ぎるぺな

氷雨涼

第6話 神社の美人姉妹(脚本)

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〇明るいリビング
陽影 伶「ふぁー・・・おはよ」
暁 灯可里「おはよう、れーちゃん」
陽影 伶(良かった、機嫌は直ってるみたいだな)
暁 灯可里「れーちゃんは今日は休みだけど、どうするの?」
陽影 伶「うん、さすがに細々とした生活用品とかも足りないし、色々買い物に行こうかと思ってるけど」
暁 灯可里「もう、仕事が無ければ私も一緒にお買い物行けたのに」
陽影 伶「学園休みでも売店ってやってるんだ?」
暁 灯可里「ええ、学園は部活動推奨してるでしょ、運動部なんかは特に活動してる所が多いのよ」
暁 灯可里「だから土曜日は売店も昼前から夕方までは営業中よ、日曜日と祝日はお休みだけど」
陽影 伶「大変だねぇ。 でさ、買い物に丁度いい所ってどこかな」
暁 灯可里「それなら・・・」
陽影 伶「売店以外で」
暁 灯可里「ば、もーうなんでよー」
陽影 伶「学園の売店なんて行っても文具とか昼飯くらいしか買えないだろ」
暁 灯可里「他にももう少しありますー」
暁 灯可里「ま、買い物なら中央商店街がいいわね」
陽影 伶「大型店舗は無いの? イノンとかヨーカイドーとか」
暁 灯可里「あるけど島の東側でここからは結構遠いのよ、バスで行けるけど・・・」
陽影 伶「交通費払ってまでは行かなくていいかな」
暁 灯可里「まあ学生なら数百円もばかにならないわよね」
暁 灯可里「でも商店街って言っても、地方の寂れた商店街みたいなのじゃないわよ、個人商店の集まりじゃないし」
陽影 伶「あ、どこ見てもシャッター閉まってるとかじゃないんだ」
暁 灯可里「大丈夫よ、なんか地下街まであるしね、ほとんど複合商業施設みたいなものよ」
陽影 伶「じゃあそこでいいや、どう行けばいいの?」
暁 灯可里「住宅街抜けて行くのが一番近いんだけど、結構街区の境目が入り組んでる所が多くて分かりにくいから」
暁 灯可里「分かりやすいのは・・・学園の正門から学園を背にしてまーっすぐ行くと神社があって、そこを左に曲がってもう少し行くと商店街ね」
陽影 伶「神社を左ね、わかった」
暁 灯可里「あ、それでね、今朝早くに自転車が届いたから使ってね」
陽影 伶「えっマジで!! 助かるよ、まさか学園の外周に到達してから二十分もフェンス横歩くと思ってなかったからね」
暁 灯可里「あー・・・ごめんね、道のりは単純だけど距離は伝え忘れてたわね」
陽影 伶「いいよいいよ、延々続いてビックリしただけだし」
暁 灯可里「あっ、私そろそろ行かないと」
陽影 伶「うん、いってらっしゃい」
暁 灯可里「・・・いってらっしゃいって送り出して貰えるの・・・なんか、いいわね」
陽影 伶(独り暮らしを拗らせてるのかな?)
陽影 伶「ほらほら、行きなよ」
暁 灯可里「うん、れーちゃんもお出かけするんだから気を付けるのよ」
陽影 伶「分かってるって」

〇一戸建て
陽影 伶「えっと、これを使っていいんだよな」
陽影 伶「うん、前カゴもあって荷物も積みやすいしいい感じだな」
陽影 伶「よし、お前は今日から『シルバー号』だ」
陽影 伶「うん、喜んでる気がする」

