エピソード44(脚本)
〇貴族の部屋
ヤマト「・・・」
ヤマト「こうして眺めることしか できないなんて悔しいな」
ヤマト「俺の手元にいるっていうのに」
フミト「ヤマト、いつまで 眠り姫を眺めているつもりだい?」
ヤマト「目覚めるまで、俺は諦めない!」
ヤマト「眠り姫はそのまま時が止まっているんだ。 俺が城の舞踏会で出会った あの時のままで」
フミト「彼女の舞踏会、誕生披露パーティで 魔物にさらわれたんだったな」
フミト「彼女が成人、 12歳になった時のことだろう? 俺は15、オマエは13だったな」
ヤマト「あの時は 姫の結婚相手を探すために 多くの人を城に入れてたし 警備が手薄だったんだ」
ヤマト「運良く、当時、魔道士見習いの俺らは 術にかからず魔王の城に潜入 姫だけ転移して逃げることができた」
ヤマト「しかし、あれから何もできずに もう300年も経ってしまった」
フミト「その間に一人前の魔道士になったじゃないか!」
ヤマト「まだだ!大魔道士と比べられるんだぞ! あんなマッチョ達に魂を売り渡した奴らなんかに!」
ヤマト「奴らに負けてたまるかよ!」
ヤマト「俺だけ時間が進んでいるなんて。 身体の成長した俺を 彼女は覚えてくれているだろうか」
フミト「記憶が止まったままなら 誕生日会のままだろうな」
ヤマト「あぁ・・・ なにか方法はないのかよ」
フミト「皇子か、大魔道士なら 知っているだろうな」
ヤマト「奴らを頼りたくない。 マッチョの奴らなんかに」
ヤマト「まてよ、皇子か・・・」
ヤマト「マッチョ国で狙われるのが怖くて ニンゲンの所から 戻ってこない放蕩って聞いたが」
ヤマト「探りに行ってみるかな 俺は諦めが悪いからな」
フミト「面白そうですね ワタシも行ってみましょうかね」
ヤマト「フミトは面白がってるだけかよ ニンゲンと遊びたいだけだろ」
フミト「嫌だなぁ僕を遊び人みたいに」
ヤマト「そりゃさ」
ニンゲンは俺等より必ず先に
いなくなってしまうものだからさ
〇奇妙な屋台
店主「今日は良く晴れてて暑いわね」
謎マッチョさん「店主、向こうの草刈り 終えてきました!」
店主「アラ〜 お疲れ様でした! はい!どうぞ!」
店主「村から届いた いただきものですけどね〜」
謎マッチョさん「いただきます!」
謎マッチョさん「美味しいです!」
店主「良かったわ〜 ホントあの村の作物はトクベツよね〜」
〇学校の校舎
キーンコーンカーンコーン
〇教室
キーンコーンカーンコーン
はい起立ー
礼ー
着席ー
うぇー
やっと昼休みだー!
腹減ったー!
五十嵐先生「じゃ僕は一度、理科室に戻るね」
せんせー!
五十嵐先生「ん?なんだい? 宿題の範囲はプリントに書いてあるぞ?」
ユイ「ちがーう! 先生に見てもらいたい物があるの!」
五十嵐先生「見てもらいたいもの?」
ユイ「これ!」
五十嵐先生「これは・・・オレンジ?」
ユイ「そう!なんだけど! ちょっと他と違わない?」
五十嵐先生「違う?うーん 変わってるようには・・・」
五十嵐先生「ん?」
五十嵐先生(店主の所で食べたオレンジ?に 見た目は似てるかな?)
