読切(脚本)
〇駅のホーム
けいこ「今日も呑んだ呑んだ~。 終電に間に合わないかと思ったけど、 間に合ってよかったー」
けいこ「わわっ! 電車入らなきゃ──」
〇電車の中
けいこ「ん? なんか暗いな」
けいこ「でも、誰もいなくてラッキー」
けいこ「よいしょ」
けいこ「これなら寝てても大丈夫ね」
なつき「ねぇ、けいこ?」
けいこ「え、もしかして・・・なつき?」
なつき「久しぶりね。 何年ぶり?」
けいこ「えーとね、中学生以来だから、11年ぶり!」
なつき「もう、そんなになるんだ」
けいこ「どう? さつきはもう結婚した?」
なつき「まだだけど、彼ともうすぐ結婚するの」
けいこ「わぁ、おめでとう!」
けいこ「あ、次の駅で降りなきゃ」
なつき「・・・ねぇ、今からでもワタシの家に 来ない?」
けいこ「今日は遅いし、ラブラブなカップルの家にお邪魔するのは悪いわ。 また今度ね」
なつきが、私の手首をつかんできた──
なつき「でも、今日寄ってほしいの」
けいこ(何か、なつきの様子がおかしい)
けいこ「痛いからやめて!」
〇駅のホーム
電車が出発して、さつきは窓から
私を見ている。
恨めしそうに、さつきは睨んでいた。
そんなさつきに、顔を背けられず、
私は見つめた。
さつきは、見えなくなるまで
私を睨んでいた──
〇明るいリビング
けいこ「ただいまー」
母「あんた、どうやって帰って来たの?」
けいこ「終電で帰ってきたよ」
母「うそ!」
母「ニュースで終電が事故にあったって 言ってんだよ」
母「言い訳はあとで聞いてあげるわ」
母「それより、さっき電話があったんだけど、」
母「中学のときに、よく仲良くしてくれた なつきちゃん──」
母「その電車事故で亡くなって しまったのよ・・・」
それを聴いた瞬間、
なつきが私を睨んでいた映像が、
脳裏に浮かんだ。
背筋に寒気がおこった。
自分の腕時計を見る。
午前一時を指していた。
家から駅までの歩く時間──
家から最寄の駅、
飲みに行った店の近くの
駅までの時間を、逆算して考えた。
けいこ「どう考えても、 私は終電に間に合ってない」
母「何を今更言ってるの」
けいこ(それなのに、私は・・・・・・ 電車に乗った)
けいこ(そして、終電に乗ったはずの なつきと会った──)
彼と婚約して幸せの絶頂だったなつき。
そんなときに事故に遭うなんて。
あの、なつきの恨めしい顔。
その理由は、
生への執着だったのかもしれない。
だけど、私は一体──
どこ行きの電車に乗ったのだろうか。
現代の都会の中でも、結構恐ろしいことがあるのですね!! 終電ホラー堪能しました! 他の方のコメントを読んでいると、実はパート1があるとのこと、なつきさんのことを知りたいので早速見に行きます!!
これは、先のストーリー「終電」と同じ日のお話ってことでしょうか!? それぞれ単体で読んでもゾクゾクするのに、併せて読むと恐怖感が何乗にもなります。。当分の間、終電には怖くて乗れなくなりました……
乗れないはずだった終電に乗っていたことがとにかく怖かったです。なつきは彼女を道連れにしようとしたのでしょうか?家に招こうとした意図がしりたいです。