第3話 「潰し合いクロスオーバー」(脚本)
〇整頓された部屋
穴倉圭「神社で買った魔除け札を貼る!!」
穴倉圭「代官山で買ったコルキア島の岩塩!」
穴倉圭「教会で買った聖水!」
穴倉圭「これをサタンスポットに振りまいてと!!」
穴倉圭「マヨルガさん、これで大丈夫っすかね?」
マヨルガ「まあ、弱い相手なら寄せつけないね」
穴倉圭「良かった〜」
穴倉圭「これだけで今月の給料の半分 使いましたからね」
マヨルガ「多少メシ食わなきゃしのげるでしょ」
穴倉圭「ちょっとちょっと!」
穴倉圭「働き盛りのサラリーマンにメシ食うなは 酷ってもんすよ〜」
マヨルガ「パワースポットの下でメシ食えば 足りないエネルギーくらい補えるぞ」
穴倉圭「あ!そ、その手があったか!!」
マヨルガ「少しは頭使えよ」
穴倉圭「ん?」
マヨルガ「あいつ仕事出来なさそうだな・・・」
〇シンプルな玄関
家主の澄江さん「穴倉ちゃん、元気してる?」
穴倉圭「はい、おかげさまで」
家主の澄江さん「あのさあ、親戚の子からお土産 沢山もらっちゃってさあ・・・」
家主の澄江さん「あまったからあげるわ」
穴倉圭「ありがとうございます!」
家主の澄江さん「じゃあ、またね」
〇整頓された部屋
穴倉圭「余り物って言うから、地元の名産品でも くれんのかと思ったら・・・」
穴倉圭「ぬいぐるみと・・・」
穴倉圭「人形って!」
マヨルガ「地元の名産なんじゃないの?」
穴倉圭「普通食いもん寄こすっしょ!?」
穴倉圭「ていうか、これを余るほど送るって・・・」
穴倉圭「親戚から嫌われてるんじゃないすかね?」
マヨルガ「アンタも嫌われてんじゃないの?」
マヨルガ「住人からクレームよく来るしさ」
穴倉圭「マヨルガさん・・・」
マヨルガ「どうした?」
穴倉圭「うるせー!!てめえのせいだ!! バーーーーカ!!」
マヨルガ「あの野郎・・・」
〇アパートの台所
穴倉圭「どうだ!?マヨルガ!?」
穴倉圭「こんな神聖な場所にいる俺を!」
穴倉圭「気絶させるような無慈悲な 攻撃は出来まい!!」
〇整頓された部屋
マヨルガ「クソッ、良心につけ込みやがって・・・」
マヨルガ「お前、悪魔だったらそこそこ 出世出来そうだな」
〇アパートの台所
穴倉圭「よっしゃ!! マヨルガに完全勝利だー!!」
マヨルガ「スポットから出た瞬間、 気絶させてやろうか?」
穴倉圭「すいませんした!!!」
〇シンプルな玄関
家主の澄江さん「うるさいわね!!退去させんぞ!!」
穴倉圭「すいませんした!!」
家主の澄江さん「もう1度クレーム来たら、本気で・・・」
穴倉圭「はい、もしもーし! 今ですか?踏んだり蹴ったりっすよ」
家主の澄江さん「ちょっと聴きなさいよ!!」
穴倉圭「あ、大丈夫っすよ。行きまーす!」
穴倉圭「すいませんした!」
家主の澄江さん「何なの?この子・・・?」
〇おんぼろの民宿
〇地下室(血の跡あり)
幹部B「魔界がお呼びだ・・・」
〇魔界
魔伝道師バロザ「お久しぶりです」
幹部B「バロザ様いかがなさいましたか?」
魔伝道師バロザ「スピーシーが戻って来ないのですが、 何か知らないですか?」
幹部B「詳しい事は分かりませんが、
魔脳岩が反応しないので・・・」
幹部B「もしかしたら・・・」
魔伝道師バロザ「やはり使者が復活してしまったか・・・」
幹部B「加賀が何者かに箱を渡した可能性があります・・・」
魔伝道師バロザ「それならば加賀の居る場所へうちの者を 送り込みましょう」
幹部B「ただ、加賀には魔人を視る能力が
ありません」
魔伝道師バロザ「なるほど。洗礼を受けてないのですね・・・」
幹部B「うちから手配して加賀に詳しい話を聞こうと思っているのですが・・・」
魔伝道師バロザ「いいでしょう」
魔伝道師バロザ「真相が分かれば、こちらも戦士を送り・・・」
魔伝道師バロザ「加賀に憑依させます」
幹部B「了解いたしました」
魔伝道師バロザ「それでは」
〇総合病院
マスター加賀「先生!南雲さん!ありがとうございました!」
ナース南雲「お疲れ様でした。お大事にしてくださいね」
本間医師「ぜひいつでも検診を受けに来てください」
マスター加賀「本当にお世話になりました」
〇中規模マンション
穴倉圭「マスター!お久しぶりです!」
マスター加賀「お忙しいところ来て頂いてすいません!」
〇豪華なリビングダイニング
穴倉圭「退院されたばかりなんでしょ? ご無理なさらないでくださいよ?」
マスター加賀「こないだの約束を果たしたくて」
マスター加賀「もう会える機会もわずかでしょうし」
穴倉圭「そんな事無いですよ」
マスター加賀「お待たせいたしました。 自慢のコーヒーになります」
穴倉圭「それじゃ、いただきます!」
穴倉圭(ま、不味い!!!)
マスター加賀「お味は、いかがですか?」
穴倉圭「お、美味しいっす!」
マスター加賀「そんなはずは無いでしょう」
マスター加賀「私のコーヒーはハッキリ言って並以下です」
穴倉圭「いや、お、美味しいですよ!」
マスター加賀「ハッキリ言って不味いです!!」
穴倉圭(自分で気づいてたのか!?)
