転生少女と7人の勇者

にんじん

第4 憤怒の勇者の誤算(脚本)

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〇魔王城の部屋
料理長 ゲップ「私が料理長に就任してから、4女帝が魔王城からさってしまったゲプ〜」
料理長 ゲップ「今日こそ魔王様を喜ばせるために、深海から取り寄せた海の秘宝トゲトゲヘビのアンモニア漬けを用意したゲプ〜」
料理長 ゲップ「これなら最近痩せ細った魔王様も元気を出してくれるゲプ〜」
料理長 ゲップ「魔王様、魔王様。料理の準備が出来たゲプ〜」
  しかし、何度も呼んでも魔王は姿を現さなかった

〇古民家の居間
サタナ「はぁ!」
サタナ「また、昔の忌まわしい記憶が蘇ってきた」
サタナ「もう2度とあの時に戻りたくない」
ハラミ「サタナちゃんどうかしたの?」
サタナ「お母さん、なんでもないよ」
ハラミ「そう。何か悩み事があるならお母さんになんでも言ってね」
サタナ「は〜い」
サタナ「そうだ、お母さん」
サタナ「この前買ってもらったピンクのジャージはどこにしまったの?」
ハラミ「あれは、お兄ちゃんが気に入って王都へ行く時に持って行ったわよ!」
サタナ「そ・・・なの」
ハラミ「ごめんね。お兄ちゃんが帰ってくるまで我慢してね」
サタナ「わかった」
サタナ「でも、新しいジャージも欲しくなったの」
ハラミ「そうなのね」
ハラミ「でも、ジャージは不人気だからしばらくは入荷の予定はないみたいよ」
サタナ「いつになったらジャージは入荷されるの?」
ハラミ「最近は、いろいろな出来事があったので、王都から品物が入ってこないの」
サタナ「そうなの・・・」
サタナ「お母さん、王都に行けばジャージは手に入るの?」
ハラミ「そうね」
ハラミ「色とりどりのジャージが王都には売っているみたいよ」
サタナ「色とりどり・・・」
サタナ「私、青のジャージが欲しいの」
ハラミ「王都に行くには1週間ほどかかるのよ。サタナちゃんには、厳しい道のりなるわ」
ハラミ「だから、大きくなるまで我慢してね」
サタナ「はい」

〇霧の立ち込める森
暗黒の女王 ラファン「魔王、ピンクのジャージは用意できたのか!」
氷の女王 グラース「魔王様、私に似合うジャージは用意してくれたのでしょうか?」
サタナ「お前らに悲しい報告をしなければならない」
サタナ「実はラファンに用意したピンク色のジャージは、妾の兄であるユッケが王都に持ち去ってしまったのだ」
暗黒の女王 ラファン「俺様のジャージが・・・」
サタナ「そして、グラースに用意する予定のジャージは、不人気商品の為、入荷予定はないそうだ」
氷の女王 グラース「不人気で入荷予定がない・・・」
サタナ「2人ともそんなに気を病む事はない」
暗黒の女王 ラファン「やかましい」
暗黒の女王 ラファン「お前は、立派なジャージを着ているから、そんな事を言えるのだ」
氷の女王 グラース「魔王様、ラファンの言う通りです。私はこんな露出狂のような衣装よりジャージのがいいです」
暗黒の女王 ラファン「俺様も品のないこの衣装より、単色で洗練されたデザインのジャージのがいいのだ」
サタナ「妾の話を最後まで聞くのだ」
サタナ「マカロニの村にはジャージはないが、王都に行けば色とりどりのジャージが売っているのだ」
暗黒の女王 ラファン「王都は楽園か!」
氷の女王 グラース「魔王様、今すぐにでも王都へ行くべきです」
暗黒の女王 ラファン「楽園へ乗り込むぞ!」
暗黒の女王 ラファン「いでよ暗黒門!」

