイラー「前が見えねェ!」
ロブ・テイラー「本当にこの先なんですかい!?」
キース・フォスター「見てのとおりだよ」
ロブ・テイラー「無茶言うぜ」
キース・フォスター「シャッフルでやり過ごそう」
ロブ・テイラー「了解!」
ロブ・テイラー「何かあったんですかい?」
キース・フォスター「さてね」
  気が済むまで悩めばいいよ

〇中東の街
  風の街
  シャッフル

〇怪しげな酒場
キース・フォスター「少しくらい腹に入れておきな」
霧生華清(きりゅうかせい)「失礼しました」
ロブ・テイラー「おー! 来た来た!」
ロブ・テイラー「シャッフル名物『レッドチキンソテー』」
ロブ・テイラー「うんめ~!」
ロブ・テイラー「ほら! 兄貴も早く!」
キース・フォスター「急かしなさんな」
キース・フォスター「〜〜~~~~!!」
ロブ・テイラー「チリペッパーが効いてるな〜!」
ロブ・テイラー「坊主もそう思うだろォ?」
霧生華清(きりゅうかせい)「あいにく辛味も酸味も苦手で」
ロブ・テイラー「そのわりに平気そうじゃねェか」
霧生華清(きりゅうかせい)「鍛錬の賜物です」
キース・フォスター「無理して食べるもんじゃない」
霧生華清(きりゅうかせい)「腹に入れておけ、と」
キース・フォスター「額面どおり受け取るんじゃない」
霧生華清(きりゅうかせい)「失礼しました」
キース・フォスター「何故謝る?」
キース・フォスター「俺にすがるな、と言っているんだ」
霧生華清(きりゅうかせい)「はあ」
ウェイトレス「絶品でしょ?」
キース・フォスター「ああ」
キース・フォスター「スープも貰えるか?」
ウェイトレス「今用意するわ」
霧生華清(きりゅうかせい)「自分も同じものを」

〇怪しげな酒場
ウェイトレス「どうぞ」
キース・フォスター「ありがとう」
ウェイトレス「採れたてのトマトを使ってるのよ」
キース・フォスター「そいつは美味そうだ」
キース・フォスター「シャッフル料理は美容にいいのか?」
ウェイトレス「いいえ」
ウェイトレス「そういった効果はないわ」
キース・フォスター「そいつは驚きだな」
ウェイトレス「そう?」
ウェイトレス「うふふ、男の人でも美容を気にするのね」
キース・フォスター「何を食べたらあんたみたいになれる?」
キース・フォスター「詳しく教えてもらいたいものだね」
ウェイトレス「まあ!」
「月光浴がよく効くのよ」
キース・フォスター「興味深いね」
ウェイトレス「うふふ」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさんは祖父によく似ています」
ロブ・テイラー「どういうところが似てるんでェ?」
キース・フォスター「おいロブ──」
霧生華清(きりゅうかせい)「合理的なところや」
ロブ・テイラー「ほうほう」
キース・フォスター「勝手にしてくれ」
霧生華清(きりゅうかせい)「特に──目の色が変わる瞬間が」
ロブ・テイラー「すみません! ひゃひゃひゃ!」
キース・フォスター「先に行っている」
霧生華清(きりゅうかせい)「失言でしたか?」
ロブ・テイラー「いいんだよォ!」
ロブ・テイラー「追いかけてやるなよ?」
ロブ・テイラー「聞かねェ奴だなァ」

〇中東の街
霧生華清(きりゅうかせい)「風、止みましたね」
キース・フォスター「機嫌を損ねる前に行かないとな」
霧生華清(きりゅうかせい)「雨雲でも見えましたか?」
キース・フォスター「いや、何も」
キース・フォスター「だからこそ見ていたんだ」
キース・フォスター「何もないほうが安心する」
霧生華清(きりゅうかせい)「不安なんですか?」
キース・フォスター「俺が?」
キース・フォスター「はは、あんたもジョークを言うんだな」
霧生華清(きりゅうかせい)「こ、これは──!」

〇大会議室
ルイス・メイヤーズ司令官「これはどういうことかね?」
ルイス・メイヤーズ司令官「スペンサー中将」
ルイス・メイヤーズ司令官「2度も失敗した挙げ句」
ルイス・メイヤーズ司令官「敵に情けをかけられるとは」
ケイレブ・スペンサー中将「亡者に使命は果たせまい」
ルイス・メイヤーズ司令官「亡者は失敗などしない」
ルイス・メイヤーズ司令官「君には荷が重かったかね?」
ケイレブ・スペンサー中将「亡者の成り損ねめ」

