第一話「君想ふ こぼさじ歩く 春の道 」(脚本)
〇路面電車のホーム
──いない
〇学校脇の道
──いないな
〇大きな木のある校舎
古林 一咲(こばやし いっさ)(──何処にいるんだ)
俺は、この高校に入学したら
やりたい事があった
〇体育館の中
運動部で仲間と青春?
それはとても楽しいだろうな
〇学校のプール
──でも違う
〇美術室
じゃあ、文化部で活躍?
いいよね創作。大好きだけど
〇音楽室
──それも違う
〇まっすぐの廊下
じゃあ何だって?
俺が、この高校に来た理由
それは──
〇教室の教壇
今から説明するよ
一般人「──で、部活がんばりまーす」
海野 桃(うみの もも)先生「うんうん、部活頑張ってねー」
海野 桃(うみの もも)先生「じゃあ次は古林君、 自己紹介をお願いしますー」
古林 一咲(こばやし いっさ)「初めまして、古林一咲といいます!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「俳句の小林一茶とは読み方が同じですが、 縁もゆかりもありません」
古林 一咲(こばやし いっさ)「『ここで一句』なんて言われても 対応できませんので、宜しくお願いします」
海野 桃(うみの もも)先生「学校でやりたい事は何かなー」
古林 一咲(こばやし いっさ)「実はこの学校で やりたい事があって入学しました!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「それは中学生の時に出会った」
古林 一咲(こばやし いっさ)「”初恋”の人を探すことです!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ただ名前も知らなくて 同学年かもわかりません!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「急に話しかけて迷惑かけると思いますが」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ご協力よろしくお願いします!」
海野 桃(うみの もも)先生「えっ、えっ!」
海野 桃(うみの もも)先生「そうなんだぁー、見つかるといいねー!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ハハハ、初恋探しやって?オモロいやん!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「はあ!?何がおかしい?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「何怒ってんの? オモロいからオモロいうてるだけやろ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「俺はマジメに話してるんだ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「俺かてマジメにオモロい褒めてんのやけど」
古林 一咲(こばやし いっさ)「はあ!?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「なんや!?」
海野 桃(うみの もも)先生「ちょ、ちょっと!」
海野 桃(うみの もも)先生「2人とも待って──!!」
海野 桃(うみの もも)先生「およっ?」
「先生──!?」
〇まっすぐの廊下
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「はぁ──、疲れたなぁ── はやく帰りてぇな──」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生(お!ここは海野先生のクラスかぁ)
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生(笑顔が可愛いんだよなぁ──)
『痛──い!!』
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「海野先生!?」
〇教室の教壇
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「どうしました──!?」
海野 桃(うみの もも)先生「いやー、ちょっとコケちゃいましてー」
海野 桃(うみの もも)先生「心配かけちゃってすいません」
海野 桃(うみの もも)先生「いててて・・・」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「──!!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「おまえら・・・先生に何をした!?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「別に何もしてないですよ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ほんま、ほんま、勝手にコケやったんやで」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「い・い・か・ら・こいって!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「いて!いてて!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「引っ張らないでください!!」
海野 桃(うみの もも)先生「あっ!山田先生! ちょ、ちょっと、待ってください!」
〇備品倉庫
海野 桃(うみの もも)先生「なんで引っ張っていくんですか!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「先生、落ち着いて!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「生活指導担当として話を聞くだけですから」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「それより足怪我したみたいですね! 先に保健室に行きましょう!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「少し席を外すが喧嘩するなよ!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「もし、やってみろ──」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「だからな!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「全く、何でこんなことに」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ほんまやで」
古林 一咲(こばやし いっさ)「って!お前が絡んでくるからだろ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「人をいっちょかみ、みたいに言うなや!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「あっ、悪りぃ!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「やったな・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「だから謝ったやんけ!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「それなら警察入らないだろ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「なんやと!小学生かよ!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「これであいこな!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「俺より強いやんけ!」
「なんだと──!! なんや──!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「俺はマジメに話をしただけなのに!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「俺かてマジメに褒めただけやっつーの! 関西じゃ”オモロい”は褒め言葉や!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「一部の地域の常識なんて、 どこでも通用すると思うなよ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「うるせぇ!それやったら初対面の人に『初恋の人探してる』って言う方が非常識や!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「え、え、え──!?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「うそだろ!?」
「・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)(嘘やろ?)