〇荒地
 憤怒の勇者 ラージュ「ここが傲慢の勇者アガロンが行方をたった場所だ」
タン「森があった形跡すら残っていません。アガロン様は死んでしまったのでしょうか?」
 憤怒の勇者 ラージュ「これは!」
 憤怒の勇者 ラージュ「傲慢の剣ではないか!」
タン「傲慢の剣とはアガロン様が魔王倒した聖なる剣のことでしょうか」
 憤怒の勇者 ラージュ「そうだ。この剣は深海の奥深くに封印されし魔王の心臓を止める事ができる聖なる剣だ」
 憤怒の勇者 ラージュ「アガロンが魚人族と主従契約を交わす事によって得る事が出来た代物だ」
タン「私達猫人族がパレス様と契約をする事によって手にした憤怒の盾と同じようなものでしょうか」
 憤怒の勇者 ラージュ「そうだ。この剣があれば勇者トントロを倒す事も可能なはずだ」
タン「それは魔王を倒す聖なる剣では??」
 憤怒の勇者 ラージュ「魔王と勇者は表裏一体の存在だ。魔王を倒せる武器はイコール勇者を倒せる武器となる」
 憤怒の勇者 ラージュ「それに、傲慢の剣の本当の力は魔王を倒す事にあらず」
タン「え!」
 憤怒の勇者 ラージュ「傲慢の剣の本当の力は魔族を洗脳することにある」
タン「洗脳・・・」
 憤怒の勇者 ラージュ「そうだ。傲慢の剣で斬られた魔族は、斬られた者の配下に陥るのだ」
タン「それなら、魔王はアロガン様の配下になったことになります」
 憤怒の勇者 ラージュ「そうなるはずだ。しかし、魔王は傲慢の剣に突き刺された直後に灰になり絶命した」
タン「傲慢の剣はそれほど強大な殺傷能力があったということでしょうか??」
 憤怒の勇者 ラージュ「他の6人の勇者はそのように捉えただろう」
 憤怒の勇者 ラージュ「しかし、俺は違う」
タン「パレス様はどのように捉えたのでしょうか?」
 憤怒の勇者 ラージュ「魔王は何かしらの方法でその場から逃げたと俺は判断した。しかし、そのことは他の勇者には話はしなかった」
タン「なぜですか?」
 憤怒の勇者 ラージュ「今の世界をみれば俺の判断が正しかったことがわかるだろ」
タン「世界は7勇者の手によって分断され、横行跋扈の暗黒時代になりました」
 憤怒の勇者 ラージュ「そうだ!世界は怒りに満ち溢れている。これが俺が望んだ世界。そして、俺が最強になるための礎でもあるのだ」
タン「憤怒の盾の力を使うのですね」
 憤怒の勇者 ラージュ「そうだ!世界の怒りのパワーはすべて憤怒の盾の力に変換されて俺の力になる」
 憤怒の勇者 ラージュ「この怒りに満ちた世界の邪魔になるのが正統勇者トントロ、そして、魔王ディアブラーダだ」
タン「なぜ、勇者トントロや魔王ディアブラーダが邪魔なのでしょうか」
 憤怒の勇者 ラージュ「正統勇者トントロが姿を出せば、怒りが希望に変わり」
 憤怒の勇者 ラージュ「魔王ディアブラーダが復活すれば怒りが恐怖、絶望に変わるのだ」
 憤怒の勇者 ラージュ「俺が欲しいの怒りだ!人間同士の怒りが必要なのだ」
 憤怒の勇者 ラージュ「俺の邪魔をする奴は勇者だろうが魔王だろうが全て排除する」
 憤怒の勇者 ラージュ「そして、排除すべき人物は俺でないといけない。アロガンが魔王を配下にすれば、俺に勝機はない」
タン「そういうことでしたか」
タン「それならパレス様に運気が回ってきたいうことですね」
 憤怒の勇者 ラージュ「そうだ!憤怒の剣を手にしたことによって、俺の時代がきたのだ」
魚人族 ヤキソバ「残念だがお前の考えは間違っているぞ」
 憤怒の勇者 ラージュ「誰だ!お前は」
魚人族 ヤキソバ「俺はアガロン様と主従契約を結んだ魚人族の長ヤキソバだ」
 憤怒の勇者 ラージュ「お前が水中最強の称号を持つ魚人族のヤキソバか!」
魚人族 ヤキソバ「俺の事を知っているのだな」
 憤怒の勇者 ラージュ「お前の事はアガロンから聞いている」
 憤怒の勇者 ラージュ「それより、俺の考えのどこが間違っているのだ」
魚人族 ヤキソバ「根本が間違っているのだ」
 憤怒の勇者 ラージュ「どういう事だ!」
魚人族 ヤキソバ「俺たち亜人族が守護する英雄7武具を扱えるのは正統勇者のみだ」
魚人族 ヤキソバ「偽物勇者であるお前らには英雄7武具の本来の力を引き出す事は不可能だ」
魚人族 ヤキソバ「お前らが使いこなせるのは英雄7武具の力の1割程度に満たない」
 憤怒の勇者 ラージュ「ほ・・・本当なのか!」
魚人族 ヤキソバ「嘘を言っても仕方ない。本当に英雄7武具を使いこなす事が出来たなら、アロガン様はここで消滅することはなかったし」
魚人族 ヤキソバ「8年前に魔王を配下にしていただろう」
魚人族 ヤキソバ「お前の憶測は全て的外れだったのだ」
 憤怒の勇者 ラージュ「そ・・・んな・・・バカな」
  第五話に続く

次のエピソード:第5 ジャージ

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