〇荒野の城壁
アドルフ・フォスター大佐「俺も乗せてくれよ」
ハロルド・ムーア少尉「フォスター大佐」
アドルフ・フォスター大佐「この間は人員割いてもらって助かったぜ」
ハロルド・ムーア少尉「何故我々の邪魔をするのですか?」
ハロルド・ムーア少尉「人員さえ確保できていれば、今頃 【ケイラ】は我々の手中にありました」
アドルフ・フォスター大佐「悪かったよ」
アドルフ・フォスター大佐「こっちも人手が足りなかったもんでねェ」
ハロルド・ムーア少尉「貴方が仕組んだことでは?」
ハロルド・ムーア少尉「隊で集団食中毒が起こったと伺っています」
アドルフ・フォスター大佐「酷い言われようだねェ」
アドルフ・フォスター大佐「俺だって白い顔して働いてたってのに」
ハロルド・ムーア少尉「あらかじめ準備しておけば──」
ケイレブ・スペンサー中将「もういい、出せ」
ハロルド・ムーア少尉「は、はっ!」
アドルフ・フォスター大佐「死に急ぐなよ?」
ケイレブ・スペンサー中将「余生など不要」
ケイレブ・スペンサー中将「せいぜい指でも咥えて眺めていろ」
ケイレブ・スペンサー中将「我が野望が成就するその瞬間を」
ケイレブ・スペンサー中将「現実(じごく)の淵でな」
アドルフ・フォスター大佐「つれないねェ」
アドルフ・フォスター大佐「お前もだぜ、坊主?」

〇荒野

〇岩山
  レジー神殿
キース・フォスター「ここか」
霧生華清(きりゅうかせい)「誰かいます」
霧生華清(きりゅうかせい)「5秒ください」
キース・フォスター「待て待て!」
キース・フォスター「暑さで脳みそまで溶けちまったか!?」
霧生華清(きりゅうかせい)「生物学的にあり得ません」
キース・フォスター「皮肉だよ」
受付「ひとり20パルムです」
受付「ごゆっくり」
キース・フォスター「ここは観光名所だ」
キース・フォスター「民間人も多い」
キース・フォスター「くれぐれも騒ぎを起こすなよ?」
霧生華清(きりゅうかせい)「わかりました」
霧生華清(きりゅうかせい)「2秒で仕留めてみせましょう」
キース・フォスター「わかっちゃいない!」
ロブ・テイラー「ひとり5パルムにまけてもらいやした!」
ロブ・テイラー「ほーら、早く入りやしょう!」
霧生華清(きりゅうかせい)「待ってください!」
キース・フォスター「遊びじゃないんだがね」

〇神殿の広間
ロブ・テイラー「俺、こーゆうとこ初めて来やした!」
霧生華清(きりゅうかせい)「自分もです」
キース・フォスター「油断するなよ?」
キース・フォスター「奴らは2度も失敗している」
キース・フォスター「手段を選んでいられないはずだ」
霧生華清(きりゅうかせい)「問題ありません」
霧生華清(きりゅうかせい)「自分が必ず守ります」
キース・フォスター「ロブ」
ロブ・テイラー「すいやせん!」
ロブ・テイラー「兄貴のそんな顔初めて見たもんで!」
ロブ・テイラー「しっかし、坊主もイイこと言うなァ」
霧生華清(きりゅうかせい)「はあ」
霧生華清(きりゅうかせい)「恐縮です」
キース・フォスター「受け入れるんじゃない」
キース・フォスター「先人様はせっかちだね」
受付「この先は関係者以外立ち入り禁止です」
キース・フォスター「何?」
受付「な、何ですか!?」
キース・フォスター「背後を取るんじゃない!」
霧生華清(きりゅうかせい)「申し訳ありません、つい!」
キース・フォスター「つい・・・?」
キース・フォスター「さて、どうしたもんか」
ロブ・テイラー「よ、旦那ァ!」
キース・フォスター「恩に着るよ、ロブ」

〇黒
キース・フォスター「薄暗いな」
霧生華清(きりゅうかせい)「この先のようです」
キース・フォスター「助かるよ」
霧生華清(きりゅうかせい)「進みましょう」

〇近未来の通路
霧生華清(きりゅうかせい)「スペンサー中将は言っていました」
霧生華清(きりゅうかせい)「自分は古代パラディス人の子孫だと」
キース・フォスター「ご先祖様に感謝だな」
霧生華清(きりゅうかせい)「祖父も『鍵』なんでしょうか?」
キース・フォスター「確証はないがね」
霧生華清(きりゅうかせい)(お祖父さんが失踪したのは──)
キース・フォスター「キリュー」
霧生華清(きりゅうかせい)「は、はい!」
キース・フォスター「こいつを見てみな」

〇流れる血
霧生華清(きりゅうかせい)「これは・・・血痕でしょうか?」
キース・フォスター「随分前のものだな」
霧生華清(きりゅうかせい)「古代パラディス人ですか」
キース・フォスター「屋敷の主が罠に引っかかるかね」
霧生華清(きりゅうかせい)「では自分らよりも先に侵入者が?」
キース・フォスター「いたかもな」
キース・フォスター「数百年前か、ここ数日前の話か」
霧生華清(きりゅうかせい)(やはりこの先に──)

