協力者(脚本)
〇教室
副島 心夏「やっとお昼だ〜!いっただっきまーす!」
高橋 結衣「いただきまーす!」
森野 七海「・・・なんか、最近結衣嬉しそう」
高橋 結衣「え?そう?」
副島 心夏「確かに〜!てか最近結衣絶好調じゃない?」
副島 心夏「こないだのテストも優秀だったし!」
高橋 結衣「あはは・・・」
高橋 結衣(だって私、あのテスト1度解いたことあるもん)
高橋 結衣(・・・正直、私のやってる事は裁けない不正行為だよ)
高橋 結衣「まぁ、それもあるけど今日は夢を見なかったからかも」
森野 七海「夢?」
高橋 結衣「そう、内容はまぁうろ覚えだけど・・・2年になってからよく奇妙な夢を見るようになってさ」
高橋 結衣「しかもその夢がまぁ・・・誰かの友情が壊れそうになる夢とかでさ」
副島 心夏「・・・それ、大丈夫?」
高橋 結衣「大丈夫・・・だと思う」
高橋 結衣「けど、今日私なんも夢見てないからきっと平和に過ごせるはず!」
森野 七海「そう・・・ならいいけど」
高橋 結衣「・・・ん?」
副島 心夏「ん、結衣携帯鳴ったよ」
森野 七海「電源切っといた方がいいよ」
高橋 結衣「・・・スマホ、マナーモードにしたはずなんだけど」
高橋 結衣(・・・何これ、『異世界掲示板』?)
高橋 結衣(私、こんなアプリインストールした覚えないんだけど?)
高橋 結衣(なんで勝手に知らないアプリがインストールされてるの?怖いから消そ)
高橋 結衣(な、なんで?アンインストール出来ないの!?)
???「『異世界掲示板』を開け」
高橋 結衣(な、なんか脳内に語りかけてきた?)
高橋 結衣(あ、あれ、私いつの間にか『異世界掲示板』開いちゃってる!!)
「高橋結衣さんが異世界掲示板にログインしました」
高橋 結衣(しかもなんか勝手に私の名前でログインされてるし、もうわけわかんないよ・・・)
「高橋結衣さんにメッセージが届いています」
高橋 結衣(・・・メッセージ?)
高橋 結衣(・・・え)
松尾 翔也「『松尾だ。勝手にお前を異世界掲示板にログインしてすまん』」
松尾 翔也「『今日の放課後、話がある』」
松尾 翔也「『帰りのホームルームが終わったら、裏門で合流しよう』」
松尾 翔也「『このことは誰にも言うな』」
高橋 結衣(どうして松尾くんが異世界掲示板に?)
高橋 結衣(・・・そもそも、異世界掲示板って何?)
〇簡素な一人部屋
松尾 翔也「悪いな、家まで来てもらって」
高橋 結衣(・・・言われるがままに、松尾くんの家に着いてきちゃった)
高橋 結衣(話ってなんなの?)
高橋 結衣(まさか、私を一発シメるとか?)
松尾 翔也「いやお前をシメる為に呼んだんじゃねぇから」
松尾 翔也「まずお前をシメたいんなら、いちいち勝手に異世界掲示板ダウンロードしなくても」
松尾 翔也「普通にDMで十分だろ」
高橋 結衣「それもそうか・・・って」
高橋 結衣(・・・今、私の心を読んだ!?)
