悪役令嬢は、借金返済する事になりました。(脚本)
〇中世の街並み
兵士「居たぞ!あっちだ!」
兵士②「逃さんぞ!フロンテラ・ガメツク!!」
〇中東の街
フロンテラ「どうして・・・」
フロンテラ「どうして、こんな事に・・・お父様・・・」
〇豪華な部屋
ガメツク邸、フロンテラの部屋。
フロンテラ「ふぅ・・・やっと楽な格好になれましたわね」
メイド「ドレスは美しいですけれど、着こなすのは大変ですものね」
フロンテラ「全くですわ・・・」
メイド「ただいまお茶をお持ちいたしますね」
メイド「もうすぐ結婚式ですから、美容に良いフローラベリーティーにいたしましょう♪」
フロンテラ「えぇ、よろしくね」
ガメツク家の娘、そして第七王子の婚約者──・・・それが私、フロンテラ・ガメツク
アカデミーを優秀な成績で卒業した私の人生は、順風満帆だった。
──・・・それが、起きるまでは
〇豪華な部屋
メイド「雷雨が酷くなって来ましたね・・・」
メイド「お嬢様が天気が悪くなる前にご帰宅されて何よりでした・・・」
フロンテラ「そうね・・・」
メイド「お嬢様?どうかなされました?」
フロンテラ「なんでもないのよ。ただ、胸騒ぎがして・・・」
メイド「旦那さまと奥様も、まだお戻りになられていませんものね・・・」
フロンテラ「そう言えば、お二人はどちらにでかけたのかしら?」
メイド「さあ・・・」
メイド「あちこち周る・・・との様な事を言ってらしたようですが・・・」
フロンテラ「あちこち?」
フロンテラ「変ですわね。何時もなら必ず行き先を告げてゆくのに──」
フロンテラ「え?な、なに?」
メイド「見て参ります!お嬢様は此方に居てくださいまし!」
フロンテラ「何?何が起きているの・・・?」
メイド「お嬢様!お静かに、こちらへ!」
フロンテラ「え?」
メイド「詳しくは後ほど!」
フロンテラ「え、えぇ・・・」
〇地下室
フロンテラ「ここは?」
メイド「いざと言う時の為に作られた、隠し通路です」
フロンテラ「隠し通路!?」
メイド「お嬢様、落ち着いて聞いてください・・・」
メイド「旦那さまと奥様の乗った馬車が・・・行方不明だそうです・・・」
フロンテラ「え!!?」
メイド「騎士団員に貴族や商人が押掛けてきました。彼らが口々に言うには──・・・」
〇モヤモヤ
そこで説明されたのは、両親が大きな事業に失敗したと言う事。
そして、私の父が、私が王子の婚約者と言う立場を利用して・・・
・・・多額の借金をしていたと言う事。
怒った商人や貴族達が押しかけ、逃げた両親の代わりに私を出せと騒いでいること。
それだけではなく、・・・父に謀反の疑いがかけられたこと──・・・であった。
〇地下室
フロンテラ「そんな・・・お父様・・・お母様・・・」
メイド「今、広間では騎士団員と貴族、商人が揉めて居ます」
メイド「どうも情報が錯綜していて、混乱しているようです──・・・」
メイド「ですから、お嬢様──・・・」
メイド「──お逃げください」
フロンテラ「逃げる・・・?」
メイド「旦那さまと奥様が居ない今、お嬢様に何かあってはガメツク家は終わりです」
フロンテラ「これは?」
メイド「取り急ぎ、必要なものを詰めました」
メイド「どうにか、ロゼウス様と合流して下さい」
メイド「婚約者のあの方なら、お嬢様を無下にはしないでしょう」
フロンテラ「でも、お城に行くのは悪手でしょう?」
メイド「そうですね。ですから、お逃げ下さい。ロゼウス様以外には捕まらないよう・・・」
フロンテラ「難しいことを言いますのね・・・」
メイド「大丈夫、お嬢様なら可能だと信じておりますわ!」
フロンテラ「言ってくれますわね・・・」
メイド「さぁ、お嬢様。お急ぎ下さい・・・!」
フロンテラ「えぇ、・・・ありがとう。後は任せるわ!」
メイド「お任せ下さいませ!」
メイド「ロゼウス様、どうかお嬢様をお願いいたします・・・」
〇中東の街
フロンテラ(あの子は大丈夫なんて言ったけれど・・・)
フロンテラ(外に脱出してみれば、街中に騎士団員達が居た・・・)
フロンテラ(それに、ロゼウス様が私を断罪しないとも限らない・・・)
フロンテラ(いえ、私はあの方を信じております・・・!)
