アレイオワ〜想い人を追う勇者〜

ぽんたろう

第1話『仮想世界のともだち』(脚本)

アレイオワ〜想い人を追う勇者〜

ぽんたろう

今すぐ読む

アレイオワ〜想い人を追う勇者〜
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇溶岩池のある洞窟
  この世界は狂っている
  生者と死者が邂逅し
  簡単に見分けはつかない

〇草原
  過去の人に会うために
  今を生きる人々は旅をする
  それは希望かそれとも絶望か
  誰にも分からない

〇教室
美沙「蘆名さん、このあと暇?」
エリナ「あ、え、と」
佳奈「遊びに行かない?」
エリナ「ご、ごごめんなさい!」
美沙「また逃げられちゃった」
佳奈「仲良くなりたいのに」

〇学校脇の道
エリナ「せっかく誘ってくれたのに 悪いことしちゃった」
エリナ「あんな調子だから 友達ができないんだよね」
エリナ「ゲームに出てくる 勇者みたいな勇気があればな」

〇草原
エリナ「でも、ネットの世界に たった1人の友達がいる」
エリナ「マイちゃん!」
マイ「エリナちゃん!」
マイ「今日は何する?」
エリナ「え、えっと、、」
マイ「じゃあ、お散歩しよ!」
エリナ「うん!」

〇海辺
エリナ「凄い綺麗だね!」
マイ「うん!」
エリナ「ゲームの世界なんて思えない」
マイ「本当だね、海や山にも気楽に行ける」
エリナ「ごめんね、マイちゃん」
マイ「どうしたの?」
エリナ「私と一緒にいてもつまらないよね」
マイ「何で?凄い楽しいよ!」
エリナ「だって、私、ゲーム苦手だから 戦闘、製作、採取とか出来ないし」
エリナ「いつも散歩とかになっちゃう」
エリナ「もっと楽しいことしたいよね」
マイ「一緒にいるだけで楽しいよ?」
マイ「こうして自由に歩き回れるだけ充分」
エリナ「本当?」
マイ「うん!」
マイ「だから、そんなこと気にしなくていいよ」
エリナ「ありがとう!」
マイ「そうだ!」
エリナ「どうしたの?」
マイ「家を買おう!」
エリナ「えっ!?」
マイ「そこで、一緒に住もう」
エリナ「え、えっと?」
マイ「ダメ?」
エリナ「嬉しい!」

〇ヨーロッパの街並み
エリナ「今の人たちは死者かな」
マイ「どうだろうね」
エリナ「生者と死者の見分けつかないからね」
マイ「話しかける時困るよね」
エリナ「そうそう」
マイ「でも、不思議だよね 生者と死者が共生しているなんてね」
エリナ「うん」
マイ「死者がリアルで現れたら 怖いはずなのにね」
エリナ「本当だよね」
マイ「エリナちゃんが アレイオワ始めたきっかけは?」
マイ「やっぱり誰かに会いたいから?」
エリナ「アレイオワが1番人気だから 友達できるかなって」
マイ「正解だね! 私とエリナちゃん出逢えたし!」
エリナ「うん!始めてよかった!」
???「・・・」

〇廃倉庫
マイ「お金がなかったから この家しか買えなかったね」
エリナ「ごめんね、お金ほとんど 出してもらっちゃって」
マイ「気にしないで」
マイ「一日中ログインしてるから 暇つぶしに金策してたからね」
エリナ「えっと、、」
マイ「ニート!」
エリナ「その、、」
マイ「気にしなくていいよ!」
エリナ「私は中学まで 不登校だったから」
マイ「そうだったんだ」
エリナ「だから変わらないよ」
マイ「ありがと」
マイ「優しいね」
エリナ「でも、これから一緒に住めるの楽しみ」
マイ「家の中をいっぱいおしゃれにしよ!」
エリナ「うん!」
エリナ「楽しみが増えたね!」
マイ「だね」
エリナ「でも今日は落ちるね!」
マイ「お疲れ様!」
エリナ「また明日!」
  erinaがログアウトしました
マイ「エリナちゃん、あなたに いつ本当のこと言えばいいんだろう」
マイ「そろそろお別れが近いみたい」

