行動(脚本)
〇学校脇の道
高橋 結衣(・・・革命を起こすって決意しても、どうやって革命を起こせばいいのかな?)
高橋 結衣(全然わかんないや)
高橋 結衣(・・・未来を変えるには、まず自分を変えた方がいいのかも)
高橋 結衣(例えば普段やらないことをやるとか)
北村 茉莉華「あっ、ごめんね〜」
高橋 結衣「・・・北村さん」
北村 茉莉華「ん?茉莉華のこと知ってんの?」
高橋 結衣「えっと、同じクラスだから・・・」
北村 茉莉華「・・・え、アンタも5組? って茉莉華、萌那以外覚えてなかったわ」
北村 茉莉華「アンタ、名前なんて言うの?」
高橋 結衣「あ、高橋結衣・・・」
北村 茉莉華「結衣ね、覚えたわ」
高橋 結衣(・・・そうだ、自分を変える為にまずは北村さんと仲良くなってみようかな)
高橋 結衣「えと、北村さん今日学校来たんだね」
北村 茉莉華「茉莉華でいいよ〜 今日なんかさ、委員会とか係決めるって萌那が言っててさ」
北村 茉莉華「だから今日は来た方がいいって萌那に念押しされた。 本当は今日も休んじゃおうって思ってたけど」
北村 茉莉華「だるい委員会とか押し付けられんのやだもん」
高橋 結衣「委員会・・・あ」
〇教室
タイムスリップ前の委員会&係決め
川崎 優愛「それじゃあ、次は美化委員を決めたいと思います」
村田 瑛二「翔也ー、琉之介ー、やれよ〜」
松尾 翔也「は?だりぃし誰がやるかっての」
宮野 琉之介「んー、俺やっちゃおっかなぁ」
松尾 翔也「え?ガチ?」
村田 瑛二「おー、やるのかお前」
宮野 琉之介「優愛ちゃーん、俺やりたーい」
松尾 翔也「ぎゃはは!ガチでやりやがった!」
葛原 由奈「えー、琉之介くんがやるなら、もう1人は由奈しか・・・」
森野 七海「あの、私、やりたいです」
葛原 由奈「・・・は?」
宮野 琉之介「おーななみんやんの?」
葛原 由奈「ちょ、ちょっと待って!由奈もやりたい!」
川崎 優愛「あら、じゃあ公平にくじで決めましょう。 由奈ちゃん、七海ちゃん、どっちか引いて」
川崎 優愛「この中に入ってるから、まずは由奈ちゃんどうぞ」
川崎 優愛「引いた?じゃあ次七海ちゃん!」
森野 七海「・・・あ、当たりって書いてある」
川崎 優愛「じゃあ、美化委員は琉之介くんと七海ちゃんね!」
葛原 由奈「・・・テメェ、ざけんな」
森野 七海「・・・え?」
〇学校脇の道
高橋 結衣(・・・そうだ、森野さん宮野くんと美化委員することになって)
高橋 結衣(それで、葛原さんが宮野くんのこと好きだったみたいで・・・)
高橋 結衣(あの日から、葛原さんのグループが森野さんをいじめるようになって・・・宮野くん達も便乗していじめが酷くなったっけ)
高橋 結衣(じゃあ、何とかして森野さんと宮野くんが同じ委員会や係にならないようにしないと)
高橋 結衣「委員会と係決め、すごい大事だね」
北村 茉莉華「うん、すごい大事」
北村 茉莉華「茉莉華、学級委員だけは嫌。 学級委員って大変そうだし」
高橋 結衣「確かに、それに学級委員はしっかりしててクラスをまとめられる人がいいよね」
北村 茉莉華「そーそー。それだと誰がいいかな?」
中島 彩香(しっかりしててまとめられる人・・・ねぇ)
〇教室
タイムスリップ後の委員会&係決め
梶崎美嘉「今日のホームルームは、前期の委員会と係を決めます」
梶崎美嘉「まずは・・・学級委員を決めたいわね」
梶崎美嘉「学級委員は、男子一人と女子一人なの」
梶崎美嘉「立候補、推薦はある?」
雨宮 慶「はーい、今村透くんを推薦しまーす」
今村 透「え、俺?」
雨宮 慶「うん、透中学ん時に生徒会長やってたじゃん」
雨宮 慶「そんときの透、マジかっけーって思った」
今村 透「いや、もう二年前の話だよ・・・」
石田 大河「学校全体まとめられたんならクラスもまとめられるんじゃね?」
斎藤 拓斗「あー、俺もそう思う!」
今村 透「じゃあ、そこまで言うなら・・・」
梶崎美嘉「じゃあ、男子の学級委員は雨宮くんに決定ね! 女子の学級委員は立候補、推薦ある?」
寄田 友希那「優愛ちゃんとか学級委員向いてるんじゃないかな?」
朝比奈 灯莉「あー、優愛の学級委員アリかも!」
川崎 優愛「え、そんな、私なんて・・・」
高橋 結衣(前と同じ流れ・・・このまま川崎さんと今村くんが学級委員になったんだよね)
中島 彩香「んー、でもあたしは優愛よりも莉夢を推薦しまーす」
川崎 優愛「・・・え?」
高橋 結衣(・・・あれ?流れが変わった?)
