神話使いの神語り

セイ72

St1. 青春-前編(脚本)

神話使いの神語り

セイ72

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〇黒背景
  子供の頃に、私は運命の出会いをした
  それは、一冊のノートに書かれた物語
  それは、終わりの描かれなかった物語

〇女性の部屋
  瞳を開けると、光が部屋に差し込んでいた
  15年間、見慣れた天井、見慣れた部屋
主人公「んんぅ~、もう朝かぁ~」
  寝間着のボタンを外しながら、欠伸を一つ
主人公「早起きしたぁ~、えらい、えらい♪」
  夏休みなのに、普段通りの時間に起きる私は、天才かもしれない♪
  と、思いながら────────
    体が、徐々に斜めに、斜めに傾いて
主人公「はわッ、寝ちゃ駄目だ!」
  睡魔に見事打ち勝った私、
  月宮 来兎(ツキミヤ ライト)は立ち上がる
  時刻は7:00 
  早く着替えて、朝ご飯を食べてしまおう
  そう、思って違和感に気づく
  ふと鏡を見ると、知らない人が映っていた
  誰、、、と思ったが、私が手を振ると、
  その子も、手を振り返す
  笑顔になると、笑顔に
  ジャンケンをすると絶対、引き分ける
ライト「あ~、、、これ、私ですか?」
  ・・・・・・・・・
ライト「髪が白くなってます!?」

〇部屋の前
ライト「はわわ~、はわわ~」
  混乱する、私は、部屋を飛び出した!
ライト「と、取りあえず、お母さんに相談だよね!?」
  お母さんの部屋をノックしようとして、
  私は、ピタリと止まる
  扉の前に置かれた、空の缶
  それが、意味するのは──────
ライト「あ~、二日酔いかぁぁ~」
  空き缶が扉の前に置いてある時は、
  そっとしておいて、って言われてるけど
ライト「緊急事態だし、大丈夫だよね?」
ライト「ごめんね、入るよぉ?」
  果たして、二日酔いの母の機嫌とは!?

〇本棚のある部屋
ライト「、、、え?」
  お母さんの部屋に入った私は、フリーズする
  ベッドに座っているのは、誰?
  どこか、母の面影があるけれど────
「ん、おはよ。ライちゃん」
「どしたの? コッチおいで?」
ライト「えっと、、、お母さんで、いいんだよね?」
「ん、、、そうだよ?」
「ママの 月宮 詩音だよぉ~?」
ライト「えっと、何かおかしいと思わない?」
「あぁ~、酔ってるのか部屋が大きく見えるね」
  いや、それ酔ってるんじゃなくて────
ライト「物理的に小さくなってるんだよ!?」
シオン「アハハ、らいちゃんも冗談言うんだね」
シオン「人間が小さくなる、、、はず?」
シオン「おぉ、凄い、何処かの名探偵みたいだね」
ライト「そ、それだけ!?」
シオン「らいちゃんも、イメチェンした?」
ライト「異常事態だよぉ~!!!」

〇明るいリビング
  月宮宅 リビング
ライト「心当たりとか、ないの?」
シオン「ん~、、、あるような、ないような」
  普通に受け入れて、ご飯作ってるけど、
  私がおかしいのかな?
シオン「はい、召し上がれ」
ライト「あ、いただきます」
ライト「モグモグ──────」
シオン「さて、心当たりだけど、あるよ?」
ライト「ンンッ!?」
ライト「んんんぅぅーー!?!?」
シオン「フッフッフ、教えて欲しそうな顔だね?」
  ゴクンッ!
ライト「その姿で、お酒飲んじゃだめぇ~!」
シオン「合法ロリってヤツだよ?」
ライト「それでも、子供の姿でお酒はだめ!」
シオン「しょぼん」
ライト「ご馳走さまでした」
シオン「お粗末様だよ~」
ライト「それで、心当たりって?」
シオン「まぁ、見て貰った方が早いかな?」
  お母さんが持って来たのは、随分汚れた包みだった
ライト「結構、乱暴に開けるんだね」
シオン「まぁ、大事にするほどの物じゃないから」
シオン「まさか、ホントに砕けて!?」
  包みを覗くと、綺麗なビー玉サイズの水晶(?)が入っていた
ライト「どこも、砕けてるように、見えないけど?」
  ・・・・・・・・・
  お母さんは、じっくり十秒程考えて、
  再び、口を開く
シオン「間違いなく砕けてる、、、だから────」
シオン「また、人が死ぬ」
ライト「え、人が、、、えっ!?」
シオン「らいちゃんを、語り手(トレクト)にするつもり無かったのに」
ライト「──────トレクト?」
シオン「いや、今からでも、私が代理で参加すれば」
ライト「ちょ、ちょっと待って何の話してるの?」
シオン「・・・・・・・・・」
シオン「私の手を、繋いでくれる?」
ライト「え、うん?」
シオン「今から体験するのは、幻だから。怖がらないで」
ライト「え? 何をするの? 何をされるの?」
  握る力が強くなる。
ライト「怖がってる、の?」
  母は優しい。
  そんな、母が怯えるなんて、怖がるなんて
ライト「それなら、私はお母さんを信じるよ?」
シオン「ありがと、らいちゃん」
シオン「語るは、『青春』」
シオン「あの日、あの時の、別れの記憶」
ライト「な、何これ!?」
「え、キャ!?」
  光が視界を多い尽くす。
  分かるのは、小さな手の温もりだけだった

