voice【2】アクセントの壁到来! アラサーよ、辞書を抱け!(脚本)
〇説明会場(モニター無し)
九条 大志「プラネット・ロボット大戦のヴィラン役──」
廻 心春「小さい頃に舞台で・・・」
七海 さくら「声優の●●さんに憧れて・・・」
〇女性の部屋
石動 凛子「よし、今日の振り返りおっけー! 練習するぞー!」
石動 凛子「あえいうえおあお! かけきくけこかこ! させしすせそ・・・」
石動 凛子「隣の客はよく柿食う客だ!」
石動 凛子「東京特許許きゃ局長今日急遽休暇許きゃ拒否・・・」
石動 凛子「許可局、許可局、許可局・・・」
石動 凛子「今日未明──シャ〇少佐の肩たたき器のようなトリニダード・トバコ産の生バナナだったのか、詳細を調査中です!」
石動 凛子「よっしゃあああ! 言えたあああああ!!」
石動 凛子「よし、それでは・・・」
〇仮想空間
サーシャ(石動 凛子)「今日もセリフがたくさんアップされてるー!」
サーシャ(石動 凛子)「どれからいこうかなー」
サーシャ(石動 凛子)(恋する女。 卑屈な性格で、年齢は・・・“あなた”って言ってるから意外と高め?)
サーシャ(石動 凛子)(このシチュエーションを想像して・・・)
サーシャ(石動 凛子)「好き、キライ、好き、キライ・・・」
サーシャ(石動 凛子)「そう・・・だよね。 私なんか、好きになってもらえるはずない」
サーシャ(石動 凛子)「よし、次のセリフー!」
サーシャ(石動 凛子)「さて、60くらいはやったかなー」
アナスタシア「今日も活躍してますなー!」
サーシャ(石動 凛子)「アナ! あなた、今日はこっちに来てたの!?」
アナスタシア「サーシャが声入れてるみたいだったから。 原稿主が直々に参りましたぞ」
サーシャ(石動 凛子)「あれ、アナの書いたやつだったんだ」
アナスタシア「よきお声でしたぞ。 余は満足なり」
サーシャ(石動 凛子)「あ、ありがとう」
サーシャ(石動 凛子)「君のハートにロイヤルストレートフラッシュ★」
アナスタシア「サーシャの決めゼリフきたー! 考えたかいがありました☆」
アナスタシア「まだ今日やってくの?」
サーシャ(石動 凛子)「今日はもう終わり。 ランニングして寝る」
アナスタシア「がんばるねぇ! 応援してるぞ、23歳☆」
サーシャ(石動 凛子)「ね、年齢はあまり言わないでぇ」
アナスタシア「ではまた☆」
サーシャ(石動 凛子)「・・・23歳、ね」
〇説明会場(モニター無し)
それから様々な発声の練習を含め、
基本の座学を行った。
初級クラスはマイク前に立つことはない。
基礎や舞台演技から学んでいく。
小鳥遊 真緒「今日は前回配った 『外郎売(ういろううり)』をやります」
石動 凛子(キターッ!!)
『外郎売』とはむかーしの歌舞伎十八番。
声優やアナウンサーにとっての滑舌トレーニングとして有名な題材である。
小鳥遊 真緒「まず私がゆっくり読みます。 フリガナなどは私が読んだものを正として今後は取り組んでください」
小鳥遊 真緒「では──」
小鳥遊 真緒「拙者、親方と申すは、御立会のうちに、 御存じのお方もござりましょうが──」
石動 凛子(あれー? YouTubeで聞いたアナウンサーと違う?)
小鳥遊 真緒「じゃあ、さっそく前に出てやってもらいます。 誰からやるー?」
石動 凛子(が、がんばるのよ、凛子! 積極性を見せるチャンスよ!)
石動 凛子「はい!」
小鳥遊 真緒「お、じゃあ石動さん前出てねー」
石動 凛子(大丈夫よ、凛子。 YouTube聞いて練習したんだから)
石動 凛子(ここで差をつけるチャンスよ!)
