第2話 心残り魂(脚本)
〇荒野
ひまり(中の人ヨシト)「レイカ・・・だよな?」
松井(中の人レイカ)「・・・う、うん、レイカ」
松井(中の人レイカ)「信じてもらえないかも しれないけど・・・」
松井(魂)「どうも、はじめまして」
松井(魂)「ワタクシ、植物の松に 井戸の井と書いて、松井と申します」
松井(魂)「初対面から魂の姿でなんですが・・・ よろしくお願いします」
ひまり(中の人ヨシト)「あ、ああ、こりゃどうも・・・」
ひまり(中の人ヨシト)「オレはヨシト」
ひまり(中の人ヨシト)「あ、それは魂のほうの名前で、 カラダのほうは・・・えーと・・・」
ひまり(魂)「ひまりです!」
ひまり(中の人ヨシト)「です、よろしく」
ひまり(中の人ヨシト)「・・・あ、あのさ、レイカ」
ひまり(中の人ヨシト)「もうちょっとこう・・・ 他にいなかったのか? なんでよりによって、その・・・」
松井(中の人レイカ)「しょうがないでしょ! たまたま目の前にいたんだもん」
松井(中の人レイカ)「・・・それをいうならヨシトだって、 そんなカワイイJKつかまえてさ」
松井(中の人レイカ)「・・・やっぱり男って、 若い子のほうがいいのね」
ひまり(中の人ヨシト)「ち、ちげーよ! オレだってたまたま 目の前にコイツが・・・」
松井(中の人レイカ)「さぁ・・・どうだか?」
松井(中の人レイカ)「内心、鼻の下 のばしちゃってんじゃないのー!?」
ひまり(中の人ヨシト)「おい!いいかげんにしろよ!」
松井(中の人レイカ)「なによ、ムキになっちゃって! ますます怪しいわね!」
ひまり(魂)「・・・あ、あのー」
ひまり(魂)「カップルの痴話喧嘩は カラダ返してからにしてくれません?」
ひまり(中の人ヨシト)「お、おい!やめろよ!」
ひまり(中の人ヨシト)「ヒーローとヒロインがツキ合ってるとか そういう生々しい話は ちびっ子の夢を壊してしまう・・・」
ひまり(中の人ヨシト)「だから・・・あくまでも 『パートナー』ということで お願いします!」
松井(中の人レイカ)「別にいいんじゃん? もう世間にもなんとなくバレてんだし」
ひまり(中の人ヨシト)「よくない!魂になっても ヒーローとしてそのあたりの設定は・・・」
松井(中の人レイカ)「やれやれ、これだから ヒーローバカは・・・」
ひまり(中の人ヨシト)「はぁ?誰がバカだって!?」
ひまり(魂)「・・・だーかーらー」
ひまり(魂)「早くアタシのカラダを返せってのー!!」
「・・・」
ひまり「戻った! あー、よかった・・・」
ヨシト「あっちはまだ 苦戦してるみたいだけどな・・・」
松井(魂)「すいませんね・・・ 私のカラダの内臓脂肪のせいで なかなか出てこれないみたいで・・・」
ひまり「・・・魂ってそういうもんなの?」
ヨシト「・・・知らねぇ」
松井(中の人レイカ)「あーもう、ムリ!全然ダメ!」
松井(魂)「まあまあそう言わずに、もう少し 頑張ってみましょう?ね?」
松井(中の人レイカ)「そんなこと言ったって・・・」
松井(魂)「いきますよー!ひっひっふー!」
「ひっひっふー!」
「ひっひっふー!」
ひまり「・・・ラマーズ法で正解だったんだ」
ヨシト「・・・みたいだな」
「・・・」
松井「ははっ、戻った戻った!」
レイカ「うう、カラダがギトギトで 今すぐシャワー浴びたい気分・・・」
レイカ「魂だから浴びても意味ないけど・・・」
ヨシト「・・・レイカ!」
ヨシト「いやー・・・ヒーローでも死ぬんだな」
レイカ「そうね・・・ まぁ考えてみれば、 変身してない時はただの人間だもんね」
ヨシト「だよなー、 でも、なんかヒーローって 不死身みたいなイメージあったよなー」
レイカ「だねー、実際死んでみて ようやくわかったよねー」
「もー、今さら遅いっつーの!」
ヨシト「ハハッ!」
レイカ「アハハッ!」
「・・・」
ヨシト「おい、マジでこれからどうする?」
レイカ「わかんないよ・・・」
ヨシト「死んでるんだよな、オレたち?」
レイカ「ええ、死んでるわ、死んでるわよ! だって、浮いてるし透けてるもん・・・」
ひまり「・・・さすがにちょっとかわいそうかも」
松井「ですねー・・・」
ひまり「あのー・・・」
ひまり「よかったら時々、 アタシのカラダ・・・使います?」
松井「そうそう、 またモンスターが現れたりしたら トラストマンやトラストレディーに 変身しないといけないでしょうし」
「・・・」
「い、いいんですかあっ!!」
ひまり「ほ、ほら、やっぱり ああいう形で急に亡くなったら 心残りもあるだろうし・・・」
松井「そうですよ! ヒーローとしてまだまだ やりたいことあるでしょう?」
ひまり「遠慮なく言ってください!」
松井「できる限り協力しますから!」
ヨシト「・・・なんか、 アンタたちのほうがヒーローみてぇだな」
レイカ「ありがとう、本当にありがとう・・・」
ヨシト「それじゃ、早速・・・いいかな?」
レイカ「私たち、まだ心残りがあるの・・・」
「もちろん!」
「・・・」
「駅前の喫茶店の プレミアムパンケーキが食べたぁーい!!」
「・・・」
「おい!!」
〇黒
つ づ く
オッサンの体から魂が出るのに内蔵脂肪が邪魔だとかwオッサンの体に入ってしまって大変そう。オッサンもいい人なんだけど。
ヨシトさんとレイカさん、カラダを借りた状態での痴話喧嘩が、傍からみたらかなりシュールですよねww 女性口調のオッサンって……
魂の出入りに内臓脂肪が……笑ってしまいました!