三鷹 哲也(みたか てつや)(こいつマジメに言うとったんか!)
古林 一咲(こばやし いっさ)(初対面で恋話はしない?)
古林 一咲(こばやし いっさ)(やってしまった!)
「・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「あ──、悪かった。 実は人との会話が苦手でさ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「距離感がわからなくて、自分が正しいと思うことを、すぐに口に出してしまうんだよ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「──いや、俺も悪かった」
三鷹 哲也(みたか てつや)「俺も思った事すぐ言うから、 中学でもよくトラブル起こしてばっかでさ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「お前もそうなのか?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ああ・・・名前、古林だっけ?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「一咲でいいよ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「じゃあ、俺も哲也でええで」
「──」
三鷹 哲也(みたか てつや)「一咲、今度はマジメに聞くわ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「”初恋の人”ってどんな人なん?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「え!?ああ──、気になるか?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「そら、何があったんかなって思うし」
三鷹 哲也(みたか てつや)「もしかしたら協力できるかもしれんやろ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「えっ、マジで?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「わりぃ、またズカズカ聞いちまったな」
三鷹 哲也(みたか てつや)「嫌だったら言わんでもええよ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「いや──、 マジメに聞いてくれて嬉しいよ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ここじゃなんだし、別の場所で」
三鷹 哲也(みたか てつや)「わかった!」
古林 一咲(こばやし いっさ)(三鷹哲也・・・ お調子者を装ってるが根はマジメなんだな)
三鷹 哲也(みたか てつや)(古林一咲・・・ 真っ直ぐで、裏表のない奴やな)
古林 一咲(こばやし いっさ)「サッ!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「仲直りの握手だ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「握手って!マジメやな一咲は!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「けど段々わかってきたで! そのマジメがお前のええとこや!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「サッ!」
ガシッ!
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「うわっ!なんだ?握手!?」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「そうか、もう仲直りしたみたいだな」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「海野先生から事情は聞いた。 疑って悪かった・・・ん?」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「あれ?お前ら怪我してない?」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「まさかお前ら・・・ この短時間でケンカしたのか?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「先生そんなわけ無いですわ!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「逆に名前で呼び合う仲になりましたよ!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「ふーん・・・まあいい。 星野先生の教室に2人とも戻れ!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「以上だ!」
「はい!!」
〇教室
海野 桃(うみの もも)先生「うわぁ、2人とも無事帰ってきたー」
海野 桃(うみの もも)先生「山田先生厳しいから心配してたんだぁー」
海野 桃(うみの もも)先生「良かったぁ入学早々、入院とかならなくて」
三鷹 哲也(みたか てつや)「そ、それは!?マジ?」
海野 桃(うみの もも)先生「ウソ、ウソ冗談よー」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ですよねー」
海野 桃(うみの もも)先生「ええ、冗談よ・・・冗談・・・」
(これ、マジのやつだ──)
「やばかったー」
海野 桃(うみの もも)先生「そうそう、2人ともクジで 席決め終わってるので座ってねー」
海野 桃(うみの もも)先生「今から休み時間を挟んで 席の周りの人とお喋りする」
海野 桃(うみの もも)先生「仲良しフリータイムの時間とりまーす」
三鷹 哲也(みたか てつや)「仲良しフリータイム?なんだそりゃ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「お見合いパーティーかよ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ハハハ!一咲。 やっぱお前の考えオモロいわ!」
海野 桃(うみの もも)先生「はいはい、席についたついた」
〇教室
三鷹 哲也(みたか てつや)「一咲の斜め前か、これは運命かもな!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「宜しくな相棒!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「誰が相棒だよ、調子のいい奴だな」
三鷹 哲也(みたか てつや)「男女交互に座るみたいやな」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「あっ!ケンカ組だ!」
「ケンカ組──!?」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「ねぇ!さっきの話なに!? 私、恋バナ興味ありありなの!教えてよ!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「えーっと、君は?」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「私は蒼山 絵美!宜しくね!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「宜しく蒼山さん。 俺は──」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「古林一咲に三鷹哲也でしょ! もうみんな知ってるわよ!」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「そうだねぇ、2人は有名人だぁ」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「私は時坂めぐみだよぉ。 古林君に三鷹君よろしくねぇ」