〇女性の部屋
エリナ「今日も楽しかった!」
エリナ「マイちゃんって現実でも あんな感じなのかな」
エリナ「一度実際に会ってみたいな」

〇西洋風の部屋
エリナ「可愛い!」
マイ「上手く出来たね!」
エリナ「うん!」
エリナ「今度から落ち着いてお話しできるね」
マイ「そうだね」
エリナ「マイちゃんの誕生日いつ?」
マイ「9月18日」
エリナ「私は9月15日!」
マイ「本当!?近いね!」
エリナ「うん!」
マイ「そっか! じゃあ一緒にお祝いしよ!」
エリナ「しよう!」
マイ「約束ね!」
エリナ「うん!」

〇教室
エリナ(早く帰って、アレイオワに入ろう!)
佳奈「蘆名さん 最近少し変わった?」
美沙「やっぱ、そう思う?」
佳奈「また話しかけてみよ?」
美沙「いいね!」

〇西洋風の部屋
マイ「お誕生日のために 何か用意しよう」
マイ「マイちゃんかな?」
マイ「どうぞ!」

〇廃倉庫
  erinaがログインしました
マイ「・・・ログインしたようです」
マイ「お別れの時間をください」
???「少しだけだぞ」
エリナ「マイちゃん」
エリナ「その人、誰?」
マイ「えっとね」
エリナ「ん?」
マイ「突然なんだけど エリナちゃんと お別れしないといけないの」
エリナ「どういうこと?」
マイ「私、行かないといけない場所があるの」
マイ「だからお別れなの」
エリナ「そんなこと急に言われても」
マイ「今までありがとう」
マイ「約束守れなくてごめんね」
エリナ「マイちゃん!」
???「・・・」

〇荒廃した市街地
エリナ「待って!」
エリナ「お願い!」
エリナ「マイちゃん行かないで!」
マイ「エリナちゃん」
エリナ「私、何かしたのかな? 謝るよ!」
マイ「・・・」
エリナ「答えてよ」
???「気は済んだか?」
エリナ「お願いだから行かないで」
???「これは誰にも止めることはできない」
マイ「ダメなの」
エリナ「どうして!?」
マイ「・・・」
エリナ「どうしたらいいの?」
エリナ「このままだと2度と会えなくなる」
エリナ「そんなの嫌だ」
エリナ「・・・」
エリナ(初めてマイちゃんに 話しかけた時みたいな勇気を)

〇草原
マイ「・・・」
エリナ「あの人困ってるのかな」
エリナ「こんなとき、どうすればいいんだろ」
エリナ「このままにしておけないよね」
エリナ「あ、あの!」
マイ「えっ!?」

〇荒廃した市街地
エリナ「あの時の私、勇気をちょうだい!」
マイ(あのエリナちゃんが攻撃を?)
???「そんなレベルで止められると 思ってるのか?」
エリナ「そんな」
マイ「お願いだから逆らわないで!」
マイ「その人は普通の人じゃ勝てない」
???「ほら!」
エリナ「きゃああ!」
???「分かっただろ? お前は無力だ」
エリナ「お願いだから!」
エリナ「行かないでよ」
マイ「・・・」
???「しつこいぞ!」
マイ「うざっ!」
エリナ「マイちゃん?」
マイ「あんた、本当鈍臭いね」
エリナ「どうしたの?」
マイ「マジでさ、いつもキモいのよ! 少し仲良くしたら勘違いしてさ」
マイ「その姿、いい気味ね!」
マイ「あんたなんて大っ嫌い!」
エリナ「酷い」
???「ハハハ!無様だな!」
???「もう止めを刺さなくていいな」
マイ「行きましょう」
???「ああ」

〇荒廃した市街地
エリナ「マイちゃん」
エリナ「あんな風に思われていたなんて」
エリナ「もうゲームなんてやめちゃおう」

〇西洋風の部屋
エリナ「もうこの家ともお別れか」
エリナ「どうせ辞めるけど整理しようかな」
エリナ「もしかして、マイちゃん!?」
???「よっ!」
エリナ「どちら様ですか?」
リーン「私はリーン」
エリナ「何かご用ですか?」
リーン「さっき君達のやり取り 見てたんだけどさ」
エリナ「それがどうかしたんですか?」
リーン「追いかけなくていいわけ? 友達なんでしょ?」
エリナ「だって、あんなこと言われたんですよ?」
エリナ「本当は嫌われてたみたいです」
エリナ「私バカみたい」
リーン「本当にそう思ってる?」
リーン「そう思ってるなら大バカだよ」
エリナ「えっ?」
リーン「あの子が本気で 君を罵ったと思ってるの?」
エリナ「私、鈍臭いし、内気だし ああ思われていても仕方ないです」
リーン「あの子かわいそう」
エリナ「・・・」
エリナ「うるさい」
エリナ「私の気持ちも知らないのに 急に出てきて偉そうなこと言わないで!」
エリナ「出て行って!」
リーン「はいはい」
リーン「ちょっとは気に入ったんだけどな」
エリナ「何なの?」
エリナ「人の気持ちも分からないくせに」
エリナ「片付けしよ」
エリナ「あっ!」
エリナ「手紙?」
エリナ「誰のだろ」
エリナ「『エリナちゃんへ』」
エリナ「マイちゃんから私に!?」
エリナ「何だろ」

