ヒステリック・ヒストリー

ラム25

第23話 1791年 解明(脚本)

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〇城の客室
鳥居「そう、か・・・君もつらかったんだな・・・」
  途端に俺ひとりが弱さを見せていたのが情けなく、申し訳なくなる。
緋翠「お父さんはダイヤルを回さないで歴史を修正して欲しかったのね・・・でもアクシデントが起きた」
鳥居「石井、か」
  いや、石井だけじゃない。好奇心に負けてダイヤルを回した俺にも責任がある。
  本気で二人で抵抗すれば、なんならダイヤルを石井の顔面に投げつけていればこんなことにはならなかったかもしれない。
緋翠「それだけじゃないわ。 私を過去に送る際にエラーが起きたの。 その歪みでわたしは記憶喪失になった」
鳥居「なるほど、それで・・・」
緋翠「でも記憶が戻ったから今ならこのダイヤルの構造が分かる」
緋翠「これにはお父さんの意志を宿したAIが眠ってるから娘の私のデータをコピーすればアクセスして動くはず」
鳥居「そうか、希望が見えたな!」
緋翠「ただダイヤルは回すたびにとんでもない演算処理をするの。 今までのパーセンテージは演算処理が再び可能になるまでの待機時間」
緋翠「それでそんな演算処理を何度も繰り返したからお父さんのAIの損傷が激しい」
  なんとなく今回ダイヤルゲージが比較的早く100%まで貯まった理由が分かった。演算処理など大して必要ない結果だったのだ。
鳥居「でも、データをコピーすれば動くんだろ?」
緋翠「動いてもあと二回ってとこね。この二回でまたフランスに戻り、革命を起こして現代に帰る」
緋翠「次の座標は2023年、その次は1791年、そのまた次は2023年に時空の座標が合わさってるのを確認したわ」
鳥居「どっちにしろ問題ない。 俺と緋翠ならやれる!」
緋翠「そう、ね」
  次成功させれば俺たちは帰れる・・・! 
  隣には緋翠だっている。
鳥居「それじゃ、一晩休んだらダイヤルを回そう。俺も今日は疲れた」
緋翠「そうね、私も休みたいわ」
  そう、なにせ次ダイヤルを回したら恐らくディストピアが待っている。
  仮にディストピアで命を落としたら何もかも台無しだ。
鳥居「じゃあ俺は寝るよ。緋翠は大丈夫か?」
緋翠「えぇ、ちょっとやっておきたいことがあるから」
  やっておきたいこと・・・ダイヤルの調査だろうか。
  なんとなく聞いて欲しくなさそうなので聞かないでおいた。
緋翠「ねぇ、鳥居、あなたは・・・」
鳥居「ん?」
緋翠「いえ、なんでもない。お休みなさい」
鳥居「そうか、お休み」
  優しく微笑むヒスイ。その笑みはどこか聖母のような慈しみと儚さがあった。
  そして俺は目を閉じ、深い眠りについた。
  ──翌日
  目覚めた俺は机に突っ伏して寝ている緋翠を見た。
  おそらく遅くまでダイヤルの解析をしていたのだろう。
  それから少しして緋翠が起きる。
  ダイヤルの針を2つ増やすには時間がかかるらしいので先にダイヤルを回す事になった。
  どんな世界が待ってるか分からないので身構えてしまう。
  案の定何もなければいいというのは楽観視しすぎだろう。
  そして針を2から1に合わせる。
  カチリッ
  そして視界は暗くなる・・・

次のエピソード:第24話 2023年 4度目の誤ち

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