救命王子

山本律磨

溺(脚本)

救命王子

山本律磨

今すぐ読む

救命王子
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇海水浴場
海斗「・・・」
海斗「イエーーーーーーイ!」
聖美「コラ!海斗!」
海斗「・・・」
聖美「花火禁止だよここ!」
海斗「固い事言うなよ!海だぜ海!夏だぜ夏!」
聖美「だから何?意味分かんない」
聖美「直哉も一緒なら注意してよね」
直哉「でもまあ、今夏だし。ここ海だし」
聖美「確かに一緒ね・・・もういい」
海斗「お、おいおい。どこ行くんだよ」
直哉「ほら怒らせた。謝ろう」
海斗「何だよ紅一点。一緒にファイアーしようぜ」
海斗「トゥゲザーでフラワーファイアーをボンバーしちゃおうぜ~」
直哉「海斗!」

〇海辺
海斗「おいおい出た出た出たゴルァ!」
海斗「海と言えばゴミ拾いか?ああ?」
海斗「相変わらずの委員長だな!」
海斗「図書委員で放送部だったのに学級委員長っぷりがエグイなおい!」
海斗「で、お前も何一緒になって拾ってんだよ」
海斗「ファ~~ン♪じゃねーよ。アイコンタクトだけで分かり合ってんじゃねーよ」
聖美「こんばんは~観光客の方ですか~?」
海斗「お前も観光客だろ!」
聖美「お一人で花火楽しんでくださいね~」
海斗「分かったよ拾えばいいんだろ拾えば!」
直哉「~♪」
海斗「・・・?」
聖美「・・・!」
海斗「ヘイへーイ。サボってんのかい?委員長」
聖美「月・・・凄い」
海斗「うん?」
直哉「本当だ」
聖美「・・・」
聖美「綺麗だね」
海斗「・・・」
海斗「・・・ま、まあな」
海斗「まあ、じゃねえだろ」
海斗「とても・・・」
  『よく言うな』
直哉「殺しておいて、今更よく言うな」
海斗「・・・違う」
海斗「俺は聖美を」
直哉「助けようとしたんだろ。何のために?」
聖美「誰の為に?」
海斗「誰のため?」
海斗「てめえの為だろ?」
直哉「自分が自分の為に自分一人の手で助けたかったんだろ?」
海斗「・・・!」

〇海辺
直哉「やっと気づいたか?」
海斗「やっと自覚したか?」
海斗「ち、違う!俺は・・・」
海斗「で、どうよ」
直哉「助けられなかった気分は」
海斗「どうよ」
直哉「聖美と一緒に沈んでった気分は?」
海斗「どうよ」
直哉「お前だけ生き残ってる気分は?」
海斗「違う・・・俺は・・・俺は・・・」
海斗「分かってるだろ」
「ひとごろし」

〇黒
  『・・・さん』
  『岩波海斗さん』

〇海水浴場
向井「どうしたんです?ぼんやりして」
向井「お疲れですか?」
海斗「・・・え?」
海斗「まあ・・・」
海斗「・・・」
向井「いやいや。若いっていいですね」
向井「今だけですもんね。さんざんぱら人に迷惑かけても取り返しがつくのって」
向井「それが分かってやってんだから、羨ましい限りだ」
向井「そんなものただの錯覚なのに」
海斗「・・・?」
向井「いえ、取り返しのつかない事だってあるんじゃないかなーって思って」
向井「週刊チャンスの向井と申します」
海斗「・・・!」

〇歌舞伎町

〇海水浴場
向井「直接お会いするのは初めてですね」
向井「救命王子さま」
海斗「・・・」
  続く

次のエピソード:

ページTOPへ