〇西洋風の部屋
マイ「エリナちゃんへ」
マイ「いつも直接話しているから」
マイ「手紙を書くなんて不思議です」
マイ「エリナちゃんに 伝えるべきことがあるので 手紙を書くことにしました」
マイ「私は難病で本体は昏睡状態です」

〇草原
マイ「ここは?」
  気づいた時には
  アレイオワの世界にいました
  最初は自分が死んでいるのか
  生きているのかすら分かりませんでした
  途方に暮れている時
  エリナちゃんに出会いました
エリナ「あ、あの!」
マイ「えっ!?」
  凄い心配そうな顔して
  話しかけてくれたよね
  勇気を出して
  私に話しかけてくれたのが
  凄い伝わってきた
  その優しさが伝わってきて
  ホントに嬉しかったよ

〇西洋風の部屋
マイ「そのあと、気が合って友達になったよね」
マイ「いろいろなところを 冒険したり遊んだよね」
マイ「でも、そろそろお別れみたいです」
マイ「私の身体が そろそろ力尽きるみたい」
マイ「この世界にいる状態で 死ぬとどうなるんだろう」
マイ「そんな疑問も浮かぶけど お別れになる気がします」
マイ「急にお別れが来るかもしれないので こうして手紙を残しておきます」
マイ「エリナちゃん、大好きだよ!」
マイ「ずっと友達だからね!」

〇西洋風の部屋
エリナ「マイちゃん」
エリナ「私を罵ったのも あれ以上私を傷付けさせない為だったんだね」
エリナ「やだよ」
エリナ「こんなお別れ嫌だよ」
エリナ「・・・」
エリナ「友達いたことないから どうしたらいいのか分からない」
エリナ「でもマイちゃん悲しそうだった」
エリナ「それを止めたい」
エリナ「笑顔にしてあげよう!」
エリナ「あとお誕生日お祝いしないとね!」
エリナ「それが私に出来ること!」

〇廃倉庫
エリナ「あれ?あなたは」
リーン「決めたみたいね」
エリナ「あ、はい」
エリナ「さっきは失礼なこと言って ごめんなさい」
リーン「気にしてないよ」
リーン「私も付いていっていい?」
エリナ「えっ?」
エリナ「どうしてですか?」
リーン「興味湧いちゃってさ」
リーン「あなた、あの怪物に挑んだでしょ?」
エリナ「うん、ボロ負けしたけど」
リーン「あの友達を想う勇気気に入っちゃった」
エリナ「えっ?」
リーン「君の勇気本物だよ」
リーン「誇りな」
エリナ「えっ?」
リーン「だから、手伝うって決めた」
エリナ「分かりました! 一緒に行きましょう!」
リーン「君みたいな勇気ある人を 何て言うか知ってる?」
エリナ「何ですか?」
リーン「『勇者』」

〇荒野
マイ「あとどれぐらい掛かるんですか?」
???「まだまだだな」
???「冥界へは時間がかかる」
マイ(あの大人しいエリナちゃんが 死神に戦いを挑んだよね)
マイ(私のために勇気を出してくれたんだよね)
マイ(エリナちゃんに直接謝って ちゃんとお別れを言いたい)
マイ(それが運命に逆らうことになっても)

コメント

  • こんばんは!
    うわー!サイドストーリーという仕掛け!良いですね!
    作り込んでないと出来ないことですよね👍

    本編と合わせて楽しみです!

  • 生者と死者が共存する仮想現実世界で、リアルで生死の境界線にいた友人が死神に連れ去られるなんて…。作者さんの発想の豊かさには恐れ入りました。この世界観と二人の現実世界がこれからどのようにリンクしていくのかにも非常に興味があります。

  • おぉー!アレイオワの世界観良いですねー✨😆

    そして、この作品が長編コンのサイドストーリーになるの楽しみです!!✨☺️
    二重で楽しめますね✨

    こちらの続きも本編も楽しみにしております!!✨☺️

成分キーワード

ページTOPへ