早瀬くんは人体模型

せんぶり

❸Hot for Teacher(脚本)

早瀬くんは人体模型

せんぶり

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〇黒
  前回までは

〇ハチ公前
アキト「今夜はもうひと暴れする」

〇屋敷の門
早瀬ハル「敵対する組同士の抗争に見せかける」
早瀬ハル「でしょ」

〇怪奇現象の起きた広間

〇日本家屋の階段

〇拷問部屋
???「だ、誰だ?」
???「コイツを解いてくれ!」

〇拷問部屋
アキト「アンタは悪人か?」

〇拷問部屋
???「悪人では、ない」
アキト「ふぅん」

〇拷問部屋
早瀬ハル「わかった、潜入捜査官だ!!」

〇拷問部屋
???「だ、だいたい聞いてないんだよ!」
???「あんなヤバい連中と関わるなんて」

〇拷問部屋
???「み、見るな・・・」
???「見るな、見るな、見るな・・・っ!!」
「ああああああぁぁぁぁぁぁっ」
アキト「一体どうなってやがる・・・」

〇廃ビル
大家「あの件なら、まだ全然つかめてないわよ?」

〇廃ビル
アキト「ちょいと厄介事に首を突っ込んだかもしれなくてね」

〇シックな玄関
君島カオリ「早瀬くんおかえりなさい」

〇一戸建て
???「ふーん・・・」
???「人体模型とひとつ屋根の下、か・・・」

〇黒
  ・・・苦しい
  胸が張り裂けそう・・・
  いけない事だってわかってるけど・・・
  でも
  抑え切れないよ
  ・・・先生

〇一戸建て

〇通学路
君島カオリ「ふぅ・・・」
君島カオリ「ハリーの動画のコメントに返信してたら」
君島カオリ「すっかり寝不足だわ」
早瀬ハル「お疲れ様」
君島カオリ「でも」
君島カオリ「あんなに反響があるなんて思ってもみなかったから」
君島カオリ「なんだか感動!」
早瀬ハル(ただでさえ飛ぶ鳥を落とす勢いの「ハリーch.」がファンサービスまで覚えてしまった)
早瀬ハル(これはますますアキ様の立場が危うくなるな・・・)
早瀬ハル「・・・」
早瀬ハル「って、僕にはあんまり関係ないか」
君島カオリ「ところで早瀬くん」
君島カオリ「人間社会には慣れてきた?」
早瀬ハル「え?あ、まぁね・・・!」
早瀬ハル「昨日も大勢でお祭り騒ぎだったよ」
早瀬ハル(と言っても、血祭りだったんだけど・・・)
君島カオリ「あら、楽しそう」
君島カオリ「でも、アキトには気を許しちゃダメよ」
君島カオリ「アイツは悪魔なんだから」
早瀬ハル「う、うん・・・」

〇大きな木のある校舎
君島カオリ「それじゃ、またね」
早瀬ハル「うん」
林クミ「カオリ、おはよ~」
君島カオリ「おはよう、クミ」
林クミ「え!?」
林クミ「だれ、ダレ、誰ぇ!?」
林クミ「もしかして、カオリの彼ピ!?」
君島カオリ「違うわよ」
君島カオリ「えーっと・・・」
君島カオリ「イトコよ、イトコ!」
君島カオリ「イトコのハルくん!」
林クミ「へぇー」
林クミ「でもなんかドコかで見た事あるような・・・」
君島カオリ「え!?」
林クミ「朴訥とした雰囲気・・・」
林クミ「堂に入った直立不動感・・・」
林クミ「生気のない表情・・・」
林クミ「まるで・・・」
林クミ「まるで・・・!!」
君島カオリ「ほ、ほらほら、遅刻しちゃうわ!」
君島カオリ「行くわよ、クミ!」
林クミ「え、ちょっとぉ!」
君島カオリ「じゃあね、ハルくん!」
早瀬ハル「は、はい」
早瀬ハル「・・・ふぅ、びっくりした」
早瀬ハル(うーん)
早瀬ハル(もう少し、生身の人間っぽく振舞った方がいいのかもしれないな・・・)