〇名門校の校門(看板の文字無し)
陽影 伶「学園到着っと、やっぱり歩きと全然違うな」
陽影 伶「で、学園を背にして、向こうに真っ直ぐだったな」
坂尻 達見「あれ、陽影じゃねーか、何してるんだ?」
陽影 伶「あ、逆尻」
陽影 伶「お前こそ何してるんだ」
陽影 伶「あっ、そうか、よく見えるもんな」
坂尻 達見「逆立ちしてんのは尻を見るためじゃねえわっ!!」
坂尻 達見「よっと・・・ふう、俺は部活だよ部活」
陽影 伶「俺はこれから商店街行って買い物」
坂尻 達見「ああ、中央商店街か? あそこは大抵の物が揃うからいいな」
坂尻 達見「そういえば、お前はまだ部活はどこにも入部してないんだよな?」
陽影 伶「まだだよ、そもそもどんな部活があるのかすら知らないし」
坂尻 達見「おい大丈夫か、もう来週末には四月も終わるし、解禁されると・・・」
???「おらーーー、さかがみー!! もう次のセット始まってんぞー」
坂尻 達見「あっ、やべっ、早く戻らないと」
坂尻 達見「じゃーな陽影」
陽影 伶「おう、じゃーな」
陽影 伶「・・・解禁?」

〇神社の石段
陽影 伶「あ、ここが神社・・・だよな」
陽影 伶「ここを曲がって、向こうか」
陽影 伶「チラッとだけ見えるけど、結構立派な神社みたいだな」
陽影 伶「よし、ちょっとだけ見ていこうかな、こういう所結構好きなんだよなー」
  石段の下の駐輪場に自転車をとめて、ゆっくりと石段を上がっていった