松尾 翔也「・・・で、話なんだけど単刀直入に聞かせてもらう」
松尾 翔也「お前・・・この世界がタイムリープしてるの気づいてるよな?」
高橋 結衣「・・・!!」
松尾 翔也「タイムリープ前の三学期の終業式の日にお前は水晶玉を拾った」
松尾 翔也「その水晶玉を拾った直後・・・森野が飛び降りて死んだ」
松尾 翔也「その翌日・・・目が覚めると一学期の始業式になっていた」
松尾 翔也「それからお前は森野の自殺を阻止しようと思い奮闘し・・・遂には森野の友人になった」
松尾 翔也「そしてある時お前は気づいた」
松尾 翔也「タイムリープの原因はあの水晶にあると」
高橋 結衣「どうしてわかったの!?」
松尾 翔也「これを使った」
高橋 結衣「・・・それ、ただのスマホじゃないの?」
松尾 翔也「このスマホは普通のスマホじゃない」
松尾 翔也「俺の特殊能力アイテム、名前は『アイデン』だ」
高橋 結衣「アイデン・・・」
松尾 翔也「名前の由来はアイデンティティ、お前の水晶玉は、お前のアイデンだ」
高橋 結衣「はぁ・・・」
松尾 翔也「俺のアイデンの能力は、他人の心を読むことと、他人にテレパシーを送ることだ」
松尾 翔也「前に、朝比奈と寄田がトラブったの覚えてるか?」
高橋 結衣「う、うん」
松尾 翔也「あの時、どうして寄田が朝比奈が屋上に逃げたかわかるか?」
高橋 結衣「・・・もしかして、松尾くんのアイデンの能力?」
松尾 翔也「そう、俺が寄田に「朝比奈は屋上にいるから行け」とテレパシーを送った」
高橋 結衣「すごい・・・けど、そんなことしてたようには見えなかったけどな」
松尾 翔也「アイデンとアイデンを使うところは、アイデンを持つ者以外には見えない」
松尾 翔也「だからお前のアイデンも他の奴らには見えない」
高橋 結衣「そうなんだ・・・」
松尾 翔也「あと、お前が一番知りたがってる『異世界掲示板』についてだが・・・」
松尾 翔也「アイデンは世界各地に散らばっていて、アイデンを持つ人は世界中にいる」
松尾 翔也「そのアイデンの持ち主が集まる場所が『異世界掲示板』」
松尾 翔也「『異世界掲示板』の創設者もアイデンの持ち主だ」
高橋 結衣「『異世界掲示板』ってSNSみたいなものなのかな?」
松尾 翔也「まぁ画像や動画の投稿はできねぇが、他の人とコミュニケーションを取ることはできる」
松尾 翔也「インスタやティックトックよりは、2chに近い感じだな」
松尾 翔也「あ、あと調べ物もできる」
高橋 結衣「調べ物・・・ってことは、私のアイデンのことも調べられるの?」
松尾 翔也「おぅ、出来るぞ」
高橋 結衣「えっと・・・『水晶玉 アイデン』で出てくるかな?」
高橋 結衣「あ、出てきた・・・なになに」
高橋 結衣「『タイムドリームボール』・・・あれタイムドリームボールって言うのか」
松尾 翔也「俺のは『テレパシーフォン』だ」
高橋 結衣「『アイデンの能力はそれぞれ2つある』」
高橋 結衣「『タイムドリームボールの能力の1つ目は時空を操ること』」
高橋 結衣「『2つ目は、アイデンの持ち主に重要な過去の出来事を夢のような形で見せること』」
高橋 結衣「あれもアイデンの力・・・アイデンすごい」
高橋 結衣「私・・・本当にとんでもないものを手に入れたんだ」
〇ダイニング
松尾 翔也「今日はもう遅いからうちで食って、うちで泊まってけ」
松尾 翔也「うちの親は共働きで今日は両方出張で帰ってこないし」
松尾 翔也「部屋は、来客用の部屋があるからそこを使え」
高橋 結衣「あ、う、うん・・・」
高橋 結衣「・・・なんか、松尾くん思ったより話しやすいね」
松尾 翔也「・・・話しにくいのは俺が村田達とつるんでるからだからだろ」
高橋 結衣「まぁ、それもあるけど」
松尾 翔也「まぁお前が俺に苦手意識を持つのもしょうがない」
松尾 翔也「・・・実際、森野を自殺に追い込んだ原因は俺にもあるし」
高橋 結衣「・・・!」
松尾 翔也「あの時、俺ら森野のことすげぇいじめてたじゃん」
松尾 翔也「高橋は、森野が何されたか覚えてるか?」
高橋 結衣「えと・・・教室にいる時すごい悪口言われてたよね?」
高橋 結衣「あと・・・それ以外にもお金たかられたり、ゴミ投げられてりしてた・・・」
松尾 翔也「まぁ、教室にいた時はそうだった・・・教室にいた時は」
松尾 翔也「小幡が『他のクラスメイトのことも考えて教室ではなるべく手加減してあげよ』って言ったんだ」
松尾 翔也「まぁ村田と葛原と久保田は、それにあまり賛成じゃなかったけどな」