〇時計台の中
  ・・・・・・・・・?
主人公「アレ、、、私達、家に居たよね?」
しおん「此処は、十年前の私の記憶」
しおん「あそこに、居るのが私」
  お母さんの視線に釣られ、ソチラを見る
  視線の先には、
  白髪の人と母らしき人が向かい合っていた
主人公「えっと、状況が分からないけど」
主人公「何だろう、今にもケンカしそうな」
しおん「そうだね、実際争ったよ」
主人公「な、なんで!?」
しおん「今から十年前、語り手(トレクト)って呼ばれる人達で争った」
しおん「理由は、勝者には願いを叶える権利が与えられるから」
しおん「あれだね、魔法少女のバトロワ見たいな感じ!」
主人公「えぇ、よく分からないけど────」
主人公「お母さんも、そのトレクト(?)だったの?」
しおん「まぁ、そんな所────」
しおん「語り手は、物語(テレン)を用いて戦い会う」
しおん「そして、私と私の親友だった子が最後に残った」
  さっきの、二人を見ると今にも殺しあいそうな雰囲気だった
主人公「・・・・・・辛くなかったの?」
しおん「──────辛かったよ?」
しおん「でも、私達は止まらなかった──────」
しおん「誰も、止めてはくれなかった────」
主人公「────────」
  私の親友、、、使う物語は『原初の色彩』
  魔法に関する物語を顕現する力
  対する私は、継ぎはぎの物語
  噂や、神話を切り繋いだ、最弱の語り手
しおん「それで、戦って、傷つけ会って────」
しおん「それで、残ったのは私だった!」
しおん「私は、ユウを本気で傷つけて、 もう、友達じゃないって言葉を信じちゃって!」
しおん「ユウは、最後まで、私を傷つけることなんて、なかったのに、、、」
しおん「私が、、、私は、、、」

〇明るいリビング
シオン「私が、居なくなればよかった」
ライト「お母さん、、、」
  語り手、、、物語を顕現して戦い会う?
  分からない、分からないけど────
ライト「お母さんは、何を願ったの?」
  ────────
シオン「平和だよ。もう二度と語り手同士で、争わないそんな世界」
シオン「それなのに、たった10年!?」
シオン「親友を殺しておいて、もう二度と争いがないからって、それで無理やり納得して!」
シオン「それ、なのにッ!」
シオン「それなら、私の願いは?」
シオン「あの時の、選択は正しかったの?」
ライト「──────」
ライト「・・・・・・・・・」
  何を言えば、私はどうすれば、、、
ライト「お母さん、、、」
ライト「私は、お母さんが大好きだよ♪」
ライト「生きていてくれて、嬉しい」
シオン「それでも、私が殺したのは、らいちゃんのッ!」
ライト「、、、大丈夫だよ」
ライト「次は、私が止めるから」
  昔、母がそうしてくれたように、
  抱き締める。大丈夫だよって、伝える
シオン「駄目だよ! らいちゃんが死んだら、私!」
ライト「──────大丈夫だよ♪」
ライト「──────大丈夫♪」
シオン「──────わ、かった」
シオン「信じるよ? 今度こそ、終わらせてくれるって」
ライト「うん、、、と言っても」
ライト「まだ、語り手(トレクト)とか物語(テレン)はよく分からないけど」
シオン「少なくとも、分かることは二つあるよ」
ライト「な、何かな?」
シオン「月宮 来兎は、私の大事な娘なこと」
ライト「うん、死んだりしないよ」
シオン「あとは、転校しないと駄目だね」
ライト「──────?」
ライト「え、転校?」
シオン「うん、だって、バトロワするの────」

〇海辺の街
シオン「此処から電車で一時間の    神凪町(カンナギ町)だから?」
ライト「え、、、」
ライト「えぇェェェ~~~!!!」

次のエピソード:St.2 青春-中編

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