〇神社の本殿
陽影 伶「へー、やっぱりいい感じだなー」
  神社の境内は広く綺麗でよく手入れされている。 奥には御神木なのか、注連縄が巻かれた巨木も見える
陽影 伶「いいなーここ、夏とか祭りやってそうだ」
月詠 諒子「やるらしいよお祭り、屋台も色々並ぶみたい」
陽影 伶「あれっ、月詠さん!? その格好は・・・」
月詠 諒子「あ、へ、変かな?」
陽影 伶「いや、グッド!! 似合ってるし可愛いよ」
月詠 諒子「えっあっ、ありがとう・・・」
月詠 諒子「陽影君はどうしたのこんな所で」
陽影 伶「君に会いに来た」
月詠 諒子「ふにゃっ!?」
陽影 伶「わけじゃなくて、なんかいい感じの神社だったから見てただけだよ」
月詠 諒子「そ、その紛らわしい言い方止めてよもう!!」
陽影 伶「月詠さんこそなんでこんな所でコスプレしてるの?」
月詠 諒子「コスプレ!?」
月詠 諒子「違う違う、この春からうちのお父さんがこの神社の神主に・・・」
「あーーーー!! お姉ちゃんがサボってナンパしてるーーーー!!」
月詠 諒子「なっ、ちょっ、凛ちゃん!?」
月詠 凛子「ズルいよお姉ちゃん!! 何そのイケメンは!!」
月詠 諒子「ズルいって何よ、同じ学年の陽影君よ」
月詠 凛子「あっ、お姉ちゃんが昨日言ってた変な人だね」
陽影 伶「どうも、十秒でイケメンから変な人に降格した陽影です」
月詠 諒子「陽影君、この子は私の妹ね、凛子っていうの」
陽影 伶「評判の美人姉妹って感じでいいねー」
月詠 凛子「お姉ちゃん、この人いい人じゃん、わかってるよー」
陽影 伶「いえーい、いい人まで持ち直した」
月詠 諒子「陽影くん、うちの妹でゲーム感覚で遊ばないでくれるかな」
陽影 伶「あー、なんかお仕事中だったみたいで邪魔してごめんね、ただ買い物行く途中でなんとなく寄っただけだからさ」
月詠 諒子「お買い物ってことは、中央商店街?」
陽影 伶「うん、そこが良いって聞いたんだよね」
月詠 諒子「じゃあさ、案内ついでに私も一緒に行ってもいいかな?」
月詠 凛子「おかーさーん!? お姉ちゃんがナンパしてるよー!?」
月詠 諒子「なっ、何を大声で言ってるの凛ちゃん!!」
陽影 伶「ナンパなら昨日されたしね」
月詠 凛子「おとーさーん!! お姉ちゃんがおとこあさりを生業にしてるー!!」
月詠 諒子「凛子!? さすがに怒るよ!!」
月詠 凛子「うわっ!? ごめんなさい!!」
陽影 伶「あら、素直で良い子だこと」
月詠 諒子「良い子はそもそもあんなこと叫ばないのよね・・・」
月詠 諒子「ふぅ、もう、それじゃ着替えて来るから陽影君ちょっと待っててくれる?」
陽影 伶「あーうん、案内して貰えるなら助かるよ」
月詠 凛子「えー、お姉ちゃんサボる気なのー」
月詠 諒子「別にサボりじゃないわよ、境内はもう少しで終わるし、凛ちゃんの方につけといていいよ」
月詠 凛子「わーい、境内分貰えるならいいやー」
陽影 伶「つけとく? 貰う?」
月詠 諒子「えーっとね、うちはお手伝いがポイント制でね、お掃除だと区分けされてて」
月詠 凛子「境内が五ポイントで、石段が三ポイントみたいな感じだよー」
月詠 諒子「それで合計ポイントからお小遣いが決まるの」
陽影 伶「なるほど成果給か、分かりやすくて良いけど・・・神社にしちゃ俗っぽいね」
月詠 諒子「そりゃあね、別に代々この神社を数百年護り続けてる一族とかじゃないんだからそんなもんだよ」
月詠 諒子「じゃ、着替えてくるね、すぐ戻るから」
「ごゆっくりー」
月詠 凛子「で。 えーっと・・・」
陽影 伶「ん? 陽影だよ」
月詠 凛子「そっちは覚えてるよさすがにー!! 下の名前の方聞いてなかったなって思って」
陽影 伶「ああ、確かに。 伶だよ、陽影伶」
月詠 凛子「ひかげれい・・・お姉ちゃんは陽影君って呼んでたよね」
陽影 伶「そだね、好きに呼んでくれていいよ」
陽影 伶「・・・ボケ老人とかじゃなければ」
月詠 凛子「あははは、初対面でそんな呼び方する人いるわけないじゃん!!」
陽影 伶「ソウダネ」
月詠 凛子「うーん・・・陽影くん、陽影さん、ひーちゃん、伶くん、伶さん、れーちゃん」
陽影 伶「あ、最後のはナシで」
月詠 凛子「え? じゃあ、ひかげ・・・ゲレゲレ!!」
陽影 伶「今JKの間でトレンドだったりするのソレ」
月詠 凛子「え? あたしは動画サイトで見ただけだよ、幼馴染み可愛いよね」
陽影 伶「あ、俺は金持ちのお嬢様派なので」