フロンテラ(だから、今は逃げ切らないと・・・)
フロンテラ「あっ・・・」
フロンテラ「くっ・・・」
フロンテラ「ふふ・・・こんな泥まみれじゃ、ロゼウス様も私と分からないわね・・・」
兵士②「追い詰めたぞ!フロンテラ・ガメツク!!」
兵士「さあ、一緒に来てもらおうか!」
フロンテラ「うぅ・・・」
フロンテラ「ロゼウス様に合うまで・・・捕まる訳には・・・」
フロンテラ(ロゼウス様、私の愛しい方・・・今捕まってしまえば、もう・・・)
フロンテラ「助けて・・・ロゼウス様・・・!!」
〇水たまり
「うん、助けるよ」
フロンテラ「え・・・?」
「うわぁあぁぁ!!!?」
〇中東の街
ロゼウス「ごめんね、フロン。少し遅れた」
フロンテラ「ロ・・・ゼウス様・・・!!」
兵士「ロゼウス様!!?」
兵士「ロゼウス様、フロンテラ・ガメツクをこちらにお渡し下さい!」
兵士「その者には謀反の疑いが──・・・」
ロゼウス「それはフロンの両親だよね?」
兵士「いえ、それはそうですが──・・・」
ロゼウス「悪いけど、後は国王様に聞いてくれないかな?私は行くから」
兵士「は?ど、何処に・・・?」
ロゼウス「それは勿論・・・」
ロゼウス「愛の逃避行さ!」
兵士「・・・なんてこった」
兵士②「まったく、あの御方は・・・!」
兵士「と、とにかく城へ戻るぞ!」
兵士②「あぁ・・・!」
〇原っぱ
ロゼウス「・・・うん、誰も居ないね」
フロンテラ「あの、ロゼウス様・・・離してくださいませ・・・」
ロゼウス「え〜、私としてはもう少しこうして居たいんだけど・・・駄目?」
フロンテラ「私もですけれど・・・御身が汚れてしまいますわ・・・」
ロゼウス「あぁ、そうだったね。ちょっと待って・・・《清掃魔法》!!」
ロゼウス「はい綺麗っと♪」
フロンテラ「まぁ・・・ありがとうございます、ロゼウス様!」
ロゼウス「私の大切な婚約者が雨で汚れて風邪をひくなんて許されないからね?」
フロンテラ「婚約者・・・ロゼウス様はまだ私を婚約者と言ってくださいますのね?」
ロゼウス「当たり前でしょう?そうじゃなきゃ君を攫ったりしないよ?」
フロンテラ「まぁ、救うのお間違いでは?」
ロゼウス「あぁそうだね。その方がヒーローっぽくていい」
ロゼウス「さて、少し歩くけど大丈夫かい?」
フロンテラ「はい」
フロンテラ「所でロゼウス樣・・・こちらは何処ですの?」
ロゼウス「ルンド地方の最果ての地、ツインホーンだね」
フロンテラ「ツインホーン!!?」
ロゼウス「私はね、フロン。君を失うなんて耐えられないんだよ?」
ロゼウス「だからね、君を救えないなら研究成果諸々共々他国に駆け落ちしてやる〜!!って父を脅・・・」
ロゼウス「・・・もとい、説得して交渉したんだ!」
フロンテラ「交渉、ですか?」
ロゼウス「そう・・・あ、着いたね」
フロンテラ「はい?」
フロンテラ「これは・・・」
〇草原の一軒家
フロンテラ「家・・・?」
ロゼウス「兵が見廻りの際に使っている宿舎だね」
ロゼウス「そして、今日から僕達の愛の巣になる所だよ?」
フロンテラ「あ、愛の巣!!?」
ロゼウス「そうだよ、暫く二人きりだからね♪」
フロンテラ「はっ、破廉恥ですわ!!」
フロンテラ「って暫く、ですか?」