〇まっすぐの廊下

〇教室
  誰かのものになんてならないで・・・
  私だけを見てほしいのに・・・
  どうして・・・
  私・・・
  もうこれ以上は・・・

〇古いアパート
  この地区ではここ最近
  独居老人の家を狙った空き巣が多発している
  いわゆるタンス預金目当て──
  という事らしい
早瀬ハル(とはいえ)
早瀬ハル(まだ犯人の目星は付いてないんだよなぁ・・・)

〇シックなリビング
アキト「俺はちょいと旅に出る」
早瀬ハル「はい?」
アキト「いま一度、自らを見つめ直し」
アキト「ヤツ(ハリネズミのハリー)を倒す術を身に付けるつもりだ」
アキト「その間、悪人殺しはお前ひとりだ」
アキト「ここ最近やり過ぎた所があるからな」
アキト「組連中も警戒してる」
アキト「しばらくは、大量殺人はナシだ」

〇古いアパート
早瀬ハル(単独犯を狙うのは、けっこう骨が折れるんだよね)
  獲物(悪人)の調達は警察との戦いでもある
  先に捕まえられたら手が出せなくなってしまう
  そこで──
  今回は警察を出し抜くためにコレを使おう
  あとは、彼らにコレを咥えて飛び回ってもらえば・・・
  効率よく情報収集ができる──

〇シックなリビング
君島カオリ「早瀬くん、どうしたの?」
早瀬ハル「え、あのその・・・」
早瀬ハル「ウ、ウィンクの練習!」
早瀬ハル「でもやっぱり、本家には遠く及ばないなぁ~」
早瀬ハル「あははははぁ~・・・」
君島カオリ「そう・・・」
  まぁその間、日常生活に支障をきたすわけだけど・・・

〇古いアパート
  なかなか尻尾を掴めないなぁ・・・
早瀬ハル「ひとつでダメなら」
早瀬ハル「両方使うまでだ!」

〇シックなリビング
君島カオリ「ふふ、気に入ったから買っちゃった」
君島カオリ「似合うかしら?」
早瀬ハル「うん、いいと思うよ!」
「・・・」
  悪人を見つけるのって大変だ

〇大きな木のある校舎

〇教室
女生徒A「先生、さようなら~」
女生徒B「バイバーイ、センセッ!」
御堂ノボル「はーい、気を付けてな」

〇まっすぐの廊下

〇屋上の入口

〇学校の屋上
御堂ノボル「・・・」
「来てくれたんですね」
清水ミオ「先生・・・」
御堂ノボル「そりゃ、生徒の話を聞くのは教師の務めだからな」
清水ミオ「生徒・・・」
清水ミオ「私は生徒じゃなくて、ひとりの女として見てほしいんです・・・」
御堂ノボル「清水・・・」
御堂ノボル「前にも話し合っただろ?」
御堂ノボル「俺には家庭もある」
御堂ノボル「わがままを言わないでくれよ」
清水ミオ「でも約束しました」
清水ミオ「奥さんと別れてくれるのはいつ?」
御堂ノボル「それは・・・」
清水ミオ「私、もう待てません・・・」
御堂ノボル「・・・」
御堂ノボル「清水はもう少しオトナだと思ってたんだけどな・・・」
清水ミオ「私こどもよ・・・」
清水ミオ「自分でも呆れるくらいこども・・・」
清水ミオ「だからもう我慢しないの」
清水ミオ「先生」
清水ミオ「私と一緒に来て」
清水ミオ「自由な世界で一緒になろう・・・」
御堂ノボル「お、おい!」
御堂ノボル「馬鹿な事はやめるんだ!」
清水ミオ「こうするしかないのっ!」
清水ミオ「もう疲れたの・・・」
清水ミオ「だから!」
清水ミオ「先生を刺して私も死ぬ!」
御堂ノボル「くっ」
清水ミオ「は、放してっ!」
清水ミオ「あっ!」
御堂ノボル「いい加減にしろっ!」
御堂ノボル「こんな事したって」
御堂ノボル「幸せになんてなれないぞ」
清水ミオ「うぅ・・・」
御堂ノボル「俺だって今のままじゃ嫌だよ」
御堂ノボル「でも前に進むためには、もう少し時間がかかる」
御堂ノボル「俺を信じてくれないか、清水」
清水ミオ「先生・・・」
御堂ノボル「わかってくれるかい?」
清水ミオ「うぅ・・・はい・・・」
御堂ノボル「・・・」
御堂ノボル「ふぅ・・・」
御堂ノボル「チッ」
御堂ノボル「これだからガキは面倒臭い」
御堂ノボル「遊びなんだよ、遊び」
御堂ノボル「なにマジになってんだよ、勘弁してくれ」
御堂ノボル(そろそろココも潮時か──)
御堂ノボル「えっ」