月詠 凛子「えー、愛はお金じゃ買えないらしいよ」
陽影 伶「買える愛もあるし、愛以外にも沢山買えるよ」
月詠 凛子「確かにそうかも!!」
月詠 諒子「陽影君!! うちの子に変な事吹き込まないでくれるかな!?」
陽影 伶「一般常識だよ、一般常識」
月詠 諒子「陽影君の常識は偏り過ぎてるよね」
陽影 伶「これは革新的って言うんだよ、月詠さん」
月詠 凛子「ねえ」
陽影 伶「どしたの?」
月詠 凛子「お姉ちゃんの呼び方は?」
陽影 伶「月詠さん?」
月詠 凛子「じゃあ、あたしは?」
陽影 伶「月詠・・・ちゃん?」
月詠 凛子「同じだと分かんなくなっちゃうよね」
月詠 凛子「今度あたしと遊びに行った時にさ」
陽影 伶「おかーさーん、娘さんが姉妹揃ってナンパ師になってますよー」
月詠 諒子「私もナンパ師の前提なのはやめて・・・」
月詠 凛子「ナンパはもういいから、呼び方!!」
陽影 伶「ああ・・・じゃあ、凛子ちゃん?」
月詠 凛子「悪くないけど、もう一声欲しいなー」
陽影 伶「・・・凛ちゃん?」
月詠 凛子「うーーーん、良いんだけどお姉ちゃんがいつもソレだからさー」
陽影 伶「うーん・・・みりんちゃん?」
月詠 諒子「調味料!?」
月詠 凛子「でも結構可愛いくない!? そんな呼ばれ方したこと無いし、いいかも!!」
月詠 諒子「ラニちゃんと基本一緒だよね?」
陽影 伶「いやだって、ニャルと同じネタ繰り出して来たんだもの、相性は良さそうじゃない?」
月詠 凛子「じゃ!! あたしはそれで決定ね!!」
月詠 諒子「あたし『は』?」
月詠 凛子「そりゃあ、お姉ちゃんも変えないと不公平じゃん?」
陽影 伶「えー、月詠さんとみりんちゃんでいいよね?」
月詠 凛子「ダーメ!!」
陽影 伶「となると・・・諒子さん?」
月詠 凛子「ふつー!!」
陽影 伶「そんな事言われてもなぁ、そもそも出会いが昨日だからね、積み重ねたものも無いのに馴れ馴れしくは呼べないよ」
月詠 凛子「やだ・・・マジメ・・・!?」
月詠 凛子「みりんちゃんはついさっき出会ったのに?」
陽影 伶「キャラの差かなぁ・・・」
月詠 凛子「くっ・・・『友達にはいいけど恋人はどうだろう?』ランキングで二年連続首位のこの身が憎い・・・!!」
陽影 伶「そんなランキングあったんだ、諒子さんは上位になったランキングとかあったの?」
月詠 諒子「えっ、えーっと・・・」
月詠 凛子「お姉ちゃんはね、『ママとして朝優しく起こして欲しい』ランキング首位だったよね」
月詠 諒子「凛ちゃんなんでそんなの覚えてるの!?」
月詠 凛子「へへへー!!」
月詠 凛子「・・・?」
月詠 凛子「凄く自然に『諒子さん』に決めにかかられたっ!!」
陽影 伶「馴染んでたからもうこれでいいよね?」
月詠 凛子「くっ・・・負けた・・・」
月詠 諒子「勝ち負けじゃないでしょこんなの・・・」
陽影 伶「じゃあ、切りの良い所で商店街行こうか」
月詠 凛子「むう!? あたしとのデートの時には負けないんだからね!!」
???「あ、あのーすいません・・・」
月詠 諒子「あ、社務所にお客様来てるよ、凛ちゃん」
月詠 凛子「あー!! すいません、ちょっと待ってくださーい!!」
月詠 凛子「お姉ちゃん、お土産忘れないでよ!!」
月詠 凛子「伶くんは、今度あたしと遊びに行くからね!!」
「すいませーん、おまたせしましたー」
陽影 伶「有無を言わさず呼び方が伶くんになってた・・・まあ良いけど」
月詠 諒子「ここから五分の商店街にお土産を頼まれても困るなぁ」
陽影 伶「まあタイヤキでも買って帰れば喜ぶんじゃない?」
月詠 諒子「絶対喜ぶ・・・」
月詠 凛子「はい、こちらの安産祈願でいいですか?」
月詠 凛子「千円お預かりします・・・はい、こちらがお釣りです、ありがとうございました」
月詠 凛子「よっし、さーて・・・境内はお姉ちゃんに貰ったからすぐ終わるし、今日の残りは石段だけだ」
月詠 凛子「稼ぐぞー、おー!!」
???「チクショウ・・・なんだよアイツは、僕のリンコとリョウコに馴れ馴れしくしやがって!!」
???「しかもリョウコはあんなヤツに着いて行きやがった!! チクショウ、チクショウ!!」
???「・・・許さない」
???「そうだ、アイツラを使って・・・ブツブツ」

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