#5 閃光少女に朝は来ない(脚本)
〇レトロ喫茶
サリナ「ねえ、ナヅキはさぁ」
ナヅキ「何?」
サリナ「打ち上げ花火、下から見る派? 横から見る派?」
ナヅキ「下と横で何か変わるのか?」
サリナ「変わるでしょ。気分とか」
ナヅキ「うーん・・・」
ナヅキ「下から見る派・・・かなあ」
サリナ「どうして?」
ナヅキ「「横から」って、つまり「遠くから」だよな」
サリナ「・・・?」
ナヅキ「近くで花火が上がったら、見上げると思うんだ」
サリナ「まあ、そうだね」
ナヅキ「横から見るのは、ちょっと距離を感じる」
ナヅキ「下から見た方が、より「参加してる感」を味わえるというか」
サリナ「ライブ感?」
ナヅキ「まあ、そんなところだ」
サリナ「どこから見ても、花火は花火だけどね」
ナヅキ「お前が聞いたんだろ・・・」
サリナ「でも、どこから見てもキレイなのって、すごいよね」
ナヅキ「まあ、花火だしなあ」
サリナ「・・・」
ナヅキ「・・・」
サリナ「・・・」
ナヅキ「花火大会、一緒に行くか?」
サリナ「うん♪」
〇黒
〇花火
サリナ「わぁ」
ナヅキ「キレイだな」
サリナ「・・・」
サリナ「やっぱり私は横から見る派だなぁ」
ナヅキ「え?」
サリナ「何でもない」
ナヅキ「・・・」
ぎゅ
サリナ「・・・!」
ナヅキ「俺も・・・」
ナヅキ「横から見る派だわ」
サリナ「花火・・・見ないの?」
ナヅキ「花火よりも・・・」
サリナ「ああ・・・」
〇睡蓮の花園
サリア「アアアアアアアアアアアアアアアア!」
サリア「アアアアアアアアアアアアアアアア!」
サリア「ナヅキィィィィィィ!」
サリア「イギィィィィィィィ!」
シアン「大丈夫ですか!」
シアン「救急車呼びましょうか!」
サリア「イギッ、イギッ」
サリア「イギィィィィィィィィィィィィィ!」
シアン「もしもし!はい!」
シアン「吸血鬼が一名、泡吹いて倒れて!」
シアン「はい!幻覚もひどいみたいで!」
サリア「ミギィィィィィィィィィ!」
サリア「ヒダリィィィィィィィィ!」
シアン「横断歩道渡るノリで三途の川渡ろうとしてまして!」
シアン「このままじゃ、イッちゃいます!」
サリア「イグゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
〇山道
土田 文香「わっ、花火?」
〇睡蓮の花園
サリア「ハァハァ」
サリア「心臓が、爆発してしまった」
シアン「汚ねぇ花火でした」
サリア「でも・・・衝撃で」
サリア「完全に目が覚めました」
シアン「あらあら」
サリア「貴方、ムード作るの上手いですね」
サリア「危うく、死ぬところでしたよ」
シアン「そりゃ、死神ですから」
サリア「死神・・・アハッ、アハハハ」
サリア「何が・・・死神ですか」
「グルルルルァ!」
サリア「死に損ないが・・・」
サリア「とっとと化けの皮を剥がしたらどうです?」
シアン「・・・」
シェリル「フフフ」
シェリル「貴方は私を殺したんだもの」
シェリル「化けて出るのは当然よね」
シェリル「どう?肝は冷えたかしら?」
サリア「頭に血が昇って、それどころじゃないです」
サリア「私のドキドキを返してください」
シェリル「ベアル」
ベアル「はい」
シェリル「私たちの寿命はどうなったかしら?」
ベアル「シェリル様が+120年 サリア様が-120年です」
シェリル「フフフ、これで捲ったわね」
サリア「はあ。夢とはこうも、儚いものなんですね」
サリア「青春とは花火のように、一瞬の煌めきだからこそ尊いのかもしれません」
サリア「最近、甲子園球児を見て思ったんです」
サリア「同じを夢を見て、同じ速度で命を燃やせる関係性とは、なんと素晴らしいことかと」
サリア「「永遠」を生きる私には、それも叶わない」
サリア「人と同じ歩幅で歩けない。同じものを見つめることができない」
サリア「同じ月を見て、綺麗だと言い合うことができない」
サリア「悲しいです」
サリア「「永遠」とは、悲しいものなんです」
シェリル「その永遠も今日で終わりだけどね」
シェリル「冥土の土産に、砂でも持ち帰ってはどう?」
サリア「悲しいです」
サリア「本当に悲しい」
サリア「同じ吸血鬼である貴方さえ、私と共に 「永遠」を歩むことはできないのです」
「グルルルルァ!」
サリア「今度は私が死神ですね」
サリア「さようなら──」
「あっ・・・や・・・」
「やぁ・・・」
サリア「!?」
〇ハート
サリア「もっと・・・」
サリア「あっ・・・」
サリア「はっ・・・はっ・・・」
サリア「んぐっ!」
サリア「おほっ」
サリア「おほおおっ・・・!」
〇睡蓮の花園
シェリル「よく撮れてると思わない?」
サリア「あ・・・あ・・・」
サリア「まさかお前」
高速のスピードでこれまでのノリを削ぎ落として突っ走る様がいいですね。観測者であるはずの文香がだんだん添え物よようになっていく…。
まさかお前…何!?引きが気にやりすぎます。
冒頭の錯乱ぶりに大笑いしました😂救急車呼びましょうかじゃないよ🤣🤣🤣やりとりがセンス有りすぎです☺
サリアの言う同じ価値感を共有することが出来ない…というのは、苦しみでも悲しみでもなく、諦念感でしょうかね、これは。ロマンチックですねぇ。