寺坂 莉夢「えっ!?ちょ、彩香!何言ってんの!」
中島 彩香「莉夢、去年学級委員やってたじゃん」
寺坂 莉夢「そうだけど、優愛の方が絶対いいって!」
川崎 優愛「ねぇ、彩香ちゃんはどうして莉夢ちゃんに学級委員をやらせたいの?」
中島 彩香「いやー、去年あたしらとおんなじ1組だった人は知ってると思うんすけど」
中島 彩香「去年の合唱コンの時、男女で超バチバチやり合ってたんすよ」
石田 大河「あー、確かにあの時俺ら超荒れてたよなー」
谷野 連「せやけど、合唱コン優勝したのって1組ちゃうん?」
中島 彩香「その荒れてたクラスを一つにまとめ、優勝に導いたのが、当時の学級委員の寺坂莉夢さんというわけですよ」
石田 大河「おぉ!そうだったな! あの時の寺坂さんの涙の演説がクラスの仲を修復したんだよ!」
谷野 連「おぉー!寺坂さんやるやん!」
寄田 友希那「莉夢ちゃんすごいね!」
朝比奈 灯莉「やっぱ莉夢の方がいいかも!」
梶崎美嘉「まぁ、寺坂さんてすごいのね! 寺坂さんなら5組をまとめられそうね!」
寺坂 莉夢「えぇ・・・まぁいいけど」
梶崎美嘉「じゃあ、5組の学級委員は今村くんと寺坂さんに決定!」
今村 透「寺坂さん、よろしく」
寺坂 莉夢「あ、うん・・・」
高橋 結衣(・・・まさか、莉夢が学級委員になるなんてね)
高橋 結衣(・・・でも、タイムスリップ前と環境が変わっているし、この方がいいのかも)
〇教室
梶崎美嘉「じゃあここからは、今村くんと寺坂さんお願い」
寺坂 莉夢「あ、はい・・・」
今村 透「俺書記やるから、寺坂さんが仕切って」
寺坂 莉夢「あ、うん・・・じゃあ委員会決めます」
高橋 結衣(・・・実は、私はホームルームが始まる前までに対策をしておいたのです)
村田 瑛二「なぁ、オメーら委員会やるか?」
宮野 琉之介「んー、俺絶対美化委員だけはやらない」
松尾 翔也「何故に美化委員オンリー?」
宮野 琉之介「なんかさ・・・ロッカーに美化委員の仕事内容?みたいなのが入っててさぁ。 見てこれ」
松尾 翔也「お、恋文か?」
村田 瑛二「恋文て!いつの時代だよ」
宮野 琉之介「俺も最初はラブレターかなって思ったんよ。 でも、中身が美化委員の仕事の内容が書かれたヤツでさぁ」
宮野 琉之介「なんか、超ダルそうなんだよねぇ 手紙にも『美化委員はめんどくさいので絶対にやらない方がいいです』って書いてあるし」
宮野 琉之介「俺、美化委員絶対やんなーい」
松尾 翔也「つか、なんでお前のロッカーにそんなもん入ってたんだ?」
宮野 琉之介「さぁ?子猫ちゃんが俺をだるい美化委員にさせない為に頑張ってくれたんじゃない?」
村田 瑛二「・・・じゃあ、葛原かもな」
久保田 有咲「ねぇ、アレやったのって、由奈?」
葛原 由奈「んーん、違うよぉ。 でも琉之介くんを面倒臭いことに巻き込まないようにしてくれたのは感謝だねぇ」
葛原 由奈「由奈も美化委員やんなーい」
高橋 結衣(私がやりました! これで宮野くんと葛原さんは美化委員にならないはず!)