〇黒
  一体どうなってる?
  俺、いま落下してる?

〇教室の外
  ど、どうなってる・・・?
  なんでこんな事に・・・
「わぁー!」
「ちゃんと落ちてるーっ!」
  な・・・なんだ?
  だ、誰でもいい・・・とにかく、救急車を・・・
「先生、いつもあーやってフェンスに寄りかかってタバコ吸ってるから」
「ちょっとフェンスに細工させてもらいました!」
「ふふふ、大成功です!」
  な、なにを言ってるんだ・・・
  い、いいから早く助けを・・・
  !?
???「なんでこうなってるか分からないですか?」
  な、なに?
???「いたいけな女子高生の心と身体を弄んだ罰・・・」
???「と言えば聞こえがいいですが」
???「単純に先生の魂が欲しかっただけっていうのが実の所です!」
???「ロケーションもバッチリだしぃ」
???「あと」
???「国語の先生だから、彼との相性もいいかなって!」
  は?
  だからなにを言ってるんだ、さっきから!
  どうでもいい、早く助けろっ!!
???「あぁ!」
???「あんまり動かないで下さいよぉ」
???「せっかく魔法陣の真ん中に落ちてきてくれたんですからぁ!」
  え?

〇大きな木のある校舎

〇古いアパート
  文字通り、目の回る忙しさだったけど
  おかげで、ようやく犯人の目星が付いた

〇パチパチ
  吉井シゲオ──
  老人宅を狙う空き巣を繰り返している悪人とみられる

〇古いアパート
  カラスたちのおかげで
  次のターゲットを物色している吉井を捉える事ができた

〇花模様
  奴が目を付けたのは、緑山ウメさん
  去年、旦那さんを失くしている
  その遺産を狙っているのだろう
  登山が趣味で、日中に家を空ける事が多い事も調べ上げているハズだ

〇古いアパート
早瀬ハル(なんだその格好は?)
  手口を変えた?
  一線を越えるつもりなのか?
早瀬ハル(とにかく後を追おう)

〇昔ながらの一軒家
早瀬ハル(作業員に扮して、言葉巧みに進入した・・・)
早瀬ハル(やっぱり、もうコソコソするつもりはないみたいだな・・・)

〇アパートの中庭
早瀬ハル(静か過ぎる・・・)
早瀬ハル(耳を外して投げ入れたけど、なにも聞こえない・・・)

〇広い畳部屋
  ──!?
早瀬ハル(なぜ吉井が倒れているんだ!?)
早瀬ハル「これはっ!?」
  ゴクッ
早瀬ハル(なるほど、毒を盛られたのか)
早瀬ハル(趣味の登山は、毒草を集めるため・・・)
緑山ウメ「な、なんてこったい・・・」
緑山ウメ「普通こういう時は」
緑山ウメ「ペロッ・・・程度でやめとくもんだけどね・・・」
緑山ウメ「と、とにかく毒が効かないんじゃあ、こうするしかないね」
早瀬ハル「庭に複数の埋め跡・・・」
早瀬ハル「弱者を装って獲物をおびき寄せているのか・・・老獪極まるなぁ」
緑山ウメ「なにブツブツ言ってんだい!」
緑山ウメ「私の楽しみの邪魔はさせないよっ!」
早瀬ハル(この前みたいに、ヤクザ同士の抗争に見せかけるわけにはいかないからな)
早瀬ハル(アキトにも言われてるし、今回は地味にいこう)
緑山ウメ「ひっ!」
「う、うわぁぁぁーーーっ!!」
早瀬ハル「あ、まだ生きてた」
吉井シゲオ「ひいぃぃぃぃっ!」
早瀬ハル「あっ」