五十嵐先生「これ、ドコで手に入れたの?」
ユイ「なんかねー今朝 駅前で配ってたんだ」
ユイ「他にも持ってる子が いると思うけど なんか怪しいからさ」
五十嵐先生(感受性が強いのかな? 持ってみただけで 含む魔力がわかるなんて)
ユイ「理科の先生なら 分かると思ったんだけどなー」
五十嵐先生「ちょっと調べてみたいので 預かってもいいかい?」
ユイ「いいよー ていうか先生にあげるよー なんかわかったら教えてね!」
五十嵐先生「うん」
五十嵐先生(しかし駅前で 配ってるなんて妙だな。 店主はともかく普通は出回らないはず。 一応、調べてみるか)
〇駅前ロータリー(駅名無し)
ヤマト「はーい! 採れたて果実!産地直送! 無料でお配りしてまーす!」
執事ラルドゥス「坊っちゃん達! なにをなさっているんですか!」
フミト「ホラ見つかっちゃった ラルドゥスはお見通しだな」
執事ラルドゥス「ワタクシは坊っちゃん達が心配で・・・ こんな気の悪い所に来るものでは、 ございません!」
ヤマト「わりと楽しいよ!」
執事ラルドゥス「やれやれ・・・ 魔の果実まで持ち出して・・・」
執事ラルドゥス「すぐ帰りますよ!」
フミト「まぁ社会勉強だと思ってよ。 夕方には俺が連れて帰るからさ。 先に帰ってていいよ」
執事ラルドゥス「フミト様・・・」
フミト「大丈夫だって。 過保護だなぁラルドゥスは」
執事ラルドゥス「お二人になにかあっては 先代に顔向けができませんので」
フミト「しょうがないなぁ」
フミト「はい、コレでいいかな?」
シュウウウウ
フミト「帰還の羽の起動を時間予約したから。 必ず時間に戻るよ」
執事ラルドゥス「仕方ないですね。 必ずですよ!」
執事ラルドゥス「あぁココの気を吸っていると 身体が苦しいですな! 退散、退散・・・」
ヤマト「ありがと!兄貴! さ!全部なくなるまで、配るぞー!」
フミト「しかし、こんなので わかりますかね・・・」
ヤマト「必ずわかる! 俺に任せとけ!」
ヤマト「なにぶん産地直送だからな!」
フフッフフフフフ
〇教室
あぁ、なんか
頭がおかしくなりそう・・・
ユイ「み、みんな どうしちゃったの?」
アハハハハー
アハハハハー
ユイ「みんなが急に狂ったように 踊りだしちゃって・・・」
アーハハハハ
アーハハハハ
メイ「アハハハハー アハハハハー」
メイ「アツ〜イ! アツ〜イ! アハハハハー」
ユイ「あーこんな所で脱いじゃダメ! ダメダメ!」
ユイ「どうしよう、だれかー 助けてー」
〇学校の廊下
助けてー!
五十嵐先生「ん?」
五十嵐先生「そろそろ薬も切れる頃だしな」
シュウウウウ!
謎マッチョさん「よし!」
説明しよう!五十嵐先生は
店主の薬が切れると
元の姿!マッチョメンに
戻ってしまうのだ!
謎マッチョさん「いま!助けに行くぞ!」
タッタッタッタッ
〇教室
ガラッ!
ユイ「わー!マッチョさんー!」
ユイ「助けてー!みんな止められないー!」
メイ「アハハハハー」
謎マッチョさん「ふむ!」
サッ
謎マッチョさん「魔力開放!」
シュウウウウ
メイ「はっ! ワタシなんでこんな格好・・・」
メイ「キャッ 恥ずかしい!」
ユイ「良かったあ〜 みんな変になっちゃったから〜」
ユイ「ありがとうマッチョさん!」
謎マッチョさん「うむ」
謎マッチョさん(いったい、誰がこんなことを?)
