バグ・ラング・スクランブル

穂橋吾郎

#6 目が覚めたら(脚本)

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〇水中
  川に落ちてずぶ濡れになった俺は
  家に帰ってから40℃近い熱を出した
  数日間をベッドの中で過ごしながら
  また金子と喧嘩してしまったことを後悔していた
  風邪が治ったら金子に謝ろう
  そう思っていた・・・

〇教室
黒沢「おお、宗太、おはよー!」
黒沢「風邪、もう大丈夫なのか?」

〇商店街
綾香「宗太に会えなくて超寂しかったー!」
綾香「ねぇ、カフェでお茶して帰ろうよ!」

〇おしゃれなリビングダイニング
長江 亜紀「宗太お帰り」
長江 亜紀「久しぶりの学校疲れたでしょ」
長江 亜紀「いまごはん用意するからね」
長江 宗太(突然「文字化け」が治った)
長江 宗太(みんなの声がちゃんと聞こえて理解できた)
長江 宗太(・・・・・・)
長江 宗太(おかしい)
長江 宗太(俺は裕也から逃げ、金子からも逃げたのだ)
長江 宗太(それなのに「文字化け」が治るなんて)
長江 宗太(そんな都合のいい話は無い)

〇テレビスタジオ
キャスター「次のニュースです」
キャスター「アマチュアフリーダイバーの金子蘭さんが」
キャスター「フリーダイビングの大会中に意識を失い、現在も意識不明の重体とのことです」

〇おしゃれなリビングダイニング
「金子さんは潜水から浮上したのち」
「審判からの呼びかけに答えず意識を失い」
「そのまま病院に搬送され・・・」

〇大学病院

〇綺麗な病室
金子 百合子「この子にも友達がいたのね」
長江 宗太「蘭さんは、そう思ってないかもしれないですけど」
金子 百合子「学校のことなんて一つも話さなかったから」
長江 宗太「蘭さんには」
長江 宗太「たくさん助けてもらいました」
金子 百合子「ホントにわがままばっかで」
金子 百合子「こんなことになるなら」
金子 百合子「ダイビングなんて無理やりにでもやめさせたら良かった・・・」
長江 宗太「蘭さんが目を覚ます見込みは・・・」
金子 百合子「ほとんど絶望的だって・・・」
金子 百合子「ごめんなさい、ちょっとトイレに行ってくるわ」
長江 宗太「すみません」
金子 百合子「いいの、ゆっくりしてってね」
長江 宗太「・・・金子」
長江 宗太「お前なにやってんだよ」
金子 蘭「・・・・・・」
長江 宗太「「文字化け」治ったんだよ」
金子 蘭「・・・・・・」
長江 宗太「一緒に喜んでくれよ」
金子 蘭「・・・・・・」
長江 宗太「なあ、返事してくれって!」
金子 蘭(あー、うっさいな!)
金子 蘭(聞こえてるっての!)
長江 宗太「無視すんなよ!」
金子 蘭(無視してない、声が出せないだけ)
長江 宗太「おい、聞こえてんだろ!」
金子 蘭(だから聞こえてるって!)
長江 宗太「なんかしゃべってくれよ・・・」
金子 蘭(・・・あんたに聞こえないだけで、ちゃんと喋ってる)
長江 宗太「目を覚ましてくれよ・・・」
金子 蘭(・・・無茶言わないでよ)

〇教室
黒沢「なんか最近、宗太ノリ悪いよな」
長江 宗太「そうかな」
佐々木「あー、俺もそう思うわ」
佐々木「ちゃんと話聞いてる?」
長江 宗太「聞いてるよ」
長江 宗太「言葉も理解できる」
黒沢「いや、ボケろよ。真面目に答えんなって」
佐々木「宗太が変になったのって、金子がいなくなってからじゃね?」
長江 宗太「そりゃ・・・」
長江 宗太「友達があんな事故に遭ったんだから、落ち込むだろ」
佐々木「友達って仲でもなかっただろ」
黒沢「てか、フリーダイビングってなんなん」
黒沢「全然知らんかった」
佐々木「だからちょっと臭かったんだな」
黒沢「髪もボサボサだったしな」
長江 宗太「やめろよ!」
黒沢「だって自業自得じゃん」
黒沢「勝手に潜って勝手に死んで」
長江 宗太「死んでねぇよ! ふざけんな!」
黒沢「痛っ、押すなよ!」
「ちょっ、やめろよ!」
長江 宗太「ノリでテキトーなこと言ってんじゃねぇぞ」
黒沢「だから何マジになってんだよ」
黒沢「キモいんだけど」
長江 宗太「金子のことよく知りもしないで」
長江 宗太「軽々しくあいつをけなすな」
「なに涙目になってんだ、ダッサ」
長江 宗太「あいつは俺の」
長江 宗太「大切な友達なんだよ」

〇綺麗な病室
長江 宗太「お前のせいでキモいって言われた」
長江 宗太「ダサいって言われた」

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