松尾 翔也「・・・でも、放課後イジメは壮絶だった」
松尾 翔也「暴力振るったり、虫食わせたり・・・とにかく酷かった」
高橋 結衣「うわぁ・・・」
松尾 翔也「こんなこと言っても信じて貰えねぇかもしれねぇが・・・」
松尾 翔也「あの中で乗り気だったのは村田と葛原と久保田だけだ」
高橋 結衣「・・・そうなの?」
松尾 翔也「俺と他の奴らは森野をいじめることに罪悪感を感じていた」
松尾 翔也「でも、アイツらに「やめろ」と言ったところで聞いて貰えるとは思えねぇ」
松尾 翔也「だから・・・止められなかった」
松尾 翔也「二学期のある日・・・村田が森野を強姦した」
高橋 結衣「・・・!!」
松尾 翔也「終業式の日、森野の心の声を聞いた時に森野・・・妊娠したって」
高橋 結衣「ひ、ひどい・・・」
松尾 翔也「・・・見てただけの俺も同罪だ」
松尾 翔也「森野は、俺たちが殺したようなものなんだ」
松尾 翔也「俺の、せいで・・・」
松尾 翔也「だから・・・高橋」
松尾 翔也「お前は今、未来をいい方向へ変えようとしてるんだろ?」
松尾 翔也「それに、俺も協力させて欲しい」
高橋 結衣「・・・!」
松尾 翔也「・・・本気でお前と未来を変えたいんだ」
松尾 翔也「信じきれないなら、俺のアイデンを使っても構わない」
松尾 翔也「頼む・・・あの時の償いをしたいんだ」
高橋 結衣「・・・うん、わかった」
高橋 結衣「2人で協力して・・・七海を、いや、クラスのみんなを救おう!」
高橋 結衣「神村の時に思ったんだけど、他にも悩みを抱えてる人がいると思うの」
高橋 結衣「だから、七海だけじゃなくてその人たちも助けたいの」
松尾 翔也「あぁ。それも手伝うよ」
松尾 翔也「俺ら普段・・・みんなに結構迷惑かけてるしな」
松尾 翔也「あと・・・俺らはあまり学校で会わない方がいい」
松尾 翔也「俺と仲良くしてたら、お前はきっと村田立ちに目をつけられる」
高橋 結衣「・・・そうだね」
高橋 結衣「アイデンの事もあるし、このことは2人だけの秘密ってことで!」
松尾 翔也「あぁ」
松尾 翔也(あんまり高橋と堂々と仲良くしたら、アイツに悪いしな・・・)
高橋 結衣(・・・松尾くんが協力者か)
高橋 結衣(なんだか心強いな)
〇簡素な一人部屋
高橋 結衣「ありがと、部屋だけじゃなく寝巻きも貸してくれて」
松尾 翔也「おう・・・けど悪いな、男物しかなくて」
高橋 結衣「ううん、気にしないで」
松尾 翔也「お前の親には、副島の家に泊まったとテレパシーでそう思わせるよ」
高橋 結衣「本当に何から何までありがとね」
松尾 翔也「明日は休みだし、ゆっくり休め」
松尾 翔也「それじゃ、なんかあったら言ってくれ、おやすみ」
高橋 結衣「おやすみ」
高橋 結衣(・・・松尾くん、怖そうだけど本当は優しい人なのかも)
高橋 結衣「・・・そうだ、アイデンについてもう少し調べてみようかな」
高橋 結衣「どれどれ・・・」
高橋 結衣「『アイデンは、ほかの人も使うことが出来る』」
高橋 結衣(松尾くん言ってたね「信用出来ないなら俺のアイデンを使ってくれても構わない」って)
高橋 結衣(じゃあ松尾くんも私のアイデンを使うことが出来るというわけだ)
高橋 結衣(・・・にしても、瞬間移動とか透明化とか空を飛ぶとか・・・いろんなアイデンがあるんだな)
高橋 結衣(あとは・・・私のアイデンについてももっと調べてみよう)
高橋 結衣(自分のアイデンの事は、もっと知っておきたいし)
高橋 結衣(えと・・・私が知らないのは)
高橋 結衣「『アイデンによる夢を見る際、血が出るような残虐な行為や殺傷行為は赤色の花吹雪の光』」
高橋 結衣「『性的暴行が行われている時はピンク色の花吹雪の光が輝いて隠す』」
高橋 結衣(つまり、エロいシーンとグロいシーンは上手く隠してくれるってことか)
高橋 結衣(あとは・・・タイムドリームボールは水晶玉のような形をしているが、割れることは無い)
高橋 結衣(え、割れないんだ!すごい!)
高橋 結衣(タイムドリームボールが黒ずんだ時が使えなくなる時だ)
高橋 結衣「ふわぁ・・・」
高橋 結衣「アイデンについてはもう詳しく調べたし、もう寝よ」
〇体育倉庫
高橋 結衣(・・・あ、夢だ)
高橋 結衣(体育倉庫・・・?)
森野 七海「い、いや、助けて・・・!!」
久保田 有咲「騒ぐんじゃねぇ!!」
高橋 結衣(七海が・・・いじめられてる)
高橋 結衣(これは・・・タイムリープ前の世界?)