寺坂 莉夢「まず、美化委員やりたい人いますか?」
森野 七海「あ、私やりたいです」
高橋 結衣(キターーーー!!)
寺坂 莉夢「美化委員、1人目は森野さん・・・と」
宮野 琉之介「えー・・・もしかして七海ちゃん、美化委員超ダルいって知らない感じ? だとしたらカワイソー」
松尾 翔也「可哀想ならその手紙森野にも見せてやれよ」
宮野 琉之介「えー、ヤダよー。 七海ちゃんの気が変わって『やっぱやらない』とか言い出したらさー、俺やらされるかもしれないじゃん」
松尾 翔也「おめー自分のことばっかだな」
宮野 琉之介「ショーヤに言われたくないなぁ」
葛原 由奈「ウッソ、七海ちゃんやっちゃうのぉ? やめといた方がいいのにぃ」
葛原 由奈「・・・ま、いっかぁ 七海ちゃんにやらせといたらやらずに済むし」
寺坂 莉夢「じゃあもう1人美化委員やりたい人〜! 美化委員は男女の人数関係ないよー」
宮野 琉之介「ま、そうなるよねぇ」
佐々木 猛志「連、脇になんかついてるよ」
谷野 連「え、脇?」
寺坂 莉夢「あ、谷野くんやる?」
谷野 連「え!?俺!?」
佐々木 猛志「なんかやりたいらしいよー」
谷野 連「佐々木!お前騙したなぁ!」
谷野 連「寺坂さん!俺別に」
宮野 琉之介「レンくんがやってくれたら俺やんなくていーじゃんラッキー! レンくんよろ〜!」
宮野 琉之介「莉夢ちゃーん! レンくんが美化委員で!」
谷野 連「え!?」
寺坂 莉夢「でも、谷野くん嫌がってない?」
高橋 結衣(あの手紙がここまでの結果をもたらすなんて・・・! これは絶好のチャンス!)
高橋 結衣「谷野くん嫌なの?じゃあニッシーやってあげて?」
仁科 理人「いやおかしい! 俺絶対やんないから!」
仁科 理人「谷やんが美化委員でいーじゃん!」
新見 彰人「・・・じゃー、俺やっちゃおうかな?」
「・・・え?」
宮野 琉之介「えっ!?彰人くんそれガチで言ってんの!?」
谷野 連「ホンマかいな!?」
新見 彰人「こういうのはさっさと決めた方がいーじゃん? 誰もやんないなら俺がやっちゃう!」
新見 彰人「っつーわけで5組の美化委員は俺と七海ちゃんで決定ね! 七海ちゃん、よろしく!」
森野 七海「うん、よろしく・・・」
寺坂 莉夢「えと・・・じゃあ美化委員は新見くんと森野さんで」
高橋 結衣(森野さんが宮野くんと美化委員になるのは阻止できたし、葛原さんも森野さんを敵視してないみたいだけど・・・)
高橋 結衣(新見くんが美化委員になるのは予想外だよ ・・・心夏とは、どうなっちゃうのかな?)
〇田舎駅の改札
森野 七海(美化委員って、そんなに大変な仕事かな?)
森野 七海(1年の時美化委員やってたけど、宮野くんが拒絶するほど、大変じゃなかったと思うけど・・・)
森野 七海(・・・あと、気のせいかな)
森野 七海(なんか、今日みたいなこと前にもあった気がする・・・)
高橋 結衣「森野さん!」
森野 七海「あなたは・・・高橋さん」
高橋 結衣「えっ!?森野さんも軌跡駅だったの!?」
高橋 結衣(まさかこんな偶然あるなんて・・・これを活かすしかないっしょ!)