〇昔ながらの一軒家
早瀬ハル(まずい、殺す所を見られてる)
早瀬ハル(追わないと!)
早瀬ハル「あれ」
早瀬ハル「敷地から出られない」
???「人のシノギにちょっかい出して、タダで帰れると思ってんのかい?」
早瀬ハル「どういう事ですか?」
???「どーもこーもねぇっ!」
???「せっかく家に憑りついて」
???「あのババァが刈り取る霊気を吸い上げてたのに」
???「全部パァにしやがって!」
???「だからよぉ」
???「お前さんの命で落とし前つけてもらうぜぇっ!!」
早瀬ハル「すみません、急いでるので」
???「客引きをあしらうテンションで行こうとすんじゃねぇっ!」
???「ブッ殺す!!」
???「なっ!?」
???「俺の結界がっ!?」
早瀬ハル(お、お侍さん!?)
???「な、なんだお前は!?」
???「小者に名乗る名前は持ち合わせておらん」
???「なっ!?」
???「先を急いでいるのだろう?」
???「ココは俺が引き受けた」
早瀬ハル「か、かたじけない!」
???「なぁに勝手に話進めてやがんだよぉっ!」
???「まずはお前から血祭りにあげてやるよぉっ!!」

〇ゆるやかな坂道
早瀬ハル(とにかく今は吉井を追わなきゃ)

〇ビルの裏
吉井シゲオ「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
早瀬ハル(大通りに出られたら、もう手が出せないっ)
吉井シゲオ「はぁ、はぁ・・・」
吉井シゲオ「あぎゃーーーーーーっ!!」
早瀬ハル「・・・」
「トラップ発動、大成功~!!」
「夜なべしてお札書いた甲斐があったわ♪」
???「花火みたいで綺麗だったでしょ?」
???「早瀬ハルくん?」
早瀬ハル(僕の事を知ってる!?)
???「そっちも片付いたようだな」
???「あら、早いのね」
早瀬ハル「あの・・・」
早瀬ハル「アナタたちは一体・・・」
???「ふふっ」
???「怪奇のそばにその影あり!」
???「アナタの街のオカルトヒロイン!」
???「と、その相棒よ!!」
早瀬ハル「・・・」
  人は余りの出来事に遭遇すると、開いた口が塞がらないという
  僕もこうやって
  少しずつ人間らしさを獲得していくのだろうか
  人間らしく生きるのって
  ちょっと面白いかも

コメント

  • ウインク表情でそんな活用が!😳自在にパーツを外して活用するのが人体模型設定にハマっていて面白かったです。
    オカルトヒロインも登場!ということは、あの侍が金次郎でしょうか。彼らがどういう存在なのか、気になります。

  • 最終選考おめでとうございます‼パチパチパチ👏
    クールでソリッドで不思議な魅力にあふれた作品ですね! 選ばれるのも尤もです。
    そして3話に来て、また謎の展開になりました💦
    新キャラも出て、ますます魅力的になるでしょう。
    ハル君もクールなようで、面白いですねww
    相手の口調につられて「かたじけない」と武士っぽくなるのも面白かったです。

  • 早瀬くんが実体模型であることを活かした戦いやギャグ、最高でした! 3話までにかなりの数の命が作品の中で散っていきましたが、キャラの魅力のおかげか、殺伐としなくて不思議…笑 ホラーとコメディのバランスが本当に絶妙です。

    また、謎のオカルト・ヒロインの相棒役として、自キャラを出演させて頂き感謝です^^次回には何者か正体が明かされそうなので、楽しみにしています。

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