岩崎 美琴「ウチら3人見張っとくわ〜」
宮野 琉之介「ねぇ・・・見張りなんかやめてどっか遊びに行こーよ」
宮野 琉之介「七海ちゃんがいじめられてる声なんか聞きたくないよ・・・」
松尾 翔也「気持ちはわかるけど、学校から出る訳には行かないだろ」
松尾 翔也「バレたら面倒なことになる」
岩崎 美琴「・・・七海イジメって大体6時に終わんじゃん?」
岩崎 美琴「6時くらいまで莉奈の陸上部でも見とこーよ」
松尾 翔也「・・・そういや小幡は陸上部だったな」
宮野 琉之介「じゃ、陸上部見学しますか」
高橋 結衣(・・・この3人は、本当にいじめをよく思ってなかったんだね)
村田 瑛二「じゃー、ヤッちゃおっかなぁー」
森野 七海「嫌・・・嫌・・・!」
高橋 結衣(このままだと七海が妊娠しちゃう・・・!)
高橋 結衣(でも・・・夢だからどうしようもできない)
村田 瑛二「何がそんなに嫌?言ってみ?」
森野 七海「妊娠・・・したら、大変な・・・ことに」
村田 瑛二「じゃー大丈夫っしょ!だって・・・」
村田 瑛二「コンドームあるし」
村田 瑛二「ちゃんと付けるって、約束するよ」
村田 瑛二「俺もお前に妊娠されんのやだし」
高橋 結衣「・・・え?」
森野 七海「そういう問題じゃ・・・嫌ァ!」
高橋 結衣「ひ、光った!何も見えない!!」
高橋 結衣「けど、声は聞こえる・・・」
村田 瑛二「付けてっと・・・オラァ!」
森野 七海「いやぁぁぁぁあぁあ!!」
村田 瑛二「はい、落ち着け落ち着けー」
高橋 結衣(ちゃんと・・・つけてる・・・)
性的暴行後
村田 瑛二「・・・あのさ、ヤッてて思ったんだけどお前初めてじゃねぇだろ」
村田 瑛二「俺、○○○○だからそーゆーの分かんだよ」
森野 七海「・・・・・・」
岩崎 美琴「・・・せんせー来そうだよ」
村田 瑛二「お、マジかじゃあ行くか」
岩崎 美琴「七海・・・大丈夫・・・じゃないね」
森野 七海「・・・」
高橋 結衣(村田は終始・・・ちゃんと避妊してた)
高橋 結衣(あの性行為じゃ、妊娠しない・・・)
高橋 結衣(妊娠は嘘・・・?なわけないか)
高橋 結衣(松尾くんがアイデンで七海の心を読んだんだし)
高橋 結衣(村田も、初めてじゃないだろって言ってた)
高橋 結衣(てことは・・・七海を孕ませた人は別にいるってこと・・・?)
高橋 結衣「一体誰なの・・・?」
〇ダイニング(食事なし)
松尾 翔也「よし、駅まで送ってくよ」
高橋 結衣「ずっとヘアカタログ見てたけど、髪型変えるの?」
松尾 翔也「おう、黒染めして髪型も普通のやつにしようかと」
高橋 結衣「えっマジで?」
松尾 翔也「これから異世界掲示板とか、アイデンのことを話したりするために休みの時に会う時」
松尾 翔也「こんな不良といたらお前も不良と思われるかもしれない」
松尾 翔也「だからお前の世間の評価を守るためにマシな見た目になろうと思ってな」
高橋 結衣「そっか・・・色々考えてるんだね」
高橋 結衣「・・・帰る前にいいかな?」
高橋 結衣「とても大事な話があるの」
松尾 翔也「・・・大事な話?」
高橋 結衣「・・・よく聞いて欲しい」
高橋 結衣「七海を妊娠させた相手は・・・村田じゃない」
松尾 翔也「・・・ハァ!?」
高橋 結衣「信じて貰えないかもだけど、本当なの」
高橋 結衣「私にアイデンを使っても構わないよ」
松尾 翔也「お、おう・・・」
松尾 翔也「本当だ・・・」
松尾 翔也「あの時は逃げちまったからわかんなかったけど・・・」
松尾 翔也「・・・これじゃ妊娠はしない」
高橋 結衣「・・・七海の子供の父親は、村田じゃなかった」
松尾 翔也「・・・森野を自殺に追い込んだのは俺たちのせい」
松尾 翔也「だが・・・自殺の原因は俺たち以外にもある」
高橋 結衣「もしかしたら・・・七海を妊娠させた相手が、また七海を妊娠させるかも」
高橋 結衣「七海の自殺防止は・・・まだ終わってない」
高橋 結衣「今度は・・・妊娠を阻止しなきゃ」