森野 七海「あなたも・・・軌跡駅?」
高橋 結衣「うんっ!だから一緒に帰ろ!」
森野 七海「いいけど・・・高橋さんって結構積極的なんだね」
森野 七海「もっと大人しめな性格なのかと思ってた」
高橋 結衣「あはは、まぁーね」
高橋 結衣(・・・まぁ、タイムスリップ前は森野さんの言う通り、大人しい子だったんだけどね)
高橋 結衣(それにしても、森野さんと最寄り駅同じなの全然知らなかった・・・)
森野 七海(・・・なんでだろう)
森野 七海(高橋さんとは今年初めて同じクラスになったばかりなのに、高橋さんの事を知っている気がする・・・)
森野 七海(高橋さんだけじゃない、他のクラスメイトも・・・)
〇ゆるやかな坂道
高橋 結衣「そっか、森野さんの中学って私の中学の近くだったんだ〜」
森野 七海(私、高橋さんとははじめまして・・・のはずなのに、何故か高橋さんとは前も知り合いだった気がする)
森野 七海(いや、高橋さんよりも久保田さんや宮野くんたちのグループの方が違和感を感じる・・・)
森野 七海(なぜかあの人たちを見ると・・・恐怖を感じるの)
森野 七海(別に、あの人たちになにかされたわけじゃない・・・はずなのに・・・あれ?)
高橋 結衣「・・・森野さん、なんか苦しそうに見えるけど大丈夫?」
森野 七海「え・・・あ、大丈夫・・・」
森野 七海「・・・ねぇ、高橋さん。 どうして私に話しかけようと思ったの?」
高橋 結衣「えっ・・・と」
高橋 結衣(タイムスリップの事とか・・・自殺の事とか・・・言えないし・・・まず信じて貰えないよね)
高橋 結衣「・・・私ね、森野さんと仲良くなりたいの」
森野 七海「・・・え?どうして?」
高橋 結衣(・・・あなたが来年、自殺するかもしれないから)
高橋 結衣「どうしてかはわからない・・・けど、仲良くなりたいの」
森野 七海「・・・ふふっ、あなたって不思議な人だね」
森野 七海「ねぇ、正直言って私に話しかけるの、結構緊張したんじゃない?」
高橋 結衣「うん、すごく緊張したよ」
高橋 結衣「けど、思い切って積極的に行動しようと思ってさ」
高橋 結衣「そしたら、何かが変わる気がして・・・」
森野 七海「何かが変わる・・・か」
森野 七海「・・・私も思いきって行動したら、変われるのかな?」
高橋 結衣「それはわかんないけど・・・やらずに後悔するより、やって後悔する方がいいと思うな!」
森野 七海「そう・・・かもね」
〇教室
翌日
森野 七海(・・・やらずに後悔より、やって後悔する方がいい・・・か)
森野 七海(・・・私も思いきってやってみようかな)
森野 七海「お、おはようっ!」
寄田 友希那「あ、七海ちゃん!おはよう!」
森野 七海「・・・!」
石田 大河「おはよう!」
森野 七海「お、おはよう!」
森野 七海(・・・思い切ってみて、良かったかも!)
寄田 友希那(七海ちゃんて、大人しそうなイメージだったけど・・・席近いし、もしかしたら仲良くなれるかも?)
石田 大河(森野さんて、意外と明るい人なのかもな)
森野 七海「あ、おはよう結衣!」
高橋 結衣「・・・!おはよ、七海!」
副島 心夏「あれ、結衣と森野さんいつの間に仲良くなったの?」
高橋 結衣「昨日だよ。心夏も七海と仲良くなれると思うよ!」
副島 心夏「そう・・・かな」
副島 心夏「えと、よろしく!七海って呼んでいいかな? ウチのことも心夏でいいから!」
森野 七海「うん!よろしくね、心夏!」
高橋 結衣(・・・結衣って呼んでくれた!)
高橋 結衣(未来を変えるにはやっぱり、思い切って行動することが大切なんだ!)
高橋 結衣(クラスの七海への印象も変わってきてるし、七海へのいじめは起きないはず)
高橋 結衣(未来は、いい方向に変わったんだ!)
高橋 結衣(5組の平和は保たれたんだ!)
確かに七海へのいじめは起きなくなった。
だが、結衣は知らない。
5組には、いじめ以外の様々な問題があることを。
そして、結衣がその問題と向き合うこととなることも。