ホラー短編集

雨夜トリ

赤く燃える(ゆかり編)(脚本)

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〇謎の部屋の扉
  私は、いわゆるいじめられっ子だ。
「おら、この中に入ってろよ!」

〇体育倉庫
「ちょっと・・・」
「流石にヤバいんじゃない?」
「何言ってんの?」
「この女が、アイツに色目使ってんの見てたじゃん!」
「そ、それは・・・」
「自業自得じゃんね」
  でっち上げられた内容で、
  自分たちのストレスの捌け口を探す。
  私はいつしか、
  言い訳することも無くなった。
  こんな時に、仲間がいてくれたらどんなに幸せだっただろうかと思ったが・・・
  私には、頼れる仲間が一人もいなかった

〇体育倉庫
ゆかり「・・・」
  夜になっても、助けは来なかった。
  両親ですら、私に関心がないのだ。
ゆかり「私は・・・世界で必要のない存在・・・」
  いつからか、そう考えるようになっていた。
  用意していたガソリンを、
  体育館倉庫に撒く。
  用意していたマッチ棒に、火をつける。

〇体育倉庫
  あたり一面、一瞬で火の海になった。
ゆかり「マッチ売りの少女気分になれるかなって思ったけど・・・」
ゆかり「そんなに時間もなさそう・・・」
  こうして、私は火の海へ溶けていった。

〇渋谷のスクランブル交差点
  町中では、すぐに噂になった。
  『女子生徒いじめがエスカレート』
  『女子生徒いじめで火をつける』
  『女子生徒いじめで亡くなる』
  少年法で名前すら出なかったが、私をいじめていたアイツらは少年院行きになった。

〇学校の体育館
  それから、何十年もの年月が経った。
  みんな、私を無視する。
  みんな、みんな、みんな・・・
あゆみ「・・・そこに、誰かいるの?」
ゆかり「・・・え」
  そんな中、私に話しかけてきたあゆみ。

〇グラウンドの隅
ゆかり「ひっく・・・」
かすみ「そこに、誰かいるの?」
  陰で泣いてるところに
  話しかけてくれた、かすみ。

〇体育倉庫
  彼女たちの優しさが
  本当に本当に嬉しくて
  二人と、一生そばにいたいと思った。
ゆかり「同じ方法で死んじゃえば、 一緒に居れるかなって思ったんだけど・・・」
ゆかり「いつまで経っても来ないなぁ・・・」
ゆかり「なんでだろ・・・」
ゆかり「・・・」
ゆかり「また、ひとりぼっちか」
ゆかり「ひとりぼっちは・・・いやだな・・・」
「そこに、誰かいるの?」
ゆかり「!!」
  end

次のエピソード:開かずのドア

コメント

  • 三編を併せて読むことで、物語性も、ホラーとしての恐ろしさも、グンとスケールアップしますね! 1編しか読んでいない人がいらしたら「まとめ読みしないと後悔するよ」と教えてあげたいです!

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