ロゼウス「うん、私もずっと君と二人きりなら幸せなんだけど・・・」
ロゼウス「後で色々な人が来る予定だよ。それでね・・・」
ロゼウス「・・・500億イェーン」
フロンテラ「はい?」
ロゼウス「君の両親が拵えた借金の総額だよ♪」
フロンテラ「はぁぁ!!?」
フロンテラ「ちょっとした国家予算じゃないですか!!!!!」
ロゼウス「いやぁ、びっくりだよね・・・。第七王子なんて私の肩書も捨てたもんじゃないなぁ・・・」
フロンテラ「貴方は第七王子であり、大魔法使いですもの、当然の評価なのではありませんか?」
ロゼウス「そう言ってもらえると嬉しいよ。で、国王様からの言葉を伝えるね」
フロンテラ「はい」
ロゼウス「ロゼウスとフロンテラに、ルンド地方ツインホーンの領主の地位を貸し与える」
ロゼウス「500億イェーンを返済すればフロンテラ・ガメツクは不問とし、ロゼウスとの結婚を認める」
フロンテラ「それは・・・実質婚約解消と言っても良いのでは・・・」
フロンテラ「一生働いても、とても返せる金額では・・・」
ロゼウス「普通なら、ね?」
フロンテラ「はい?」
ロゼウス「私は大魔法使い。それだけじゃない、君には特別なスキルがある・・・」
フロンテラ「特別なスキルって・・・まさか・・・」
ロゼウス「そう!君の希少スキル《マージ》!!」
ロゼウス「私達が力を合わせれば、500億イェーンなんてすぐ返せるさ♪」
ロゼウス「その為のあれこれも、来る前に仕込んできたからね」
フロンテラ「ロゼウス様・・・」
ロゼウス「道のりは大変かもしれないけど、二人なら大丈夫だよ」
ロゼウス「私は絶対に、君から離れたりしないから・・・安心してね?」
フロンテラ「はい・・・」
フロンテラ「私・・・ロゼウス様と結婚する為に、誠心誠意頑張りますわ・・・!!」
ロゼウス「うんうん、それでこそ私のフロンだ!」
ロゼウス「二人で頑張ろうね!」
〇空
斯くして、フロンテラとロゼウス──・・・
二人の借金返済生活が始まるー・・・
しかし、二人がわざわざ
ツインホーンまで来る事になった理由は
ロゼウス(うんうん。これで、誰にも邪魔されずにフロンとイチャイチャ出来るね!)
ロゼウス(ここでなら自分の魔法の研究も自由にできるし、フロンの《マージ》についても調べられそうだ・・・)
ロゼウス「全く、ガメツク公爵には感謝しかないよね♪」
第七王子の下心と打算で在ることを・・・
フロンテラは知らないー・・・
こんにちは!
始めは絶体絶命でどうなるんだろうと心配でしたが王子が現れてから希望の光が見えたと思ったら何か下心があるようだし、一筋縄ではいかない展開が面白かったです!
「借金返済マージファンタジー」って、読んでみないと分からないオリジナリティあふれる世界観にやられました。大魔法使いの王子の魔法を使っても借金返済だけは無理なのか〜。500億イェーンは日本円に換算すると500億エェーンくらいでしょうか。生活が落ち着いたらガメツク邸からあの気の利くメイドさんも呼び寄せてあげてほしいです。
イチャイチャ恋愛&経営シミュレーション!
を想像してしまいますね😆
昨今は婚約破棄や追放が流行りですが、私はこういうのが好きです! 王子がいい人でよかったです。