妖怪のものさし(脚本)
〇ダイニング(食事なし)
ネモ「今日は身体測定の日だ 朝ごはん抜いて学校行こ」
〇階段の踊り場
ネモ「あれ? みんないない?」
ネモ「学校に人っ子一人いない なんでだ?」
うんこくん「早起きだね~」
ネモ「あ! うんこくん 学校に誰もいないけど もしかして今日って土曜日だっけ?」
うんこくん「何いってんの? 今は木金曜日だよ」
ネモ「ん・・・?」
うんこくん「朝だからみんな寝てるにきまってんじゃん」
ネモ「あー! そっか! 思い出した」
ネモ「私は死んだんだった 死んだのに気付かずに朝から学校に行っていた! 妖怪の時間(昼夜逆転!)まだ馴染めないなあ」
ネモ「なんでうんこくんは起きてるの?」
うんこくん「オレは妖怪の世界も人間界もどっちも行き来できるからな〜」
ネモ「いいなあ自由で」
うんこくん「まあ どっちの世界の住人からもきらわれっけど」
ネモ「それはやだなあ」
うんこくん「金曜日のはじまりだ〜」
ネモ「クラスのみんなが集まってくるね」
〇教室
ネモ「おはようかい〜」
えいりあん「よ~かい」
えいりあん「いやーね 今日の身体測定 太ってたらやだから朝ごはん抜いてきた」
ネモ「私も〜 ん? すでに死んでるのになんで身体測定するんだろ?」
えいりあん「あれ? たしかに変ね」
ネモ「ん・・・??」
うんこくん「そんなにやならバックレちゃえば?」
ネモ「あはは そっかー! もういっそ学校やめよっかな どうせ死んでるのになんでまた勉強なんかしないといけないんだ」
ネモ「変だ〜 やめだやめだ〜」
〇学校の校舎
ネモ「自由すぎてなにしたらいいかわかんなくなっちゃった」
うんこくん「これまで、よほど外側に刺激に振り回されてたってことだな」
ネモ「あ〜うんこくんも学校やめたの?」
うんこくん「ちげーし オレは神出鬼没のラブリーマスコットだし」
ネモ「いいなあ 妖怪よりも自由そう ねえ うんこくん お喋りしよ ひま〜」
うんこくん「オレはいそがしい じゃな」
ネモ「わー 行っちゃった 猫みたい」
〇公園の砂場
ネモ(うとうと なんか足元がもふもふする)
ねこ「にゃ〜」
ネモ「はっ 公園のベンチで寝ちゃってた」
ねこ「にゃ〜」
ネモ「わ うんこいろの猫」
ねこ「ごろごろ」
ネモ「なんだ うんこくん お話しに来てくれたんだね」
ねこ「な〜」
ネモ「どうやったら猫と喋れるようになるんだろう そもそもなんで当たり前のように人間と喋れると思っているんだろう?」
ネモ「話しているとき、空疎な感じがするのはなぜなんだろう?」
ネモ「頭で喋ろうとしても、動物相手には通じないんだろうな・・・」
ネモ「猫たちのコミュニケーションは人間の都合とはまるきりちがうものなのかもしれない・・・」
ネモ「そもそも動物と積極的に関わったことがなかったかも・・・」
ねこ「てくてく」
ネモ「ついて行ってみるか・・・」
〇田舎道
ネモ「・・・・・・」
ネモ「今私が歩いているのは 妖怪の世界? 人間の世界? 猫の世界?」
新しい職場の環境にまだ馴染めない時期なんか、同じような!夢を見る時あります。ほとんどがフィクションでも、なぜかそこに自分の思いはぶれずに混じっているものですよね。
死んでからもなぜか慌てて学校に行ってしまうなんて、登校時間や学校行事の与える強迫観念の強さたるや!どおりでどの学校も幽霊やら妖怪やらうんこやらでぎゅうぎゅうになるわけだ。死んだ時くらい朝はゆっくり寝ていたいですね。