マスター加賀「なぜこの不味いコーヒーで店が繁盛したのかあなたに教えましょう」
マスター加賀「あれはつい60年前・・・」
穴倉圭(ついの年数じゃない!!)
〇山中のレストラン
私は脱サラして、
念願だった喫茶店を開店しました。
・・しかし、開店早々、
壁にぶち当たったのです。
〇レトロ喫茶
客1「マズッ!」
客2「コーヒー飲んだ事無いんか?」
客3「土でも溶かしてんの?」
私のコーヒーはヒドい出来だったらしく・・
わずか1週間で開店休業状態になりました・・・
諦めて店を畳もうと考えていたその時、
ある男が現れたんです。
謎の男「あー不味い!もういっぱいいっぱい!!」
マスター加賀「申し訳ありません!」
謎の男「ただ・・・ このコーヒーに常連客が付く 方法が1つだけある・・・」
マスター加賀「え?そ、それはいったい・・・?」
男はそう言うと、見たこともない
コーヒーメーカーを私にくれました。
後がない私は、藁をもすがる思いで
このコーヒーメーカーを使いました。
すると・・・
客1「バカうま!!」
客2「ゾッコン!!」
客3「もう店から出たくない!!」
その日から嘘のように大繁盛したのです!
1ヶ月後には大黒字に変わり、
借金もすぐに返済する事が出来ました。
そして、再びあの男が現れたんです。
マスター加賀「お客様のおかげでお店が 大繁盛になりました!」
マスター加賀「礼を尽くしても尽くしきれません!!」
謎の男「感謝なんか要らねえよ」
謎の男「その代わり・・・」
謎の男「うちの組織に入らねえか?」
マスター加賀「そ、組織・・・???」
謎の男「あのコーヒーメーカーには悪魔が棲んでいる」
マスター加賀「悪魔?」
謎の男「あの中から蒸気と共に悪魔が現れて」
魔人ドーズ「中毒こそ我が人生ぞ!」
謎の男「悪魔に取り憑かれた客は、
もうアンタのコーヒーしか飲めない
身体になっちまうってわけ」
謎の男「この状況をずーっと維持したいなら 秘密結社に入れ」
謎の男「サタンの洗礼は受けなくていい」
謎の男「その代わり、この店を秘密結社のアジトの 1つとして使わせてくれ」
マスター加賀「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
謎の男「俺とアンタは共犯だ。もう後には引けねえ」
マスター加賀「よ、よろしくお願いいたします!!」
こうして私の喫茶店は、
悪魔に魂を売った秘密結社と・・・
悪魔のコーヒーに取り憑かれた客の・・・
やすらぎの場と化したのです・・・
〇豪華なリビングダイニング
マスター加賀「これが魔界と現世を結ぶ秘密結社、」
マスター加賀「サタデービルドのエンブレムです・・・」
穴倉圭「サタデービルド・・・?」
〇魔界
魔伝道師バロザ「どうやらサタンスポットに微弱な結界が 張られているようだな・・・」
魔伝道師バロザ「そう来るなら、 あいつを送り込むしか無い・・・」
〇整頓された部屋
マヨルガ「ほう、やっと闘えそうなヤツが来たか」
マヨルガ「デカい野郎には末端を攻める」
マヨルガ「魔球ボーリング!すね砕き!!」
マッドブル「フン、くすぐってえだけだ」
マヨルガ「あ、こいつ普通に会話できるんだ・・・」
マッドブル「オリャ!!」
マヨルガ「クソッ!ラッキーパンチを食らっちまった!」
マヨルガ「肉を斬らせて骨を焼く!!」
マヨルガ「クソッ!!意外と速い!!」
マッドブル「小手先抜きの魔炎トルネードじゃい!!」
マヨルガ「あっぶね!」
マヨルガ「末端を攻める!・・・と見せかけて」
マヨルガ「魔炎消火!! 江火庵!!!」
マッドブル「ガッデム!!」
マッドブル「こうなったら、 フィジカルで畳み掛けるしかねえ!!」
マッドブル「どうした!?逃さねえぞ!!」
〇アパートの台所
マヨルガ「よし!これでエネルギー満タン!! さあ、残酷ショーの幕開けだ!!」
マヨルガ(ん?何か違和感が・・・?)
マヨルガ「あ、余り物!!」
〇豪華なリビングダイニング
穴倉圭「ちょっとトイレお借りして良いですか?」
マスター加賀「ええ、どうぞどうぞ」
〇清潔なトイレ
穴倉圭(この箱のこと、 マスターにどう説明すればいいかな・・・)
穴倉圭(それとも知ってるのかな・・・?)
穴倉圭(でも、それなら・・・)
〇黒背景
第3話 「潰し合いクロスオーバー」
───────おわり───────
マスター!?そんな秘密が!これ面白いですね
「コーヒーが不味いのに60年続いた店」日常の中から悪魔が住み着いたコーヒーメーカーっていうダークファンタジーに入り込んでいく感じ!たまりませんね
サタンスポットにパワースポット。
魔力を操れとはすなわちスポットのパワーを上手く使えということなのでしょうか。どちらにでも対応できるマヨルガは凄い。やはり悪魔にはパワースポットの力が良いのか。
神と悪魔の戦いでありながら決戦の舞台が毎回アパートの一室というミニマムさがいい塩梅です。
コーヒーの味が変わった後の客のリアクションは楽しかったです。
敵組織の正体も明らかになってくるなど、一気に物語が動いた第3話ですね!そして、パワースポットの存在がより重要に感じられますね、余り物への影響から食費節減までww