石動 凛子「拙者、親方と申すは、御立会のうちに、 御存じのお方もござりましょうが──」
小鳥遊 真緒「ストップストップ!」
小鳥遊 真緒「読むスピード早いよ。 もっとゆっくり読んで」
石動 凛子「は、はい!」
石動 凛子「拙者、親方と申すは・・・」
小鳥遊 真緒「はい、そこまで」
小鳥遊 真緒「アクセント間違いが多いよ。 ”親方”は”親方”だよ」
石動 凛子「・・・はい」
小鳥遊 真緒「他にも結構あったから。 ちゃんと直してね。じゃ、次の人」
石動 凛子(親方、親方、親方・・・)
石動 凛子(他、どこ間違ってた? 辞書で全部書き込んである。 YouTube聞きながら何度も練習したのに)
〇説明会場(モニター無し)
小鳥遊 真緒「うん、いいね。 次からスピードあげてみて」
廻 心春「あ、ありがとうございます!」
小鳥遊 真緒「アクセントもしっかりしてた。 今日聞いた中では廻さんがよかったかな」
小鳥遊 真緒「では今日のレッスンはここまで。 片付けを・・・」
石動 凛子「廻さん」
廻 心春「石動さん!」
石動 凛子「すごくよかった。 私、ボロボロだったからさ」
石動 凛子「色々教えてほしい」
廻 心春「あたしでよければ!」
七海 さくら「うちも教えてー。 地方から通ってて、訛りが抜けんのよ」
〇線路沿いの道
石動 凛子(親方、親方、親方・・・)
石動 凛子(破風には・・・ アワヤ喉サタラナ舌・・・)
石動 凛子「がんばらないと。 辞書で確認して、YouTube聞き直そう」
石動 凛子「完璧に読まないと。 こんなはじめに壁にぶつかってたらクラスで一番なんてとれない」
石動 凛子「講師推薦、とらないと・・・」
〇幻想2
〇黒背景
〇説明会場(モニター無し)
小鳥遊 真緒「直ってないかなー。 YouTubeとかにお手本出てるんだし、 ちゃんと聞いてー」
石動 凛子(・・・わからない)
石動 凛子「あの、質問よろしいですか?」
小鳥遊 真緒「どうぞ」
石動 凛子「YouTubeで外郎売聞いて辞書でアクセント確認してるのですが、結構違うところがあって」
小鳥遊 真緒「辞書信じて。辞書が100%」
小鳥遊 真緒「そのYouTubeは読みの参考に。 プロの読みをきいて。 アクセントを確認するものじゃないから」
石動 凛子(・・・わからない。 自分の言葉が、ちゃんとしたアクセントで喋ることが出来ているのか・・・怖い)
〇女性の部屋
石動 凛子「ここは平板型で・・・」
石動 凛子「冷静になろう。 他の練習・・・」
石動 凛子「よぼよぼ病予防病院予防病室よぼよぼ病予防法」
石動 凛子「桜の開花予想は九州・・・」
〇仮想空間
サーシャ(石動 凛子)(ルーチンはこなした。 逃げずにやったんだ、十分えらい)
サーシャ(石動 凛子)(のんびりしてる余裕はない。 スタートの時点で若さというスキルがないんだから、せめて技術をしっかりさせないと)
サーシャ(石動 凛子)(考えることたくさんあるな。 仕事を取るために必要なことを逆算して・・・)
サーシャ(石動 凛子)「あ、これ読んでみたいな」
サーシャ(石動 凛子)(”逆境”、”背中を預ける”・・・。 危機的状態で相棒に語る感じかな?)
サーシャ(石動 凛子)「はっ・・・こんなところで終わってたまるか。 こんな逆境くらい、どうってことないさ」
サーシャ(石動 凛子)「家に帰ったら、お前の好きなカモミールティーでも飲もう」
サーシャ(石動 凛子)「・・・俺の背中はお前に預ける。 さっさと片をつける。いくぞ!」
サーシャ(石動 凛子)「逆境・・・か」
サーシャ(石動 凛子)「・・・がんばろう」
サーシャ(石動 凛子)「前例がないなら私が作る。 それくらいの型破りじゃないとね!」
〇説明会場(モニター無し)
小鳥遊 真緒「うん、じゃあ次は通しで読めるように練習してきてね」
小鳥遊 真緒「次はかけ合いを含めた距離感をやっていきます。おつかれさまでしたー」
「おつかれさまでしたー」
宇野 聖羅「あは、声小さいってまた怒られちゃった」
七海 さくら「聖羅ちゃん、前に出ると途端に声小さくなるよなぁ」
七海 さくら「うちも訛り癖、治さないと。 辞書高いけど、早く買わないとな」
九条 大志「なんでさ行が上手く言えないんだ・・・」
石動 凛子(負けていられないの)
石動 凛子(圧倒するくらいの存在。 正攻法で、私は一番をとる)
石動 凛子(一次審査は最低ライン。 事務所に入るための審査は二次審査から)
石動 凛子(若さに甘える余裕はもうない。 夢を叶えるためなら努力は惜しまない)
石動 凛子「廻さん、ありがとう! 聞いてて勉強になったよ!」
廻 心春「わぁ、ありがとうございます!」
石動 凛子(・・・醜い嫉妬ね。 でも、負けられないから)
盗めるものは全部盗む。
誰にも努力を笑わせない。
頑張って報われない社会が当たり前なんて言わせない。
だったら私が成功して、その当たり前を覆してやるんだから。
〇SNSの画面
養成所のクラスで一番になれない奴は
そもそも声優になれない
〇女性の部屋
またまた読ませて頂きました❣️
プロの世界は厳しいですね‥
フレー、フレー、主、役、❣️
私なんか多分「橋」と「箸」と
「柿」と「牡蛎」でもうアウトだな_(:3 」∠)_
外郎売りは
それを売って生きてた大昔のその地方の
その時代のその人のイントネーションなんて現代の誰にも分からな
おっと誰か来たようだ
わー、アクセント😂わたしは絶対ボロボロです!
しゃべってると標準語でも地方出身てバレます。
直すの大変そうですね~
「東京特許許可局」言いにくいですよね!
凛子さん、真面目すぎて思い詰めてるみたいで心配ですね。
わあ〜これは身につまされますね💦
昔「解決」を満月のアクセントで読んだら「違います、どら焼きのアクセントです」って言われたことがあるんですけど今のプロ声優さんの演技聞いても満月のアクセントで言ってる人多いんですよね。もう何が何だか。
アナスタシアちゃんはメタ仲間なんですかね?
ちなみに私は朗読の先生に外郎売を読んで「な行」が弱いと指摘されたことがあります😅