〇奇妙な屋台
店主「困ったちゃんたちね〜」
謎占い師さん「どうしたんですか? 店主。その実は・・・?」
店主「あぁコレ?」
謎占い師さん「コレ、禁断の魔の実ですよね? ヒトを狂わせるという・・・」
店主「例の村で品種改良して 悪い毒素を取り除くのに 成功したの!」
店主「それで試作したモノを 村から送ってもらったのだけど、」
店主「元の、毒のある魔の実を 配ってるワルイコちゃん達がいるみたいで〜」
謎占い師さん「それはいけません! すぐ回収しないと・・・」
店主「いま、マッチョ軍団が 回収に行ってくれているわ」
店主「それよりも、ワルイコには お仕置きしなくちゃねぇ〜」
〇駅前ロータリー(駅名無し)
ヤマト「あー配った!完売!」
フミト「お疲れ様でした。 で?どうなるのです?」
ヤマト「奴らは、きっとココに来るだろう。 俺を探しにな。 そろそろ実の効き目があるはずだし」
ヤマト「皇子が守るニンゲン達を 脅かす俺たちをほっておくハズががないからな」
フミト「おびき寄せの餌ですか。 少しは考えましたね」
ヤマト「ただニンゲンが 困ったりオカシクなるのを 見たかったのも、あるケドな!」
フミト「ワルイコですねえ〜」
そこまでよ!
ヤマト「おっお出ましかな」
南のマッチョ「アナタ達の好きには させないんだから!」
北のマッチョ「フシュー!」
西のマッチョ「喰らえ!マッチョ拳!」
ボボボボボボボボ
ヤマト「そう来ると思ったさ!」
ヤマト「魔法の盾!」
フオオオオーン
西のマッチョ「くっ」
南のマッチョ「そんなのはお見通しよ!」
南のマッチョ「魔双剣!」
ヤマト「くっ やるな!」
ヤマト「火炎の渦!!」
フミト「って、ちょっとストップ!」
ヤマト「へ?」
フミト「すいません、そろそろ時間なので・・・」
フミト「またねー」
南のマッチョ「逃げたわ・・・」
北のマッチョ「フシュー」
西のマッチョ「奴ら、また来るかも知れませんね」
南のマッチョ「そうね、気をつけましょう」
〇奇妙な屋台
謎マッチョさん「・・・というわけで マッチョ達が奴らを追い払ってくれたようです」
謎マッチョさん「スミマセン ワタシが早く 気づけたら良かったのですが」
店主「マッチョさんは謝らなくていいのよ〜 みんな助かったもの! 無事で良かったわね〜」
謎マッチョさん「みんなから回収した魔の実です」
店主「とりあえずできるだけ悪い気は 浄化したけれど、 しばらくは完全に浄化するまで 村に返すわね」
店主「元は一本の同じ木から 分けたものだもの。 村の改良した土で良気を養うのね」
謎占い師さん「邪気はいたるところに宿るとは 本当に不思議なものです。 精神を変化させるのですから」
店主「そうね。 身体も不思議なものですよね」
謎占い師さん「しかし・・・ 店主、面倒なことになりましたね。 奴らが絡んでいるなんて」
店主「仕方ないわよ。 いずれは相対しないと いけないのだから」
謎占い師さん「そうですね。 それまで備えておきます」
謎マッチョさん「うむ」
店主「よろしく〜」
ユイ「こんばんは!」
店主「アラどうしたの?」
ユイ「マッチョさんに御礼! 親戚が送ってきてくれたの!」
謎マッチョさん「ありがとう!」
ユイ「変なものは入ってないからね! じゃ!またねー!」
タッタッタッタッ
謎占い師さん「またファンが増えたんですか マッチョさんは人気がありますねぇ〜」
謎マッチョさん「・・・」
謎占い師さん「ワタシ、なにか まずいこと言いました!?」
店主「サテ!店じまい店じまい!」
対立構造が明確になってしまいましたねー。それにしてもマッチョさんとマッチョ軍団の頼もしさったら!筋肉は平和を守るのですね!
五十嵐先生に擬態したり草刈りしたり、毎度ながらマッチョさんの仕事量が半端ない。動かしすぎるのも筋肉に良くないから、休肝日ならぬ休筋日も作ってあげてくださいね、店主さん。ユイちゃんは何者なんだろうか。
何かいつになくマッチョさんの人の良さが際立ってました! 曰く付きのオレンジは鋭い感性の持ち主は、きっと触れただけで違和感を持つんでしょうね。