乱(脚本)
〇海水浴場
海斗「あんたか。あの記事、書いたの」
向井「おーやっぱ本物のワルは迫力が違いますね」
海斗「・・・」
向井「そんなおっかない目で見ないで下さいよ。私も海のマナーに心を痛めている人間です」
向井「ですから興味があるんですよ。海の守護者救命王子がいかにして誕生したのか」
向井「で、取材してたら意外な過去が浮かび上がった」
海斗「あの写真、どこで手に入れた?」
向井「心当たりはあるんじゃないですか?」
海斗「・・・」
海斗「直哉か」
向井「ははっ!」
海斗「俺はいい!でも直哉は関係ない!アイツを巻き込むな!」
向井「ちょっとちょっと。人聞きの悪いこと言わないでもらえますかね」
向井「元々このネタは国平直哉さんが持ち込んできたものなんですよ」
海斗「・・・直哉が?」
向井「あの事件以降、お二人の運命は随分と変わったみたいですね」
向井「かたや海のヒーロー救命王子」
向井「かたや夜の世界で女衒(アテンド)紛いの商売」
海斗「直哉に関わるな」
向井「救命王子の真実。第二弾は明日発売です」
向井「彼も楽しみにしてくれてるようです」
向井「結構な謝礼を渡したんで今頃いい思いしてるんじゃないかな」
向井「あなたもお望み通りヒーローになれたわけだし、今度はお友達にも気持ちいい思いさせてあげましょうよ」
海斗「関わるなっつってんだろ!」
向井「お、いいっすね。一発いいの下さいよ」
向井「痣でもできりゃ一年は遊べるほどのネタになりますんで」
海斗「・・・」
海斗「どいてくれ」
向井「応援してますよ!プリンスレスキュー!」
〇歌舞伎町
女「・・・な、何アレ?」
男「おいおい、マジかよ!」
『往来のみなさま!PRESENTforYOU!』
〇屋上の隅
直哉「季節外れのプレゼントだぜ!」
直哉「ひゃははははは!」
〇歌舞伎町
〇屋上の隅
直哉「ひゃははは!拾え拾え!街のゴミども!」
『直哉』
直哉「・・・え?」
〇屋上の隅
直哉「聖美・・・」
聖美「ゴメンね」
直哉「どうして?」
直哉「なんで謝ってんだ?」
聖美「ゴメンね」
直哉「・・・謝るな」
聖美「ゴメン」
直哉「謝るな」
聖美「私・・・」
聖美「私、やっぱり海斗のことが」
直哉「謝るなあああああああああああああ!」
〇黒
〇屋上の隅
直哉「・・・」
直哉「・・・聖美」
直哉「待ってくれ」
直哉「行かないでくれ・・・聖美」
続く