〇神殿の広間

〇コンピュータールーム
霧生華清(きりゅうかせい)「操作盤があります」
キース・フォスター「先人様もひねりがないね」
キース・フォスター「今までの遺物と瓜二つだ」
霧生華清(きりゅうかせい)「玄関口みたいなものですから」
キース・フォスター「エントランスこそ見せ場だろう?」
キース・フォスター「中身なんて似たりよったりだ」
霧生華清(きりゅうかせい)「はあ」
霧生華清(きりゅうかせい)「何かの比喩ですか?」
キース・フォスター「さてね」
霧生華清(きりゅうかせい)「起動します」

〇コンピュータールーム
霧生華清(きりゅうかせい)「天よりの迎えが汝に在らんことを」
キース・フォスター「天使様がエスコートしてくれるのかな?」

〇コンピュータールーム
霧生華清(きりゅうかせい)「吊り天井です!」
キース・フォスター「えらく古典的だな」
霧生華清(きりゅうかせい)「退避しましょう!」
キース・フォスター「天よりの迎え、ね」
霧生華清(きりゅうかせい)「起きてください!」
霧生華清(きりゅうかせい)「このままでは潰されます!」
キース・フォスター「こいつは『罠』じゃない」
キース・フォスター「中に入れてもらうための『合言葉』だ」
霧生華清(きりゅうかせい)「『山と言えば川』みたいなものですか?」
キース・フォスター「そいつは知らないが」
キース・フォスター「ここはエントランスだからね」
キース・フォスター「迎えが来るまで大人しく待てばいいのさ」
キース・フォスター「天よりの迎えを、ね」
キース・フォスター「イイ子だ」
  3
  2
  1

〇神殿の広間
観光客(娘)「今、何か大きな音しなかった?」
観光客(父親)「大きな音?」
観光客(母親)「何も聞こえなかったけど」
観光客(父親)「おっと、そろそろ閉館の時間だ」
観光客(父親)「気になるところはもうないかな?」
観光客(娘)「うーん」
観光客(娘)「あそこ!」
観光客(父親)「あそこは入れない場所なんだ」
観光客(娘)「でも今──」
観光客(母親)「二人とも、帰るわよ」
観光客(父親)「行くよ」
観光客(娘)「う、うん」
観光客(娘)「あの奥に何かあるのかな?」

〇コンピュータールーム
キース・フォスター「お茶目な天使だね」
霧生華清(きりゅうかせい)「落ちてない?」
霧生華清(きりゅうかせい)「でも地響きが──」
キース・フォスター「外には悪魔のお迎えかな」
霧生華清(きりゅうかせい)「退避していれば今頃──」
キース・フォスター「シミの一部になれたかもな」
霧生華清(きりゅうかせい)「ありがとうございます」
霧生華清(きりゅうかせい)「やはりキースさんはスゴい人です」
キース・フォスター「茶化さないでくれ」
霧生華清(きりゅうかせい)(祖父がキースさんに託した理由(わけ))
霧生華清(きりゅうかせい)(ならば自分は──)
キース・フォスター「先走るなよ?」
霧生華清(きりゅうかせい)「承知しています」

〇未来の店
霧生華清(きりゅうかせい)「誰もいないようです」
キース・フォスター「あんたって奴は」
キース・フォスター「灯りをつけてくれ」
霧生華清(きりゅうかせい)「はい」

〇未来の店
  未来演算器【ウィルフレッド】
  有限の未来を予測せん
キース・フォスター「演算器、ね」
霧生華清(きりゅうかせい)「計算式に基づく推測でしょう」
キース・フォスター「興味ないね」
キース・フォスター「気に入らなければ気にしない」
キース・フォスター「そいつが占いさ」
霧生華清(きりゅうかせい)「ごもっともです」
霧生華清(きりゅうかせい)「では──」
ケイレブ・スペンサー中将「私も腕が鈍ったな」
キース・フォスター「キリュー!」

次のエピソード:第4話 ウィルフレッドの審判【後編】

コメント

  • やはりカッコいいお話ですね!!✨

    引きこまれる世界観とキャラクターたちです✨キリューやキースやロブのやりとりもそうですし、敵側もみんなカッコいいですね✨☺️

    なぜ祖父がキースに託したのか?気になるところですね✨☺️

    面白いですね✨少しずつ読ませていただきます!✨😆

  • キースの女性を口説いちゃうところとか結構赤面とかするんだと思うときゅんと、きました

    ロブが結構好きで話芸が達者なところも頼りがいあるんですよね
    キリューの天然のキースイジリ?も微笑ましかったです👍

  • キースの意外な一面が見れて面白かったです。結構ウブ? 若いおねーちゃん口説いて痛い目とか見てそうなのに(痛い目っていうか辛い目には遭ってますが。笑)
    後半も待ってます。

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