松尾 翔(まつお しょう )「こ、こんにちは」
「・・・」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「って!終わりかーい!」
松尾 翔(まつお しょう )「松尾翔です──宜しく」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「オッケー、翔!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「絵美ちゃんむっちゃノリええやん! 俺好きやわぁ」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「え──」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「ありがとね、三鷹君」
古林 一咲(こばやし いっさ)「お前、軽いやつだな」
三鷹 哲也(みたか てつや)「いや、俺はウソはつかないで生きたいの」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ウソはつかないか・・・いい言葉だな」
三鷹 哲也(みたか てつや)「おい、急に褒めんなよ!調子狂うだろ」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「2人、超仲良いじゃん」
古林 一咲(こばやし いっさ)「そうでもないよ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「そこは、そうでもあるって言ってくれ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「あれ?ここの席の人は休み?」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「いるよー。 さっき先生に書類を提出しに──」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「あ!帰ってきた!」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「おーい、恋──!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「え、えっ!?」
〇花火
〇学校の廊下
〇学校の廊下
古林 一咲(こばやし いっさ)「え・・・!?」
三鷹 哲也(みたか てつや)(うわー、むっちゃかわいいー)
与謝野 恋(よさの れん)「何!?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「なぁ一咲、可愛くね?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「って、おい!どこいくんだよ!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「あの、俺!古林一咲!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「2年前の花火大会で」
古林 一咲(こばやし いっさ)「俺と出会わなかった!?」
与謝野 恋(よさの れん)「はぁ!?」
与謝野 恋(よさの れん)「誰?知らない」
古林 一咲(こばやし いっさ)「そ、そうか・・・」
与謝野 恋(よさの れん)「あのさ」
与謝野 恋(よさの れん)「”小石”程度の男が 私に話しかけないでくれる」
与謝野 恋(よさの れん)「じゃ!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「”小石”だとぉー!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ちょーっと!一咲! 待て、待てよー、お前何する気やねん!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「離せ!哲也! 俺は男女区別なく説教する男だ!」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「うわー!ごめんねー!許してあげてよー」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「自己紹介辺りから急に不機嫌になって」
三鷹 哲也(みたか てつや)「へー、そうなんや」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「あの子の名前は与謝野 恋。 中学からの親友なんだ」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「悪いけど今日はそっとしてあげてほしいな」
三鷹 哲也(みたか てつや)「了解やで! 一咲、女心と秋の空っていうやろ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「なんか気になる事あったみたいやけど」
三鷹 哲也(みたか てつや)「話しかけるの、また今度にしとき」
古林 一咲(こばやし いっさ)「はぁ──、わかったよ」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「ごめんねー」
三鷹 哲也(みたか てつや)「さあ、相棒!俺らも席に戻ろうぜ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「──」
古林 一咲(こばやし いっさ)(あの子と姿が重なるのは何故なんだ・・・)
〇教室
古林 一咲(こばやし いっさ)「ん!?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「って、隣お前かよ!」
与謝野 恋(よさの れん)「・・・」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「ねぇ古林君 さっきの恋バナ詳しく教えてよ!」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「恋も気になるよねー!」
与謝野 恋(よさの れん)「別に──」
与謝野 恋(よさの れん)「どうせすぐ忘れる恋なんでしょ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「バカやろう──!忘れるわけないだろ!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「彼女に出会ったおかげで、 俺は自分を変える事ができたんだ!」
与謝野 恋(よさの れん)「ふん!口だけならなんとでも言えるわよ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「なんだとぉ──!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「はーいストーップ! 一咲、ちょうどいいやんか!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「探すヒントになるかもしれんし、 良かったら俺らに教えてくれよ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「わかった・・・」
〇花火
俺達が
とても惨めで
素敵な出会いをした話を──
わあ甘酸っぱいですね。
ツンデレの女の子大好きです。男子二人のかけ合いも良いですね^^
恋が初恋の相手なのか、続きを読みます。
なぜか2話目から読んでしまっていました🙇♀️
最初から出し惜しみなくキャラが出て来て楽しいしクラスメイト何より魅力的ですね!メインの恋愛はもちろん先生同士の恋愛見るのとても好きなのでワクワクしています!
面白かったです!
初恋の人は誰なのか、そしてクラスメイトたちの関係性はどうなっていくのか、すごく気になります✨
あと、山田先生のキャラがいいですね!
主人公たちが入院を回避できてよかったです😂